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1-ブタノールの沸点は?融点・密度・比重・分子量・引火点も解説【公的機関のリンク付き】

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化学物質を扱う現場や研究において、物性値の正確な把握は安全管理や品質管理の観点から非常に重要です。

1-ブタノールはアルコール系溶剤の一種として、塗料・樹脂・医薬品など幅広い産業で使用されており、その物性をしっかり理解しておくことが求められます。

本記事では、1-ブタノールの沸点・融点・密度・比重・分子量・引火点といった基本的な物性値を、公的機関のデータをもとに詳しく解説していきます。

取り扱い時の注意点や安全上のポイントも併せて確認できる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

1-ブタノールの沸点は117.7℃|主要物性値まとめ

それではまず、1-ブタノールの主要な物性値について解説していきます。

1-ブタノール(化学式:C₄H₉OH、別名:n-ブタノール、ノルマルブタノール)は、炭素数4の直鎖型第一級アルコールです。

工業用溶剤として広く普及しており、化粧品・食品添加物・樹脂合成など多様な分野で活用されています。

1-ブタノールの主要物性値(まとめ)

沸点(Boiling Point):117.7℃(常圧)

融点(Melting Point):-89.8℃

密度(Density):0.810 g/cm³(20℃)

比重(Specific Gravity):0.810(水=1.000基準)

分子量(Molecular Weight):74.12 g/mol

引火点(Flash Point):29℃(密閉式)

以下の表に、各物性値を見やすく整理しました。

物性項目 数値・単位 測定条件・備考
沸点 117.7℃ 常圧(1 atm)
融点 -89.8℃ 常圧
密度 0.810 g/cm³ 20℃における値
比重 0.810 水=1.000基準
分子量 74.12 g/mol C₄H₁₀O
引火点 29℃ 密閉式タグ法
発火点 343℃ 自然発火温度
蒸気圧 約6 hPa 20℃における値

これらのデータは、国立医薬品食品衛生研究所や産業技術総合研究所などの公的機関が提供するデータベースに基づいています。

詳しくは以下の公的機関の情報もあわせてご参照ください。

国立医薬品食品衛生研究所 化学物質データベース(J-CHECK):https://www.nihs.go.jp/hse/chem-info/chemical-portal.html

製品評価技術基盤機構(NITE)化学物質総合情報提供システム(CHRIP):https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/srhInput

1-ブタノールの沸点・融点|温度特性を詳しく確認

続いては、1-ブタノールの沸点と融点について詳しく確認していきます。

沸点117.7℃の意味と実務への影響

1-ブタノールの沸点は117.7℃(常圧1 atm条件下)です。

沸点とは、液体が気体へと相変化する温度のことを指します。

エタノール(沸点78.4℃)やイソプロパノール(沸点82.6℃)と比較すると、1-ブタノールの沸点はかなり高めです。

これは炭素数が多くなるにつれて分子間力(ファンデルワールス力)が強くなるためで、沸点はアルコールの炭素鎖長に比例して上昇する傾向があります。

実務上では、蒸留精製や溶剤回収のプロセス設計において、沸点の正確な把握が欠かせません。

また、117.7℃という比較的高い沸点は、加工現場での蒸発速度が低く、作業時間の確保がしやすいという特徴につながっています。

各アルコールの沸点比較(参考)

メタノール(CH₃OH):64.7℃

エタノール(C₂H₅OH):78.4℃

1-プロパノール(C₃H₇OH):97.2℃

1-ブタノール(C₄H₉OH):117.7℃

1-ペンタノール(C₅H₁₁OH):138.0℃

このように炭素数が増えるにつれて沸点が上昇していくのが分かります。

融点-89.8℃の特徴と低温環境での注意点

1-ブタノールの融点(凝固点)は-89.8℃です。

融点とは、固体が液体へと変化する温度のことを指します。

-89.8℃という非常に低い融点は、通常の生活環境や工業環境において1-ブタノールが液体状態を保ちやすいことを意味しています。

極寒地域での屋外貯蔵や極低温実験環境を除けば、固化の心配はほぼないといえるでしょう。

ただし、冷凍設備や液体窒素を使用する特殊環境では固化する可能性があるため、注意が必要です。

沸点と引火点の関係|安全管理との接点

沸点と引火点は密接な関係にあります。

一般に、引火点は沸点より大幅に低い温度で現れることが多く、1-ブタノールの場合も沸点117.7℃に対して引火点は29℃と、大きな温度差があります。

これは、液体表面から蒸発した蒸気が着火に必要な濃度に達するのは、沸点よりもずっと低い温度で起こりうることを示しています。

したがって、沸点が高いからといって安易に「揮発しにくいから安全」とは判断できない点に留意してください。

1-ブタノールの密度・比重・分子量|計算や換算に役立つ基礎データ

続いては、1-ブタノールの密度・比重・分子量を確認していきます。

これらの値は、化学計算や輸送設計、薬液調製などの現場で頻繁に参照されるものです。

密度0.810 g/cm³の意味と活用

1-ブタノールの密度は0.810 g/cm³(20℃条件下)です。

密度とは、単位体積あたりの質量を表す値です。

水の密度は約1.000 g/cm³であるため、1-ブタノールは水より軽い液体であることが分かります。

この値は、タンクや容器の容量計算、液量から質量への換算などに直接活用できます。

密度を用いた質量換算の例

1-ブタノール1リットル(1000 mL)の質量は?

