技術(非IT系)

クロロベンゼンの沸点は?融点・密度・比重・分子量・引火点も解説【公的機関のリンク付き】

当サイトでは記事内に広告を含みます

化学物質を扱う現場や研究分野において、物質の基本的な物性データは欠かせない情報です。

クロロベンゼン(Chlorobenzene)は、有機溶剤や化学合成の中間体として広く使用されており、その取り扱いには正確な物性値の把握が必要となります。

本記事では、クロロベンゼンの沸点は?融点・密度・比重・分子量・引火点も解説として、各物性データをわかりやすくまとめています。

公的機関のデータも参照しながら、安全かつ正確な情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてみてください。

クロロベンゼンの沸点は約132℃!主要物性データを一覧で確認

それではまず、クロロベンゼンの沸点をはじめとした主要な物性データについて解説していきます。

クロロベンゼンは、ベンゼン環に塩素原子が1つ結合した芳香族ハロゲン化合物です。

無色透明の液体で、特有の甘みを帯びたにおいがあり、水にはほとんど溶けませんが有機溶媒には溶けやすい性質を持ちます。

工業的には農薬・医薬品・染料などの製造において重要な中間体として活用されています。

クロロベンゼンの最重要物性データまとめ

沸点は約132℃(131〜132℃)であり、常温常圧下では液体として存在します。

この沸点の高さは、塩素原子による分子間力の増大が影響しています。

以下の表に、クロロベンゼンの代表的な物性データを一覧でまとめました。

物性項目 備考
沸点 約132℃(131〜132℃) 1気圧条件下
融点 約−45℃ 1気圧条件下
密度 約1.11 g/cm³ 20℃における値
比重 約1.11(水=1) 水より重い液体
分子量 112.56 g/mol C₆H₅Cl
引火点 約29℃ 密閉式試験法
化学式 C₆H₅Cl モノクロロベンゼン
CAS番号 108-90-7 国際登録番号

このように、クロロベンゼンは水よりも重い液体であり、沸点は100℃を超えるため常温では安定した液体として存在します。

また、引火点が約29℃と比較的低いため、火気の取り扱いには十分な注意が必要です。

沸点について

クロロベンゼンの沸点は、約131〜132℃(1気圧条件下)とされています。

ベンゼンの沸点が約80℃であることと比較すると、塩素原子の付加によって分子量が増加し、分子間に働くファンデルワールス力が強まることで沸点が大幅に上昇しています。

この沸点は、クロロベンゼンを溶剤として使用する際の蒸留操作や温度管理において非常に重要な数値です。

参考:ベンゼンとクロロベンゼンの沸点比較

ベンゼン(C₆H₆)の沸点:約80℃

クロロベンゼン(C₆H₅Cl)の沸点:約132℃

塩素原子1つの付加により、沸点が約52℃上昇しています。

融点について

クロロベンゼンの融点は約−45℃です。

常温(約20℃)では十分に液体状態を保っており、一般的な使用環境において固体になる心配はほとんどありません。

ただし、極めて低温の環境下で保管・輸送する場合には、凝固の可能性も念頭に置いておく必要があるでしょう。

分子量について

クロロベンゼンの分子式はC₆H₅Clであり、分子量は約112.56 g/molです。

炭素(C)が12.01×6、水素(H)が1.008×5、塩素(Cl)が35.45×1の合計として算出できます。

クロロベンゼンの分子量計算

C:12.01 × 6 = 72.06

H:1.008 × 5 = 5.04

Cl:35.45 × 1 = 35.45

合計:72.06 + 5.04 + 35.45 = 112.55(≒112.56 g/mol)

分子量は蒸気圧計算や濃度換算においても基準となる重要な数値です。

クロロベンゼンの密度・比重を詳しく解説

続いては、クロロベンゼンの密度と比重について確認していきます。

密度と比重は似た概念ですが、厳密には異なる意味を持ちます。

密度とは単位体積あたりの質量(g/cm³やkg/m³)を表し、比重とは基準物質(液体の場合は水)に対する相対的な重さの比を指します。

密度の値

クロロベンゼンの密度は、20℃において約1.106〜1.11 g/cm³とされています。

これは水の密度(約1.00 g/cm³)よりも高い値であり、クロロベンゼンが水よりも重い液体であることを示しています。

密度は温度によって変化するため、使用する温度条件に合わせたデータを参照することが重要です。

温度 密度(g/cm³)
15℃ 約1.113
20℃ 約1.106〜1.11
25℃ 約1.101

温度が高くなるにつれて密度はわずかに低下する傾向があります。

比重の値

クロロベンゼンの比重は、水を基準(比重=1)とした場合に約1.11です。

これは、クロロベンゼンが水と混合した場合に水層の下に沈むことを意味します。

廃液処理や分液操作においては、この性質をしっかりと把握しておくことが求められるでしょう。

密度と比重の違いと実務での活用

実務の現場では、密度と比重を混同して使われることがありますが、正確には以下のように区別されます。

密度と比重の違い

密度:物質の質量÷体積で求められる値(単位:g/cm³ など)

比重:対象物質の密度÷基準物質の密度(無次元数)

