プランク定数を学ぶ上で最も重要なのが、その公式の意味と使い方を正確に理解することです。
「E = hν」はプランク定数を含む量子力学の最も基本的な公式であり、光子1個が持つエネルギーと振動数の関係を表しています。
本記事では、E = hνという量子エネルギー式の意味から、波長との関係式、具体的な計算手順、さらには関連する重要公式まで、わかりやすく丁寧に解説します。
計算例を豊富に取り上げますので、量子力学の問題演習にも役立てていただけるでしょう。
E=hνとは何か?プランク定数の基本公式を解説
それではまず、E = hνという公式の意味と成り立ちについて解説していきます。
E = hνは「光子1個のエネルギーEは、プランク定数hと光の振動数νの積に等しい」ことを示す量子力学の根本公式です。
E = hνの各記号の意味:
E:光子1個のエネルギー(単位:J またはeV)
h:プランク定数(6.626 × 10⁻³⁴ J·s)
ν(ニュー):光の振動数(単位:Hz = s⁻¹)
→ 振動数が高いほど光子1個のエネルギーが大きくなる。
この公式は1905年にアインシュタインが光電効果を説明するために提唱した光量子仮説に基づいています。
光は電磁波としての波動性を持つと同時に、E = hνというエネルギーを持つ粒子(光子・光量子)としても振る舞うという「波と粒子の二重性」がこの公式の核心です。
振動数νは1秒間に振動する回数を表し、可視光では4〜8 × 10¹⁴ Hz程度の範囲に収まります。
紫外線・X線・ガンマ線になると振動数(そしてエネルギー)はさらに大きくなります。
振動数と光の色の関係
E = hνによると、振動数が高い光ほど光子1個のエネルギーが高くなります。
| 光の種類 | 振動数ν(Hz) | 光子エネルギーE(eV) |
|---|---|---|
| 赤色光 | 約4.3 × 10¹⁴ | 約1.77 |
| 黄色光 | 約5.2 × 10¹⁴ | 約2.15 |
| 緑色光 | 約5.7 × 10¹⁴ | 約2.34 |
| 青色光 | 約6.4 × 10¹⁴ | 約2.65 |
| 紫外線 | 約10¹⁵〜10¹⁶ | 約4〜40 |
赤色光よりも紫色・紫外線のほうが光子1個のエネルギーが高く、皮膚や目に対するダメージが大きいのはこのためです。
角振動数を使った表現(E=ℏω)
振動数νの代わりに角振動数ω(オメガ)を使って書くと、E = hνはE = ℏωという形になります。
角振動数を使った表現:
ω = 2πν(角振動数:ラジアン毎秒)
E = hν = h × (ω/2π) = (h/2π) × ω = ℏω
→ E = ℏω(ℏ:換算プランク定数 = h/2π)
現代の量子力学の教科書では、E = hνよりもE = ℏωの形がよく使われます。
どちらも同じエネルギーを表しており、振動数の表し方(νかωか)の違いにすぎません。
波長とプランク定数の関係式
続いては、波長λとプランク定数hの関係式を確認していきます。
振動数νと波長λの間には c = λν という関係があります(cは光速、c = 3.0 × 10⁸ m/s)。
これをE = hνに代入することで、波長を使ったエネルギー公式が得られます。
E=hc/λという波長エネルギー式
波長を使ったエネルギー公式の導出:
c = λν より ν = c/λ
E = hν = h × (c/λ) = hc/λ
→ E = hc/λ
E:光子のエネルギー(J)
h:プランク定数(6.626 × 10⁻³⁴ J·s)
c:光速(2.998 × 10⁸ m/s)
λ:波長(m)
E = hc/λより、波長が短い光ほど光子1個のエネルギーが大きいことがわかります。
波長が半分になれば光子のエネルギーは2倍になるという反比例の関係です。
計算例:λ=500nmの光子エネルギーを求める
計算例:波長500 nm(緑色光)の光子エネルギー
λ = 500 nm = 500 × 10⁻⁹ m
E = hc/λ
= (6.626 × 10⁻³⁴ × 3.0 × 10⁸) / (500 × 10⁻⁹)
= (1.988 × 10⁻²⁵) / (5.0 × 10⁻⁷)
= 3.97 × 10⁻¹⁹ J
eV換算:3.97 × 10⁻¹⁹ / 1.602 × 10⁻¹⁹ ≈ 2.48 eV
可視光の光子は1個あたり約1.8〜3.1 eVのエネルギーを持つことが計算からわかります。
ド・ブロイ波長公式との関係
光子だけでなく、電子などの粒子も波長を持ちます(物質波)。
ド・ブロイの関係式 λ = h/p(pは運動量)を使うと、粒子の波長もプランク定数を通じてエネルギーと結びつきます。
ド・ブロイ波長とエネルギーの関係:
運動エネルギー E = p²/2m より p = √(2mE)
λ = h/p = h/√(2mE)
→ エネルギーが高いほど物質波の波長が短くなる
プランク定数の公式を使った応用計算
続いては、プランク定数の公式を使った応用計算例を確認していきます。
光電効果の計算問題
光電効果の問題では、E = hν と仕事関数Wを使って光電子の最大運動エネルギーを求めます。
光電効果の計算例:
ナトリウムの仕事関数 W = 2.27 eV
照射光の波長 λ = 300 nm
光子エネルギー E = hc/λ = (6.626 × 10⁻³⁴ × 3 × 10⁸)/(300 × 10⁻⁹) ≈ 4.14 eV
光電子の最大運動エネルギー = E – W = 4.14 – 2.27 = 1.87 eV
LEDの発光波長計算
LEDはバンドギャップエネルギーに対応した波長の光を放出します。
LEDの波長計算例:
バンドギャップ E = 2.8 eV(青色LED)
λ = hc/E = (4.136 × 10⁻¹⁵ × 3 × 10⁸) / 2.8 ≈ 443 nm(青紫色)
青色LEDの開発により白色LEDが実現し、現代の省エネ照明技術の革命が起きたことはノーベル物理学賞受賞(2014年)で広く知られています。
シュレーディンガー方程式との関係
量子力学の根本方程式であるシュレーディンガー方程式にもプランク定数(ℏ)が登場します。
時間依存シュレーディンガー方程式(概要):
iℏ ∂ψ/∂t = Ĥψ
ℏ:換算プランク定数、ψ:波動関数、Ĥ:ハミルトニアン演算子
→ 量子系の時間発展を記述する方程式の中心にℏがある
まとめ
E = hνはプランク定数hと光の振動数νの積が光子エネルギーEに等しいことを示す量子力学の基本公式です。
波長λを使った表現ではE = hc/λとなり、波長が短いほど光子エネルギーが大きくなることがわかります。
角振動数ωを使うとE = ℏωという形で表せます。
光電効果・LEDの発光・シュレーディンガー方程式など量子力学の応用場面で広く活用されるこの公式を、計算手順とあわせてしっかり身につけておくことが量子力学学習の第一歩となるでしょう。