it

可用性とシステムの関係は?冗長性や設計方法も解説(冗長構成・障害対策・高可用性・システムアーキテクチャ)

当サイトでは記事内に広告を含みます

現代のビジネス環境では、システムの停止は直接的な売上損失・顧客離れ・信頼性低下につながるため、高い可用性を持つシステムの設計が企業にとって重要な課題となっています。

可用性とシステム設計の関係を正しく理解し、冗長構成や障害対策の手法を把握することで、ビジネスの継続性を支える堅牢なシステムを構築することができます。

本記事では、可用性とシステムの関係・冗長化の概念と手法・高可用性アーキテクチャの設計方法・障害対策のベストプラクティスについて詳しく解説していきます。

可用性とシステム設計の基本的な関係

それではまず、可用性とシステム設計の基本的な関係について解説していきます。

システムの可用性はその設計段階から大きく決定づけられるため、可用性を後から改善しようとすると大規模な設計変更が必要になることが多く、要件定義・設計フェーズから可用性を意識した設計を行うことが根本的に重要です。

可用性要件とシステム設計の関係

システムの可用性要件(稼働率目標)は、その要件を達成するために必要な設計・インフラ構成・運用体制を決定します。

稼働率99.0%:年間停止許容時間 約87.6時間(比較的シンプルな構成で対応可能)

稼働率99.9%:年間停止許容時間 約8.76時間(冗長化・監視強化が必要)

稼働率99.99%:年間停止許容時間 約52.6分(高度な冗長化・自動復旧が必要)

稼働率99.999%:年間停止許容時間 約5.26分(最高水準の設計・運用体制が必要)

目標とする稼働率が高いほど設計コスト・運用コストが増大するため、ビジネスの重要度とコストのバランスを考慮した現実的な可用性目標の設定が重要です。

単一障害点(SPOF)の排除

高可用性システムの設計において最も基本的な原則が「単一障害点(Single Point of Failure:SPOF)の排除」です。

単一障害点とは、その部分が故障するとシステム全体が停止してしまうコンポーネントのことです。

Webサーバー・データベースサーバー・ネットワーク機器・電源など、システムを構成するすべてのコンポーネントについてSPOFが存在しないかを確認し、冗長化によって排除することが高可用性設計の出発点となります。

可用性を高める設計パターンの全体像

可用性を高めるための主な設計パターンには以下のものがあります。

冗長化(Redundancy)・フェイルオーバー(Failover)・ロードバランシング(Load Balancing)・クラスタリング(Clustering)・マルチAZ/マルチリージョン構成・自動スケーリング(Auto Scaling)などが代表的な設計手法として挙げられます。

冗長化の手法とシステムアーキテクチャ

続いては、冗長化の主な手法とシステムアーキテクチャへの適用方法を確認していきます。

冗長化はシステムの可用性を高めるための最も基本的かつ効果的なアプローチです。

アクティブ・スタンバイ構成

アクティブ・スタンバイ構成(Active-Standby)は、通常時は一台のサーバー(アクティブ)が処理を担い、もう一台(スタンバイ)は待機状態にある構成です。

アクティブサーバーに障害が発生すると、スタンバイサーバーが自動的に処理を引き継ぐフェイルオーバーが行われます。

アクティブ・スタンバイ構成はコストを抑えながら冗長性を確保できるシンプルな構成であり、データベースサーバーの冗長化に広く使われています

アクティブ・アクティブ構成

アクティブ・アクティブ構成(Active-Active)は、複数のサーバーが同時に処理を分担する構成です。

ロードバランサーがトラフィックを複数のサーバーに分散し、一台が障害を起こしても残りのサーバーが処理を継続します。

アクティブ・スタンバイ構成と比べてリソースを有効活用できるため、Webサーバーの冗長化では広く採用されています。

マルチAZ・マルチリージョン構成

クラウド環境では、AZ(Availability Zone:可用性ゾーン)やリージョンをまたいだ冗長化が可能です。

マルチAZ構成は同一リージョン内の複数のデータセンターにシステムを分散することで、一つのデータセンターが停止しても別のAZで処理を継続できます。

マルチリージョン構成はさらに広範な災害(大規模自然災害・広域停電など)にも対応できる最高水準の可用性設計として、グローバルなサービスで採用されているでしょう。

高可用性システムの運用管理と障害対策

続いては、高可用性システムの運用管理と効果的な障害対策の方法を確認していきます。

設計だけでなく、日常的な運用管理と障害対応の仕組みが可用性を実際に維持するために不可欠です。

監視・アラートの仕組み

高可用性を維持するためには、システムの状態を常時監視してインシデントを早期に検知する仕組みが必要です。

サーバーのCPU・メモリ・ディスク使用率の監視、応答時間・エラーレートの監視、死活監視(ヘルスチェック)などを組み合わせ、異常を検知したら即座にアラートを発して担当者に通知する仕組みを整備します。

障害の早期検知と迅速な初動対応がMTTR(平均修復時間)を短縮し、可用性の向上に直結します

インシデント対応プロセスの整備

障害が発生した際に迅速かつ適切に対応するためには、インシデント対応プロセスを事前に整備しておくことが重要です。

障害の検知→エスカレーション→原因調査→復旧対応→事後分析(ポストモーテム)という一連の流れを文書化し、担当者全員が理解している状態を作ることで、障害発生時の混乱を最小化できます。

カオスエンジニアリングによる可用性の検証

設計した高可用性アーキテクチャが実際に機能するかを本番環境に近い形で検証するための手法として「カオスエンジニアリング」があります。

意図的に障害を発生させることでシステムの復旧能力・フェイルオーバーの動作・監視の精度などを検証し、弱点を発見して改善につなげるアプローチです。

NetflixのChaos Monkeyが有名な事例であり、大規模Webサービスでは積極的に採用されているでしょう。

まとめ

本記事では、可用性とシステム設計の関係・冗長化の手法・高可用性アーキテクチャ・運用管理と障害対策について解説してきました。

システムの可用性は設計段階から決定づけられるものであり、単一障害点の排除・冗長化・監視体制・インシデント対応プロセスの整備を組み合わせた多層的なアプローチが高可用性の実現に不可欠です。

ビジネスの重要度と可用性要件のバランスを考慮しながら、コスト効率の高い最適な高可用性アーキテクチャを設計することが、システム担当者に求められる重要なスキルとなります。

ぜひ本記事を参考に、自社システムの可用性向上に取り組んでみてください。