化学式等の物性

塩化バリウム水溶液の化学式は?何性?電離式は?

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化学実験において、塩化バリウム水溶液は様々な場面で使用される重要な試薬です。硫酸イオンの検出や沈殿反応の実験など、その用途は多岐にわたります。

しかし、塩化バリウム水溶液の化学式はどのように表されるのでしょうか。また、この水溶液は酸性、中性、塩基性のどれに分類されるのか。さらに、水溶液中でどのように電離しているのでしょうか。

本記事では、塩化バリウム水溶液の化学式、酸塩基性、電離式、水溶液中でのイオンの挙動まで、化学的な観点から徹底的に解説していきます。電離のメカニズムや、水溶液の性質についても詳しく見ていきましょう。

塩化バリウム水溶液の性質を正確に理解することで、より適切な実験操作が可能になるはずです。

塩化バリウム水溶液の基本的な性質

それではまず、塩化バリウム水溶液の基本的な性質と化学式について解説していきます。

塩化バリウム水溶液とは

塩化バリウム水溶液は、塩化バリウム(BaCl₂)を水に溶解させた溶液です。

塩化バリウムは水に溶けやすいイオン性化合物であり、水溶液中では完全に電離してバリウムイオン(Ba²⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)に分かれています。

実験室では、通常、塩化バリウム二水和物(BaCl₂·2H₂O)を水に溶かして使用します。二水和物は無色透明の結晶であり、取り扱いやすい形態です。

塩化バリウムの溶解度は高く、20℃の水100 gに対して約35.8 gが溶解します。この高い溶解度により、比較的濃い水溶液を調製することが可能です。

水溶液の化学式の表記

塩化バリウム水溶液の化学式は、いくつかの方法で表すことができます。

**固体の化学式**

溶質としての塩化バリウムの化学式はBaCl₂です。

二水和物を使用する場合はBaCl₂·2H₂Oと表記します。

**水溶液としての表記**

水溶液であることを明示する場合、以下のような表記方法があります。

表記方法 意味
組成式 + (aq) BaCl₂(aq) 水溶液中の塩化バリウム
電離したイオン Ba²⁺(aq) + 2Cl⁻(aq) 水溶液中のイオン状態
化学式 + 水溶液 BaCl₂水溶液 日本語表記

(aq)は「aqueous(水の、水溶液の)」の略で、その物質が水溶液中に存在することを示す記号です。

化学反応式では、塩化バリウム水溶液をBaCl₂(aq)と表記することが一般的となります。

溶解の過程

塩化バリウムが水に溶解する過程を段階的に見ていきましょう。

**ステップ1:結晶格子の破壊**

固体の塩化バリウムは、Ba²⁺とCl⁻が規則的に配列したイオン結晶です。水分子がこの結晶に接近すると、水の極性によってイオン間の静電気的な引力が弱められます。

**ステップ2:水和**

結晶から離れたイオンは、水分子に囲まれます。この現象を水和といいます。

Ba²⁺ + nH₂O → [Ba(H₂O)n]²⁺(水和イオン)

Cl⁻ + mH₂O → [Cl(H₂O)m]⁻(水和イオン)

水分子は極性分子であり、酸素原子側が部分的に負、水素原子側が部分的に正の電荷を持っています。そのため、Ba²⁺の周りには水分子の酸素原子側が、Cl⁻の周りには水素原子側が配向するのです。

**ステップ3:拡散**

水和したイオンは、水溶液中を自由に移動できるようになります。これにより、溶液全体に均一に分散していきます。

塩化バリウム水溶液の酸塩基性

続いては、塩化バリウム水溶液が酸性、中性、塩基性のどれに該当するのかを確認していきます。

塩化バリウム水溶液のpH

塩化バリウム水溶液は、ほぼ中性を示します。

正確には、純粋な塩化バリウム水溶液のpHは約7付近となり、わずかに塩基性を示す場合もありますが、実用上はほぼ中性と考えて問題ありません。

溶液 pH 性質
純水 7.0 中性
塩化バリウム水溶液 約6.5~7.5 ほぼ中性(わずかに塩基性)
塩酸(0.1 M) 約1 強酸性
水酸化ナトリウム(0.1 M) 約13 強塩基性

