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メチルシクロヘキサンの沸点は?融点・密度・比重・分子量・引火点も解説【公的機関のリンク付き】

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化学物質を扱う現場や研究・学習の場面において、物質の物性データは欠かせない情報です。

今回取り上げるメチルシクロヘキサンは、石油化学や有機合成の分野で広く利用される環状炭化水素の一種であり、その物性をしっかり把握しておくことは安全管理や実験設計において非常に重要です。

本記事では「メチルシクロヘキサンの沸点は?融点・密度・比重・分子量・引火点も解説【公的機関のリンク付き】」と題して、メチルシクロヘキサンの主要な物性データをわかりやすくまとめています。

沸点・融点・密度・比重・分子量・引火点といった各数値の意味や用途についても丁寧に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

メチルシクロヘキサンの沸点は約100.9℃、引火点は-4℃の危険性の高い物質

それではまず、メチルシクロヘキサンの最も重要な物性の概要について解説していきます。

メチルシクロヘキサンとは、シクロヘキサン環にメチル基(-CH₃)が1つ結合した構造を持つ飽和環状炭化水素です。

化学式はC₇H₁₄で表され、別名「メチルシクロヘキサン(Methylcyclohexane)」として国際的にも広く知られています。

有機溶媒や燃料の成分としての利用が多く、石油精製の副産物としても得られる物質です。

メチルシクロヘキサンの主要物性まとめ

沸点 約100.9℃(常圧)

融点 約-126.6℃

引火点 約-4℃(非常に引火しやすい)

密度 約0.769 g/mL(20℃)

分子量 98.19 g/mol

特に注目すべき点は、引火点が-4℃と非常に低いことです。

これは常温環境でも引火の危険性があることを意味しており、消防法上の危険物(第4類第1石油類)に分類されています。

取り扱いには十分な注意と適切な管理が求められる物質といえるでしょう。

メチルシクロヘキサンの沸点

メチルシクロヘキサンの沸点は、常圧(1気圧 = 101.325 kPa)において約100.9℃とされています。

沸点とは、液体が気体へと相変化するときの温度のことであり、物質の揮発性や蒸留操作の条件を決める際に重要な指標となります。

水の沸点(100℃)とほぼ同じ温度帯であるため、実験室での加熱操作の際には特に注意が必要です。

また、沸点が比較的低いことから常温でも揮発しやすく、蒸気が滞留した場合には爆発性混合気体を形成するリスクがある点にも留意してください。

メチルシクロヘキサンの融点

融点(凝固点)については、約-126.6℃という非常に低い値が報告されています。

融点とは固体が液体へと変化する温度であり、この値が低いほど常温での取り扱いでは液体状態であることを意味します。

メチルシクロヘキサンは室温環境において完全に液体として存在しており、固体状態を観察するためには極低温の環境が必要です。

工業的な観点では、低温環境下での輸送・保管においても液体状態を保ちやすいという特性があります。

メチルシクロヘキサンの引火点

引火点は約-4℃と報告されており、これは第4類危険物の中でも特に危険性の高い第1石油類に該当します。

引火点とは、可燃性液体の蒸気に点火源を近づけたときに引火するのに十分な蒸気濃度が発生する最低温度のことです。

この値がマイナスであるということは、冬季の屋外環境でも引火の危険性が存在することを示しています。

取り扱い時は火気厳禁を徹底し、十分な換気を確保した環境で使用することが必須といえるでしょう。

メチルシクロヘキサンの密度・比重・分子量の詳細

続いては、メチルシクロヘキサンの密度・比重・分子量について確認していきます。

これらの物性値は、物質の量の計算や混合物の調製、安全データシート(SDS)の解釈において不可欠な情報です。

密度

メチルシクロヘキサンの密度は、20℃において約0.769 g/mL(= 769 kg/m³)とされています。

密度とは単位体積あたりの質量を表すものであり、体積から質量を求める際(または逆の計算)に使用します。

質量の計算例

メチルシクロヘキサン 1000 mL(1 L)の質量を求める場合

質量 = 密度 × 体積 = 0.769 g/mL × 1000 mL = 769 g(約769 g)

なお、密度は温度によって変化するため、精密な計算が必要な場合は使用時の温度条件を確認することが重要です。

温度が高くなると体積が膨張し、密度はわずかに低下します。

比重

比重とは、ある物質の密度を基準物質(液体の場合は水:1.000 g/mL)の密度で割った無次元の値です。

メチルシクロヘキサンの比重は約0.769であり、水より軽い液体であることがわかります。

比重が1未満ということは、水と混合した場合に水面上に浮く性質があることを意味します。

これは火災時の消火活動においても重要な情報であり、水系消火剤を使用する際に燃焼液体が水面に広がるリスクを念頭に置く必要があるでしょう。

分子量

メチルシクロヘキサンの分子量は98.19 g/molです。

化学式 C₇H₁₄ から各原子の原子量をもとに計算すると以下のようになります。

分子量の計算

炭素(C) × 7 = 12.011 × 7 = 84.077

水素(H) × 14 = 1.008 × 14 = 14.112

合計 = 84.077 + 14.112 = 約98.19 g/mol

分子量はモル計算や気体の蒸気密度算出、質量パーセント濃度の計算など、さまざまな場面で活用されます。

有機化学の実験において試薬の必要量を算出する際にも、分子量の把握は基本中の基本といえるでしょう。

メチルシクロヘキサンの物性データ一覧表と公的機関の情報

続いては、メチルシクロヘキサンの物性データを表形式で整理し、さらに信頼性の高い公的機関の情報源についてもご紹介します。

物性データは出典によってわずかに異なる場合があるため、公的機関の情報を参照することが推奨されます。

物性データ一覧表

下記の表に、メチルシクロヘキサンの主要な物性をまとめています。

物性項目 条件・備考
化学式 C₇H₁₄ 飽和環状炭化水素
分子量 98.19 g/mol
沸点 約100.9℃ 1 atm(常圧)
融点 約-126.6℃ 常圧
密度 約0.769 g/mL 20℃
比重 約0.769 水=1 基準(20℃)
引火点 約-4℃ 引火性液体
発火点 約250℃
蒸気圧 約6.2 kPa(20℃) 揮発性あり
爆発限界(下限) 約1.2 vol% 空気中
爆発限界(上限) 約6.7 vol% 空気中
CAS番号 108-87-2 国際化学識別番号

