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土質力学の土圧とは?主働土圧と受働土圧の公式も!(クーロンの土圧公式:ランキンの土圧論など)

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土木や建築の構造物を設計するとき、避けて通れないのが土圧という考え方です。

擁壁や地下構造物、山留め壁など、土と接する構造物を安全に設計するためには、土がどのくらいの力で構造物を押すのか、あるいは構造物からどのくらいの反力を受けるのかを正しく評価する必要があります。

そこで登場するのが、今回のテーマである土質力学の土圧という概念です。

本記事のタイトルにもある通り、土質力学の土圧とは何か、主働土圧と受働土圧の公式はどうなっているのか、そしてクーロンの土圧公式やランキンの土圧論といった代表的な理論について、できるだけわかりやすく整理していきます。

専門用語が多く登場する分野ですが、ひとつひとつの意味を丁寧に押さえていけば、決して難しいものではありません。

これから土質力学を学び始める学生の方はもちろん、実務で擁壁設計や仮設土留めの計算に携わる方にも役立つ内容を目指しました。

それでは早速、土圧の基本と公式について見ていきましょう。

土質力学の土圧とは、主働土圧と受働土圧の基本的な考え方

それではまず、土質力学の土圧とは何か、そして主働土圧と受働土圧がどのようなものかについて結論から解説していきます。

結論として、土圧とは土がそれに接する壁や構造物に及ぼす水平方向の圧力のことです。

この土圧は、壁の動き方によって大きく三つの状態に分けられます。

壁が動かない状態で発生する土圧を静止土圧、壁が土から離れる方向に動くときに発生する最小の土圧を主働土圧、壁が土を押し込む方向に動くときに発生する最大の土圧を受働土圧と呼びます。

