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ファイバーチャネルの構成要素は?アーキテクチャとトポロジも!(HBA:スイッチ:ポイントツーポイント:ループ:ファブリックなど)

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ファイバーチャネルSANを実際に設計・構築・管理するためには、その構成要素とトポロジを正確に理解することが必要です。

HBAからスイッチ・トポロジの選択まで、各要素の役割を体系的に把握することがSAN設計の基礎となります。

本記事では、ファイバーチャネルの構成要素・アーキテクチャ・3種類のトポロジ(ポイントツーポイント・FCアービトレーテッドループ・ファブリック)を詳しく解説していきます。

ストレージエンジニア・インフラエンジニア・データセンター設計に携わる方にぜひ参考にしていただける内容です。

ファイバーチャネルの構成要素の理解は、SAN設計の最適化・トラブルシューティング・拡張性の判断に直接役立ちます。

各トポロジのメリット・デメリットと適した用途を理解することで、システム要件に合った最適な構成選択ができるようになるでしょう。

ファイバーチャネルの主要構成要素:HBA・スイッチ・ストレージの役割

それではまず、ファイバーチャネルSANを構成する主要な要素とその役割について解説していきます。

ファイバーチャネルSANは複数の専用コンポーネントによって構成されています。

構成要素 役割 備考
HBA(Host Bus Adapter) サーバーとFCネットワークを接続するアダプターカード 各HBAにWWPNが付与される
FCスイッチ(ファブリックスイッチ) 複数のサーバー・ストレージを相互接続するスイッチ BrocadeやCisco MDS等が代表的
ストレージアレイ 実際のデータを保存するストレージ装置 NetApp・EMC・HPE等が代表的
光ファイバーケーブル HBA・スイッチ・ストレージを接続するケーブル SFPトランシーバーが必要
SFPトランシーバー 光信号と電気信号を変換するモジュール 速度・距離に応じて選択する

HBA(Host Bus Adapter)はファイバーチャネルSANにおけるサーバー側の「玄関口」であり、HBAのWWPN(World Wide Port Name)がSAN上でサーバーを一意に識別するためのアドレスとして機能します。

FCスイッチは複数のポートを持ち、接続されたすべてのデバイスを相互に通信させる役割を担います。

冗長性を確保するために、本番環境では2台のスイッチによる「デュアルファブリック」構成が標準的な設計です。

デュアルファブリック構成では、各サーバーのHBAと各ストレージポートを2つの独立したFCスイッチに接続します。

一方のスイッチ・HBA・ストレージポートが障害を起こしても、もう一方のパスで通信を継続できるため高可用性が実現されます。

マルチパスソフトウェアがこの2本のパスを管理して、負荷分散と自動フェイルオーバーを実現します。

ファイバーチャネルの3つのトポロジ:ポイントツーポイント・FCアービトレーテッドループ・ファブリック

続いては、ファイバーチャネルの3つのトポロジとその特徴について確認していきます。

ファイバーチャネルには3種類の接続トポロジがあり、規模・用途・コストに応じて選択します。

【トポロジ①:ポイントツーポイント(Point-to-Point)】

サーバー1台とストレージ1台を直接接続する最もシンプルな構成です。

スイッチが不要でコストが低いですが、拡張性がなく接続できるデバイス数が2台に限られます。

小規模な専用接続に使われますが、現在の本番環境ではほとんど使われません。

【トポロジ②:FCアービトレーテッドループ(FC-AL)】

最大126台のデバイスをループ状に接続する構成です。

スイッチなしで複数デバイスを接続できますが、一度に通信できるのは1台のみのためパフォーマンスが制限されます。

旧来のDAS(Direct Attached Storage)環境で使われましたが、現在は主にストレージアレイの内部ループで使用されます。

【トポロジ③:ファブリック(Switched Fabric)】

FCスイッチを中心に多数のデバイスを接続する最も一般的な現代のトポロジです。

理論上1600万台以上のデバイスを接続でき、すべてのデバイスが同時に通信できます。

スイッチコストはかかりますが、スケーラビリティ・パフォーマンス・管理性に優れ、本番SAN環境の標準構成です。

トポロジ 接続可能台数 同時通信 コスト 現在の使用状況
ポイントツーポイント 2台 可能 最低 ほぼ使われない
FCアービトレーテッドループ 最大126台 1台ずつ ストレージ内部のみ
スイッチドファブリック 理論上1600万台以上 全デバイス同時 本番SAN環境の標準

現代の本番SANはほぼすべてスイッチドファブリックトポロジを採用しており、デュアルファブリック構成が高可用性の標準設計となっています。

ファイバーチャネルアーキテクチャの設計ポイント:ISLとコアエッジ設計

続いては、ファイバーチャネルアーキテクチャの設計ポイントについて確認していきます。

大規模なファブリックSANを設計する際に重要な概念が「ISL(Inter-Switch Link)」と「コアエッジ設計」です。

【ISLとコアエッジ設計の概要】

ISL(Inter-Switch Link)

FCスイッチ同士を接続するポートおよびリンクのことです。

ISLのポート数・帯域幅がファブリック全体のスループットのボトルネックになりうるため、ISLの設計は重要です。

コアエッジ設計

「コアスイッチ(バックボーン)」と「エッジスイッチ(接続層)」に分けた階層設計です。

エッジスイッチにサーバーやストレージを接続し、コアスイッチがエッジ間のトラフィックを中継します。

大規模SANの標準設計パターンであり、スケーラビリティと管理性を両立します。

ISLのオーバーサブスクリプション比(エッジポート数とISLポート数の比率)の管理が、ファブリックのパフォーマンスを左右する重要な設計指標です。

一般的にはオーバーサブスクリプション比を7:1以下に抑えることが推奨されており、I/O要求が特に厳しい環境ではさらに低い比率が求められます。

ゾーニング設定・ISLの帯域設計・デュアルファブリックの冗長構成を組み合わせることで、高可用性・高性能・高セキュリティなSAN環境が実現します。

まとめ

ファイバーチャネルSANの主要構成要素はHBA・FCスイッチ・ストレージアレイ・光ファイバーケーブル・SFPトランシーバーです。

デュアルファブリック構成が本番SANの高可用性標準設計であり、マルチパスソフトウェアで2本のパスを管理します。

3つのトポロジのうち「スイッチドファブリック」が現代の本番SANの標準であり、スケーラビリティ・パフォーマンス・管理性に優れています。

大規模SANではコアエッジ設計とISLのオーバーサブスクリプション比の管理が性能を左右する重要な設計ポイントです。

ファイバーチャネルの構成要素とアーキテクチャを正しく理解することで、信頼性の高いSAN環境の設計・構築・運用が実現するでしょう。