化学式等の物性

塩化バリウムの化学式や二水和物では?分子量やイオン式は?

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化学実験や分析化学で頻繁に使用される「塩化バリウム」。この無機化合物は、硫酸イオンの検出試薬として知られていますが、その化学式や性質について正確に理解している方は意外と少ないかもしれません。

塩化バリウムには無水物と二水和物という2つの形態が存在します。それぞれの化学式はどのように表されるのか、分子量はどう計算するのか、またイオン式はどうなっているのでしょうか。

本記事では、塩化バリウムの化学式、二水和物の構造、分子量の計算方法、イオン式の書き方まで、化学的な観点から徹底的に解説していきます。基礎から応用まで、塩化バリウムに関する知識を体系的に学んでいきましょう。

化学式の理解を深めることで、より正確な実験操作や計算が可能になるはずです。

塩化バリウムの基本的な化学式

それではまず、塩化バリウムの基本的な化学式とその成り立ちについて解説していきます。

塩化バリウムとは何か

塩化バリウムは、バリウムイオン(Ba²⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)からなるイオン性化合物です。無色または白色の結晶性固体として存在します。

バリウムはアルカリ土類金属に分類される元素であり、周期表の第2族に属しています。原子番号は56、元素記号はBaです。

塩素は第17族(ハロゲン)に属する非金属元素で、原子番号17、元素記号はClとなります。

この2つの元素が結合して、塩化バリウムという化合物が形成されるのです。

無水塩化バリウムの化学式

無水塩化バリウムの化学式はBaCl₂です。

この化学式の成り立ちを理解するには、イオンの電荷を考える必要があります。

【イオンの電荷】

バリウムイオン:Ba²⁺(2価の陽イオン)

塩化物イオン:Cl⁻(1価の陰イオン)

化合物全体として電気的に中性になるためには、正電荷と負電荷の総和がゼロになる必要があります。

Ba²⁺の電荷が+2であるため、Cl⁻が2個必要となるわけです。したがって、化学式はBaCl₂となります。

塩化バリウムの化学式BaCl₂は、バリウム原子1個に対して塩素原子2個が結合していることを示しています。これは組成式であり、実際の結晶構造では無数のイオンが規則的に配列しています。

化学式の書き方と規則

化学式を書く際には、いくつかの重要な規則があります。

規則 説明 塩化バリウムの例
元素記号の順序 陽イオンを先、陰イオンを後に書く Ba(陽イオン)を先に、Cl(陰イオン)を後に
係数の表記 原子の個数は右下に小さく書く Cl₂(塩素原子が2個)
1の省略 個数が1の場合は数字を書かない Baは1個なので下付き数字なし
電荷の非表記 化学式では電荷を書かない BaCl₂(Ba²⁺やCl⁻とは書かない)

イオン性化合物の化学式は、最も簡単な整数比で表されます。これを組成式または実験式と呼ぶこともあるのです。

分子として独立して存在する共有結合化合物とは異なり、イオン性化合物は結晶格子を形成します。そのため、BaCl₂という式は「バリウムと塩素の比が1:2である」という意味を持つのです。

塩化バリウム二水和物の化学式と構造

続いては、塩化バリウム二水和物の化学式と、その特徴について確認していきます。

二水和物とは何か

二水和物とは、結晶中に2分子の水を含む化合物のことです。この水は結晶水と呼ばれ、化合物の結晶構造の一部を構成しています。

塩化バリウムは、通常の状態では二水和物として存在することが多いのです。市販されている塩化バリウムの多くは、この二水和物の形態となります。

結晶水は、イオンと水分子の間の相互作用によって結晶格子に組み込まれています。単なる付着水や吸着水とは異なり、化学量論的に定まった量の水が含まれているわけです。

塩化バリウム二水和物の化学式

塩化バリウム二水和物の化学式はBaCl₂·2H₂Oです。

この化学式の読み方と意味を詳しく見ていきましょう。

【化学式の構成】

BaCl₂:無水塩化バリウムの部分

·(中黒):結晶水を示す記号

2H₂O:水分子2個

中黒(·)は、結晶水が化合物の一部として存在していることを示す記号です。単なる混合物ではなく、定まった組成を持つ化合物であることを表しています。

塩化バリウム二水和物BaCl₂·2H₂OはBaCl₂1単位あたり、水分子が2個結合していることを意味します。この水は加熱によって取り除くことができ、無水塩化バリウムBaCl₂になります。

