化学式等の物性

硫酸鉄(Ⅲ)の化学式・組成式・分子量は?式量が正しい?覚え方のコツも!(Fe2(SO4)3・電子式・構造式・イオン式・黄褐色・酸化剤・加水分解・水溶液の色・示性式)

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硫酸鉄(Ⅲ)は、鉄が+3価の酸化状態をとる硫酸塩であり、化学式はFe₂(SO₄)₃と表されます。

理科や化学の学習において、化学式・組成式・分子量(式量)をしっかり押さえておくことは非常に重要です。

また、電子式・構造式・イオン式・示性式といった多様な表記方法も問われやすいポイントのひとつ。

さらに、硫酸鉄(Ⅲ)水溶液の色(黄褐色)や酸化剤としての性質、加水分解反応なども、試験でよく登場するテーマです。

この記事では、硫酸鉄(Ⅲ)に関するあらゆる基礎知識を、わかりやすく丁寧に解説していきます。

硫酸鉄(Ⅲ)の化学式はFe₂(SO₄)₃!組成式・分子量の基本まとめ

それではまず、硫酸鉄(Ⅲ)の化学式・組成式・分子量について解説していきます。

硫酸鉄(Ⅲ)の化学式はFe₂(SO₄)₃です。

これは、鉄イオンFe³⁺が2個と、硫酸イオンSO₄²⁻が3個で構成されていることを示しています。

電荷のバランスを確認すると、Fe³⁺×2=+6、SO₄²⁻×3=−6となり、ちょうど釣り合っているのがわかるでしょう。

組成式は、化学式と同様にFe₂(SO₄)₃と書くのが一般的です。

イオン結晶や塩においては、化学式と組成式が一致することが多く、硫酸鉄(Ⅲ)もその例に当てはまります。

示性式についても、特別な官能基の強調が不要なため、通常はFe₂(SO₄)₃として表記されます。

分子量(式量)の計算方法

硫酸鉄(Ⅲ)の分子量(正確には式量)を求めてみましょう。

各元素の原子量は、Fe=56、S=32、O=16を使用します。

Fe₂(SO₄)₃の式量の計算
Fe:56×2=112
S:32×3=96
O:16×12=192
合計:112+96+192=400

したがって、硫酸鉄(Ⅲ)の式量は400となります。

O原子はSO₄の中に4個あり、それが3個分なので4×3=12個であることに注意しましょう。

ここを12個と正確に数えることが、計算ミスを防ぐポイントです。

覚え方のコツ

化学式Fe₂(SO₄)₃の覚え方としては、イオンの価数を使う方法が便利です。

Fe³⁺の価数3とSO₄²⁻の価数2を入れ替えて係数にする、いわゆる「たすき掛け」の方法を使うと、Fe₂(SO₄)₃がすっきり導けます。

たすき掛けの手順
Fe³⁺(価数3)とSO₄²⁻(価数2)をたすき掛けすると、Feに2、SO₄に3がつき、Fe₂(SO₄)₃となります。価数をそのまま相手の係数にする方法で、覚えやすいでしょう。

化学式の正式な読み方と名称

「硫酸鉄(Ⅲ)」という名称の(Ⅲ)は、鉄の酸化数が+3であることを示しています。

鉄には+2価(硫酸鉄(Ⅱ))と+3価(硫酸鉄(Ⅲ))の2種類の硫酸塩があるため、ローマ数字で区別しているのです。

英語ではiron(III) sulfateと呼ばれることも押さえておきましょう。

硫酸鉄(Ⅲ)の電子式・構造式・イオン式を解説

続いては、硫酸鉄(Ⅲ)の電子式・構造式・イオン式について確認していきます。

これらはイオンレベルの構造を把握するために欠かせない知識です。

電子式の書き方

硫酸鉄(Ⅲ)はイオン結晶のため、電子式として分子全体を一括して書くというよりも、構成イオンであるFe³⁺とSO₄²⁻の電子式をそれぞれ理解することが基本となります。

SO₄²⁻(硫酸イオン)の電子式では、Sを中心に4つのOが結合しており、S−O間には共有結合が形成されています。

全体として2個の負電荷を持つイオンとして記述するのがポイントです。

Fe³⁺については、電子を3個失った鉄イオンとして表記します。

構造式のポイント

硫酸イオンSO₄²⁻の構造式は、Sを中心として4本の結合線がO方向に伸びた正四面体構造です。

実際にはSとOの間に二重結合的な成分(d軌道の関与)も存在しますが、高校化学レベルでは単結合として扱うことが多いでしょう。

硫酸鉄(Ⅲ)全体の構造式は、Fe³⁺と[SO₄²⁻]×3がイオン結合でつながった形として理解すると整理しやすいです。

イオン式・電離式

硫酸鉄(Ⅲ)の電離式は以下のように表されます。

Fe₂(SO₄)₃ → 2Fe³⁺ + 3SO₄²⁻

水に溶けると、Fe³⁺が2個とSO₄²⁻が3個に完全電離します。

この電離式は、係数の比(2対3)を正確に書くことが求められます。

係数を間違えないよう、化学式から直接読み取る習慣をつけておきましょう。

硫酸鉄(Ⅲ)水溶液の色・酸化剤としての性質・加水分解

続いては、硫酸鉄(Ⅲ)の水溶液の色、酸化剤としての働き、そして加水分解の反応について確認していきます。

水溶液の色(黄褐色)

