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水素の密度は?kg/m3やg/cm3の数値と温度・圧力による変化も【液体水素との比較も】

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水素は、宇宙で最も豊富に存在する元素であり、近年では次世代エネルギーとして世界的に注目を集めています。

しかし、水素を実際に利用・貯蔵・輸送するうえで欠かせない基礎知識が、水素の密度です。

密度とは単位体積あたりの質量を表す物性値であり、kg/m³やg/cm³などの単位で表されます。

水素の密度は温度や圧力によって大きく変化するため、気体・液体それぞれの状態でしっかりと把握しておくことが重要です。

本記事では「水素の密度はkg/m³やg/cm³の数値と温度・圧力による変化も【液体水素との比較も】」というテーマのもと、水素の密度に関する基本から応用まで、わかりやすく解説していきます。

水素の密度は非常に小さく、気体状態では約0.0899 kg/m³(標準状態)

それではまず、水素の密度の基本的な数値について解説していきます。

水素(H₂)の密度は、標準状態(0℃・1気圧)において約0.0899 kg/m³、g/cm³に換算すると約0.0000899 g/cm³となります。

これは空気の密度(約1.293 kg/m³)と比較しても約14分の1程度であり、あらゆる気体の中で最も軽い部類に属します。

水素が「最も軽い気体」として知られる所以は、まさにこの圧倒的に小さな密度にあります。

水素(H₂)の標準状態における密度の目安

気体水素(0℃・1気圧)の密度は約0.0899 kg/m³(=0.0000899 g/cm³)です。

空気の密度(約1.293 kg/m³)の約14分の1という非常に小さな値を持ちます。

分子量の観点から見ると、水素分子(H₂)の分子量は約2.016 g/molであり、窒素(28.0)や酸素(32.0)と比べても格段に小さい数値です。

この分子量の小ささが、そのまま密度の小ささに直結しています。

理想気体の状態方程式を用いると、密度は分子量に比例するため、水素の密度は空気のおよそ1/14.4になると計算できます。

理想気体における密度の計算式

ρ = PM / RT

ρ(密度)、P(圧力)、M(分子量)、R(気体定数 8.314 J/mol·K)、T(絶対温度)

例)0℃(273.15 K)・1気圧(101325 Pa)・M=2.016 g/mol の場合

ρ = (101325 × 0.002016) / (8.314 × 273.15) ≒ 0.0899 kg/m³

以上のように、水素の密度は計算によっても裏付けられる非常に小さな値です。

次の章では、この密度が温度や圧力によってどのように変化するのかを詳しく見ていきます。

kg/m³とg/cm³の換算関係を整理しよう

密度の単位は分野や用途によって異なることがあります。

kg/m³とg/cm³の換算は、1 g/cm³ = 1000 kg/m³という関係で成り立っています。

水素の場合、0.0899 kg/m³は0.0000899 g/cm³に相当し、固体・液体の密度(g/cm³単位が多い)と比較するとその小ささが一目瞭然です。

水素の分子量と密度の関係

水素分子(H₂)の分子量は約2.016 g/molです。

気体の密度は分子量に比例するため、分子量が小さいほど密度も小さくなります。

他の一般的な気体と比較すると、水素の分子量は最小クラスであり、これが最軽量の気体である根拠となっています。

他の気体との密度比較

気体の種類 分子量 (g/mol) 密度 (kg/m³)【0℃・1気圧】
水素(H₂) 2.016 0.0899
ヘリウム(He) 4.003 0.1786
窒素(N₂) 28.01 1.251
酸素(O₂) 32.00 1.429
空気(混合気体) 約28.97 1.293
二酸化炭素(CO₂) 44.01 1.977

この表からも、水素の密度が他の気体と比べていかに小さいかが分かります。

ヘリウムと比べても約2分の1の密度であり、水素は気体の中で最も密度が低い物質です。

温度・圧力による水素の密度変化

続いては、温度と圧力が水素の密度に与える影響を確認していきます。

水素は理想気体に近い挙動を示すため、密度は温度と圧力によって大きく変化します。

基本的な傾向として、温度が上がると密度は下がり、圧力が上がると密度は上がります

これはボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式によって説明できる現象です。

温度変化による密度の変動

温度が上昇すると、気体分子の運動エネルギーが増加し、同じ体積内に存在できる分子数が減少します。

その結果、密度は低下します。

逆に温度を下げると密度は上昇し、沸点(約マイナス253℃=20.3 K)以下になると液体水素へと相変化します。

温度 圧力 水素の密度 (kg/m³)
-50℃(223 K) 1気圧 約0.110
0℃(273 K) 1気圧 約0.0899
25℃(298 K) 1気圧 約0.0824
100℃(373 K) 1気圧 約0.0659

温度が高くなるほど密度が減少していることが、数値からも明確に読み取れます。

圧力変化による密度の変動

圧力が増加すると、気体は圧縮されて同じ体積内により多くの分子が詰め込まれるため、密度は上昇します。

たとえば水素を700気圧(70 MPa)に圧縮した場合、密度は標準状態の数十倍に達します。

燃料電池自動車(FCV)の水素タンクでは、700気圧(70 MPa)での圧縮貯蔵が一般的であり、この状態での密度は約39〜40 kg/m³程度とされています。

圧力 温度 水素の密度 (kg/m³)
1気圧(0.1 MPa) 25℃ 約0.0824
35 MPa(約350気圧) 25℃ 約24〜25
70 MPa(約700気圧) 25℃ 約39〜40

