微分の学習を進めていると、arccosxの微分という形に出会う場面があります。
arccosxはcosxの逆関数であり、その微分公式は逆関数の微分法を使って導き出すことができます。
この記事では、arccosxの微分公式の内容とその証明方法、cos⁻¹xとの関係について、わかりやすく丁寧に解説していきます。
arccosxの微分の公式は-1/√(1-x²)
それではまず、arccosxの微分の公式について解説していきます。
arccosxを微分すると、次のような結果が得られます。
d/dx(arccosx)=-1/√(1-x²)(-1<x<1)
-1/√(1-x²)という形は、逆関数の微分法を使うことで自然に導き出すことができます。
arcsinxの微分公式が1/√(1-x²)であるのに対し、arccosxの場合は符号がマイナスになる点が大きな違いです。
この符号の違いを正確に把握しておくことが、計算ミスを防ぐ上で非常に重要でしょう。
公式の証明:逆関数の微分法を使った方法
arccosxの微分の証明は、逆関数の微分法を使うことでシンプルに導くことができます。
y=arccosxとおくと、cosy=x(0≦y≦π)
両辺をxで微分すると、-siny・(dy/dx)=1
よって dy/dx=-1/siny
sin²y+cos²y=1より siny=√(1-cos²y)=√(1-x²)(0≦y≦πのときsiny≧0)
よって d/dx(arccosx)=-1/√(1-x²)
証明のポイントは、0≦y≦πの範囲でsiny≧0となることを利用してsinyを√(1-x²)と表す部分です。
逆関数の定義域と値域を正確に把握することが、証明を正しく進める上で重要です。
arcsinxの微分との対比で証明を理解する
arcsinxの微分公式と対比させることで、arccosxの微分への理解が深まります。
arcsinxの微分:d/dx(arcsinx)=1/√(1-x²)
arccosxの微分:d/dx(arccosx)=-1/√(1-x²)
実は arcsinx+arccosx=π/2 という恒等式が成り立つため、
d/dx(arcsinx+arccosx)=0 となり、
d/dx(arccosx)=-d/dx(arcsinx)=-1/√(1-x²) が確認できます。
arcsinx+arccosx=π/2という恒等式は、arccosxの微分を素早く導くための便利な関係式です。
この恒等式を覚えておくと、証明の別ルートとしても活用できるでしょう。
定義域と値域の確認
arccosxは定義域と値域が限定されている関数であるため、注意が必要です。
arccosx(cos⁻¹x)の定義域:-1≦x≦1
arccosx(cos⁻¹x)の値域:0≦y≦π
微分可能な範囲:-1<x<1(端点では微分不可能)
x=±1の端点では分母の√(1-x²)が0になるため、端点では微分できないことを覚えておきましょう。
問題を解く際は定義域を確認してから計算を進めることが大切です。
arccosxとcos⁻¹xの関係を整理しよう
続いては、arccosxとcos⁻¹xの関係について確認していきます。
この2つは表記が異なるだけで、まったく同じ関数です。
| 表記 | 意味 | 微分結果 |
|---|---|---|
| arccosx | cosxの逆関数 | -1/√(1-x²) |
| cos⁻¹x | cosxの逆関数 | -1/√(1-x²) |
| arcsinx | sinxの逆関数 | 1/√(1-x²) |
| arctanx | tanxの逆関数 | 1/(1+x²) |
表から、arccosxとcos⁻¹xはまったく同じ微分結果になることがわかります。
arcsinxとarccosxの微分は絶対値が同じで符号が逆になるという対称的な関係も覚えておきましょう。
逆三角関数の微分公式を一覧で整理する
逆三角関数の微分公式はセットで覚えておくと便利です。
d/dx(arcsinx)=1/√(1-x²)
d/dx(arccosx)=-1/√(1-x²)
d/dx(arctanx)=1/(1+x²)
arcsinxとarccosxの微分は符号だけが異なるため、どちらがマイナスになるかを確実に覚えておくことが大切です。
arccosx=π/2-arcsinxという関係から、arccosxの微分にマイナスが付くことが自然に理解できるでしょう。
よくある間違いと注意点
arccosxの微分では、いくつかの典型的なミスが見られます。
最も多いのが、arcsinxの微分と符号を混同して1/√(1-x²)と答えてしまうケースです。
arccosxの微分には必ずマイナス符号が付くことを、しっかりと意識してください。
また、cos⁻¹xをcosxの-1乗、すなわち1/cosxと混同するミスも見られるため、逆関数の表記に慣れておくことが大切です。
arccosxの微分の応用例で理解を深めよう
続いては、arccosxの微分の応用例を通じてさらに理解を深めていきます。
合成関数を含む微分の例
arccos(2x)のように、引数が変わった場合の微分を確認しましょう。
問題:d/dx(arccos(2x))を求めよ。
合成関数の微分より、
d/dx(arccos(2x))=-1/√(1-(2x)²)×2=-2/√(1-4x²)
外側の微分(arccosxの微分)と内側の微分(2xの微分=2)をかけ合わせることで答えが得られます。
合成関数の微分では「外×内の微分」というルールを意識するとスムーズです。
積の微分との組み合わせ
x・arccosxのように積の形になった場合は、積の微分公式を使います。
問題:d/dx(x・arccosx)を求めよ。
f=x → f’=1
g=arccosx → g’=-1/√(1-x²)
d/dx(x・arccosx)=1・arccosx+x・(-1/√(1-x²))=arccosx-x/√(1-x²)
この結果はarccosx-x/√(1-x²)となり、2つの項の差として表されます。
積の微分をしっかりと身につけることで、こうした応用問題にも落ち着いて対応できるでしょう。
arccosxの積分への応用
arccosxの微分結果は、積分の問題にも応用できます。
∫(1/√(1-x²))dx を考えると、
d/dx(arcsinx)=1/√(1-x²) より、
∫(1/√(1-x²))dx=arcsinx+C(または-arccosx+C)
arccosxとarcsinxの微分が絶対値で等しい関係から、1/√(1-x²)の積分はarcsinx+Cとも-arccosx+Cとも表せます。
両者は定数の差しかなく、積分定数Cに吸収されるため、どちらも正解となります。
まとめ
この記事では、arccosxの微分の公式と証明、cos⁻¹xとの関係について解説しました。
arccosxの微分結果は-1/√(1-x²)であり、逆関数の微分法を使ってcosy=xから導くことができます。
arccosxとcos⁻¹xはまったく同じ関数であり、微分結果も完全に一致します。
arcsinxの微分(1/√(1-x²))と符号が逆になる点、およびarcsinx+arccosx=π/2という恒等式を活用すると、公式が記憶に定着しやすくなるでしょう。
公式の意味と証明の流れをしっかり理解した上で、さまざまな問題に挑戦してみてください。