Excelでアークタンジェントを使いたいけれど、「どの関数を使えばいいの?」「ATAN関数とATAN2関数って何が違うの?」と疑問に感じている方もいるでしょう。
ExcelにはATAN関数とATAN2関数の2種類が用意されており、目的に応じて使い分けることが大切です。
この記事では、ExcelのATAN関数・ATAN2関数の使い方・計算式・度数法との変換をわかりやすく解説していきます。
ExcelのATAN関数がアークタンジェントの基本関数
それではまず、ExcelのATAN関数について解説していきます。
ATAN関数の書式:
=ATAN(数値)
戻り値:ラジアン単位の角度(-π/2 〜 π/2)
例:=ATAN(1) → 0.785398…(=π/4 ラジアン)
ATAN関数の引数には任意の実数を入力でき、対応する角度(ラジアン)が返ってきます。
Excelの三角関数はすべてラジアン単位で計算されますので、度数法で結果を使いたい場合は変換が必要です。
度数法への変換
ラジアンを度数法に変換するには、DEGREES関数を使うか、×(180/PI())を掛ける方法があります。
度数変換の方法:
方法①:=DEGREES(ATAN(1)) → 45(度)
方法②:=ATAN(1)*(180/PI()) → 45(度)
DEGREES関数はラジアンを度に変換する専用関数です。
逆に度からラジアンに変換するにはRADIANS関数を使います。
ATAN関数の活用例
建築・測量・機械設計の現場では、傾斜角や方位角の計算にATAN関数が使われます。
たとえば「水平距離100m・高さ50mのときの仰角」は「=DEGREES(ATAN(50/100))」と入力すると約26.57度と計算できます。
傾斜率からの角度計算など、実務でも非常に役立つ関数です。
ATAN関数の注意点
ATAN関数は1つの引数(比率)を入力してそれに対応する角度を返しますが、第1象限と第3象限が区別できないという制限があります。
たとえばATAN(y/x)ではxが正の方向からの角度のみ求まり、座標が第2・第3象限にある場合は正しい方位角が得られません。
この制限を解消するのがATAN2関数です。
ATAN2関数の使い方と特徴
続いては、ATAN2関数の使い方と特徴について確認していきます。
ATAN2関数の書式
ATAN2関数の書式:
=ATAN2(x座標, y座標)
戻り値:-π 〜 π の範囲のラジアン角度
例:=ATAN2(1, 1) → 0.785398…(π/4、第1象限45°)
例:=ATAN2(-1, 1) → 2.356194…(第2象限135°)
ATAN2は2引数版のアークタンジェントであり、(x, y)座標からベクトルの方位角を全方向で正確に計算できます。
Excelの引数順が「x座標, y座標」であることに注意が必要で、プログラミング言語のatan2とは引数の順が逆の場合があります。
ATAN2を使った方位角計算
| 座標 (x, y) | ATAN2(x, y) | 角度(度) | 方向 |
|---|---|---|---|
| (1, 0) | 0 | 0° | 右(東) |
| (1, 1) | π/4 | 45° | 右上 |
| (0, 1) | π/2 | 90° | 上(北) |
| (-1, 0) | π | 180° | 左(西) |
| (0, -1) | -π/2 | -90° | 下(南) |
このように全方向の角度を正確に返せるATAN2は、方位・方向計算が必要な業務で特に有用です。
Googleスプレッドシートでも同様に使える
GoogleスプレッドシートでもATAN関数・ATAN2関数はExcelと同じ書式で使用できます。
クラウドベースでの業務でも同様の計算が可能ですので、覚えておくと便利でしょう。
実務での活用シーン
続いては、ExcelでATAN関数・ATAN2関数を活用する実務シーンについて解説していきます。
測量・建築での傾斜角計算
水平距離と垂直距離が与えられたとき、傾斜角の計算にATAN関数が使えます。
傾斜角計算の例:
水平距離 A2 = 100、高さ B2 = 30
傾斜角(度)= DEGREES(ATAN(B2/A2)) → 16.7°
屋根の勾配計算や道路の傾斜設計など、建築・土木分野での実務に役立ちます。
ベクトル・方位の計算
GPS座標の差から方位角を求める場合もATAN2関数が活躍します。
北方向を0度として時計回りに角度を表したい場合は、ATAN2の結果を補正する計算式が必要になりますが、基本的な計算の土台はATAN2関数です。
数値シミュレーションでの活用
物理シミュレーションや電気工学の計算でも位相角の計算にATAN関数を使う場面があります。
Excelを使った数値計算ツールを作成する際に、ATAN・ATAN2はよく登場する関数です。
まとめ
この記事では、ExcelのATAN関数・ATAN2関数の書式・使い方・変換方法・実務での活用シーンを解説しました。
ATAN(x)は1引数で角度を返し、ATAN2(x, y)は全方向の方位角を計算できます。
戻り値はラジアン単位ですので、DEGREES関数や×(180/PI())での変換も忘れずに。
測量・建築・プログラム的な数値計算など様々な場面で活用できますので、ぜひ業務に取り入れてみてください。