メディアン径の概念は理解できても、「実際にどうやって求めるの?」「計算方法が難しそう」と感じる方も多いのではないでしょうか。
メディアン径の求め方は、篩分け試験やレーザー回折法などの測定方法によって異なりますが、基本的な考え方はいずれも「累積頻度50%の点を読み取る」という共通のアプローチです。
本記事では、メディアン径の計算方法・測定手順・実際のデータからの求め方を、具体的な例を使いながらわかりやすく解説していきます。
メディアン径の求め方は累積頻度50%に対応する粒子径を粒度分布から読み取ることである
それではまず、メディアン径の求め方の基本的な考え方について解説していきます。
メディアン径の求め方の基本は、粒度分布データから累積頻度(累積ふるい下百分率)が50%になる粒子径を読み取るまたは補間計算によって求めるというアプローチです。
測定装置(レーザー回折散乱装置など)を使った場合は、装置のソフトウェアが自動的にD50(メディアン径)を算出して表示してくれます。
篩分け試験などの手動測定の場合は、得られたデータをもとに累積分布曲線をグラフ化し、50%に対応する粒子径を読み取る計算が必要です。
メディアン径はデータの測定方法(体積基準・個数基準・面積基準)によって異なる値が得られます。
工業的な粒度分布測定では一般的に「体積基準のメディアン径(Dv50)」が使われますが、用途によって基準が異なる場合があるため、測定条件の確認が重要です。
篩分け試験によるメディアン径の求め方
続いては、篩分け試験から得たデータを使ってメディアン径を求める方法を確認していきます。
篩分け試験の手順
篩分け試験の基本手順:
1. 目開きの異なる複数の篩を目開きが大きい順に積み重ねる(例:2000μm・1000μm・500μm・250μm・125μm・受け皿)
2. 最上部の篩に試料を載せ、振とう機(ロータップ等)を用いて一定時間(例:10分)振とうする
3. 各篩上に残った試料の重量を測定する
4. 全体の重量に対する各篩上の試料の重量割合(ふるい上百分率)を計算する
5. 小さい粒子から累積して「ふるい下累積百分率(累積頻度)」を計算する
篩分け試験データからの計算例
例:試料100gを篩分けした結果(仮想データ):
2000μm上:5g(ふるい上5%)
1000μm上:15g(ふるい上15%)
500μm上:25g(ふるい上25%)
250μm上:30g(ふるい上30%)
125μm上:20g(ふるい上20%)
受け皿:5g(ふるい上5%)
累積ふるい下百分率:
125μm以下:5%
250μm以下:25%
500μm以下:55%
累積頻度50%は250μm〜500μmの間にあることがわかります。
補間計算によるメディアン径の算出
累積頻度50%が二つのデータ点の間に位置する場合、線形補間によりメディアン径を計算します。
線形補間の計算式:
D50 = D_lower + (D_upper – D_lower) × (50 – F_lower) / (F_upper – F_lower)
上記例の場合:
D50 = 250 + (500 – 250) × (50 – 25) / (55 – 25)
D50 = 250 + 250 × 25/30
D50 = 250 + 208.3 ≈ 458μm
この場合のメディアン径は約458μmとなります。
線形補間は最もシンプルな計算方法ですが、より精度の高い結果が必要な場合は対数補間を使用することが多いです。
レーザー回折法によるメディアン径の測定手順
続いては、現代の粒度分布測定で最も広く使われているレーザー回折法によるメディアン径の測定手順を確認していきます。
湿式測定の手順
レーザー回折法(湿式)の測定手順:
1. 分散媒(純水・エタノール等)を装置の循環部に入れる
2. 超音波分散でバックグラウンドを測定する
3. 試料を少量ずつ添加し、適切な遮光度(5〜20%程度)に調整する
4. 超音波照射により粒子を均一に分散させる
5. レーザー照射・散乱パターンの測定・データ解析を実行する
6. D10・D50・D90などの粒度指標が自動算出される
測定結果の確認ポイント
レーザー回折法での測定において、信頼性の高い結果を得るための確認ポイントがあります。
繰り返し測定(通常3〜5回)の結果が一致していること(再現性の確認)が最も重要です。
また、分散条件(超音波時間・分散剤の種類と濃度)の最適化も測定結果に大きく影響するため、標準サンプルを用いた条件検討を事前に行うことが推奨されます。
メディアン径測定における注意点
続いては、メディアン径の測定精度に影響する注意点を確認していきます。
粒子の凝集・分散状態の管理
粒子が凝集(アグロメレーション)した状態で測定すると、実際の一次粒子のメディアン径より大きな値が測定されます。
適切な分散剤の選択・超音波分散処理・かくはん速度の最適化によって、粒子を適切に分散させてから測定することが正確な測定の前提です。
測定原理による値の違い
レーザー回折法と動的光散乱法ではメディアン径の計算原理が異なるため、同じ試料でも測定方法によって異なる値が得られます。
測定データを比較・参照する際は、必ず測定方法・基準(体積基準か個数基準か)・分散条件を確認することが重要です。
| 測定方法 | 測定の基準 | メディアン径の表記 |
|---|---|---|
| レーザー回折法 | 体積基準 | Dv50 |
| 動的光散乱法 | 強度基準(または個数基準) | Di50またはDn50 |
| 篩分け法 | 質量基準 | Dm50 |
まとめ
本記事では、メディアン径の求め方・篩分け試験からの計算方法・レーザー回折法による測定手順・測定上の注意点について解説しました。
メディアン径は累積頻度50%に対応する粒子径として定義され、篩分け試験では線形補間によって計算し、レーザー回折法では装置が自動的に算出します。
正確なメディアン径を得るためには、粒子の適切な分散・測定の再現性確認・測定基準の統一が重要です。
測定方法や基準によって値が異なることを理解したうえで、データの比較・管理を行いましょう。