化学式等の物性

塩化カリウムの化学式・組成式・分子量・構造式・電子式は?式量が正しい?覚え方のコツは?【なぜ】

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化学の学習において、塩化カリウムは基本的かつ重要な無機化合物の一つです。医薬品、肥料、食品添加物など、様々な分野で広く使用されています。

しかし、塩化カリウムの化学式はどのように表されるのでしょうか。組成式、分子式、構造式、電子式など、様々な表記方法がありますが、それぞれどのような意味を持っているのか。また、「分子量」と「式量」のどちらを使うべきなのでしょうか。さらに、これらを効率的に覚える方法はあるのでしょうか。

本記事では、塩化カリウムの各種化学式、分子量と式量の違い、構造式と電子式の書き方、効果的な覚え方まで、基礎から応用まで徹底的に解説していきます。塩化カリウムの性質や用途についても詳しく見ていきましょう。

化学式の正しい理解は、化学反応式の記述や計算問題の解答において極めて重要です。

塩化カリウムの基本的な化学式

それではまず、塩化カリウムの基本的な化学式について解説していきます。

化学式・組成式

塩化カリウムの化学式(組成式)はKClです。

この式は、カリウム原子1個に対して塩素原子が1個結合していることを示しています。

KCl

K:カリウム原子 1個

Cl:塩素原子 1個

塩化カリウムは、カリウムイオン(K⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)がイオン結合で結びついたイオン性化合物です。食塩(塩化ナトリウム、NaCl)と同じアルカリ金属の塩化物であり、構造や性質も似ています。

イオン式による表記

塩化カリウムをイオンの組み合わせとして表すことができます。

イオンの構成

K⁺(カリウムイオン)

Cl⁻(塩化物イオン)

KCl

カリウムイオンは+1の電荷を持ち、塩化物イオンは-1の電荷を持ちます。電荷の釣り合いから、K⁺とCl⁻が1:1の比率で結合するのです。

イオン 電荷 個数 合計電荷
K⁺ +1 1 +1
Cl⁻ -1 1 -1
合計 0(中性)

分子式との違い

塩化カリウムは分子として存在しないため、厳密には「分子式」は存在しません。

イオン性化合物の表記

【塩化カリウムの場合】

組成式:KCl

分子式:存在しない(イオン性化合物のため)

【比較:水の場合(分子性化合物)】

組成式:H₂O

分子式:H₂O(分子として存在)

塩化カリウムは固体ではK⁺とCl⁻が規則的に配列したイオン結晶を形成し、個々の「KCl分子」として独立に存在するわけではないのです。

分子量と式量の違い

続いては、塩化カリウムの質量を表す際に、「分子量」と「式量」のどちらを使うべきかを確認していきます。

式量を使うべき理由

塩化カリウムはイオン性化合物であるため、「式量」を使うのが正しいです。

分子量と式量の定義

用語 定義 適用対象
分子量 分子を構成する原子の原子量の総和 共有結合化合物(分子)
式量 化学式に含まれる原子の原子量の総和 イオン性化合物、金属など

塩化カリウムは分子として存在しないため、「分子量」という用語は厳密には正確ではありません。「式量」を使うべきです。ただし、実用上は「分子量」という言葉が広く使われることもあります。

塩化カリウムの式量計算

塩化カリウム(KCl)の式量を計算してみましょう。

必要な原子量

元素 元素記号 原子量
カリウム K 39.10
塩素 Cl 35.45

式量の計算

【KClの式量計算】

K:39.10 × 1 = 39.10

Cl:35.45 × 1 = 35.45

合計:39.10 + 35.45 = 74.55 g/mol

したがって、塩化カリウム(KCl)の式量は約74.55 g/molです。

この値は、塩化カリウム1モルの質量が約74.55グラムであることを意味します。

概算値での計算

実用上は、概算値を使って計算することも多いです。

【概算値】

K:約39

Cl:約35.5

合計:39 + 35.5 = 74.5 g/mol

この概算値でも、実用上は十分な精度となります。

構造式と電子式の表記

続いては、塩化カリウムの構造式と電子式について見ていきましょう。

イオン結晶の構造

固体の塩化カリウムは、イオン結晶を形成します。

結晶構造

塩化カリウムは、岩塩型構造(NaCl型構造)を持っています。

・K⁺とCl⁻が交互に規則的に配列

・立方晶系

・各K⁺は6個のCl⁻に囲まれる

・各Cl⁻は6個のK⁺に囲まれる

・配位数:6

項目 塩化カリウム(KCl) 塩化ナトリウム(NaCl)
結晶構造 岩塩型(NaCl型) 岩塩型
結晶系 立方晶系 立方晶系
配位数 6 6
格子定数 約0.629 nm 約0.564 nm

構造式の表記

イオン性化合物の構造式は、イオンの配置を示す形で表されます。

単純化した表記

K⁺ Cl⁻

この表記は、カリウムイオンと塩化物イオンがイオン結合で結びついていることを示しています。

結晶中の配置(概念図)

Cl⁻-K⁺-Cl⁻

|  |  |

K⁺-Cl⁻-K⁺

|  |  |

Cl⁻-K⁺-Cl⁻

実際の結晶では、このような配置が三次元的に広がっています。

電子式の書き方

電子式は、価電子(最外殻電子)を明示的に示した化学式です。

イオンの電子配置

【カリウムイオン(K⁺)】

K⁺

価電子なし(電子を1個失った状態)

電子配置:[Ar](アルゴンと同じ)

【塩化物イオン(Cl⁻)】

[:Cl:]⁻

 : :

価電子8個(電子を1個受け取った状態)

電子配置:[Ar](アルゴンと同じ)

電子式での表記

K⁺ [:Cl:]⁻

   : :

