銅(Cu)は、電気・電子部品から建築材料まで幅広い分野で使われる代表的な金属材料です。
材料を選定する際や構造設計を行う際には、ヤング率(縦弾性係数)を正確に把握しておくことが非常に重要になります。
本記事では「銅のヤング率は?GPaやkgf/mm2の数値と温度依存性・他金属との比較も解説」というテーマで、銅のヤング率の具体的な数値をはじめ、単位変換の方法、温度による変化、そして他の代表的な金属との比較まで、わかりやすく解説していきます。
銅を扱うエンジニアや材料選定に携わる方にとって、ぜひ参考にしていただける内容です。
銅のヤング率はおよそ110〜130GPa(約11,000〜13,000kgf/mm²)
それではまず、銅のヤング率の基本的な数値について解説していきます。
銅のヤング率は、一般的に約110〜130GPa(ギガパスカル)の範囲で示されることが多い数値です。
代表値としては、純銅(無酸素銅・タフピッチ銅など)においておよそ120〜130GPaが広く用いられています。
kgf/mm²(キログラム重毎平方ミリメートル)の単位に換算すると、1GPaはおよそ101.97kgf/mm²に相当するため、銅のヤング率は約11,000〜13,000kgf/mm²という数値になります。
【単位換算の目安】
1 GPa = 1,000 MPa = 約101.97 kgf/mm²
銅のヤング率(代表値)
約128 GPa = 約128,000 MPa = 約13,050 kgf/mm²
ヤング率とは、材料に引張・圧縮の応力を加えたときに生じるひずみとの比率を示す値で、材料の「かたさ(剛性)」を表す指標です。
値が大きいほど変形しにくく、小さいほど変形しやすい特性を持つことになります。
銅は金属の中では比較的ヤング率が中程度に位置しており、鉄鋼ほど高くはないものの、アルミニウムよりは高い数値を示します。
銅のヤング率の代表値は約128GPa(約13,050kgf/mm²)です。設計や計算に使用する際は、この値を基準とすることが一般的です。
銅のヤング率の温度依存性について
続いては、温度とヤング率の関係を確認していきます。
金属材料全般に言えることですが、温度が上昇するとヤング率は低下する傾向があります。
銅においても同様で、温度が高くなるにつれて原子間の結合力が弱まり、弾性変形に対する抵抗が小さくなるため、ヤング率は徐々に減少していきます。
常温(室温)でのヤング率
一般的に材料データとして記載されているヤング率は、室温(約20〜25℃)における値を指しています。
銅の場合、この条件下でおよそ120〜130GPaという数値が示されることが標準的です。
設計時に特定の温度条件が指定されていない場合は、この室温値を基準として使用することが一般的でしょう。
高温環境でのヤング率の変化
銅を高温環境で使用する場合、ヤング率の低下を考慮することが必要です。
たとえば200℃付近では室温値に比べて数パーセントから10パーセント程度低下し、500℃を超えると室温値の70〜80%程度まで低下するケースもあります。
熱交換器や電気炉用の部材など、高温で使用される銅部品の設計においては、温度依存性を無視することはできません。
低温環境でのヤング率の変化
逆に、低温環境では銅のヤング率は室温より若干高くなる傾向があります。
極低温(液体窒素温度・液体ヘリウム温度など)の領域でも銅は脆性破壊を起こしにくく、延性を保ちながら剛性が高まる特性を持つことが特徴です。
このため、超伝導機器や極低温用途の部材としても銅は重宝されています。
銅の種類(合金・純銅)によるヤング率の違い
続いては、銅の種類による数値の違いについて確認していきます。
一口に「銅」といっても、純銅から各種銅合金まで多くの種類が存在しており、それぞれヤング率が異なります。
材料選定の際は、使用する銅の種類を明確にしたうえでヤング率を確認することが重要です。
純銅(無酸素銅・タフピッチ銅)
純銅の代表として、無酸素銅(OFC)やタフピッチ銅(TPC)があります。