この表を参照することで、メチルシクロヘキサンの物性を体系的に把握することができます。

特に爆発限界(1.2〜6.7 vol%)と引火点(-4℃)は、安全管理の観点から非常に重要な数値です。

公的機関のデータベースへのリンク

物性データの信頼性を確認する際には、以下の公的機関のデータベースを参照することを強くおすすめします。

メチルシクロヘキサンの物性に関する公的機関のリンク

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)化学物質総合情報提供システム(CHRIP)

https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/systemTop

国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)安全情報部 GHS分類結果

https://www.nihs.go.jp/hse/ghs/index.html

労働安全衛生総合研究所 化学物質情報

https://www.jniosh.johas.go.jp/

米国国立標準技術研究所(NIST)WebBook

https://webbook.nist.gov/cgi/cbook.cgi?ID=108-87-2

特にNISTのWebBookは、沸点・融点・蒸気圧など多数の物性値が詳細に掲載されており、研究や業務での参照に非常に有用です。

国内の情報としてはNITEのCHRIPが化学物質の安全性データや法規制情報を網羅しているため、産業現場での利用にも適しています。

SDSにおける物性情報の活用

安全データシート(SDS:Safety Data Sheet)は、化学物質の物性・危険有害性・取り扱い方法などを記載した文書です。

メチルシクロヘキサンのSDSには、沸点・引火点・爆発限界などの物性値とともに、緊急時の対応手順・廃棄方法・保護具の種類なども記載されています。

SDSは試薬メーカーや化学品販売会社のウェブサイトから無料でダウンロードできるケースが多く、実務においては必ず参照するべき資料といえます。

法令上も、労働安全衛生法に基づき一定の化学物質についてはSDSの提供が義務付けられています。

メチルシクロヘキサンの用途・危険性と取り扱い上の注意点

続いては、メチルシクロヘキサンの用途と危険性、そして安全な取り扱いのために知っておくべき注意点を確認していきます。

物性値を理解した上で、実際の現場でどのように活用し、何に注意すべきかを把握することが安全管理の第一歩です。

主な用途

メチルシクロヘキサンは主に以下の用途で利用されています。

まず、有機溶媒としての用途が挙げられます。

脂溶性が高く、塗料・接着剤・ゴム工業などにおいて各種樹脂や油脂を溶解させる目的で使用されます。

次に、燃料成分としての側面もあります。

石油留分に天然に含まれており、ガソリンやジェット燃料の構成成分の一つとなっています。

さらに、有機合成の反応溶媒・原料としても利用されており、トルエンのニッケル触媒水素化によっても合成されることが知られています。

研究室レベルでは、無極性溶媒として各種反応の反応媒体に用いられるケースもあるでしょう。

危険有害性の分類

メチルシクロヘキサンは、GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)において以下のように分類されています。

危険有害性項目 分類結果
引火性液体 区分2(引火点-4℃)
皮膚腐食性・刺激性 区分2(軽度の皮膚刺激)
眼刺激性 区分2A
特定標的臓器毒性(反復ばく露) 区分2(神経系)
吸引性呼吸器有害性 区分1
水生環境有害性(長期) 区分3

特に吸引性呼吸器有害性(区分1)は注意が必要であり、誤って吸引した場合に肺へのダメージを引き起こすリスクがあります。

また、繰り返しのばく露による神経系への影響も報告されているため、長期的な取り扱いには換気対策と保護具の着用が不可欠です。

取り扱い上の注意点

メチルシクロヘキサンを取り扱う際には、以下の点に注意することが求められます。

取り扱い時の主な注意事項

火気・熱源・スパーク発生源から遠ざけること

取り扱い場所は十分に換気し、蒸気の滞留を防ぐこと

静電気対策(アース接続、静電気防止服の着用)を徹底すること

保護手袋・保護眼鏡・呼吸用保護具を適切に使用すること

保管は冷暗所で、火気や酸化剤から離すこと

廃棄は法令に従い適切に処理すること

引火点が-4℃と低いため、冬期の屋外作業においても引火のリスクがある点を忘れてはなりません。

職場でメチルシクロヘキサンを扱う際には、リスクアセスメントを実施し、作業手順書を整備した上で適切な教育訓練を行うことが重要です。

まとめ

本記事では「メチルシクロヘキサンの沸点は?融点・密度・比重・分子量・引火点も解説【公的機関のリンク付き】」と題して、メチルシクロヘキサンの主要な物性データとその意味、用途・危険性について詳しく解説しました。

メチルシクロヘキサンは沸点約100.9℃、融点約-126.6℃、密度約0.769 g/mL、分子量98.19 g/mol、引火点約-4℃という物性を持つ、引火性の高い有機溶媒です。

特に引火点がマイナスの値であることから、常温環境でも火気に対して非常に危険な物質であることを改めて認識しておく必要があります。

物性データを正確に把握し、公的機関のSDSや化学物質データベースを積極的に活用することで、安全かつ適切な取り扱いが実現できます。

本記事の内容が、メチルシクロヘキサンの理解と安全管理の一助となれば幸いです。