微分の学習を進めていると、arctanxの微分という形に出会う場面があります。
arctanxはtanxの逆関数であり、その微分公式は逆関数の微分法を使って導き出すことができます。
この記事では、arctanxの微分公式の内容とその証明方法、tan⁻¹xとの関係について、わかりやすく丁寧に解説していきます。
arctanxの微分の公式は1/(1+x²)
それではまず、arctanxの微分の公式について解説していきます。
arctanxを微分すると、次のような結果が得られます。
d/dx(arctanx)=1/(1+x²)
1/(1+x²)という形は、逆関数の微分法を使うことで自然に導き出すことができます。
arcsinxやarccosxの微分に登場する√(1-x²)とは異なり、arctanxの微分には平方根が現れないシンプルな形になります。
また、定義域の制限もなく任意の実数xで微分できる点が、arctanxの微分の特徴でしょう。
公式の証明:逆関数の微分法を使った方法
arctanxの微分の証明は、逆関数の微分法を使うことでシンプルに導くことができます。
y=arctanxとおくと、tany=x(-π/2<y<π/2)
両辺をxで微分すると、(1/cos²y)・(dy/dx)=1
よって dy/dx=cos²y
tan²y+1=1/cos²y より cos²y=1/(1+tan²y)=1/(1+x²)
よって d/dx(arctanx)=1/(1+x²)
証明のポイントは、tan²y+1=1/cos²yという三角関数の恒等式を活用してcos²yをxで表す部分です。
この恒等式はtanxの微分公式の証明でも使われる重要な関係式です。
別証明:陰関数微分を使った方法
陰関数微分を使った証明方法も確認しておきましょう。
tany=xの両辺をxで微分すると、
d/dx(tany)=1
左辺は合成関数の微分より d/dx(tany)=(1/cos²y)・(dy/dx)
よって (1/cos²y)・(dy/dx)=1 となり、dy/dx=cos²y=1/(1+x²)
陰関数微分は逆関数を直接微分する場合に広く使える手法です。
この方法を習得しておくと、さまざまな逆関数の微分に応用できるでしょう。
定義域と値域の確認
arctanxは他の逆三角関数とは異なり、定義域に制限がない関数です。
arctanx(tan⁻¹x)の定義域:すべての実数(-∞<x<∞)
arctanx(tan⁻¹x)の値域:-π/2<y<π/2
微分可能な範囲:すべての実数(端点での制限なし)
arcsinxやarccosxの定義域が-1≦x≦1に限られるのに対し、arctanxはすべての実数で定義される点が大きな違いです。
1/(1+x²)の分母は常に正であるため、どんなxの値でも微分できることが確認できます。
arctanxとtan⁻¹xの関係を整理しよう
続いては、arctanxとtan⁻¹xの関係について確認していきます。
この2つは表記が異なるだけで、まったく同じ関数です。
| 表記 | 意味 | 微分結果 |
|---|---|---|
| arctanx | tanxの逆関数 | 1/(1+x²) |
| tan⁻¹x | tanxの逆関数 | 1/(1+x²) |
| arcsinx | sinxの逆関数 | 1/√(1-x²) |
| arccosx | cosxの逆関数 | -1/√(1-x²) |
表から、arctanxとtan⁻¹xはまったく同じ微分結果になることがわかります。
逆三角関数の微分公式を一覧で覚えておくことで、問題に素早く対応できるでしょう。
逆三角関数の微分公式を比較して覚える
逆三角関数の微分公式はセットで覚えておくと便利です。
d/dx(arcsinx)=1/√(1-x²)
d/dx(arccosx)=-1/√(1-x²)
d/dx(arctanx)=1/(1+x²)
arctanxの微分だけが平方根を含まないシンプルな分数の形になることが、他の2つとの大きな違いです。
この違いを意識して覚えることで、3つの公式を混同せずに記憶できるでしょう。
よくある間違いと注意点
arctanxの微分では、いくつかの典型的なミスが見られます。
まず、arcsinxの微分と混同して1/√(1-x²)と答えてしまうケースがあります。
arctanxの微分は1/(1+x²)であり平方根は現れないことを、しっかりと意識してください。
また、tan⁻¹xを1/tanxと混同するミスも見られるため、逆関数の表記に慣れておくことが大切です。
arctanxの微分の応用例で理解を深めよう
続いては、arctanxの微分の応用例を通じてさらに理解を深めていきます。
合成関数を含む微分の例
arctan(2x)のように、引数が変わった場合の微分を確認しましょう。
問題:d/dx(arctan(2x))を求めよ。
合成関数の微分より、
d/dx(arctan(2x))=1/(1+(2x)²)×2=2/(1+4x²)
外側の微分(arctanxの微分)と内側の微分(2xの微分=2)をかけ合わせることで答えが得られます。
合成関数の微分では「外×内の微分」というルールを意識するとスムーズです。
積の微分との組み合わせ
x・arctanxのように積の形になった場合は、積の微分公式を使います。
問題:d/dx(x・arctanx)を求めよ。
f=x → f’=1
g=arctanx → g’=1/(1+x²)
d/dx(x・arctanx)=1・arctanx+x・1/(1+x²)=arctanx+x/(1+x²)
この結果はarctanx+x/(1+x²)となり、2つの項の和として表されます。
積の微分をしっかりと身につけることで、こうした応用問題にも落ち着いて対応できるでしょう。
arctanxの微分を利用した積分への応用
arctanxの微分結果は、積分の問題にも応用できます。
∫(1/(1+x²))dx を考えると、
d/dx(arctanx)=1/(1+x²) より、
∫(1/(1+x²))dx=arctanx+C
1/(1+x²)の積分がarctanx+Cになることは、積分の重要公式のひとつとして覚えておくべき形です。
arctanxの微分を逆向きに利用することで、この積分公式が自然に導き出せます。
まとめ
この記事では、arctanxの微分の公式と証明、tan⁻¹xとの関係について解説しました。
arctanxの微分結果は1/(1+x²)であり、逆関数の微分法を使ってtany=xから導くことができます。
arctanxとtan⁻¹xはまったく同じ関数であり、微分結果も完全に一致します。
arcsinxやarccosxの微分と異なり、平方根が現れないシンプルな形になる点と、任意の実数で微分できる点がarctanxの大きな特徴です。
公式の意味と証明の流れをしっかり理解した上で、さまざまな問題に挑戦してみてください。