水質管理や環境分析の現場で頻繁に登場する指標のひとつが、COD(化学的酸素要求量)です。
CODは河川・湖沼・海域などの水質汚濁を評価するうえで欠かせない測定項目であり、工場排水や下水処理の管理においても広く活用されています。
しかし「CODの単位って何?」「mg/LとppmやO2量はどう違うの?」「水質基準との関係は?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、CODの単位・読み方・換算・変換方法をはじめ、水質基準との関係や代表的な数値の一覧まで、わかりやすく解説していきます。
CODの単位はmg/L(またはppm)で、O2量として表現される
それではまず、CODの単位と基本的な読み方・意味について解説していきます。
CODの単位「mg/L」とは
CODの単位として最も広く使われるのが、mg/L(ミリグラム・パー・リットル)です。
これは「1リットルの水の中に何ミリグラムの物質が含まれているか」を示す濃度の単位であり、水質分析全般で標準的に用いられています。
CODの文脈では、「水中の有機物などを酸化分解するために必要な酸素の量(mg)を、水1Lあたりで表したもの」がその意味するところです。
つまり、CODの値が高いほど水中の有機物が多く、水質が汚濁していると判断できます。
CODにおけるppmとの関係
ppm(ピーピーエム)は「parts per million(百万分の一)」の略で、こちらもCODの単位として使われることがあります。
水溶液において、1ppm=1mg/Lと扱うことができるため、実用上はほぼ同じ意味として使用されます。
ただし厳密には、ppmは質量比(mg/kg)を表す単位であり、純水に近い希薄水溶液(密度≒1 g/mL)でのみ1mg/L≒1ppmが成立します。
現在の国際的な水質分析ではmg/Lが主流であり、日本の公定法や環境省の水質基準もmg/Lで記載されています。
「O2量として表現」の意味
CODの正式名称は「Chemical Oxygen Demand(化学的酸素要求量)」であり、その値は酸素(O₂)の消費量に換算して表現されます。
具体的には、水中の有機物等を過マンガン酸カリウム(KMnO₄)や二クロム酸カリウム(K₂Cr₂O₇)などの酸化剤で酸化する際に消費される酸化剤の量を、酸素(O₂)量に換算して求めます。
そのため「COD値=mg O₂/L」と記載されることもあり、これは「1Lの水を処理するために必要な酸素量がmgで何グラム相当か」を意味しています。
CODの単位まとめ:mg/L(=ppm、希薄水溶液近似)で表し、その数値は水中有機物を酸化するのに必要な酸素(O₂)量を示します。単位の正確な表記は「mg O₂/L」です。
CODの換算・変換方法を理解しよう
続いては、CODに関連する換算・変換の方法を確認していきます。
mg/LとppmとO2量の換算関係
先述のとおり、水質分析における実用的な換算は以下のようになります。
1 mg/L ≒ 1 ppm(希薄水溶液の場合)
1 mg/L = 1 mg O₂/L(CODの文脈ではO₂換算)
1 g/m³ = 1 mg/L(体積単位の換算)
また、濃度をより大きな単位に変換する場合は以下の換算が役立ちます。
| 単位 | 換算値(mg/Lを基準) | 備考 |
|---|---|---|
| 1 mg/L | 1 | 基準単位 |
| 1 ppm | ≒ 1 mg/L | 希薄水溶液で近似成立 |
| 1 g/L | 1000 mg/L | 高濃度排水で使用 |
| 1 g/m³ | 1 mg/L | 環境分野でも使用 |
| 1 μg/L(ppb) | 0.001 mg/L | 微量汚染物質に使用 |
BODとの換算・比較
CODと混同されやすい指標としてBOD(生物化学的酸素要求量)があります。
BODは微生物が有機物を分解する際に消費する酸素量を示し、単位はCODと同じmg/Lです。
一般的に、COD≧BODの関係が成り立ちます。これはCODが生物分解されにくい物質も酸化するため、より広範な有機物を測定できるからです。
CODとBODの比(BOD/COD比)は、有機物の生物分解性の目安として用いられ、比が高いほど微生物による分解がしやすいことを示します。
BOD/COD比の目安:
0.5以上 → 生物処理に適している
0.3未満 → 難分解性有機物が多い可能性あり
過マンガン酸カリウム法と二クロム酸カリウム法の違い
CODの測定方法によっても、換算値が異なる場合があります。
日本の公共用水域(河川・湖沼・海域)の環境基準には過マンガン酸カリウム法(CODMn)が採用されており、工業排水や国際的な分析では二クロム酸カリウム法(CODCr)が用いられることが多いです。
CODCrはCODMnよりも酸化力が強く、難分解性有機物もより多く測定できるため、一般的にCODCr≧CODMnとなります。
両者の数値を直接比較する場合は、測定方法を必ず確認することが重要です。
CODの水質基準と代表的な数値一覧
続いては、CODに関する水質基準と代表的な数値を確認していきます。
環境省の環境基準(公共用水域)
日本では、環境省が定める「水質汚濁に係る環境基準」においてCODの基準値が設定されています。
この基準は水域の種類(河川・湖沼・海域)とその類型(AA〜Eなど)によって異なります。
