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送り速度の単位は?換算・変換も(mm/minやmm/revやipm等)読み方や一覧は?

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機械加工や切削加工を行う際に欠かせない概念のひとつが「送り速度」です。

送り速度とは、工具や工作物が単位時間あたりに移動する速さのことを指し、加工精度や工具寿命、切削効率に直結する非常に重要なパラメータです。

しかし、送り速度にはさまざまな単位が存在しており、mm/min・mm/rev・ipm・iprなど、場面や機械の種類によって使い分けられています。

「それぞれの単位はどんな意味を持つのか」「どうやって換算・変換するのか」「読み方はどうなるのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、送り速度の単位は?換算・変換も(mm/minやmm/revやipm等)読み方や一覧は?というテーマに沿って、送り速度に関する単位の基礎知識から換算方法、実践的な一覧まで丁寧に解説していきます。

送り速度の単位とは?主な種類と読み方まとめ

それではまず、送り速度の単位の種類と読み方について解説していきます。

送り速度を表す単位は、大きく分けると「時間基準の単位」と「回転基準の単位」の2種類に分類できます。

加工現場やNCプログラムでよく目にする単位を以下にまとめます。

単位記号 読み方 意味 主な用途
mm/min ミリメートル毎分 1分間に工具が進む距離(mm) フライス・マシニング等
mm/rev ミリメートル毎回転 主軸1回転あたりに工具が進む距離(mm) 旋盤・ボーリング等
mm/tooth ミリメートル毎刃 1刃あたりに工具が進む距離(mm) フライス加工
ipm インチ毎分 1分間に工具が進む距離(インチ) インチ系機械全般
ipr インチ毎回転 主軸1回転あたりに工具が進む距離(インチ) インチ系旋盤等
in/tooth インチ毎刃 1刃あたりに工具が進む距離(インチ) インチ系フライス加工

mm/min(ミリメートル毎分)は、マシニングセンタやNC旋盤のプログラムで最も頻繁に使用される単位です。

一方、mm/rev(ミリメートル毎回転)は、主軸の回転に対して送りを指定する際に用いられ、旋盤加工などでよく使われます。

また、mm/tooth(ミリメートル毎刃)は、フライス工具のような多刃工具において、1刃ごとの切削負荷を管理するために使われる単位です。

ipmはインチ系の機械で使われる単位であり、アメリカ製の工作機械や工具カタログでよく目にします。

送り速度の単位は「mm/min・mm/rev・mm/tooth」のメートル系と「ipm・ipr・in/tooth」のインチ系の2系統が存在します。

どちらの系統を使うかは、使用する工作機械や工具カタログの仕様に依存するため、作業前に必ず確認することが重要です。

送り速度の単位の換算・変換方法をわかりやすく解説

続いては、送り速度の単位換算・変換の方法を確認していきます。

単位の違いを正しく理解し、適切に換算することは、加工ミスや工具破損を防ぐためにも非常に大切です。

mm/minとmm/revの換算

mm/minとmm/revの関係は、主軸回転数(rpm)を介して換算することができます。

この換算は旋盤加工やドリル加工において特によく使われる計算です。

換算式

mm/min = mm/rev × 主軸回転数(rpm)

mm/rev = mm/min ÷ 主軸回転数(rpm)

例)mm/rev = 0.2、rpm = 1000 の場合

mm/min = 0.2 × 1000 = 200 mm/min

このように、mm/revに主軸回転数を掛けるだけでmm/minに換算できます。

逆に、mm/minをmm/revに変換したい場合は、主軸回転数で割ればよいのです。

mm/minとipm(インチ毎分)の換算

メートル系とインチ系の換算には、1インチ = 25.4mmという関係を使います。

換算式

ipm → mm/min:mm/min = ipm × 25.4

mm/min → ipm:ipm = mm/min ÷ 25.4

例)ipm = 10 の場合

mm/min = 10 × 25.4 = 254 mm/min

インチ系の工具カタログを参照する機会がある場合、この換算は日常的に行うことになるでしょう。

25.4という数字を覚えておくと、現場でもすぐに計算できて便利です。

mm/revとmm/toothの換算

フライス加工では、mm/revとmm/toothの関係も重要です。

この換算には工具の刃数(z)が必要になります。

換算式

mm/tooth → mm/rev:mm/rev = mm/tooth × 刃数(z)

mm/rev → mm/tooth:mm/tooth = mm/rev ÷ 刃数(z)

例)mm/tooth = 0.05、刃数 = 4 の場合

mm/rev = 0.05 × 4 = 0.2 mm/rev

mm/toothは、各刃への切削負荷を均等に管理するために非常に有効な概念です。

工具の寿命延長や加工品質の安定化を図るうえで、mm/toothの考え方は欠かせないといえるでしょう。

送り速度に関連する重要な用語と計算式の一覧

続いては、送り速度と深く関連する重要な用語や計算式について確認していきます。

送り速度は単独で決まるものではなく、切削速度・主軸回転数・切り込み量などと密接に関係しています。

切削速度(vc)と主軸回転数(n)の関係

切削速度(vc)とは、工具の刃先が工作物に対して相対的に動く速さのことで、単位は通常m/min(メートル毎分)で表されます。

切削速度と主軸回転数の関係は以下の通りです。

主軸回転数の計算式

n(rpm)= 1000 × vc(m/min)÷(π × D(mm))

