アルミニウム金属の工業的製造の核心がアルミナの溶融塩電解(ホール・エルー法)です。
本記事では、ホール・エルー法の原理・電解槽の構造・エネルギー消費・環境への影響を解説していきます。
アルミナの溶融塩電解とは「氷晶石溶融塩中でAl₂O₃を電気分解してアルミニウム金属を製造するホール・エルー法」である
それではまず、溶融塩電解の基本原理を解説していきます。
アルミナ(Al₂O₃)の融点は2050℃と非常に高いため、そのままでは溶融電解できません。
氷晶石(Na₃AlF₆)を主成分とする溶融塩に溶解させて融点を約960℃に下げ、そこで電気分解するのがホール・エルー法の基本原理です。
ホール・エルー法の電気化学反応:陰極(炭素):Al³⁺ + 3e⁻ → Al(金属アルミニウムとして底部に沈降)・陽極(炭素):2O²⁻ → O₂ + 4e⁻(生成した酸素が炭素陽極と反応してCO₂を生成)・全反応:2Al₂O₃ + 3C → 4Al + 3CO₂(炭素陽極が消耗)。
電解槽の構造
工業用電解槽(ポット)は鉄製シェルに炭素ライニングを施した浴槽であり、その中に氷晶石−アルミナ溶融塩が入っています。
直流電流(数万〜数十万アンペア)を通電して電気分解を行い、底部に溶融アルミニウムが蓄積します。
定期的にアルミナを補給し、溶融アルミニウムをサイフォンで抜き取ります。
高いエネルギー消費
アルミニウム製錬はエネルギー多消費型産業として知られます。
アルミニウム1トン製造には約13〜15 MWh(メガワット時)の電力が必要であり、アルミニウムが「電気の缶詰」とも呼ばれる所以です。
アルミニウムリサイクルでは新地金製造の約5%のエネルギーで再生できるため、リサイクル率の向上が環境負荷低減に直結します。
フッ素系温室効果ガスの問題
電解プロセスでは炭素陽極の効果が下がる「陽極効果」発生時にPFC(パーフルオロカーボン:CF₄・C₂F₆)という強力な温室効果ガスが生成します。
陽極効果の発生回数低減・プロセス管理の改善が温室効果ガス排出削減の重要課題となっています。
まとめ
本記事では、アルミナの溶融塩電解(ホール・エルー法)の原理・電解槽の構造・エネルギー消費・環境問題を解説してきました。
130年以上変わらない基本原理で世界のアルミニウム製造を支えるホール・エルー法ですが、省エネ・温室効果ガス削減への取り組みが現代の重要課題となっています。