中性を示す理由

塩化バリウム水溶液がほぼ中性を示す理由を、化学的に説明していきましょう。

塩化バリウムは、強塩基と強酸から生成した塩です。

【生成の考え方】

Ba(OH)₂(強塩基)+ 2HCl(強酸)→ BaCl₂ + 2H₂O

水酸化バリウムは強塩基、塩化水素(塩酸)は強酸に分類されます。

強酸と強塩基から生成した塩の水溶液は、一般的に中性を示します。これは、構成イオンが水と反応して酸や塩基を生成しない(加水分解しない)ためです。

**加水分解の有無**

塩化バリウムの構成イオンであるBa²⁺とCl⁻は、水とほとんど反応しません。

Ba²⁺は強塩基である水酸化バリウムから来たイオンであり、水溶液中で水酸化物イオン(OH⁻)を生成する能力が非常に弱いのです。

同様に、Cl⁻は強酸である塩酸から来たイオンであり、水溶液中で水素イオン(H⁺)を生成する能力がほとんどありません。

そのため、水溶液のpHは中性付近に保たれるわけです。

わずかに塩基性を示す場合

厳密には、塩化バリウム水溶液はわずかに塩基性を示すことがあります。

これは、Ba²⁺イオンが微弱ながら加水分解を起こすためです。

Ba²⁺ + 2H₂O ⇄ Ba(OH)₂ + 2H⁺

ただし、この反応の平衡は大きく左に偏っており、実際に生成するOH⁻の量は極めて少量です。

そのため、通常の実験操作においては、塩化バリウム水溶液を「中性」として扱って問題ありません。

硫酸イオンの検出などの実験では、溶液のpHがほぼ中性であることが、正確な結果を得るために重要となります。

塩化バリウムの電離式

続いては、塩化バリウムが水溶液中でどのように電離するのか、その電離式を見ていきましょう。

電離とは何か

電離とは、イオン性化合物や極性分子が水に溶解した際に、陽イオンと陰イオンに分かれる現象です。

塩化バリウムのようなイオン性化合物は、元々イオンから構成されています。水に溶解すると、これらのイオンが結晶格子から離れて、水溶液中に分散するのです。

電離によって生じたイオンは、水溶液中を自由に移動できます。この性質により、イオン性化合物の水溶液は電気を通す性質(導電性)を持つわけです。

塩化バリウムの電離式

塩化バリウムの電離式は以下のように表されます。

BaCl₂ → Ba²⁺ + 2Cl⁻

この式は、塩化バリウム1単位が水に溶解すると、バリウムイオン1個と塩化物イオン2個に完全に電離することを示しています。

**式の各部分の説明**

記号 意味
BaCl₂ 塩化バリウム(溶質)
完全電離を示す矢印
Ba²⁺ バリウムイオン(2価の陽イオン)
2Cl⁻ 塩化物イオン2個(1価の陰イオン)

矢印が一方向(→)であることに注目しましょう。これは、塩化バリウムが強電解質であり、水溶液中でほぼ100%電離することを意味しています。

弱電解質の場合は、可逆反応を示す⇄が使用されますが、塩化バリウムではこの記号は用いません。

水溶液中での表記

水溶液であることを明示する場合、状態記号(aq)を付けて表記します。

BaCl₂(aq) → Ba²⁺(aq) + 2Cl⁻(aq)

または、水溶液中では最初から電離した状態で存在しているため、以下のように表すこともあります。

BaCl₂水溶液 = Ba²⁺(aq) + 2Cl⁻(aq)

電離度と電気伝導性

塩化バリウムの電離度は、ほぼ1(100%)です。

電離度(α)は、溶解した物質のうち、どれだけの割合が電離しているかを示す値です。

電離度α = 電離した分子数 ÷ 溶解した全分子数

塩化バリウムのような強電解質では、α ≈ 1となります。

**電気伝導性**

電離によって生じたイオンは、電荷を持っているため、電場中で移動します。この性質により、塩化バリウム水溶液は電気を通すのです。

電気伝導度は、イオン濃度とイオンの移動度に依存します。塩化バリウム水溶液は、以下の理由で比較的高い電気伝導度を示します。

– 完全に電離している(α ≈ 1)
– 1分子から3個のイオンが生成する
– Ba²⁺は2価のイオンである

水溶液中でのイオンの挙動

最後に、塩化バリウム水溶液中でイオンがどのように振る舞うのかを見ていきましょう。

水和イオンの構造

水溶液中のBa²⁺とCl⁻は、水分子に囲まれた水和イオンとして存在しています。

**バリウムイオンの水和**

Ba²⁺は2価の陽イオンであるため、比較的多くの水分子と相互作用します。

[Ba(H₂O)n]²⁺

n = 6~8程度(配位数)