擁壁の設計においては、この主働土圧と受働土圧の大きさを正しく求めることが安全性の確認に直結します。

土圧の基本的な定義

土圧は、土のせん断強度と壁の変位の関係によって決まる力です。

壁がまったく動かない場合、土は自然な状態のまま静止しており、このときの圧力を静止土圧と呼びます。

一方で、壁が土から離れる方向にわずかでも変位すると、土は自らのせん断強度を発揮しながら崩れようとし、圧力は徐々に減少していきます。

最終的に土がすべり破壊を起こす限界の状態に達したときの最小圧力が主働土圧です。

逆に壁が土を押し込む方向に変位すると、土は圧縮されながら抵抗力を増していきます。

この抵抗力が最大に達したときの圧力が受働土圧となります。

主働土圧の公式

主働土圧は、一般的に次のような式で表されます。

主働土圧 Pa イコール 二分の一 かける 単位体積重量 γ かける 高さ H の二乗 かける 主働土圧係数 Ka

粘着力を考慮する場合は Pa イコール γH かける Ka マイナス 二 かける 粘着力 c かける ルートKa となります。

ここで登場する主働土圧係数Kaは、土の内部摩擦角φを用いて表される係数です。

この係数が小さいほど、壁に作用する土圧は小さくなります。

砂質土のように内部摩擦角が大きい土ほど、主働土圧係数は小さくなる傾向があります。

受働土圧の公式

続いて受働土圧の公式を確認していきます。

受働土圧 Pp イコール 二分の一 かける 単位体積重量 γ かける 高さ H の二乗 かける 受働土圧係数 Kp

粘着力を考慮する場合は Pp イコール γH かける Kp プラス 二 かける 粘着力 c かける ルートKp となります。

受働土圧係数Kpは主働土圧係数Kaの逆数の関係に近い形で表され、一般に主働土圧係数よりもかなり大きな値になります。

そのため受働土圧は主働土圧に比べて非常に大きな力になる点に注意が必要です。

主働土圧と受働土圧の大小関係を理解しておくことは、擁壁の安定計算を行う上で欠かせないポイントです。

土圧が発生するメカニズムと静止土圧の役割

続いては、土圧が発生するメカニズムと静止土圧の役割について確認していきます。

土圧を理解するうえで欠かせないのが、静止土圧という基準の状態です。

壁の変位がゼロの状態、つまり自然堆積したままの地盤に相当する状態で生じる土圧を静止土圧と呼びます。

静止土圧係数の考え方

静止土圧係数K0は、地盤の水平方向の応力と鉛直方向の応力の比で表されます。

代表的な近似式としてヤーキーの式があり、K0 イコール 一 マイナス サインφ という形で表されることが知られています。

正規圧密粘土や締固めが十分でない砂質土などでは、この式が実務でもよく使われます。

過圧密粘土の場合はK0が一を超えることもあり、単純な式だけでは表現しきれない場合がある点も覚えておきたいところです。

土のせん断強度との関係

土圧の大きさは、土のせん断強度と密接に関係しています。

せん断強度が大きい土ほど、主働状態に至るまでに大きな変位を必要とし、結果として主働土圧係数は小さくなります。

反対に受働状態では、せん断強度が大きい土ほど大きな抵抗力を発揮するため、受働土圧係数は大きくなります。

このように内部摩擦角と粘着力という土の強度パラメータが、そのまま土圧の大きさを左右するのです。

土圧が働く代表的な場面

実務において土圧が問題になる場面はいくつかあります。

代表的なものとしては、擁壁の背面に作用する土圧、山留め壁や矢板壁に作用する掘削時の土圧、そして地下構造物の側壁に作用する土圧などが挙げられます。

擁壁の場合は主に主働土圧が設計上のポイントになりますが、根入れ部分の抵抗力を確認する際には受働土圧の考え方が使われます。

掘削工事における山留め壁の設計でも、掘削側の受働土圧と背面側の主働土圧のバランスが安定性を左右します。

状態 壁の動き 土圧の大きさ 代表的な発生場面
静止土圧 変位なし 中間的 自然地盤、拘束された壁
主働土圧 土から離れる方向 最小 擁壁の背面、掘削背面
受働土圧 土を押し込む方向 最大 擁壁の根入れ部、山留め壁の掘削側

クーロンの土圧公式について詳しく解説

続いてはクーロンの土圧公式について詳しく確認していきます。

クーロンの土圧論は、フランスの物理学者クーロンによって提唱された理論で、土のくさび状のすべり破壊を仮定して力のつり合いから土圧を求める方法です。

壁面の摩擦や壁の傾き、背面地盤の傾斜まで考慮できる汎用性の高さが、クーロン土圧論の大きな特徴といえます。

クーロンの主働土圧公式

クーロンの主働土圧係数は、壁面摩擦角δ、壁の傾斜角α、背面地盤の傾斜角βを含んだやや複雑な式で表されます。

Ka イコール コサイン二乗(φ マイナス α)割る コサイン二乗α かけるコサイン(δ プラス α)かける 括弧の中身の二乗

括弧の中身は、一 プラス ルート(サイン(φ プラス δ)かけるサイン(φ マイナス β)割るコサイン(δ プラス α)かけるコサイン(β マイナス α))です。

式はやや複雑に見えますが、要するに壁面摩擦や地盤の傾斜条件を折り込んで、より現実に近いすべり面を仮定している点がポイントです。

壁面摩擦角δをゼロ、壁の傾斜角αをゼロ、背面地盤の傾斜角βをゼロとすると、後述するランキンの式と一致することも知られています。

クーロンの受働土圧公式

クーロンの受働土圧係数についても、同様に壁面摩擦角や傾斜角を考慮した式が用いられます。

Kp イコール コサイン二乗(φ プラス α)割る コサイン二乗α かけるコサイン(δ マイナス α)かける 括弧の中身の二乗

括弧の中身は、一 マイナス ルート(サイン(φ プラス δ)かけるサイン(φ プラス β)割るコサイン(δ マイナス α)かけるコサイン(β マイナス α))です。