高圧になると理想気体からのずれが生じるため、実測値は理想気体の計算値と若干異なります。

圧縮水素の密度を正確に求める際には、実在気体の状態方程式(van der Waals式やREFPROPなどのデータベース)を使用するのが望ましいでしょう。

高圧水素が注目される理由

水素エネルギーの実用化において、高圧貯蔵は非常に重要な技術です。

標準状態では密度が極めて小さい水素も、高圧にすることでエネルギー密度を高められます。

ただし、高圧ガスの安全管理・タンク材料の強度確保という課題も伴うため、技術開発が継続的に進められています。

液体水素の密度とその特徴【気体水素との比較】

続いては、液体水素の密度とその特性を確認していきます。

水素は約マイナス253℃(20.3 K)以下に冷却すると液体になります。

液体水素の密度は約70.8 kg/m³(0.0708 g/cm³)とされており、気体状態(標準状態で0.0899 kg/m³)と比べると約800倍もの密度になります。

これは体積当たりのエネルギー密度を大幅に向上させることができることを意味しています。

液体水素と気体水素の密度比較(重要)

気体水素(0℃・1気圧)の密度は約0.0899 kg/m³です。

液体水素(-253℃・1気圧)の密度は約70.8 kg/m³です。

液体水素は気体水素の約800倍の密度を持ちます。

液体水素の沸点と臨界点

液体水素の沸点は大気圧下で約マイナス252.87℃(20.28 K)です。

また、臨界点は温度約33.19 K(マイナス239.96℃)、圧力約1.315 MPaです。

臨界点を超えた状態は超臨界水素と呼ばれ、気体と液体の中間的な性質を持ちます。

液体水素を扱うには超低温の管理が必要であり、断熱技術や蒸発損失(ボイルオフ)の抑制が大きな技術的課題となっています。

液体水素と他の液体燃料の密度比較

物質 状態 密度 (kg/m³)
液体水素(LH₂) 液体(20 K・1気圧) 約70.8
液体メタン(LNG) 液体(111 K・1気圧) 約422
液体窒素(LN₂) 液体(77 K・1気圧) 約808
ガソリン 液体(常温) 約720〜780
液体(4℃) 1000

液体水素は他の液体と比べても密度が非常に小さく、エネルギー輸送の観点ではタンク体積が大きくなりやすいという側面があります。

ただし、質量当たりのエネルギー密度(重量エネルギー密度)は水素が最も高く、約120 MJ/kgとガソリン(約44 MJ/kg)の約3倍に相当します。

液体水素の貯蔵・輸送における活用

液体水素は、体積当たりの水素量が多いため、大量輸送に適しています。

日本では液化水素運搬船による国際輸送の実証実験が進められており、水素サプライチェーンの構築において液体水素は重要な役割を担っています。

一方で、超低温を維持するための設備コストや蒸発損失への対策が引き続き課題です。

水素の密度が実用上重要な理由と応用場面

続いては、水素の密度が実際の産業や技術においてどのように重要視されているかを確認していきます。

水素の密度は、燃料電池、水素ステーション、ロケット推進剤、工業用途など、さまざまな場面でその設計や安全性に直結します。

密度を正確に把握することは、タンク設計・配管設計・安全評価において不可欠な要素です。

燃料電池自動車(FCV)と水素の密度

燃料電池自動車では、車載水素タンクに高圧圧縮水素(70 MPa)を充填します。

このときの水素密度は約39〜40 kg/m³であり、タンク容量と密度から積載できる水素の質量が決まります。

水素の密度が低いほど、同じ質量の水素を貯めるために大きなタンクが必要になるため、高圧化・液化による密度向上が実用化のカギとなっています。

水素ステーションにおける充填圧力と密度の管理

水素ステーションでは、圧縮機を用いて水素を高圧に圧縮してディスペンサーから車両に充填します。

充填時の温度・圧力による密度変化を正確に管理することが、充填量の精度と安全性確保に直結します。

日本の高圧ガス保安法においても、水素の密度に関する取り扱い基準が設けられています。

ロケット推進剤としての液体水素

液体水素は液体酸素と組み合わせてロケットの推進剤として使用されます。

質量当たりのエネルギー密度が非常に高い一方、体積当たりの密度が低いため、タンクが大型化する傾向があります。

NASAのスペースシャトルやH-IIAロケットでも液体水素が推進剤として採用されており、高比推力(Isp)という性能指標において液体水素燃料は優位性を持ちます。

まとめ

本記事では「水素の密度はkg/m³やg/cm³の数値と温度・圧力による変化も【液体水素との比較も】」というテーマで、水素の密度に関する基礎から応用まで幅広く解説しました。

水素(H₂)の気体密度は標準状態(0℃・1気圧)で約0.0899 kg/m³と非常に小さく、空気の約14分の1という値を持ちます。

温度が上がると密度は低下し、圧力が高くなると密度は増加します。

燃料電池自動車で使われる70 MPa圧縮水素の密度は約39〜40 kg/m³まで上昇します。

液体水素の密度は約70.8 kg/m³であり、気体状態の約800倍の高密度となります。

水素の密度は、エネルギーキャリアとしての実用化を進めるうえで基本中の基本となる物性値です。

今後の水素社会の実現に向けて、密度に関する正確な知識を身につけておくことは、エンジニアや研究者だけでなく、エネルギーに関心を持つすべての人にとって意義深いことでしょう。