水分子の酸素原子側(部分的に負)がBa²⁺(正)に向かって配向し、イオンを取り囲むように配置されます。

**塩化物イオンの水和**

Cl⁻は1価の陰イオンであり、バリウムイオンより少ない数の水分子と相互作用します。

[Cl(H₂O)m]⁻

m = 1~6程度

水分子の水素原子側(部分的に正)がCl⁻(負)に向かって配向します。

水和によって、イオンは安定化され、水溶液中に分散した状態を保つことができます。水和していないイオンは、すぐに再結合して沈殿を形成してしまうでしょう。

イオンの移動と反応性

水和イオンは、水溶液中を自由に移動できます。

**拡散による移動**

濃度勾配がある場合、イオンは濃度の高い場所から低い場所へ移動します(拡散)。

**電場による移動**

電場をかけると、陽イオンは陰極へ、陰イオンは陽極へ移動します。この移動が電流を生み出すのです。

**反応性**

水溶液中のBa²⁺は、特定の陰イオンと反応して沈殿を形成します。

陰イオン 反応 生成物
SO₄²⁻ Ba²⁺ + SO₄²⁻ → BaSO₄↓ 硫酸バリウム(白色沈殿)
CO₃²⁻ Ba²⁺ + CO₃²⁻ → BaCO₃↓ 炭酸バリウム(白色沈殿)
CrO₄²⁻ Ba²⁺ + CrO₄²⁻ → BaCrO₄↓ クロム酸バリウム(黄色沈殿)

これらの反応は、バリウムイオンや各陰イオンの検出に利用されています。

濃度とイオン濃度の関係

塩化バリウム水溶液の濃度から、各イオンの濃度を計算できます。

**計算例**

0.100 mol/Lの塩化バリウム水溶液中の各イオンの濃度を求めてみましょう。

BaCl₂ → Ba²⁺ + 2Cl⁻

[Ba²⁺] = 0.100 mol/L

[Cl⁻] = 0.100 × 2 = 0.200 mol/L

塩化バリウム1分子から塩化物イオンが2個生成するため、Cl⁻の濃度はBa²⁺の2倍になります。

**イオン強度**

溶液のイオン強度は、全イオンの濃度と電荷を考慮した値です。

I = 1/2 Σ(ci × zi²)

0.100 M BaCl₂水溶液の場合:

I = 1/2 [(0.100 × 2²) + (0.200 × 1²)]

= 1/2 [0.400 + 0.200]

= 0.300 mol/L

イオン強度が高いほど、イオン間の相互作用が強くなり、溶液の性質に影響を与えます。

まとめ

塩化バリウム水溶液の化学式は、BaCl₂(aq)と表記され、水溶液中ではBa²⁺(aq) + 2Cl⁻(aq)として存在しています。電離式はBaCl₂ → Ba²⁺ + 2Cl⁻であり、塩化バリウムは強電解質として完全に電離するのです。

酸塩基性については、塩化バリウム水溶液はほぼ中性を示します。これは、強塩基(水酸化バリウム)と強酸(塩酸)から生成した塩であるため、加水分解がほとんど起こらないからです。実用上、pH 7付近の中性溶液として扱うことができます。

水溶液中では、Ba²⁺とCl⁻は水和イオンとして存在し、水分子に囲まれた状態で自由に移動しています。この性質により、塩化バリウム水溶液は電気を通す性質を持ち、また硫酸イオンなどと反応して沈殿を形成することができるのです。

電離式や水溶液の性質を正確に理解することで、化学反応式の記述や実験操作をより適切に行うことができるでしょう。特に、硫酸イオンの検出実験では、塩化バリウムが完全に電離してBa²⁺を供給することが重要な役割を果たしています。