カリウムイオンは電子を失っているため価電子がなく、塩化物イオンは最外殻に8個の電子を持ち、オクテット則を満たしています。

電子の移動

塩化カリウムが形成される際の電子の移動を確認しましょう。

【反応前】

K:[Ar] 4s¹(価電子1個)

Cl:[Ne] 3s² 3p⁵(価電子7個)

【電子の移動】

K → K⁺ + e⁻(電子を1個放出)

Cl + e⁻ → Cl⁻(電子を1個受け取る)

【反応後】

K⁺:[Ar](安定)

Cl⁻:[Ar](安定)

カリウム原子とCl原子は、どちらも電子の移動によって希ガス(アルゴン)と同じ電子配置になります。これは非常に安定な状態であり、イオン結合が形成される原動力となっているのです。

塩化カリウムの覚え方のコツ

続いては、塩化カリウムの化学式や性質を効率的に覚える方法を見ていきましょう。

化学式の覚え方

塩化カリウムの化学式KClを覚えるコツを紹介します。

イオンの電荷から考える

カリウムと塩素のイオンの電荷を覚えておけば、化学式を導き出せます。

K⁺(1価の陽イオン)

Cl⁻(1価の陰イオン)

電荷の釣り合い:

K⁺ × 1 = +1

Cl⁻ × 1 = -1

合計 = 0

したがって KCl

アルカリ金属の規則性

カリウムは第1族(アルカリ金属)であり、すべて1価の陽イオンになります。

元素 イオン 塩化物
リチウム(Li) Li⁺ LiCl
ナトリウム(Na) Na⁺ NaCl
カリウム(K) K⁺ KCl
ルビジウム(Rb) Rb⁺ RbCl

アルカリ金属の塩化物は、すべて1:1の組成(MCl)となります。

式量の覚え方

式量74.55を効率的に覚える方法を見てみましょう。

原子量から計算できるようにする

主要な原子量を覚えておけば、いつでも計算できます。

K:約39(正確には39.10)

Cl:約35.5(正確には35.45)

合計:39 + 35.5 = 74.5

語呂合わせ

「カリウム(K)39、塩素35.5、足して74.5」

このように声に出して覚えると、記憶に残りやすくなります。

食塩との比較で覚える

塩化カリウムは食塩(塩化ナトリウム)と構造が似ているため、比較して覚えると効果的です。

比較表

項目 塩化ナトリウム(NaCl) 塩化カリウム(KCl)
化学式 NaCl KCl
式量 58.44 g/mol 74.55 g/mol
金属イオン Na⁺(1価) K⁺(1価)
結晶構造 岩塩型 岩塩型
用途 食塩 減塩食品、肥料

NaとKの違いだけで、他の性質は非常に似ています。

周期表での位置関係

周期表での位置から化学式を導き出す方法も有効です。

カリウム(K):第1族(アルカリ金属)

→ 1価の陽イオンになりやすい

塩素(Cl):第17族(ハロゲン)

→ 1価の陰イオンになりやすい

1:1の組成 → KCl

他の化合物との比較

最後に、塩化カリウムと他の化合物を比較することで、理解を深めていきましょう。

他のカリウム化合物との比較

カリウムを含む様々な化合物を比較してみましょう。

化合物 化学式 陰イオン 式量
塩化カリウム KCl Cl⁻ 74.55
硫酸カリウム K₂SO₄ SO₄²⁻ 174.26
炭酸カリウム K₂CO₃ CO₃²⁻ 138.21
硝酸カリウム KNO₃ NO₃⁻ 101.10
水酸化カリウム KOH OH⁻ 56.11

全ての化合物で、カリウムは+1の酸化数を持っています。

アルカリ金属塩化物との比較

第1族元素の塩化物を比較してみましょう。

化合物 化学式 式量 融点(℃)
塩化リチウム LiCl 42.39 605
塩化ナトリウム NaCl 58.44 801
塩化カリウム KCl 74.55 770
塩化ルビジウム RbCl 120.92 715
塩化セシウム CsCl 168.36 645

原子番号が大きくなるほど、式量は増加しますが、融点は必ずしも単調増加ではありません。

よくある間違いと注意点

塩化カリウムに関して、よくある間違いを確認しておきましょう。

間違い1:K₂Clと書く

× K₂Cl
○ KCl

カリウムは1価のイオンになるため、塩素との比率は1:1です。

間違い2:ClKと書く

× ClK
○ KCl

化学式では、陽イオンを先に書くのが慣例です。

間違い3:式量の計算ミス

× 39 + 35 = 74(塩素の原子量を35としている)
○ 39 + 35.5 = 74.5(塩素の原子量は35.5)

塩素の原子量は35ではなく、約35.5(35.45)であることに注意しましょう。

まとめ

塩化カリウムの化学式(組成式)はKClです。これはカリウムイオン(K⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)が1:1の比率でイオン結合により結びついていることを示しています。固体では岩塩型のイオン結晶を形成し、食塩(NaCl)と同じ構造を持っているのです。

質量については、塩化カリウムはイオン性化合物であるため「式量」を用いるのが正確であり、その値は約74.55 g/molとなります。概算値では39 + 35.5 = 74.5として計算でき、実用上は十分な精度です。

構造式では、K⁺とCl⁻がイオン結合で結びついた形で表されます。電子式では、カリウムイオンは価電子を持たず、塩化物イオンは最外殻に8個の電子を持ち、両者ともアルゴンと同じ安定な電子配置となっています。

覚え方のコツとしては、カリウムが第1族の1価陽イオンになることを理解し、塩素と1:1で結合すると導き出すことが効果的です。式量は原子量から計算できるようにしておくことで、いつでも導き出せます。食塩(NaCl)との比較や、周期表での位置関係から理解することで、より深い化学の知識が身につくはずです。