二水和物の性質と無水物との違い

塩化バリウムの二水和物と無水物には、いくつかの重要な違いがあります。

項目 二水和物(BaCl₂·2H₂O) 無水物(BaCl₂)
外観 無色透明の結晶 白色の粉末または結晶
分子量 244.26 g/mol 208.23 g/mol
水への溶解性 高い(水和しやすい) 高い
安定性 常温で安定 吸湿性あり
加熱による変化 100℃以上で脱水 変化なし

二水和物を加熱すると、結晶水が失われて無水物に変化します。この変化は以下の化学反応式で表されるのです。

BaCl₂·2H₂O → BaCl₂ + 2H₂O↑

(約100~120℃で進行)

逆に、無水塩化バリウムは吸湿性があり、空気中の水分を吸収して二水和物に戻ることがあります。そのため、無水物を保存する際は、密閉容器に入れて湿気を避ける必要があるでしょう。

塩化バリウムの分子量計算

続いては、塩化バリウムの分子量(正確には式量)の計算方法について見ていきましょう。

原子量と分子量の基礎

分子量を計算するには、まず各元素の原子量を知る必要があります。

原子量とは、炭素12を基準として定められた、原子の相対的な質量です。単位はu(原子質量単位)またはg/molで表されます。

塩化バリウムの計算に必要な原子量は以下の通りです。

元素 元素記号 原子量
バリウム Ba 137.33
塩素 Cl 35.45
水素 H 1.01
酸素 O 16.00

実際には、これらの値は若干異なる場合がありますが、一般的な計算ではこの値が使用されます。

無水塩化バリウムの分子量計算

無水塩化バリウム(BaCl₂)の分子量を計算してみましょう。

【BaCl₂の分子量計算】

Ba:137.33 × 1 = 137.33

Cl:35.45 × 2 = 70.90

合計:137.33 + 70.90 = 208.23 g/mol

したがって、無水塩化バリウムの分子量は約208.23 g/molとなります。

より正確には、イオン性化合物には「分子」が存在しないため、「分子量」ではなく「式量」という用語を使うべきです。しかし、実用上は「分子量」という言葉も広く使われています。

この値は、塩化バリウム1モルの質量が約208.23グラムであることを意味するのです。

二水和物の分子量計算

塩化バリウム二水和物(BaCl₂·2H₂O)の分子量を計算してみましょう。

【BaCl₂·2H₂Oの分子量計算】

BaCl₂の部分:208.23

H₂O 1個の質量:(1.01 × 2) + 16.00 = 18.02

H₂O 2個の質量:18.02 × 2 = 36.04

合計:208.23 + 36.04 = 244.27 g/mol

塩化バリウム二水和物の分子量は約244.27 g/molです。この値は、無水物に水2分子の質量を加えたものとなります。実験で二水和物を使用する際は、この分子量を用いて必要量を計算する必要があります。

