化学反応

塩化銅や水溶液の作り方・製法を徹底解説!

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化学実験や工業プロセスで広く使用される塩化銅。実験室で必要な量を調製したい場合、どのような方法で作ればよいのでしょうか?

塩化銅には固体として製造する方法と、水溶液として調製する方法があります。また、実験室レベルの小規模な製法と、工業的な大規模製造では手順や使用する原料が異なることも。

本記事では、塩化銅と塩化銅水溶液の作り方・製法について、化学反応式から具体的な実験手順まで詳しく解説していきます。安全に配慮した製造方法や、工業的製法の特徴まで、4000字でしっかりとお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

塩化銅(II)の固体の製法

それではまず、固体の塩化銅(II)を製造する方法について解説していきます。

実験室では複数の製法が利用可能であり、目的や利用可能な試薬によって最適な方法を選択することが重要でしょう。

 

銅と塩素の直接反応

最も直接的な製法は、銅と塩素を直接反応させる方法です。

銅と塩素の反応式Cu + Cl₂ → CuCl₂

この反応では、金属銅を塩素ガス中で加熱することで塩化銅(II)が生成されます。

反応の特徴

– 反応温度:300〜400℃程度
– 生成物:無水塩化銅(II)(黄褐色〜褐色の固体)
– 反応性:非常に激しく反応する

ただし、塩素ガスは有毒で腐食性が強いため、この方法は実験室では通常使用されません。主に工業的な製造で採用される方法です。

 

酸化銅と塩酸の反応

実験室で最もよく使われる方法は、酸化銅(II)と塩酸を反応させる方法でしょう。

酸化銅と塩酸の反応式CuO + 2HCl → CuCl₂ + H₂O

この方法は安全で制御しやすく、純度の高い塩化銅を得ることができます。

実験手順

1. ビーカーに希塩酸を入れる
2. 酸化銅(II)の黒色粉末を少しずつ加える
3. 加熱しながら反応させる
4. 酸化銅が完全に溶けるまで続ける
5. ろ過して不純物を除去
6. 水分を蒸発させて固体を得る

反応が進むと、黒色の酸化銅が溶解し、青緑色の溶液が得られます。この溶液を濃縮・結晶化させることで、青緑色の塩化銅(II)二水和物(CuCl₂・2H₂O)が得られるでしょう。

 

水酸化銅と塩酸の反応

もう一つの一般的な方法は、水酸化銅(II)と塩酸を反応させる方法です。

水酸化銅と塩酸の反応式Cu(OH)₂ + 2HCl → CuCl₂ + 2H₂O

水酸化銅は淡青色のゲル状沈殿として得られ、これを塩酸と反応させることで塩化銅水溶液が得られます。

この方法は、まず硫酸銅水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えて水酸化銅を沈殿させ、その後塩酸と反応させるという二段階のプロセスです。

製法 原料 特徴 適用場面
直接反応 Cu + Cl₂ 高温が必要、危険 工業的製造
酸化銅法 CuO + HCl 安全、簡便 実験室(最も一般的)
水酸化銅法 Cu(OH)₂ + HCl 二段階、純度高い 実験室(精製目的)

実験室では、入手しやすさと安全性から、酸化銅と塩酸を用いる方法が最も推奨されるでしょう。

 

塩化銅(II)水溶液の作り方

続いては、塩化銅(II)水溶液の具体的な作り方を確認していきます。

水溶液として使用する場合、固体を溶解する方法が最も簡便ですが、その場で合成する方法もあります。

 

固体塩化銅を溶かす方法

市販の塩化銅(II)二水和物(CuCl₂・2H₂O)を使う方法が最も簡単でしょう。

固体塩化銅からの水溶液調製必要なもの:
– 塩化銅(II)二水和物
– 蒸留水または精製水
– ビーカー
– ガラス棒
– メスフラスコ(正確な濃度が必要な場合)

調製手順

1. 必要な濃度を計算する
2. 塩化銅の質量を精密に測定する
3. ビーカーに少量の水を入れる
4. 塩化銅を加えてガラス棒でかき混ぜる
5. 完全に溶解させる
6. メスフラスコに移して定容にする

