物理や電気工学の学習において、磁束の単位は避けて通れない重要なテーマです。
「Wb(ウェーバー)って何?」「mWbやMxはどう換算するの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
磁束は磁場の強さを面積で積分した量であり、電磁誘導や変圧器の設計など、さまざまな電気・電子技術の根幹を支える概念です。
本記事では、磁束の単位は?換算・変換も(WbやmWbやMxやT・m2等)読み方や一覧は?というテーマのもと、各単位の読み方・意味・換算方法をわかりやすく解説していきます。
SI単位から旧来のCGS単位まで、幅広く整理しているので、学習や実務にぜひお役立てください。
磁束の単位はウェーバー(Wb)が基本!読み方と意味を押さえよう
それではまず、磁束の単位の基本中の基本であるウェーバー(Wb)について解説していきます。
磁束とは何か?基本概念をおさらい
磁束(magnetic flux)とは、ある面を貫く磁場の総量を表す物理量です。
記号には一般的にΦ(ファイ)が使われます。
磁束は「磁束密度(B)× 面積(A)」で求められ、磁束密度が一様で面に垂直な場合は次のように表されます。
Φ = B × A
Φ:磁束[Wb]
B:磁束密度[T(テスラ)]
A:面積[m²]
磁束の概念は、電磁誘導の法則(ファラデーの法則)とも深く結びついており、コイルを貫く磁束が変化すると起電力が生じるという原理は、変圧器やモーターの設計において非常に重要です。
「磁力線の本数」と直感的に捉える方法もありますが、より正確には磁束密度を面積で積分したものと理解しておくとよいでしょう。
Wb(ウェーバー)の読み方と定義
磁束のSI単位はWb(ウェーバー)で、読み方は「ウェーバー」です。
ドイツの物理学者ウィルヘルム・ウェーバーにちなんで命名されました。
WbはSI基本単位を使って次のように定義されます。
1 Wb = 1 V・s(ボルト秒)
また、1 Wb = 1 T・m²(テスラ・平方メートル)
つまり、1秒間に磁束が1Wb変化するとき、1Vの起電力が生じるという関係があります。
この定義はファラデーの電磁誘導の法則と直結しており、単位の意味を理解するうえで非常に重要なポイントです。
磁束の単位Wb(ウェーバー)は、SI単位系における公式単位です。
1 Wb = 1 V・s = 1 T・m² という関係をしっかり覚えておきましょう。
T・m²(テスラ・平方メートル)との関係
磁束密度の単位であるT(テスラ)と面積の単位m²を組み合わせたT・m²も、磁束を表す単位として使われます。
T・m²の読み方は「テスラ・平方メートル」です。
WbとT・m²は完全に等価であり、換算式は以下のとおりです。
1 Wb = 1 T・m²
したがって、1 T・m² = 1 Wb
T・m²という表現は、磁束密度Bと面積Aの積であることを視覚的に示しており、物理的なイメージをつかみやすい表し方といえるでしょう。
実際の計算では、磁束密度が与えられた場合にT・m²の形で磁束を求めることが多く、そのままWbに読み替えられます。
磁束の単位一覧と読み方まとめ(mWb・μWb・Mx等)
続いては、磁束に関するさまざまな単位の一覧と読み方を確認していきます。
Wb以外にも、mWb(ミリウェーバー)・μWb(マイクロウェーバー)・Mx(マクスウェル)など複数の単位が存在します。
SI単位系における磁束の単位(Wb・mWb・μWb)
Wbを基準として、SI接頭辞を組み合わせた単位も頻繁に使用されます。
以下の表に、主要な磁束の単位とその読み方・換算値をまとめました。
| 単位記号 | 読み方 | Wbへの換算 |
|---|---|---|
| kWb | キロウェーバー | 1 kWb = 1,000 Wb |
| Wb | ウェーバー | 1 Wb = 1 Wb(基準) |
| mWb | ミリウェーバー | 1 mWb = 0.001 Wb = 10⁻³ Wb |
