化学式等の物性

塩化アルミニウムの化学式・組成式・分子量・構造式・電子式は?式量が正しい?覚え方のコツは?【なぜ】

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化学の学習において、塩化アルミニウムは重要な無機化合物の一つです。工業的にも広く使用され、触媒や脱水剤として様々な場面で活躍しています。

しかし、塩化アルミニウムの化学式はどのように表されるのでしょうか。組成式、分子式、構造式、電子式など、様々な表記方法がありますが、それぞれどのような意味を持っているのか。また、「分子量」と「式量」のどちらを使うべきなのでしょうか。さらに、これらを効率的に覚える方法はあるのでしょうか。

本記事では、塩化アルミニウムの各種化学式、分子量と式量の違い、構造式と電子式の書き方、効果的な覚え方まで、基礎から応用まで徹底的に解説していきます。塩化アルミニウムの特殊な性質についても詳しく見ていきましょう。

化学式の正しい理解は、化学反応式の記述や計算問題の解答において極めて重要です。

塩化アルミニウムの基本的な化学式

それではまず、塩化アルミニウムの基本的な化学式について解説していきます。

化学式・組成式

塩化アルミニウムの化学式(組成式)はAlCl₃です。

この式は、アルミニウム原子1個に対して塩素原子が3個結合していることを示しています。

AlCl₃

Al:アルミニウム原子 1個

Cl:塩素原子 3個

塩化アルミニウムは、常温・常圧下では主にイオン性化合物として存在しますが、気体や有機溶媒中では二量体(Al₂Cl₆)を形成する特殊な性質を持っています。このため、状態によって構造が異なるという点で興味深い化合物です。

イオン式による表記

塩化アルミニウムをイオンの組み合わせとして表すことができます。

イオンの構成

Al³⁺(アルミニウムイオン)

3Cl⁻(塩化物イオン)

AlCl₃

アルミニウムイオンは+3の電荷を持ち、塩化物イオンは-1の電荷を持ちます。電荷の釣り合いから、Al³⁺ 1個に対してCl⁻ 3個が必要となるのです。

イオン 電荷 個数 合計電荷
Al³⁺ +3 1 +3
Cl⁻ -1 3 -3
合計 0(中性)

二量体の化学式

気体状態や有機溶媒中では、塩化アルミニウムは二量体を形成します。

Al₂Cl₆

この二量体は、2つのAlCl₃が結合した構造を持ち、塩素原子が架橋(ブリッジ)の役割を果たしています。

状態による化学式の違い

状態 化学式 構造
固体(常温) AlCl₃ イオン結晶
気体(高温) Al₂Cl₆ 二量体(分子)
有機溶媒中 Al₂Cl₆ 二量体(分子)

分子量と式量の違い

続いては、塩化アルミニウムの質量を表す際に、「分子量」と「式量」のどちらを使うべきかを確認していきます。

分子量と式量の定義

まず、分子量と式量の違いを正確に理解しましょう。

分子量

分子を構成する原子の原子量の総和です。分子として独立に存在する物質(共有結合化合物)に対して使用される用語となります。

式量

化学式に含まれる原子の原子量の総和です。イオン性化合物や金属など、分子として存在しない物質に対して使用される用語です。

塩化アルミニウムの場合

塩化アルミニウムは、固体ではイオン性化合物、気体では分子として存在します。

厳密には、固体の塩化アルミニウムに対しては「式量」、気体の二量体に対しては「分子量」を使うべきです。ただし、実用上はAlCl₃の「式量」または「分子量」という言葉が広く使われています。

塩化アルミニウムの式量計算

塩化アルミニウム(AlCl₃)の式量を計算してみましょう。

必要な原子量

元素 元素記号 原子量
アルミニウム Al 26.98
塩素 Cl 35.45

式量の計算

【AlCl₃の式量計算】

Al:26.98 × 1 = 26.98

Cl:35.45 × 3 = 106.35

合計:26.98 + 106.35 = 133.33 g/mol

したがって、塩化アルミニウム(AlCl₃)の式量は約133.33 g/molです。

この値は、塩化アルミニウム1モルの質量が約133.33グラムであることを意味します。

二量体の分子量

気体状態の二量体(Al₂Cl₆)の分子量も計算してみましょう。

【Al₂Cl₆の分子量計算】

Al:26.98 × 2 = 53.96

Cl:35.45 × 6 = 212.70

合計:53.96 + 212.70 = 266.66 g/mol

二量体の分子量は、単量体の式量の2倍となります(133.33 × 2 ≈ 266.66)。

構造式と電子式の表記

続いては、塩化アルミニウムの構造式と電子式について見ていきましょう。

単量体(AlCl₃)の構造

単独のAlCl₃分子の構造を考えてみましょう。

分子構造

アルミニウム原子を中心に、3つの塩素原子が平面三角形に配置されています。

  Cl

  |

Cl-Al-Cl

結合角:約120°

形状:平面三角形

電子配置

アルミニウムは3価の陽イオンになりやすく、塩素は1価の陰イオンになりやすい元素です。

元素 価電子数 イオン化
Al 3個 Al³⁺(3個の電子を放出)
Cl 7個 Cl⁻(1個の電子を受け取る)