硫酸鉄(Ⅲ)を水に溶かすと、黄褐色の水溶液が得られます。

これはFe³⁺イオンが黄褐色を示すためです。

一方、Fe²⁺イオンは淡緑色を示すため、両者の色の違いは鉄の価数を見分ける重要な手がかりになるでしょう。

イオン 水溶液の色 代表的な化合物
Fe³⁺ 黄褐色 硫酸鉄(Ⅲ)、塩化鉄(Ⅲ)
Fe²⁺ 淡緑色 硫酸鉄(Ⅱ)、塩化鉄(Ⅱ)

また、Fe³⁺イオンを含む水溶液にNaOH水溶液を加えると、赤褐色の沈殿(Fe(OH)₃)が生じます。

これはFe³⁺の検出反応として非常に重要です。

チオシアン酸イオン(SCN⁻)を加えると血赤色に呈色することも、Fe³⁺の確認反応のひとつとして覚えておきましょう。

酸化剤としての半反応式

Fe³⁺は電子を1個受け取ってFe²⁺に変わることができるため、酸化剤として働きます。

半反応式は以下のとおりです。

Fe³⁺ + e⁻ → Fe²⁺

たとえば、硫酸鉄(Ⅲ)はヨウ化物イオン(I⁻)を酸化してI₂を生成する反応に用いられます。

このとき自身はFe²⁺に還元されるのです。

酸化還元反応の問題では、この半反応式を正確に書けるかどうかが得点に直結します。

加水分解反応

Fe³⁺は水中で加水分解を起こしやすく、水溶液が酸性を示す原因となります。

Fe³⁺ + 3H₂O ⇌ Fe(OH)₃ + 3H⁺

この反応により、硫酸鉄(Ⅲ)水溶液は酸性を示します。

加水分解が進むと、水溶液が濁ってくることもあるため、保存には注意が必要です。

強酸性条件下では加水分解が抑制されるため、硫酸を少量加えて保存されることもあります。

硫酸鉄(Ⅲ)の用途・実験での活用・関連化合物

続いては、硫酸鉄(Ⅲ)がどのような場面で使われるのか、また関連する化合物についても確認していきましょう。

工業・実験での主な用途

硫酸鉄(Ⅲ)は、エッチング剤として電子基板の回路加工に利用されます。

プリント基板の製造において、銅のエッチングに使われることは特に有名です。

また、染色・なめし革(タンニン鉄錯体形成)・水処理(凝集剤)など、幅広い工業用途があります。

用途 内容
エッチング剤 プリント基板の銅除去
凝集剤 水処理・排水処理
染色助剤 繊維の媒染剤として利用
医薬品原料 収斂剤・止血剤の成分

実験室では、酸化剤としての性質を活用した酸化還元滴定や、Fe³⁺の検出反応の標準試薬としても使われます。

用途の幅広さが、硫酸鉄(Ⅲ)の重要性を物語っているでしょう。

硫酸鉄(Ⅲ)の調製方法

硫酸鉄(Ⅲ)は、鉄を希硫酸に溶かして硫酸鉄(Ⅱ)を得たあと、酸化することで製造されます。

また、酸化鉄(Ⅲ)やFe(OH)₃を希硫酸に溶かす方法も一般的です。

Fe₂O₃ + 3H₂SO₄ → Fe₂(SO₄)₃ + 3H₂O

この反応は、酸と酸化物の中和反応に分類されます。

係数の比がそのまま式量比・モル比になるため、計算問題にも応用できます。

硫酸鉄(Ⅱ)との違い・比較

硫酸鉄(Ⅱ)(FeSO₄)と硫酸鉄(Ⅲ)(Fe₂(SO₄)₃)は、鉄の酸化数が異なるだけでなく、色・性質・用途も大きく異なります。

硫酸鉄(Ⅱ)と硫酸鉄(Ⅲ)の主な違い
・硫酸鉄(Ⅱ):FeSO₄、淡緑色、還元剤として働く、七水和物(FeSO₄・7H₂O)が有名
・硫酸鉄(Ⅲ):Fe₂(SO₄)₃、黄褐色、酸化剤として働く、加水分解しやすい
両者はFe²⁺⇌Fe³⁺の酸化還元変換で相互転換が可能です。

まとめ

この記事では、硫酸鉄(Ⅲ)の化学式・組成式・分子量(式量)を中心に、電子式・構造式・イオン式・示性式、さらには水溶液の黄褐色・酸化剤としての半反応式・加水分解反応・用途まで幅広く解説しました。

化学式Fe₂(SO₄)₃は、Fe³⁺とSO₄²⁻のたすき掛けで導けること、式量は400であること、電離式では2Fe³⁺と3SO₄²⁻に分かれることを確実に押さえておきましょう。

酸化剤・加水分解・水溶液の色といった性質も、試験でよく問われるテーマです。

硫酸鉄(Ⅱ)との比較も含めて、鉄の化学をしっかり理解することで、酸化還元分野の得点アップにつながるでしょう。