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MTTFとFITの関係は?換算方法と計算式も!(故障率単位:信頼性評価:半導体:電子部品:品質指標など)

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電子部品や半導体の信頼性評価において、「MTTF」と「FIT」という2つの指標はほぼ必ずセットで登場します。

FITはMTTFと密接な関係にある故障率の単位であり、両者の換算方法と計算式を正しく理解することで、部品選定・信頼性設計・品質評価を的確に行うことができます。

本記事では、FITという単位の意味から始め、MTTFとFITの関係式・換算計算の具体例・電子部品・半導体分野での活用方法まで、わかりやすく詳しく解説します。

信頼性工学の現場でFITやMTTFを扱うエンジニア・品質担当者の方にとって、すぐに実務に役立てていただける内容です。

FITとは何か?故障率単位の意味と成り立ちを理解しよう

それではまず、FITとは何か、その意味と成り立ちについて解説していきます。

FITは「Failures In Time」の略称であり、10億時間(10⁹時間)あたりに発生する故障件数を表す故障率の単位です。

FITという単位が生まれた背景と必要性

現代の半導体や電子部品は非常に高い信頼性を持ち、一般的な使用条件下での故障率は極めて低い値になっています。

たとえば、故障率が0.0000001(1/時間)のような非常に小さな数字を扱うのは非効率であり、誤読・計算ミスの原因にもなります。

そこで、10億時間という大きな時間スケールを基準に故障件数を表すFITという単位が考案され、半導体・電子部品業界の標準的な指標として普及しました。

FITの数値が表す具体的な意味

「1 FIT」とは、10億時間あたり1件の故障が発生することを意味します。

たとえば、「100 FIT」という部品であれば、10億時間の累積稼働時間に対して100件の故障が期待されることを表します。

これを実感しやすい数字に換算すると、1000個の部品を1000時間(約41.7日)稼働させた場合に期待される故障件数として計算することができます。

FITと故障率λとの関係を整理する

FITと故障率λ(ラムダ、単位:1/時間)の関係は以下の通りです。

FIT = λ(1/時間)× 10⁹

または

λ(1/時間)= FIT ÷ 10⁹

例:λ = 5 × 10⁻⁸(1/時間)の場合

FIT = 5 × 10⁻⁸ × 10⁹ = 50 FIT

この換算を理解しておくことで、データシートに記載されたFIT値から故障率λを導出し、信頼性計算に利用することができます。

MTTFとFITの関係式と換算計算の方法

続いては、MTTFとFITの関係式と換算計算の方法を詳しく確認していきます。

MTTFとFITはどちらも故障の「起きにくさ」を表す指標であり、一方が既知であれば他方を簡単に算出できる関係にあります。

MTTFとFITの基本的な換算式

指数分布を前提とした場合(電子部品では一般的な仮定)、MTTFとFITの換算式は以下の通りです。

MTTFとFITの換算式:

MTTF(時間)= 10⁹ ÷ FIT値

FIT値 = 10⁹ ÷ MTTF(時間)

【換算例1】FIT = 100の場合:MTTF = 10⁹ ÷ 100 = 10,000,000時間(約1141年)