| 水域種別 | 類型 | COD基準値(mg/L) | 主な利用目的 |
|---|---|---|---|
| 湖沼 | AA | 1以下 | 水道1級・自然環境保全 |
| 湖沼 | A | 3以下 | 水道2・3級・水産1種 |
| 湖沼 | B | 5以下 | 水道3級・水産2種 |
| 湖沼 | C | 8以下 | 水産3種・工業用水 |
| 海域 | A | 2以下 | 水産1種・水浴 |
| 海域 | B | 3以下 | 水産2種・工業用水 |
| 海域 | C | 8以下 | 環境保全 |
なお、河川についてはCODではなくBODが環境基準の指標として使われているため、注意が必要です。
排水基準におけるCODの値
工場や事業場から公共用水域へ排水する際には、水質汚濁防止法に基づく排水基準が適用されます。
一般的な排水基準では、海域・湖沼に放流する場合のCOD(過マンガン酸カリウム法)の基準値は160 mg/L以下(日間平均120 mg/L以下)とされています。
さらに、都道府県によっては国の基準よりも厳しい上乗せ基準が設けられている場合もあります。
COD排水基準の目安(水質汚濁防止法):
海域・湖沼への放流:160 mg/L以下(日間平均120 mg/L以下)
地域や業種によっては、さらに厳しい基準が適用されます。
実際の水域・排水のCOD値の目安
参考として、さまざまな水域や排水のCOD値の目安を以下にまとめます。
| 対象水域・排水種別 | CODの目安(mg/L) |
|---|---|
| 清澄な自然河川・湖沼 | 1〜3程度 |
| 一般的な湖沼(やや汚染) | 5〜10程度 |
| 下水処理水(2次処理後) | 10〜30程度 |
| 食品工場排水 | 数十〜数千 |
| 生活排水(未処理) | 100〜200程度 |
| 工場排水(高濃度) | 数百〜数万 |
このように、CODの値は水域の種類や汚染の程度によって大きく異なります。
CODの読み方・関連語と測定・管理のポイント
続いては、CODの読み方や関連する重要な語句、実際の測定・管理のポイントを確認していきます。
CODの読み方と略語の意味
CODは英語「Chemical Oxygen Demand」の略語で、日本語では「化学的酸素要求量」と読みます。
英語ではそのまま「シー・オー・ディー」とアルファベット読みするのが一般的であり、日本でも「コッド」と読む場合と「シーオーディー」と読む場合の両方が使われています。
なお、測定方法を区別するために以下の略称が使われることもあります。
| 略称 | 意味 | 主な使用場面 |
|---|---|---|
| CODMn | 過マンガン酸カリウム法によるCOD | 日本の環境基準・湖沼・海域 |
| CODCr | 二クロム酸カリウム法によるCOD | 工業排水・国際標準 |
| BOD | 生物化学的酸素要求量 | 河川の環境基準 |
| TOC | 全有機炭素 | CODの代替指標として活用 |
CODに関連する重要な水質指標・共起語
CODを正しく理解するためには、関連する水質指標についても知っておくことが大切です。
SS(浮遊物質)は水中に浮遊する固形物の量を示し、CODと合わせて評価されることが多い指標です。
DO(溶存酸素)は水中に溶けている酸素の量であり、CODが高い(有機物が多い)水ではDOが低下しやすく、魚類などの生物に悪影響を与えます。
また、T-N(全窒素)・T-P(全リン)は富栄養化の指標として、CODとともに湖沼・海域の水質評価で使われます。
CODの測定と管理における注意点
CODの測定では、採水から測定まで適切な試料保存が求められます。
採水後は速やかに測定するか、硫酸酸性下で冷蔵保存することが推奨されており、保存期間によって値が変動する場合があります。
また、塩化物イオン(Cl⁻)が共存すると測定値に誤差が生じやすいため、海水や高塩濃度排水の測定では特別な前処理が必要です。
測定精度を確保するためにも、JIS規格(JIS K 0102など)や環境省告示の公定法に従った方法を選ぶことが重要でしょう。
COD測定の注意点まとめ:
・採水後は速やかに測定、または硫酸酸性・冷蔵保存
・塩化物イオン共存時は前処理が必要
・測定方法(CODMn・CODCr)の違いに注意
・JISや公定法に準拠した方法を選択
まとめ
今回は「CODの単位は?換算・変換も(mg/LやppmやO2量や水質基準等)読み方や一覧は?」というテーマで解説してきました。
CODの単位はmg/L(ミリグラム・パー・リットル)が基本であり、希薄水溶液ではppmとほぼ同義で使えます。
その値は水中の有機物を酸化するのに必要な酸素(O₂)量を表しており、数値が高いほど水質の汚濁が進んでいることを意味します。
換算の面では、1 mg/L≒1 ppm(希薄水溶液)・1 g/m³=1 mg/Lなどの関係を覚えておくと便利でしょう。
水質基準については、湖沼・海域の環境基準(1〜8 mg/L程度)と排水基準(160 mg/L以下)が主な目安となります。
測定方法(CODMnとCODCr)の違いや関連指標(BOD・TOC・DO・SS)との関係も合わせて理解することで、より正確な水質管理が可能になるでしょう。
この記事が、CODの単位・換算・水質基準に関する疑問の解決に役立てば幸いです。