塩化銅(II)二水和物は水に非常によく溶けるため、室温でも容易に溶解します。加熱する必要はありません。

濃度計算の例

0.1 mol/Lの塩化銅水溶液を100 mL作る場合

CuCl₂・2H₂Oの式量 = 170.5必要な質量 = 0.1 mol/L × 0.1 L × 170.5 g/mol
= 1.705 gしたがって、1.705 gの塩化銅(II)二水和物を100 mLの水に溶かす

 

銅の酸化と塩酸による方法

銅と塩酸と酸化剤を用いて、その場で塩化銅水溶液を調製する方法もあります。

銅は塩酸とは直接反応しませんが、酸化剤の存在下では反応が進行するのです。

銅と塩酸と過酸化水素の反応Cu + 2HCl + H₂O₂ → CuCl₂ + 2H₂O

または空気中の酸素を利用:
2Cu + 4HCl + O₂ → 2CuCl₂ + 2H₂O

この方法では、銅片を塩酸に入れ、過酸化水素水を加えるか、空気を吹き込みながら加熱します。徐々に銅が溶解し、青緑色の塩化銅水溶液が得られるでしょう。

ただし、この方法は時間がかかり、反応の制御も難しいため、通常は固体の塩化銅を溶かす方法が推奨されます。

化学実験の安全な実施方法については、文部科学省の学校安全に関する資料で確認できます。

https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1289303.htm

 

 

濃度調整の方法

すでに調製した塩化銅水溶液の濃度を調整する方法を見ていきましょう。

希釈する場合

濃い溶液を希釈するには、以下の公式を使います。

希釈の公式C₁V₁ = C₂V₂

C₁:元の濃度
V₁:必要な元の溶液の体積
C₂:目標の濃度
V₂:目標の溶液の体積

例えば、1.0 mol/Lの溶液から0.1 mol/Lの溶液を100 mL作る場合

1.0 × V₁ = 0.1 × 100
V₁ = 10 mL

したがって、1.0 mol/Lの溶液10 mLを取り、水を加えて全量を100 mLにすればよいのです。

濃縮する場合

薄い溶液を濃くするには、加熱して水分を蒸発させます。

1. 溶液をビーカーに入れる
2. 湯浴上で加熱する
3. 目標の体積になるまで蒸発させる
4. 冷却する

ただし、直火での加熱は避けるべきです。急激な加熱により溶液が飛散する危険があるため、湯浴を使用しましょう。

濃度調整の注意点1. 希釈時は必ず「酸を水に」加える
(塩化銅水溶液は酸性のため)2. 濃縮時は過度に加熱しない
(分解や塩酸の揮発に注意)3. 正確な濃度が必要な場合はメスフラスコを使用4. 調製後は適切に保管(密閉容器、冷暗所)

 

工業的な製造方法

続いては、塩化銅の工業的な製造方法について確認していきます。

大規模な製造では、コストと効率を重視した方法が採用されているのです。

 

大規模製造プロセス

工業的には、主に以下の方法で塩化銅が製造されています。

1. 塩素化法

金属銅を塩素ガスと直接反応させる方法が最も一般的でしょう。

工業的塩素化反応Cu + Cl₂ → CuCl₂(300〜400℃)

反応炉内で銅を加熱し、塩素ガスを通じることで、連続的に塩化銅を製造します。この方法は原料が単純で、高純度の製品が得られるため、工業的に広く採用されているのです。

2. 副生法

他の化学プロセスの副産物として塩化銅が得られる場合もあります。

例えば、銅の精錬プロセスや、有機化合物の合成における触媒として使用した後の回収などです。

3. 再生法

使用済みの塩化銅含有廃液から、塩化銅を回収・精製する方法も重要でしょう。

エッチング液や電気めっき液として使用された塩化銅水溶液から、蒸発・結晶化により塩化銅を回収します。これは資源の有効利用と環境保護の両面で重要な技術です。

 

