化学反応

濃硝酸と銅の化学反応式は?二酸化窒素が生成する理由も(Cu+4HNO3・NO2発生・イオン反応式・酸化還元・半反応式・希硝酸との違い・係数)

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濃硝酸と銅の反応は、酸化還元反応の代表例として化学の試験で非常によく問われるテーマです。

反応式Cu+4HNO₃(濃)→Cu(NO₃)₂+2NO₂+2H₂Oを正確に書けるかどうかが、得点を左右する重要なポイントのひとつ。

また、なぜ二酸化窒素(NO₂)が発生するのか、希硝酸との場合はどう違うのか、イオン反応式や半反応式はどう書くのかといった疑問も、しっかり押さえておきたいテーマです。

係数の導き方や酸化還元の仕組みを理解することで、類似問題への応用力も大きく高まるでしょう。

この記事では、濃硝酸と銅の反応に関する基礎知識を、わかりやすく丁寧に解説していきます。

濃硝酸と銅の反応式はCu+4HNO₃!係数と生成物を確認しよう

それではまず、濃硝酸と銅の化学反応式と係数について解説していきます。

濃硝酸と銅の化学反応式は以下のとおりです。

Cu + 4HNO₃(濃)→ Cu(NO₃)₂ + 2NO₂↑ + 2H₂O

この反応式では、銅(Cu)1molに対して濃硝酸(HNO₃)が4mol必要であることが重要なポイントです。

生成物は硝酸銅(Ⅱ)(Cu(NO₃)₂)・二酸化窒素(NO₂)・水(H₂O)の3種類となります。

係数の比1:4:1:2:2を正確に覚えておくことが、反応式を書くうえで最も大切でしょう。

係数の導き方(半反応式から)

反応式の係数は、半反応式を組み合わせることで確実に導くことができます。

酸化剤(濃硝酸):HNO₃ + H⁺ + e⁻ → NO₂ + H₂O …①
還元剤(銅):Cu → Cu²⁺ + 2e⁻ …②
①×2+②より:
Cu + 2HNO₃ + 2H⁺ → Cu²⁺ + 2NO₂ + 2H₂O
NO₃⁻を補い整理すると:
Cu + 4HNO₃ → Cu(NO₃)₂ + 2NO₂↑ + 2H₂O

電子の授受を合わせるため、①を2倍して②と組み合わせます。

HNO₃の係数4のうち、2個が酸化剤として働き、残り2個がCu²⁺と結合してCu(NO₃)₂を形成している点も理解しておきましょう。

半反応式から係数を導く手順を身につけておくと、どのような酸化還元反応でも対応できるようになるでしょう。

反応の概要と特徴

銅(Cu)はイオン化傾向が小さく、希塩酸や希硫酸とは反応しません。

しかし、硝酸のような酸化力の強い酸とは反応できるのです。

これは硝酸が単なる酸としてではなく、酸化剤として働くことで銅を溶かすためです。

二酸化窒素(NO₂)が生成する理由・濃硝酸の酸化作用

続いては、なぜ濃硝酸との反応でNO₂が発生するのか、その理由と仕組みについて確認していきます。

硝酸の酸化剤としての半反応式

硝酸(HNO₃)が酸化剤として働くとき、濃度によって生成する窒素酸化物が異なります。

濃硝酸の場合:HNO₃ + H⁺ + e⁻ → NO₂ + H₂O
希硝酸の場合:HNO₃ + 3H⁺ + 3e⁻ → NO + 2H₂O

濃硝酸では電子を1個受け取ってNO₂(二酸化窒素)が生成し、希硝酸では電子を3個受け取ってNO(一酸化窒素)が生成します。

Nの酸化数の変化を確認すると、HNO₃中のNは+5であり、NO₂では+4、NOでは+2へと変化しています。

濃度が高いほど酸化力が強く、より酸化数の変化が小さいNO₂が生成すると覚えておくと整理しやすいでしょう。

NO₂が生成するメカニズム

濃硝酸と銅の反応でNO₂が生成する理由は、高濃度の硝酸環境下ではHNO₃分子が豊富に存在するためです。

電子を1個だけ受け取る比較的穏やかな還元でNO₂が生じるのに対し、希硝酸では電子を3個受け取る深い還元が進んでNOが生成します。

NO₂は赤褐色の刺激臭を持つ有毒な気体であるため、実験では必ずドラフト内で行う必要があります。

NO₂の性質まとめ

性質 内容
赤褐色
臭い 刺激臭
毒性 有毒(吸入禁止)
水との反応 3NO₂+H₂O→2HNO₃+NO
Nの酸化数 +4

NO₂は水に溶けると硝酸(HNO₃)と一酸化窒素(NO)が生じます。

この反応は工業的な硝酸製造の最終工程にも関連しており、窒素酸化物の化学を理解するうえで重要です。

イオン反応式の書き方・希硝酸との違い

続いては、濃硝酸と銅のイオン反応式の書き方と、希硝酸との反応の違いについて確認していきましょう。

イオン反応式の書き方

化学反応式をイオン反応式で表すには、水溶液中で電離しているイオンをそのまま書き、電離しない物質はそのままの形で書きます。

化学反応式:Cu + 4HNO₃(濃)→ Cu(NO₃)₂ + 2NO₂↑ + 2H₂O
イオン反応式:Cu + 4H⁺ + 2NO₃⁻ → Cu²⁺ + 2NO₂↑ + 2H₂O