質量=体積×密度=1000 cm³×0.810 g/cm³=810 g(=0.810 kg)

このように、密度の値を知っておくことで体積から質量への換算が容易に行えます。

温度が上昇すると密度は低下するため、高温環境での使用時は密度の温度依存性にも注意が必要です。

比重0.810と水への溶解性

1-ブタノールの比重は0.810(水=1.000基準)です。

比重は密度の比として定義されており、水を基準(1.000)としたときの相対的な重さを示しています。

比重が1.000より小さい場合、その液体は水に浮く性質があります。

1-ブタノールは比重0.810であるため、水と混合した場合は上層に分離しやすいという特徴があります。

また、1-ブタノールの水への溶解度は20℃で約7.7 g/100 mLと部分的に溶解する性質(部分混和性)を持っています。

このため、水系廃液処理や排水管理においても注意が必要です。

分子量74.12 g/molと化学計算への応用

1-ブタノールの分子量は74.12 g/molです。

分子式はC₄H₁₀O(またはC₄H₉OH)で表されます。

各元素の原子量から計算すると以下のとおりです。

分子量の内訳計算

炭素(C):12.01×4=48.04

水素(H):1.008×10=10.08

酸素(O):16.00×1=16.00

合計:48.04+10.08+16.00=74.12 g/mol

分子量は、モル計算や濃度計算において基礎となる数値です。

特に反応収率の計算や試薬の秤量において、分子量を正確に把握していることは研究・製造現場での必須条件といえるでしょう。

1-ブタノールの引火点と安全上の取り扱い注意点

続いては、1-ブタノールの引火点と安全管理上の重要なポイントを確認していきます。

引火点29℃|危険物第4類への分類

1-ブタノールの引火点は29℃(密閉式タグ法)です。

引火点とは、液体表面から発生した蒸気が空気と混合し、火源によって着火可能な最低温度のことを指します。

29℃という値は、夏季の室温や直射日光下での温度に近いため、常温環境でも引火のリスクが存在することを意味しています。

消防法における1-ブタノールの分類

危険物第4類(引火性液体)

第2石油類(非水溶性液体)に該当

指定数量:1,000リットル

引火点:21℃以上70℃未満の液体が第2石油類に分類されます。

消防法上の位置づけを正確に理解し、貯蔵・取り扱いには法令に基づいた適切な設備と管理が求められます。

消防庁の危険物に関する情報は以下よりご確認いただけます。

消防庁 危険物規制の概要:https://www.fdma.go.jp/relocation/neuter/topics/fieldList9_2.html

爆発限界と蒸気密度|換気設計のポイント

1-ブタノールの爆発下限界(LEL)は約1.4 vol%、爆発上限界(UEL)は約11.2 vol%とされています。

この範囲内に蒸気濃度が達すると、点火源によって爆発的に燃焼する可能性があります。

また、蒸気密度は空気を1とした場合に約2.55であり、空気より重い蒸気が床面に滞留しやすい性質があります。

このため、使用環境での低所換気や可燃性ガス検知器の設置が重要となります。

局所排気装置や防爆型電気機器の使用など、適切な安全設備の整備が不可欠といえるでしょう。

健康影響と法規制|SDSの確認が重要

1-ブタノールは吸入や皮膚接触による健康被害が報告されています。

主な有害性としては、眼・皮膚・気道への刺激性や、高濃度吸入時の頭痛・めまい・吐き気などがあります。

労働安全衛生法に基づき、SDSの作成・交付が義務付けられている物質の一つであることも認識しておきましょう。

厚生労働省のGHS化学品分類データも活用すると、より詳細な有害性情報を確認できます。

厚生労働省 GHS混合物分類判定ラベル作成支援システム:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070532.html

取り扱い前には必ずSDSを確認し、保護具(耐化学品手袋・保護眼鏡・防毒マスク)の着用を徹底することが求められます。

まとめ

本記事では、1-ブタノールの沸点は?融点・密度・比重・分子量・引火点も解説というテーマで、主要な物性値とその意味・安全上の注意点を解説しました。

最後に重要なポイントを整理しておきます。

1-ブタノールの沸点は117.7℃、融点は-89.8℃であり、通常環境では液体状態を安定して保ちます。

密度は0.810 g/cm³(20℃)、比重は0.810(水基準)であり、水より軽い液体です。

分子量は74.12 g/molで、化学式はC₄H₁₀Oです。

引火点は29℃と低く、消防法の第4類第2石油類(非水溶性)に該当するため、火気の管理と法令に基づいた貯蔵・取り扱いが必要不可欠です。

物性値の正確な理解は、安全で効率的な化学物質管理の基盤となります。

公的機関のデータベースや最新のSDSを定期的に確認し、現場での安全管理に役立てていただければ幸いです。