受働土圧の場合、壁面摩擦の扱いによって計算結果が大きく変わることがあるため注意が必要です。

特に壁面摩擦角を大きく見込みすぎると、受働土圧を過大評価してしまう恐れがあるといわれています。

クーロン土圧論の前提条件

クーロン土圧論には、いくつかの前提条件があります。

すべり面は平面であると仮定していること、土は均質で等方性を持つこと、壁と土の間に摩擦力が働くことなどが代表的な前提です。

この平面すべり面の仮定は、特に受働土圧を求める際に実際の曲線状のすべり面との誤差が大きくなりやすいという指摘もあります。

主働土圧に関してはクーロン土圧論の精度は比較的高いとされている一方、受働土圧については他の理論と併用して検討されることも少なくありません。

ランキンの土圧論について詳しく解説

続いてはランキンの土圧論について詳しく確認していきます。

ランキンの土圧論は、イギリスの物理学者ランキンによって提唱された理論で、半無限の地盤内における応力状態から土圧を導き出す方法です。

クーロン土圧論がくさびの力のつり合いから出発するのに対し、ランキン土圧論はモール円を用いた応力解析から土圧係数を導くという違いがあります。

ランキン土圧論の基本仮定

ランキン土圧論では、壁面が鉛直であること、壁面と土の間に摩擦がないこと、背面地盤の表面が水平であることなどが基本的な仮定として置かれます。

この仮定のシンプルさゆえに、計算が簡単で理解しやすいという利点があります。

その反面、実際の擁壁のように壁面摩擦が無視できないケースでは、やや実情と離れた結果になることもある点は理解しておく必要があるでしょう。

ランキンの主働土圧公式

ランキンの主働土圧係数は、内部摩擦角φのみを用いたシンプルな式で表されます。

Ka イコール タンジェント二乗(四十五度 マイナス φ割る二)イコール(一 マイナス サインφ)割る(一 プラス サインφ)

このKaを用いれば、砂質土のように粘着力を無視できる地盤の主働土圧を比較的簡単に求めることができます。

粘着力を持つ土の場合は、先ほど紹介した粘着力を含む式を使って補正する必要があります。

ランキンの受働土圧公式

ランキンの受働土圧係数も、同じく内部摩擦角φのみを用いて表されます。

Kp イコール タンジェント二乗(四十五度 プラス φ割る二)イコール(一 プラス サインφ)割る(一 マイナス サインφ)

主働土圧係数Kaと受働土圧係数Kpは、実はKp イコール 一割るKaという逆数の関係になっていることが特徴です。

この関係性を知っておくと、計算のチェックにも役立つでしょう。

クーロンとランキン、それぞれの違いと使い分けのポイント

続いてはクーロンの土圧論とランキンの土圧論の違い、そして実務での使い分けについて確認していきます。

どちらも主働土圧と受働土圧を求めるための理論ですが、前提条件や適用範囲に違いがあります。

適用条件の違い

ランキン土圧論は壁面摩擦を考慮しないシンプルな理論であるのに対し、クーロン土圧論は壁面摩擦や壁の傾斜、背面地盤の傾斜まで考慮できる理論です。

そのため、傾斜した擁壁や複雑な背面地形を持つ現場では、クーロン土圧論の方が実情に近い結果を得やすいといえます。

一方で、鉛直な壁面かつ水平な地盤という単純な条件であれば、ランキン土圧論でも十分な精度が得られるでしょう。

計算精度の違い

主働土圧については、クーロン土圧論とランキン土圧論の結果が比較的近い値になることが多いとされています。

これに対して受働土圧では、壁面摩擦の影響が大きく出やすいため、両者の結果に差が生じやすい傾向があります。

受働土圧を精度良く評価したい場合には、対数らせん形のすべり面を仮定する理論など、より詳細な検討が必要になることもあります。

実務での使い分け

実務上は、計算のしやすさからランキン土圧論が基本設計や概算検討に使われることが多いです。

より精密な検討や壁面摩擦の影響を無視できない条件では、クーロン土圧論が用いられる傾向があります。

いずれの理論を使う場合でも、地盤の内部摩擦角や粘着力といった強度定数を適切に設定することが、計算結果の信頼性を左右する重要なポイントです。

比較項目 ランキン土圧論 クーロン土圧論
壁面摩擦 考慮しない 考慮できる
壁の傾斜 鉛直のみ 傾斜も考慮可能
背面地盤の形状 水平のみ 傾斜地盤にも対応
計算の複雑さ 比較的簡単 やや複雑
主働土圧の精度 良好 良好
受働土圧の精度 過大評価しやすい 条件によって誤差が出やすい