ここで D は工具の直径(mm)を表します。

例)vc = 100 m/min、D = 10mm の場合

n = 1000 × 100 ÷(3.14 × 10)≒ 3185 rpm

求めた主軸回転数に送り量(mm/rev)を掛け合わせることで、最終的なmm/min単位の送り速度が求められます。

テーブル送り速度(vf)の計算

フライス加工においては、テーブル送り速度(vf)という概念が重要です。

vfはmm/minで表され、以下の式で計算されます。

テーブル送り速度の計算式

vf(mm/min)= fz(mm/tooth)× z(刃数)× n(rpm)

例)fz = 0.05 mm/tooth、z = 4、n = 2000 rpm の場合

vf = 0.05 × 4 × 2000 = 400 mm/min

この計算を理解しておくと、工具カタログに掲載されているfzの推奨値を実際の機械設定に落とし込む際に非常に役立ちます。

送り速度に影響する加工条件の整理

送り速度の設定には、複数の加工条件が影響します。

以下の表に主な影響要素をまとめます。

要素 内容 送り速度への影響
工具材種 超硬・HSS・CBNなど 材種が硬いほど高速送りが可能
被削材 アルミ・鉄・ステンレスなど 硬い材料は送りを下げる必要あり
切り込み量 軸方向・径方向の切り込み 大きいほど送り速度を下げる
工具径 工具の直径 径が小さいほど許容送りが制限される
剛性 機械・ワーク・治具の剛性 低剛性では振動回避のため送りを下げる

送り速度は単独で決めるのではなく、これらの要素を総合的に判断して設定することが加工品質と工具寿命を両立させるポイントです。

送り速度の計算では「切削速度→主軸回転数→送り速度(mm/min)」という流れで順番に求めていくのが基本です。

各パラメータの関係性をしっかり把握しておくことで、加工条件の最適化がスムーズに行えるでしょう。

NCプログラムにおける送り速度の指令方法と注意点

続いては、実際のNCプログラムにおける送り速度の指令方法と、運用上の注意点を確認していきます。

工作機械を動かすNCプログラムでは、送り速度の単位をどのように指定するかがとても重要です。

Gコードによる送り速度の指定方法

CNCフライス盤やマシニングセンタでは、Gコードと呼ばれるプログラム命令によって送り速度の単位を切り替えることができます。

代表的なGコードは以下の通りです。

Gコード 機能 送り速度の単位
G94 毎分送りモード mm/min(またはipm)
G95 毎回転送りモード mm/rev(またはipr)
G20 インチ入力モード インチ系に切り替わる
G21 ミリ入力モード ミリ系に切り替わる

G94が有効なときのFコードはmm/minG95が有効なときのFコードはmm/revとして解釈されます。

G20やG21の切り替えを誤ると、送り速度が想定とまったく異なる値になってしまうため、プログラムの先頭部分で必ず確認するようにしましょう。

インチ系と公差系の混在に注意

グローバルな製造現場では、アメリカ製の工作機械や工具と、日本・ヨーロッパ製の機械が混在するケースがあります。

その場合、ipmとmm/minが混在したプログラムが作成されることもあり、換算ミスによる加工不良のリスクが高まります。

特にCAMソフトウェアから出力されたNCプログラムを使用する際は、出力単位設定を事前に確認することが不可欠です。

NCプログラムにおいてG20(インチ)とG21(ミリ)を誤った状態で送り速度を入力すると、工具や機械に深刻なダメージを与える可能性があります。

プログラムを実行する前には必ず単位モードを確認する習慣をつけましょう。

送り速度のオーバーライド機能

多くのCNC工作機械には、送り速度オーバーライドと呼ばれる機能が搭載されています。

これは、プログラムで指定した送り速度を操作パネルから任意の割合(例えば50%や120%など)で増減できる機能です。

加工開始時の試し切りや、振動が発生した際の緊急対処として非常に便利な機能といえるでしょう。

ただし、オーバーライドをかけたまま本加工を続けると、設計通りの加工条件から外れてしまうため、本加工時は必ず100%に戻すことを忘れないようにしてください。

まとめ

本記事では、送り速度の単位は?換算・変換も(mm/minやmm/revやipm等)読み方や一覧は?というテーマで、送り速度に関する単位の種類・読み方・換算方法・NCプログラムでの扱いについて解説しました。

送り速度の単位には、メートル系のmm/min・mm/rev・mm/toothと、インチ系のipm・ipr・in/toothがあり、用途や機械の種類に応じて使い分けることが求められます。

換算の際は、mm/minとmm/revの変換には主軸回転数を、mm/minとipmの変換には25.4という係数を、mm/revとmm/toothの変換には刃数を使うのがポイントです。

また、NCプログラムではG94(毎分送り)とG95(毎回転送り)、G20(インチ)とG21(ミリ)のGコードが単位を決定するため、プログラム確認は怠らないようにしましょう。

送り速度を正しく理解・設定することは、加工精度の向上・工具寿命の延長・生産効率のアップにつながります。

ぜひ本記事を参考に、現場での加工条件設定に役立てていただければ幸いです。