二水和物と無水物の分子量の差は約36.04であり、これはちょうど水2分子の質量に相当します。

この関係を理解しておくことで、二水和物から無水物への変換計算が容易になるのです。

分子量を使った実用計算

分子量がわかれば、さまざまな実用的な計算が可能になります。

**例題1:モル数の計算**

10.0 gの無水塩化バリウムは何モルか。

モル数 = 質量 ÷ 分子量

= 10.0 g ÷ 208.23 g/mol

= 0.0480 mol

**例題2:必要な質量の計算**

0.100 molの塩化バリウム二水和物を調製するには何グラム必要か。

質量 = モル数 × 分子量

= 0.100 mol × 244.27 g/mol

= 24.4 g

これらの計算は、実験での試薬調製において極めて重要となります。正確な分子量を用いることで、精密な実験が可能になるでしょう。

塩化バリウムのイオン式と電離

最後に、塩化バリウムのイオン式と、水溶液中での電離について見ていきましょう。

イオン式とは何か

イオン式とは、イオンの電荷を明示した化学式のことです。イオン性化合物がどのようなイオンから構成されているかを示します。

通常の化学式では電荷を書きませんが、イオン式では電荷を右上に記載するのです。

塩化バリウムを構成するイオンは以下の通りとなります。

バリウムイオン:Ba²⁺

塩化物イオン:Cl⁻

Ba²⁺は2個の電子を失った陽イオンであり、Cl⁻は1個の電子を得た陰イオンです。

塩化バリウムの電離式

塩化バリウムを水に溶かすと、イオンに分かれて溶解します。この過程を電離といいます。

塩化バリウムの電離式は以下の通りです。

BaCl₂ → Ba²⁺ + 2Cl⁻

この式は、固体の塩化バリウムが水中で完全に電離し、バリウムイオン1個と塩化物イオン2個に分かれることを示しています。

塩化バリウムは強電解質であるため、水溶液中ではほぼ100%電離します。そのため、電離式では矢印(→)を使い、可逆を示す⇄は使用しません。

水溶液中でのイオンの挙動

塩化バリウム水溶液中では、Ba²⁺とCl⁻が独立して存在しています。

イオン 電荷 水溶液中での特徴
Ba²⁺ +2 水分子に囲まれて水和している
Cl⁻ -1 水分子に囲まれて水和している

水溶液中では、これらのイオンは水分子と相互作用しています。この状態を水和といいます。

水和したイオンは、水溶液中を自由に動き回ることができるため、電気を通す性質(導電性)を示すのです。

Ba²⁺イオンは、硫酸イオン(SO₄²⁻)と反応して白色沈殿を形成します。この反応は、硫酸イオンの検出に利用されています。

Ba²⁺ + SO₄²⁻ → BaSO₄↓(白色沈殿)

イオン式を使った化学反応式

イオン式を用いることで、化学反応をより詳しく表現できます。

**完全イオン式**

塩化バリウム水溶液と硫酸ナトリウム水溶液を混合した場合の反応を、完全イオン式で表すと以下のようになります。

Ba²⁺ + 2Cl⁻ + 2Na⁺ + SO₄²⁻ → BaSO₄↓ + 2Na⁺ + 2Cl⁻

**正味のイオン式**

反応に関与しないイオン(観察者イオン)を除いた式が、正味のイオン式です。

Ba²⁺ + SO₄²⁻ → BaSO₄↓

この式は、実際に化学変化を起こしているイオンのみを示しており、反応の本質を表しているのです。

Na⁺とCl⁻は反応前後で変化していないため、正味のイオン式には含まれません。これらは観察者イオン(spectator ions)と呼ばれます。

イオン式を正しく理解することで、化学反応の仕組みをより深く理解できるようになるでしょう。

まとめ

塩化バリウムの化学式は、無水物がBaCl₂、二水和物がBaCl₂·2H₂Oです。これらはバリウムイオン(Ba²⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)が1:2の比で結合したイオン性化合物となります。

分子量については、無水塩化バリウムが約208.23 g/mol、二水和物が約244.27 g/molです。この値は、実験での試薬調製や濃度計算において極めて重要となります。二水和物の方が結晶水2分子分だけ重いことを理解しておく必要があるでしょう。

イオン式では、BaCl₂ → Ba²⁺ + 2Cl⁻と表されます。塩化バリウムは強電解質であり、水溶液中ではほぼ完全に電離してイオンとなるのです。このイオンの性質を利用して、硫酸イオンの検出などに応用されています。

二水和物と無水物の違い、分子量の計算方法、イオン式の書き方を正確に理解することで、化学実験や計算をより正確に行うことができます。基礎的な知識ですが、実験化学において欠かせない重要な内容でしょう。