液体の比重では水(4℃、1.00 g/cm³)を基準とすることが一般的です。

クロロベンゼンの場合、密度≒比重(ともに約1.11)となるのは、基準となる水の密度が約1.00 g/cm³であるためです。

配管設計・ポンプ選定・流量計算などの場面でも、密度データは重要な役割を果たします。

クロロベンゼンの引火点と危険性・取り扱い上の注意点

続いては、クロロベンゼンの引火点と関連する危険性について確認していきます。

クロロベンゼンは引火性液体であり、労働安全衛生法や消防法による規制対象物質でもあります。

正確な引火点の把握と適切な安全管理が不可欠です。

引火点の値と意味

クロロベンゼンの引火点は約29℃(密閉式試験法)とされています。

引火点とは、可燃性蒸気が空気と混合して点火源に引火するために必要な最低温度のことです。

29℃という値は夏場の室温に近いため、屋外での夏季作業や温度管理が不十分な環境では特に注意が必要となるでしょう。

クロロベンゼンの引火点は約29℃。

夏場の気温と近い温度帯であるため、屋外での取り扱いや保管には火気厳禁の徹底が求められます。

静電気による着火リスクにも注意が必要です。

消防法における危険物分類

クロロベンゼンは、消防法において第四類危険物(引火性液体)の第二石油類に分類されています。

指定数量は非水溶性液体として1,000リットルとなります。

製造所や貯蔵所での取り扱いには、消防法に基づく申請・届出や安全設備の整備が義務付けられています。

分類項目 内容
消防法分類 第四類危険物・第二石油類
引火点 約29℃
発火点 約593℃
爆発限界(下限) 約1.3 vol%
爆発限界(上限) 約9.6 vol%
指定数量 1,000リットル

健康・環境への影響と保護具の使用

クロロベンゼンは吸入・皮膚接触・経口摂取のいずれによっても健康被害を引き起こす可能性があります。

特に蒸気の吸入による中枢神経系への影響が報告されており、換気の不十分な場所での作業は避けるべきです。

環境面では水生生物への毒性が懸念されており、排水や廃液の管理にも法令に従った対応が求められます。

取り扱い時は、防毒マスク・耐薬品性手袋・保護眼鏡などの適切な保護具を着用することが推奨されます。

クロロベンゼンに関する公的機関の情報とデータの参照先

続いては、クロロベンゼンに関する公的機関のデータ参照先について確認していきます。

物性データや安全性情報を調べる際には、信頼性の高い公的機関の資料を参照することが大切です。

以下に代表的な参照先をご紹介します。

国内の公的機関・データベース

日本国内でクロロベンゼンの物性や安全性情報を調べる際に活用できる主な公的機関は以下の通りです。

機関名 提供情報 URL(参考)
国立環境研究所(NIES) 化学物質データベース(J-CHECK) https://www.nies.go.jp/
製品評価技術基盤機構(NITE) 化学物質総合情報提供システム(CHRIP) https://www.nite.go.jp/
厚生労働省 職場のあんぜんサイト・SDS情報 https://www.mhlw.go.jp/
消防庁 危険物規制に関する情報 https://www.fdma.go.jp/

特にNITEのCHRIPデータベースは、物性値・毒性・法規制情報など幅広い情報を一元的に確認できるため、大変便利なツールです。

海外の公的機関・データベース

海外の機関としては、以下のデータベースが国際的に広く活用されています。

機関名 提供情報 URL(参考)
NIST(米国標準技術研究所) WebBook – 熱力学・物性データ https://webbook.nist.gov/
ECHA(欧州化学品庁) REACH規制・物性・分類情報 https://echa.europa.eu/
PubChem(米国NIH) 構造・物性・安全性情報 https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/

NISTのWebBookでは、クロロベンゼン(CAS番号:108-90-7)を検索することで、沸点・融点・蒸気圧・熱容量など詳細な熱力学データを無料で閲覧できます。

SDSの確認とその重要性

クロロベンゼンを職場で使用する場合、安全データシート(SDS:Safety Data Sheet)の確認は法的義務でもあります。

SDSには物性データに加え、応急措置・保管方法・廃棄方法・輸送情報なども記載されており、安全な取り扱いの基本となる資料です。

メーカーや販売業者から入手できるほか、NITEや厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」からも確認できます。

クロロベンゼンを使用する職場では、SDSの内容を全作業者が理解した上で取り扱うことが労働安全衛生法により求められています。

最新版のSDSを定期的に確認し、常に正確な情報をもとに安全管理を行いましょう。

まとめ

本記事では、クロロベンゼンの沸点は?融点・密度・比重・分子量・引火点も解説として、各物性データと安全性情報を詳しくご紹介しました。

クロロベンゼンは沸点約132℃・融点約−45℃・密度約1.11 g/cm³・分子量約112.56 g/mol・引火点約29℃という特性を持つ有機ハロゲン化合物です。

工業的に広く用いられる一方で、引火性や毒性を有するため、適切な知識と安全管理が不可欠となります。

物性データを正確に把握することは、化学実験・工業プロセス・廃液処理・保管管理のすべての場面において基本中の基本です。

NITEやNISTなどの公的機関のデータベースを積極的に活用し、常に最新かつ信頼性の高い情報に基づいた取り扱いを心がけてください。

本記事がクロロベンゼンの物性理解と安全取り扱いの一助となれば幸いです。