精製方法

工業的に製造された塩化銅は、用途に応じて精製が行われます。

再結晶法

最も一般的な精製方法は再結晶です。

1. 粗製の塩化銅を最小量の水に溶かす
2. 加熱して完全に溶解させる
3. 不溶物をろ過で除去
4. 溶液を冷却して結晶を析出させる
5. 結晶をろ過して取り出す
6. 乾燥させる

この操作により、高純度の塩化銅(II)二水和物が得られるでしょう。

無水塩化銅の製造

二水和物から水分を除去して無水塩化銅を得る方法もあります。

CuCl₂・2H₂O → CuCl₂ + 2H₂O(加熱)

150〜200℃で加熱することで、青緑色の二水和物から黄褐色の無水塩化銅が得られます。無水塩化銅は吸湿性が非常に強いため、乾燥剤などの用途に使用されるのです。

製品形態 化学式 主な用途
二水和物 CuCl₂・2H₂O 青緑色 試薬、触媒、めっき
無水物 CuCl₂ 黄褐色 乾燥剤、有機合成触媒
水溶液 CuCl₂aq 青緑色 エッチング液、めっき液

 

用途に応じた製法の選択

塩化銅の用途によって、最適な製法が選択されます。

試薬グレード

化学実験用の高純度品は、再結晶法により精製された二水和物が使用されます。純度99%以上が要求されるでしょう。

工業グレード

めっき液やエッチング液として使用する場合は、やや純度が低くても問題ありません。コストを抑えた製法が選択されます。

触媒用

有機合成の触媒として使用する場合は、無水物や特定の形態の塩化銅が必要とされることがあります。

用途に応じて、製造コスト、純度、形態を最適化することが、工業的製造では重要なのです。

厚生労働省の職場のあんぜんサイトでは、化学物質の製造における安全情報を確認できます。

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/GHS_MSD_FND.aspx

 

実験室での製法と注意点

続いては、実験室で塩化銅を実際に製造する際の具体的な手順と注意点を確認していきます。

安全に配慮しながら、効率的に目的の製品を得る方法を詳しく見ていきましょう。

 

必要な器具と試薬

実験室で塩化銅を製造するために必要なものを整理します。

【器具】
– ビーカー(100〜500 mL)
– ガラス棒
– 加熱器具(ホットプレート、バーナーなど)
– ろ過装置(ろ紙、ろうと、スタンド)
– 蒸発皿または時計皿
– メスフラスコ(正確な濃度が必要な場合)
– 保護具(手袋、保護メガネ、白衣)

【試薬】
– 酸化銅(II)(黒色粉末)
– 希塩酸(約3〜6 mol/L)
– 蒸留水または精製水

これらは一般的な化学実験室であれば、通常備えられているものばかりでしょう。

試薬の量の目安塩化銅(II)5 gを得る場合:
– 酸化銅(II):約3 g
– 希塩酸(6 mol/L):約20 mL
– 蒸留水:適量

 

実験手順の詳細

酸化銅と塩酸から塩化銅を製造する標準的な手順を示します。

ステップ1:準備

1. 保護メガネと手袋を着用する
2. ドラフト内または換気の良い場所で作業する
3. 必要な器具を清潔な状態で準備する

ステップ2:反応

1. ビーカーに希塩酸30〜50 mLを入れる2. 酸化銅(II)を少量ずつ加える
※一度に大量に加えない3. ガラス棒でかき混ぜながら反応させる4. 必要に応じて穏やかに加熱する(50〜60℃程度)5. 酸化銅が完全に溶けて青緑色の溶液になるまで続ける

6. 過剰の酸化銅を加えて、塩酸を完全に反応させる

反応中は、黒色の酸化銅が徐々に溶解し、溶液の色が青緑色に変化していきます。泡が発生することもありますが、これは正常な反応です。

ステップ3:ろ過

1. 反応が完了したら加熱を止める
2. 溶液を室温まで冷却する
3. ろ過装置を使って未反応の酸化銅を除去する
4. ろ液(青緑色の塩化銅水溶液)を清潔なビーカーに集める