| μWb | マイクロウェーバー | 1 μWb = 0.000001 Wb = 10⁻⁶ Wb |
| nWb | ナノウェーバー | 1 nWb = 10⁻⁹ Wb |
実際の電気機器設計においては、mWb(ミリウェーバー)が使われることも多く、単位換算をスムーズに行えると非常に便利です。
CGS単位系のMx(マクスウェル)とは
CGS単位系(センチメートル・グラム・秒単位系)における磁束の単位がMx(マクスウェル)です。
読み方は「マクスウェル」で、電磁気学の基礎を築いたジェームズ・クラーク・マクスウェルにちなんだ名称です。
MxとWbの換算は以下のとおりです。
1 Wb = 10⁸ Mx(マクスウェル)
1 Mx = 10⁻⁸ Wb
現在の国際的な標準ではSI単位系のWbが使われるため、Mxを目にする機会は減っています。
しかし、古い教科書や文献・歴史的な資料を参照する際には、Mxの知識が役立つでしょう。
磁束の単位一覧表(SI・CGS・換算値)
以下の表に、磁束に関連する主要な単位を一括して整理しました。
| 単位記号 | 読み方 | 単位系 | Wbへの換算 |
|---|---|---|---|
| Wb | ウェーバー | SI | 1 Wb(基準) |
| mWb | ミリウェーバー | SI | 10⁻³ Wb |
| μWb | マイクロウェーバー | SI | 10⁻⁶ Wb |
| T・m² | テスラ・平方メートル | SI | 1 T・m² = 1 Wb |
| V・s | ボルト秒 | SI | 1 V・s = 1 Wb |
| Mx | マクスウェル | CGS | 10⁻⁸ Wb |
T・m²やV・sはWbと完全に等価であり、文脈や計算の目的によって使い分けられます。
一方、MxはCGS単位系固有のもので、SI単位への換算には10⁸という大きな係数が必要になる点に注意しましょう。
磁束の単位換算・変換の方法と計算例
続いては、磁束の単位換算・変換の具体的な方法と計算例を確認していきます。
単位の変換はシンプルな掛け算・割り算で対応できるため、換算係数をしっかり押さえておくことが大切です。
WbとmWb・μWbの換算方法
SI接頭辞を用いた換算は、以下のルールをベースにすると迷いにくいでしょう。
Wb → mWb に変換:× 1,000(10³倍)
mWb → Wb に変換:÷ 1,000(10⁻³倍)
Wb → μWb に変換:× 1,000,000(10⁶倍)
μWb → Wb に変換:÷ 1,000,000(10⁻⁶倍)
具体的な計算例を挙げると次のようになります。
例1:0.05 Wb を mWb に換算する
0.05 × 1,000 = 50 mWb
例2:250 mWb を Wb に換算する
250 ÷ 1,000 = 0.25 Wb
例3:3 Wb を μWb に換算する
3 × 1,000,000 = 3,000,000 μWb = 3 × 10⁶ μWb
日常的な電気機器の磁気回路では、mWbオーダーの磁束を扱うことが多いため、Wb ↔ mWbの換算は特に重要です。
WbとMx(マクスウェル)の換算方法
WbとMxの換算では、10⁸という係数が登場します。
これはSI単位とCGS単位の違いに由来するもので、慣れるまで混乱しやすい点です。
Wb → Mx に変換:× 10⁸
Mx → Wb に変換:× 10⁻⁸(÷ 10⁸)
例1:0.002 Wb を Mx に換算する
0.002 × 10⁸ = 2 × 10⁵ = 200,000 Mx
例2:5 × 10⁶ Mx を Wb に換算する
5 × 10⁶ × 10⁻⁸ = 5 × 10⁻² = 0.05 Wb
MxはWbに比べて非常に小さな単位であるため、同じ磁束でもMxで表すと数値が大きくなります。
古い資料を読む際は、単位の確認を忘れずに行うとよいでしょう。
T・m²やV・sとWbの関係を使った計算
T・m²やV・sはWbと等価なため、これらを活用した計算も頻出です。
例1:磁束密度B = 0.5 T、面積A = 0.04 m² のときの磁束Φ
