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真空の透磁率の単位は?換算・変換も(H/mやT・m/AやN/A2等)読み方は?

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物理学や電磁気学を学ぶうえで、真空の透磁率は非常に重要な定数のひとつです。

この定数は、電磁気学の基本法則であるアンペールの法則やビオ=サバールの法則などに深く関係しており、磁場の計算に欠かせない役割を担っています。

しかし、「単位が複数あってどれを使えばいいのかわからない」「H/mとT・m/AとN/A²の違いがよくわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、真空の透磁率の単位は?換算・変換も(H/mやT・m/AやN/A²等)読み方は?というテーマのもと、単位の意味や読み方、換算・変換の方法をわかりやすく解説していきます。

電磁気学の理解を深めたい方、単位の扱いに自信をつけたい方はぜひ最後までご覧ください。

真空の透磁率の単位はH/m・T・m/A・N/A²のいずれも同じ量を表す

それではまず、真空の透磁率の単位について結論から解説していきます。

真空の透磁率(記号:μ₀)は、H/m(ヘンリー毎メートル)・T・m/A(テスラ・メートル毎アンペア)・N/A²(ニュートン毎アンペア二乗)という複数の単位で表されることがあります。

これらは見た目が異なりますが、物理的にはすべて同じ量・同じ次元を持つ単位です。

単位が複数存在するのは、透磁率がさまざまな物理法則の文脈で登場するため、それぞれの法則に合わせた単位表現が使われてきた歴史的な背景があるからでしょう。

真空の透磁率 μ₀ の値と単位まとめ

μ₀ = 4π × 10⁻⁷ H/m = 4π × 10⁻⁷ T・m/A = 4π × 10⁻⁷ N/A²

≒ 1.2566 × 10⁻⁶ H/m(SI単位系における定義値に基づく近似値)

なお、2019年のSI改定以前は μ₀ = 4π × 10⁻⁷ N/A² と厳密に定義されていましたが、改定後は電気素量 e の値が固定されたことにより、μ₀ はわずかな不確かさをもつ測定量となっています。

日常的な計算では 4π × 10⁻⁷ H/m という値を使えば十分に正確です。

H/m(ヘンリー毎メートル)という単位について

H/m の「H」はインダクタンスの単位であるヘンリー(Henry)を指します。

ヘンリーはコイルや電磁誘導の文脈でよく使われる単位で、1H は「1アンペアの電流変化に対して1ボルトの起電力を生じさせるインダクタンス」と定義されています。

透磁率はコイルのインダクタンスを求める際に直接登場するため、H/m という単位が電気工学の分野では特によく用いられます。

読み方は「ヘンリー・パー・メートル」または「ヘンリー毎メートル」です。

T・m/A(テスラ・メートル毎アンペア)という単位について

T・m/A の「T」は磁束密度の単位であるテスラ(Tesla)を表します。

ビオ=サバールの法則やアンペールの法則で磁束密度 B を求める計算式に μ₀ が登場するため、磁場・磁束密度の計算を中心に扱う物理では T・m/A という表現が自然に使われます。

読み方は「テスラ・メートル・パー・アンペア」または「テスラ・メートル毎アンペア」となります。

磁気学の教科書では最も見かけやすい表現のひとつでしょう。

N/A²(ニュートン毎アンペア二乗)という単位について

N/A² の「N」はニュートン(Newton)で力の単位です。

2本の平行電流間に働く力を求める式に μ₀ が含まれており、この文脈では力とアンペア(電流)の関係から N/A² という単位が導かれます。

読み方は「ニュートン・パー・アンペア・スクエア」または「ニュートン毎アンペア二乗」です。

SI改定前は μ₀ の定義式そのものがこの単位で示されていたため、古い教科書や参考書ではこの表記が目立ちます。

真空の透磁率の単位の換算・変換をわかりやすく確認しよう

続いては、H/m・T・m/A・N/A² がなぜ同じ単位といえるのか、換算・変換の仕組みを確認していきます。

それぞれの単位が同一であることを示すには、各単位をSIの基本単位(kg・m・s・A)に分解して比較するのが最もわかりやすい方法です。

H/m をSI基本単位に分解する

まず、ヘンリー(H)をSI基本単位で表してみましょう。

1H = 1 kg・m²・s⁻²・A⁻²

したがって、

1 H/m = 1 kg・m²・s⁻²・A⁻² / m = 1 kg・m・s⁻²・A⁻²

これが H/m をSI基本単位で表した形です。

T・m/A をSI基本単位に分解する

次に、テスラ(T)をSI基本単位で表します。

1T = 1 kg・s⁻²・A⁻¹

したがって、

1 T・m/A = 1 kg・s⁻²・A⁻¹ × m × A⁻¹ = 1 kg・m・s⁻²・A⁻²

H/m と同じ結果になりましたね。

N/A² をSI基本単位に分解する

最後に、ニュートン(N)をSI基本単位で表します。

1N = 1 kg・m・s⁻²

したがって、

1 N/A² = 1 kg・m・s⁻² × A⁻² = 1 kg・m・s⁻²・A⁻²

こちらも同じ結果となりました。

H/m・T・m/A・N/A² はすべて kg・m・s⁻²・A⁻² という共通のSI基本単位を持つため、互いに換算・変換なしにそのまま同じ物理量として使えるということです。