これらのヤング率はおおよそ120〜130GPa程度であり、電気的特性を重視した用途に広く使用されています。
高純度であるため電気伝導率・熱伝導率も高く、電子部品や配線材料として非常に優れた特性を持つ材料です。
黄銅(真鍮)のヤング率
銅と亜鉛の合金である黄銅(真鍮)のヤング率は、組成によって多少異なりますが、おおよそ90〜110GPa程度が一般的な数値です。
純銅よりもヤング率がやや低くなる傾向がありますが、加工性・耐食性・コストのバランスに優れているため、機械部品・バルブ・水道管など幅広い用途で採用されています。
青銅・リン青銅のヤング率
銅とスズを主成分とする青銅(ブロンズ)や、リンを添加したリン青銅のヤング率はおよそ100〜120GPa程度です。
特にリン青銅はばね材として優れた弾性を持ち、コネクタやスイッチのばね接点など精密部品への応用が多い材料です。
弾性限界が高く、ヤング率と組み合わせて優れたばね特性を発揮します。
他の金属と銅のヤング率を比較する
続いては、他の代表的な金属材料と銅のヤング率を比較していきます。
ヤング率を他の金属と比べることで、銅の剛性特性の位置づけがより明確になるでしょう。
主要金属のヤング率一覧
以下の表に、代表的な金属材料のヤング率をまとめました。
| 金属材料 | ヤング率(GPa) | ヤング率(kgf/mm²) |
|---|---|---|
| 鉄(炭素鋼) | 約200〜210 | 約20,400〜21,400 |
| ステンレス鋼 | 約190〜200 | 約19,400〜20,400 |
| 銅(純銅) | 約120〜130 | 約12,200〜13,250 |
| 黄銅(真鍮) | 約90〜110 | 約9,200〜11,200 |
| アルミニウム | 約68〜70 | 約6,900〜7,100 |
| チタン | 約105〜120 | 約10,700〜12,200 |
| マグネシウム | 約44〜45 | 約4,500〜4,600 |
| タングステン | 約400〜410 | 約40,800〜41,800 |
鉄・ステンレスとの比較
鉄(炭素鋼)やステンレス鋼のヤング率は約190〜210GPaであり、銅の約120〜130GPaと比べると鉄系金属は銅のおよそ1.5〜1.6倍の剛性を持ちます。
同じ断面積で力を受けた場合、鉄の方が変形量が少ないため、高剛性が求められる構造部材では鉄鋼材料が選ばれることが多いでしょう。
一方で、銅は電気・熱伝導性や耐食性の面で鉄を大きく上回るため、用途に応じた材料選定が重要です。
アルミニウムとの比較
アルミニウムのヤング率は約68〜70GPaであり、銅の約半分程度の数値となります。
つまり、同じ断面積の場合は銅の方がアルミニウムよりも約1.8倍変形しにくいということになります。
しかし、アルミニウムは銅の約3分の1という低い密度を持つため、比剛性(ヤング率を密度で割った値)で比べると両者の差は小さくなります。
軽量化が重要な航空宇宙分野ではアルミニウムが多用される一方、電気配線や熱交換器では銅が依然として主要な材料として活躍しています。
まとめ
本記事では、「銅のヤング率は?GPaやkgf/mm2の数値と温度依存性・他金属との比較も解説」というテーマで、銅のヤング率に関する基礎知識を幅広く解説してきました。
銅のヤング率の代表値は約120〜130GPa(約12,200〜13,250kgf/mm²)であり、設計・計算の場面では128GPa前後が基準として使われることが多い数値です。
温度が上昇するとヤング率は低下するため、高温環境での使用においては温度依存性を考慮した設計が欠かせません。
また、純銅・黄銅・リン青銅などの種類によってもヤング率は異なるため、使用する銅の種類を明確にしたうえで適切な数値を用いることが重要です。
他の金属と比較すると、銅は鉄よりも低く、アルミニウムよりも高い中程度の剛性を持つ材料です。
電気・熱伝導性、耐食性、加工性など多くの優れた特性と組み合わせて考えることで、銅の材料としての真価を最大限に引き出すことができるでしょう。