Φ = B × A = 0.5 × 0.04 = 0.02 T・m² = 0.02 Wb
例2:コイルに1Vの起電力が2秒間発生したときの磁束変化
ΔΦ = V × t = 1 × 2 = 2 V・s = 2 Wb
T・m²を用いた計算は、磁束密度から磁束を求める場面で非常によく使われます。
「T・m² = Wb」という等価関係をしっかり頭に入れておくと、電磁気の問題をスムーズに解けるでしょう。
磁束に関連する単位・物理量との違いを整理しよう
続いては、磁束と混同されやすい関連単位や物理量との違いを確認していきます。
特に磁束密度(T)・磁束鎖交数・起磁力などとの区別を明確にしておくことが重要です。
磁束(Wb)と磁束密度(T・テスラ)の違い
磁束と磁束密度は混同されやすいですが、明確に異なる物理量です。
| 物理量 | 記号 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 磁束 | Φ(ファイ) | Wb(ウェーバー) | ある面を貫く磁場の総量 |
| 磁束密度 | B | T(テスラ) | 単位面積あたりの磁束 |
磁束密度Bは「磁束を面積で割ったもの」、つまり B = Φ / A という関係が成り立ちます。
T(テスラ)はWb/m²とも表せ、面積1m²あたりの磁束がWbで表されることを示しています。
磁束Φ(単位:Wb)と磁束密度B(単位:T)は別物です。
Φ = B × A、B = Φ / A の関係を必ず押さえておきましょう。
T = Wb / m² という換算も重要です。
磁束鎖交数(Wb)とインダクタンスとの関係
コイルにおいては、磁束鎖交数(Ψ:プサイ)という量も重要な概念です。
磁束鎖交数はコイルの巻き数Nと磁束Φの積で表され、単位はWbになります。
Ψ = N × Φ
Ψ:磁束鎖交数[Wb]
N:巻き数(無次元)
Φ:磁束[Wb]
また、インダクタンスL(単位:H・ヘンリー)とは、電流Iに対する磁束鎖交数の比率として定義されます。
L = Ψ / I = N × Φ / I
1 H = 1 Wb / A(ウェーバー毎アンペア)
この関係から、H(ヘンリー)はWb/Aと等価であることがわかります。
磁束の単位Wbがインダクタンスの定義にも登場するという点は、電気回路の学習においても非常に重要なポイントです。
起磁力・磁気抵抗との関係も把握しよう
磁気回路においては、磁束Φと起磁力F(単位:A・アンペア)、磁気抵抗Rm(単位:A/Wb)の間に次の関係が成り立ちます。
Φ = F / Rm
Φ:磁束[Wb]
F:起磁力[A(アンペア)またはAt(アンペアターン)]
Rm:磁気抵抗[A/Wb またはH⁻¹]
これは電気回路におけるオームの法則(I = V / R)と対応した「磁気オームの法則」とも呼ばれます。
磁束Wbが、磁気回路全体の設計において中心的な役割を担っていることがわかるでしょう。
起磁力の単位At(アンペアターン)は巻き数と電流の積であり、Nターンのコイルに電流Iを流すときの起磁力は N × I で計算されます。
まとめ
本記事では、磁束の単位は?換算・変換も(WbやmWbやMxやT・m2等)読み方や一覧は?というテーマで、磁束に関するさまざまな単位と換算方法を解説しました。
磁束の基本単位はWb(ウェーバー)であり、1 Wb = 1 V・s = 1 T・m² という等価関係が成り立ちます。
mWbやμWbはWbにSI接頭辞を付けたもので、Wb ↔ mWbの換算では1,000倍・1/1,000倍の関係を使います。
CGS単位系のMx(マクスウェル)はWbと1 Wb = 10⁸ Mx で換算できますが、現在はSI単位が主流となっています。
また、磁束Φと磁束密度B(単位:T)は別物であり、B = Φ / A の関係で結ばれています。
磁束鎖交数やインダクタンス、磁気回路との関係も理解しておくことで、電気工学の学習がより深まるでしょう。
単位の意味と換算をしっかりマスターして、電磁気学や電気回路の理解をさらに深めていただければ幸いです。