単位の等価関係まとめ

1 H/m = 1 T・m/A = 1 N/A² = 1 kg・m・s⁻²・A⁻²

どの単位を使っても表している物理量は同一です。

真空の透磁率に関連する単位・用語を表で整理しよう

続いては、真空の透磁率に関連する重要な単位・用語を表で整理して確認していきます。

電磁気学では多くの物理量と単位が登場するため、全体像を把握しておくことが大切です。

物理量 記号 SI単位 読み方 備考
真空の透磁率 μ₀ H/m(T・m/A、N/A²) ミュー・ゼロ ≒ 4π × 10⁻⁷ H/m
磁束密度 B T(テスラ) テスラ 1T = 1 kg・s⁻²・A⁻¹
磁場の強さ H A/m(アンペア毎メートル) エイチ B = μ₀H(真空中)
インダクタンス L H(ヘンリー) ヘンリー コイルの自己インダクタンス等
電流 I A(アンペア) アンペア SI基本単位のひとつ
F N(ニュートン) ニュートン 1N = 1 kg・m・s⁻²
真空の誘電率 ε₀ F/m(ファラド毎メートル) イプシロン・ゼロ μ₀と組み合わせて光速 c を定義

透磁率と誘電率・光速の関係

真空の透磁率 μ₀ と真空の誘電率 ε₀ は、光速 c と深い関係を持っています。

c = 1 / √(μ₀ε₀)

c ≒ 2.998 × 10⁸ m/s(真空中の光速)

この式は、電磁波の速さが μ₀ と ε₀ によって決まることを示しており、電磁気学と光学を結びつける重要な関係式です。

マクスウェルがこの関係を導いたことで、光が電磁波の一種であることが明らかになったのは有名な話でしょう。

相対透磁率との違い

「透磁率」には、真空の透磁率 μ₀ のほかに比透磁率(相対透磁率)μr という概念もあります。

比透磁率は、ある物質の透磁率 μ が真空の透磁率 μ₀ の何倍かを示す無次元の値です。

μ = μr × μ₀

真空・空気中では μr = 1(近似)

鉄などの強磁性体では μr が数百〜数万にもなる

単位を持つのは μ(絶対透磁率)で、μr は単位なしの無次元数である点に注意が必要です。

透磁率が登場する主な物理法則

真空の透磁率 μ₀ はさまざまな電磁気の法則に登場します。

代表的なものをまとめると以下のとおりです。

法則・式名 式の概要 μ₀ の役割
アンペールの法則 ∮B・dl = μ₀I 電流が作る磁場の強さを決める係数
ビオ=サバールの法則 dB = (μ₀/4π)(Idl×r̂/r²) 微小電流要素が作る磁束密度の係数
平行電流間の力 F/L = μ₀I₁I₂/(2πd) 電流間の磁気力を決める係数
ソレノイドの磁場 B = μ₀nI コイルの巻数と電流から磁場を求める係数

真空の透磁率の読み方・覚え方と数値をしっかり押さえよう

続いては、真空の透磁率の読み方・覚え方と具体的な数値について確認していきます。

試験や実務でも頻出のポイントなので、しっかりと整理しておきましょう。

μ₀(ミュー・ゼロ)の読み方

真空の透磁率は記号 μ₀ で表され、読み方は「ミュー・ゼロ」またはそのまま「ミュー・ナフト」(英語読みで “mu naught” / “mu zero”)と呼ばれます。

日本語では「真空透磁率」「真空の透磁率」と表現されることが一般的です。

μ はギリシャ文字の「ミュー」で、下付きの「0(ゼロ)」が真空(または自由空間)を表す添字として使われています。

数値と覚え方のポイント

真空の透磁率の数値は以下のとおりです。

μ₀ = 4π × 10⁻⁷ H/m

≒ 1.2566 × 10⁻⁶ H/m

≒ 1.257 × 10⁻⁶ T・m/A

「4π × 10⁻⁷」という形で覚えておくと、計算時に非常に便利です。

π を含む形で定義されているのは、アンペールの法則やビオ=サバールの法則に 1/(4π) や 2π などの因子が自然に現れるためで、これらの計算をすっきりさせるためでしょう。

「ヨンパイ・テン・マイナス・ナナ」と語呂で覚えるのもひとつの手です。

単位の読み方まとめ

ここで、登場した各単位の読み方を整理しておきましょう。

単位表記 日本語読み 英語読み
H/m ヘンリー毎メートル henry per meter
T・m/A テスラ・メートル毎アンペア tesla meter per ampere
N/A² ニュートン毎アンペア二乗 newton per ampere squared
kg・m・s⁻²・A⁻² キログラム・メートル・毎秒二乗・毎アンペア二乗 kilogram meter per second squared per ampere squared

試験や論文で単位を記述する際は、文脈に合わせて適切な表記を選ぶとよいでしょう。

読み方・数値・単位の3点セットで覚えよう

記号:μ₀(ミュー・ゼロ)

数値:4π × 10⁻⁷ ≒ 1.257 × 10⁻⁶

単位:H/m = T・m/A = N/A²(すべて同じ量)

まとめ

本記事では、真空の透磁率の単位は?換算・変換も(H/mやT・m/AやN/A²等)読み方は?というテーマで詳しく解説しました。

最後に要点を整理しておきましょう。

真空の透磁率 μ₀ の単位であるH/m・T・m/A・N/A² はすべて同じ物理量を表しており、SI基本単位に分解するといずれも kg・m・s⁻²・A⁻² となります。

換算・変換の必要はなく、どの単位表記も同一の値を指しているため、文脈や分野に合わせて使い分ければ問題ありません。

数値は 4π × 10⁻⁷ H/m(≒ 1.257 × 10⁻⁶ H/m)、読み方は「ミュー・ゼロ」です。

透磁率はアンペールの法則・ビオ=サバールの法則・ソレノイドの磁場など、電磁気学の根幹をなす多くの法則に登場する定数です。

単位の意味と数値をしっかり押さえることで、電磁気学の理解がより深まるでしょう。

ぜひ本記事を参考に、透磁率への理解をさらに確かなものにしてみてください。