ステップ4:濃縮と結晶化

1. ろ液を蒸発皿に移す
2. 湯浴上で加熱して水分を蒸発させる
3. 溶液が濃縮されて、結晶が析出し始めたら加熱を止める
4. 室温またはそれ以下で冷却する
5. 析出した青緑色の結晶をろ過で集める
6. 少量の冷水で洗浄する
7. 乾燥させる

得られる結晶は塩化銅(II)二水和物(CuCl₂・2H₂O)でしょう。

 

安全上の注意点と廃棄方法

塩化銅の製造実験では、安全面での注意が特に重要です。

安全上の重要事項【保護具の着用】
– 保護メガネ:必須
– 手袋:必須(ニトリルゴム製が推奨)
– 白衣:推奨【作業環境】
– 換気の良い場所で実施
– ドラフト内が理想的
– 周囲に引火性物質を置かない【取り扱い上の注意】
– 塩酸は腐食性があるため、皮膚や目に付けない
– 塩化銅は有害物質なので、吸入や誤飲を避ける
– 反応中の突沸に注意
– 加熱は穏やかに行う

廃棄物の処理

実験後の廃液や廃棄物は、適切に処理する必要があります。

1. 酸性廃液の中和
塩酸を含む廃液は、炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウムで中和してから廃棄

2. 銅イオンの除去
水酸化ナトリウムを加えて水酸化銅として沈殿させる
沈殿物は重金属廃棄物として処理

3. 固体廃棄物
未反応の酸化銅や生成した塩化銅は、指定の容器に回収

4. 洗浄水
器具の洗浄水も銅を含むため、廃液として処理

そのまま排水に流すことは環境汚染につながるため、絶対に避けるべきです。

学校や研究機関では、廃棄物処理の規定に従って適切に処理しましょう。

事故時の対応

万が一、事故が発生した場合の対応も知っておく必要があります。

– 皮膚に付着:直ちに大量の水で15分以上洗い流す
– 目に入った:直ちに大量の水で15分以上洗眼する、医師の診察を受ける
– 吸入した:新鮮な空気の場所に移動、医師の診察を受ける
– 誤飲した:口をすすぎ、直ちに医師の診察を受ける(無理に吐かせない)

いずれの場合も、速やかに適切な処置を行い、必要に応じて医療機関を受診することが重要でしょう。

 

まとめ  塩化銅や水溶液の製法を徹底解説!

塩化銅と塩化銅水溶液の作り方・製法について、詳しく解説してきました。

固体の塩化銅(II)を製造する方法としては、実験室では酸化銅(II)と塩酸を反応させる方法が最も一般的です。反応式CuO + 2HCl → CuCl₂ + H₂Oに従い、黒色の酸化銅が塩酸に溶けて青緑色の塩化銅水溶液が生成されます。この溶液を濃縮・結晶化させることで、青緑色の塩化銅(II)二水和物(CuCl₂・2H₂O)が得られるでしょう。

塩化銅水溶液を調製する場合は、市販の塩化銅(II)二水和物を蒸留水に溶かす方法が最も簡便です。濃度の計算を行い、必要な質量を精密に測定して溶解させることで、正確な濃度の水溶液が得られます。希釈や濃縮による濃度調整も可能であり、C₁V₁ = C₂V₂の公式を用いて計算できるのです。

工業的には、金属銅と塩素ガスを直接反応させる方法が主流です。300〜400℃で反応させることで、連続的に塩化銅を製造できます。用途に応じて、二水和物、無水物、水溶液など、異なる形態で供給されており、それぞれに最適な製法や精製法が採用されているでしょう。

実験室で塩化銅を製造する際は、安全面への配慮が極めて重要です。保護メガネと手袋を必ず着用し、換気の良い場所で作業を行うこと。また、廃液は中和処理や沈殿処理を施してから廃棄し、環境への影響を最小限に抑える必要があります。適切な手順と安全対策を守ることで、有用な化学物質である塩化銅を安全に製造・利用できるのです。