【換算例2】MTTF = 5,000,000時間の場合:FIT = 10⁹ ÷ 5,000,000 = 200 FIT

FITから実際の故障件数を推定する計算方法

FITの値を使って、特定の条件下での期待故障件数を推定することができます。

期待故障件数 = FIT × 部品点数 × 稼働時間 ÷ 10⁹

例:FIT = 50の部品を10,000個使用し、10,000時間稼働させる場合

期待故障件数 = 50 × 10,000 × 10,000 ÷ 10⁹ = 5,000,000,000 ÷ 10⁹ = 5件

つまり、このシステムでは10,000時間の稼働で平均5件の故障が期待されます。

この計算は、大量使用される電子部品のフィールド故障率予測や、スペアパーツの必要数量算出に非常に役立ちます。

複数部品から構成されるシステムのFIT合計と換算

直列接続された複数の部品から構成されるシステムの場合、システム全体のFITは各部品のFITの合計となります。

直列システムの合計FIT = FIT₁ + FIT₂ + … + FITn

例:部品A(FIT=50)+部品B(FIT=30)+部品C(FIT=20)の直列システム

システム合計FIT = 50 + 30 + 20 = 100 FIT

システムのMTTF = 10⁹ ÷ 100 = 10,000,000時間

この性質から、部品点数が多くなるほどシステム全体のFITは大きくなり、MTTFは短くなります。

システム設計において部品の統合化や部品点数の削減が信頼性向上に効果的な理由はここにあります。

半導体・電子部品業界でのFITとMTTFの活用実態

続いては、半導体・電子部品業界でFITとMTTFが実際にどのように活用されているかを解説していきます。

電子部品の信頼性データは、製品設計・部品調達・品質保証のあらゆる場面で参照されており、FITとMTTFはそのデータの中核を担う指標となっています。

データシートのFIT・MTTF値の読み方と注意点

電子部品のデータシートには、FITまたはMTTF値が記載されていることが多いですが、その値が適用される条件(温度・電圧・動作周波数など)に注意が必要です。

通常、FIT値は「25℃・定格電圧・定格電流」などの標準条件下での値として記載されており、高温環境や高負荷条件下では実際の故障率はこれより高くなります。

アレニウス式を使った温度加速係数を適用することで、実際の使用温度でのFITを推定することが可能です。

部品種別 一般的なFIT値の範囲 対応MTTF(概算)
高品質LSI・マイコン 1〜10 FIT 1億〜10億時間
汎用ロジックIC 10〜100 FIT 1000万〜1億時間
電解コンデンサ 100〜1000 FIT 100万〜1000万時間
光学式センサー 50〜500 FIT 200万〜2000万時間

加速寿命試験とFIT値の検証プロセス

メーカーが公表するFIT値は、多くの場合、加速寿命試験(ALT)のデータをもとに算出されています。

高温・高電圧・高湿度などの加速条件下で試験を実施し、短期間で得られた故障データをアレニウス式などの加速モデルで標準条件のFIT値に換算します。

試験時間・サンプル数・信頼水準(通常60%または90%)によってFIT値の精度が変わるため、データシートの試験条件と信頼水準の確認も重要です。

FITを活用したシステムの信頼性予測(FMEA・FTA連携)

FITデータはFMEA(故障モード影響解析)やFTA(故障の木解析)と組み合わせることで、システム全体のリスク評価に活用できます。

FMEAでは各故障モードの発生頻度をFITベースで定量化し、RPN(リスク優先数)の算出に組み込むことができます。

FTAではトップ事象の発生確率をFIT値から導いた故障率で計算することで、システム全体のリスクを定量的に評価・比較することが可能になります。

品質指標としてのFITとMTTFの評価基準と改善アプローチ

続いては、品質指標としてFITとMTTFを評価・改善するためのアプローチについて解説していきます。

FITとMTTFは設計段階の予測値にとどまらず、生産・市場フェーズでの品質モニタリングにも活用できる強力な指標です。

市場データからFIT・MTTFを算出するフィールドデータ分析

製品が市場に出回った後、フィールドでの実際の故障データを収集・分析することで、設計時の予測FIT値と実測値を比較することができます。

フィールドFITの計算式は「実際の故障件数 × 10⁹ ÷ 累積稼働時間(総部品数 × 稼働時間)」であり、この値が設計目標値を大幅に超えている場合は設計見直しや部品変更の検討が必要になります。

フィールドデータに基づくFIT値は最も信頼性の高いデータであり、次世代製品の設計指針として非常に価値があります。

FIT・MTTF改善のための設計アプローチ

FIT値を低減(MTTFを向上)するための主な設計アプローチは以下の通りです。

高信頼性部品への置き換えや部品のディレーティング(定格以下での使用)は最も基本的なアプローチです。

熱設計の改善によって動作温度を下げることも、アレニウス則に基づいて指数関数的にFIT値を低減する効果があります。

また、冗長設計(並列接続・バックアップシステム)の導入によって、システム全体のMTTFを大きく向上させることができます。

FITとMTTFを活用した保証期間設計の考え方

製品の保証期間を設定する際、FITとMTTFのデータは重要な根拠となります。

保証期間中の期待故障率と返品率を推定し、保証コストを織り込んだ製品価格設定や保証条件の設計に活用されます。

保証期間中の期待故障率推定の例:

部品のFIT = 200、販売台数 = 100,000台、保証期間 = 3年(26,280時間)の場合

保証期間内の期待故障件数 = 200 × 100,000 × 26,280 ÷ 10⁹ = 525.6件

期待故障率 = 525.6 ÷ 100,000 ≒ 0.53%

保証期間と期待故障率の定量的な把握は、アフターサービス体制の構築やリコールリスクの事前評価に欠かせない情報となります。

まとめ

本記事では、MTTFとFITの関係について、FITの定義から始め、換算計算式・電子部品業界での活用実態・品質改善アプローチまで詳しく解説しました。

MTTFとFITは「MTTF(時間)= 10⁹ ÷ FIT値」という換算式で相互に変換できる密接な関係にあり、どちらも電子部品・半導体の信頼性評価において不可欠な指標です。

FIT値を使ったシステムの期待故障件数の推定・フィールドデータとの比較・保証期間設計など、実務での幅広い活用方法も本記事で確認いただけたかと思います。

信頼性工学の現場でMTTFとFITを正しく活用し、高品質な製品・システムの設計と評価に役立ててください。