HNO₃は強酸なのでH⁺とNO₃⁻に電離して書き、Cu(NO₃)₂もCu²⁺と2NO₃⁻に電離して書きます。

気体(NO₂)と液体(H₂O)はイオンではないためそのまま表記します。

両辺の電荷が等しくなっているかを必ず確認することが、イオン反応式を正しく書くためのポイントでしょう。

希硝酸と銅の反応式との比較

希硝酸と銅が反応する場合、生成する気体はNO₂ではなくNO(一酸化窒素)となります。

3Cu + 8HNO₃(希)→ 3Cu(NO₃)₂ + 2NO↑ + 4H₂O

希硝酸の場合、係数の比は3:8:3:2:4と複雑になります。

濃硝酸(1:4)と希硝酸(3:8)の係数の違いを混同しやすいため、それぞれを正確に覚えておきましょう。

反応条件 反応式 発生気体 気体の色
濃硝酸+Cu Cu+4HNO₃→Cu(NO₃)₂+2NO₂+2H₂O NO₂ 赤褐色
希硝酸+Cu 3Cu+8HNO₃→3Cu(NO₃)₂+2NO+4H₂O NO 無色

希硝酸の半反応式との比較

希硝酸の場合の半反応式を確認しておきましょう。

酸化剤(希硝酸):HNO₃ + 3H⁺ + 3e⁻ → NO + 2H₂O …①
還元剤(銅):Cu → Cu²⁺ + 2e⁻ …②
①×2+②×3より:
3Cu + 8HNO₃ → 3Cu(NO₃)₂ + 2NO↑ + 4H₂O

電子の授受を合わせるため、①を2倍・②を3倍して組み合わせます。

係数が大きくなるため、半反応式からの導き方を確実に習得しておくことが大切でしょう。

濃硝酸の性質・工業利用・取り扱い上の注意

続いては、濃硝酸の基本的な性質や工業利用、実験上の注意点について確認していきましょう。

濃硝酸の基本的な性質

濃硝酸は無色透明の液体ですが、光や熱によって一部分解し、NO₂が溶け込んで黄褐色に見えることがあります。

このため、濃硝酸は褐色びんに入れて冷暗所で保管するのが基本です。

揮発性があり、蒸気にも刺激臭と毒性があるため、実験では必ずドラフト内で取り扱います。

濃硝酸の主な性質まとめ
・強酸(完全電離)かつ強力な酸化剤
・揮発性あり(希硫酸と異なる点)
・光・熱で分解してNO₂発生→黄褐色になる
・銅・銀・白金以外の金属とも反応
・金・白金は王水(濃硝酸+濃塩酸の混合)でのみ溶ける

不動態との関係

鉄(Fe)・アルミニウム(Al)・ニッケル(Ni)は、濃硝酸に浸けると表面に緻密な酸化被膜が形成されて反応が止まります。

この状態を不動態といい、内部の金属が保護されるのです。

不動態は希硝酸や他の酸では形成されないため、濃硝酸特有の現象として重要なポイントです。

工業的な硝酸の製造(オストワルト法)

工業的には、アンモニアを酸化して硝酸を製造するオストワルト法が用いられます。

①4NH₃ + 5O₂ → 4NO + 6H₂O(白金触媒・高温)
②2NO + O₂ → 2NO₂
③3NO₂ + H₂O → 2HNO₃ + NO

最終工程③でNO₂と水が反応して硝酸が生成されます。

このときNOも副生成物として生じ、再度②の反応に使われるのです。

まとめ

この記事では、濃硝酸と銅の化学反応式(Cu+4HNO₃→Cu(NO₃)₂+2NO₂+2H₂O)を中心に、二酸化窒素が生成する理由、半反応式による係数の導き方、イオン反応式、希硝酸との違いまで幅広く解説しました。

濃硝酸ではNO₂、希硝酸ではNOが発生するという違いと、それぞれの係数の比を確実に押さえておきましょう。

半反応式から全体の反応式を導く手順は、あらゆる酸化還元反応に応用できる重要なスキルです。

不動態や工業的な硝酸製造(オストワルト法)もセットで理解しておくことで、硝酸に関する問題を幅広くカバーできるでしょう。