土圧の計算例と設計への応用

続いては、実際の数値を使った土圧の計算例と、設計への応用について確認していきます。

数式だけでは実感がわきにくい部分もあるため、具体的な数値を当てはめて考えてみましょう。

主働土圧の計算例

ここでは、単位体積重量γを十八キロニュートン毎立方メートル、内部摩擦角φを三十度、壁の高さHを五メートルとした砂質土の主働土圧を考えてみます。

Ka イコール(一 マイナス サイン三十度)割る(一 プラス サイン三十度)イコール 約 〇点三三三

Pa イコール 二分の一 かける 十八 かける 五の二乗 かける 〇点三三三 イコール 約 七十五キロニュートン毎メートル

この結果は、壁一メートルあたりに作用する主働土圧の合力を表しています。

実際の設計では、この力の作用位置や方向まで踏まえたうえで、擁壁の転倒や滑動に対する安全性を確認していきます。

受働土圧の計算例

同じ土質条件で受働土圧係数Kpを計算すると、次のようになります。

Kp イコール(一 プラス サイン三十度)割る(一 マイナス サイン三十度)イコール 三

Pp イコール 二分の一 かける 十八 かける 五の二乗 かける 三 イコール 六百七十五キロニュートン毎メートル

先ほどの主働土圧と比べると、受働土圧は実に九倍近い大きさになっていることがわかります。

同じ地盤条件でも、壁の動く方向によって作用する力の大きさがこれほど違う

擁壁設計への応用

擁壁の設計では、背面に作用する主働土圧によって転倒モーメントや滑動力を算定し、これに対する抵抗モーメントや摩擦抵抗力が上回るかどうかを確認します。

根入れ部分については、前面地盤の受働土圧が抵抗力として働くため、根入れ深さの設定にも土圧の考え方が反映されます。

地下水位が高い現場では、水圧の影響も加味した設計が必要になるため、単純な土圧公式だけでは不十分な場合がある点も覚えておきたいところです。

土質力学の土圧とは?主働土圧と受働土圧の公式も!という問いに答えるならば、土圧は壁の変位方向によって主働土圧と受働土圧に分かれ、クーロンの土圧公式やランキンの土圧論といった理論を用いて計算されるということが結論になります。

設計の現場では、条件に応じてどちらの理論を使うべきかを見極めることが重要です。

まとめ

ここまで、土質力学における土圧の基本的な考え方から、主働土圧と受働土圧の公式、そしてクーロンの土圧公式とランキンの土圧論の違いまで解説してきました。

土圧は、壁の変位方向によって静止土圧、主働土圧、受働土圧という三つの状態に分けられ、それぞれ大きさが大きく異なります。

主働土圧は壁が土から離れる方向に動くときの最小圧力、受働土圧は壁が土を押し込む方向に動くときの最大圧力であり、両者の差はときに数倍から十倍近くにもなります。

ランキンの土圧論はシンプルで理解しやすい反面、壁面摩擦を考慮しないという制約があり、クーロンの土圧論は壁面摩擦や地盤の傾斜まで考慮できる分、計算がやや複雑になるという特徴があります。

実務では、現場の条件や求める精度に応じて、これらの理論を使い分けることが求められます。

土質力学の土圧という分野は、公式を丸暗記するだけでなく、なぜそのような式になるのかという背景を理解することで、より応用の利く知識になるはずです。

今回の内容が、土圧について学ぶ皆さまの理解の一助になれば幸いです。