二量体(Al₂Cl₆)の構造式

気体や有機溶媒中での二量体の構造は特徴的です。

架橋構造

  Cl  Cl

  |  |

Cl-Al Al-Cl

   \/

   Cl

   /\

  Cl Cl

この構造では、2つの塩素原子が2つのアルミニウム原子を架橋(ブリッジ)しています。

二量体では、各アルミニウム原子に4つの塩素原子が配位しています。そのうち2つは末端の塩素(terminal Cl)、2つは架橋の塩素(bridging Cl)です。架橋の塩素は、2つのアルミニウム原子と結合を形成しています。

電子式の書き方

電子式は、価電子(最外殻電子)を明示的に示した化学式です。

イオン性化合物としての電子式

固体の塩化アルミニウムをイオン性化合物として表すと以下のようになります。

Al³⁺ [:Cl:]⁻

    : :   ×3

アルミニウムイオンは電子を失っているため、価電子がありません。塩化物イオンは最外殻に8個の電子を持っています。

共有結合としての電子式

気体の単量体を共有結合として表すと以下のようになります。

  :Cl:

  : :

:Cl:Al:Cl:

: :  : :

ただし、アルミニウムは電子不足の化合物を形成するため、オクテット則(8個の電子)を満たしていません(6個の電子のみ)。

塩化アルミニウムの覚え方のコツ

続いては、塩化アルミニウムの化学式や性質を効率的に覚える方法を見ていきましょう。

化学式の覚え方

塩化アルミニウムの化学式AlCl₃を覚えるコツを紹介します。

イオンの電荷から考える

アルミニウムと塩素のイオンの電荷を覚えておけば、化学式を導き出せます。

Al³⁺(3価の陽イオン)

Cl⁻(1価の陰イオン)

電荷の釣り合い:

Al³⁺ × 1 = +3

Cl⁻ × 3 = -3

合計 = 0

したがって AlCl₃

周期表での位置から考える

アルミニウムは第13族(3価)、塩素は第17族(1価の陰イオンになりやすい)という周期表の位置関係から覚えることもできます。

式量の覚え方

式量133.33を正確に覚える必要がある場合は、以下の方法が有効です。

原子量から計算できるようにする

主要な原子量を覚えておけば、いつでも計算できます。

元素 原子量(概算) 正確な値
Al 27 26.98
Cl 35.5 35.45

概算値で計算すると:27 + (35.5 × 3) = 27 + 106.5 = 133.5

この値は覚えやすく、実用上十分な精度です。

分割して覚える

– Al部分:27
– Cl₃部分:35.5 × 3 = 106.5
– 合計:27 + 106.5 = 133.5

このように分割すると、計算が簡単になります。

構造の理解を深める方法

単に暗記するだけでなく、構造を理解することで記憶が定着しやすくなります。

電子配置から考える

アルミニウムと塩素の電子配置を理解すると、なぜ1:3の比率で結合するかが分かります。

【アルミニウム(Al)】

電子配置:[Ne] 3s² 3p¹

価電子:3個

→ 3個の電子を放出してAl³⁺に

【塩素(Cl)】

電子配置:[Ne] 3s² 3p⁵

価電子:7個

→ 1個の電子を受け取ってCl⁻に

Al³⁺ 1個が放出する3個の電子を、Cl原子3個が1個ずつ受け取ることで、AlCl₃が形成されるのです。

二量体の理解

塩化アルミニウムが二量体を形成する理由を理解しましょう。

電子不足の解消

単量体のAlCl₃では、アルミニウムは6個の電子しか持たず、オクテット則を満たしていません。

【単量体】

Alの周りの電子:6個(電子不足)

【二量体】

Alの周りの電子:8個(オクテット則を満たす)

二量体を形成することで、アルミニウムは架橋塩素から電子対を共有し、より安定な構造になるのです。

他の化合物との比較

最後に、塩化アルミニウムと他の化合物を比較することで、理解を深めていきましょう。

他の塩化物との比較

様々な金属の塩化物を比較してみましょう。

化合物 化学式 金属の価数 式量
塩化ナトリウム NaCl +1 58.44
塩化カルシウム CaCl₂ +2 110.98
塩化アルミニウム AlCl₃ +3 133.33
塩化鉄(III) FeCl₃ +3 162.20

金属の価数が高いほど、塩素の数が増えることがわかります。

アルミニウムの他の化合物との比較

アルミニウムを含む他の化合物と比較してみましょう。

化合物 化学式 陰イオン 式量
塩化アルミニウム AlCl₃ Cl⁻ 133.33
硫酸アルミニウム Al₂(SO₄)₃ SO₄²⁻ 342.15
酸化アルミニウム Al₂O₃ O²⁻ 101.96
水酸化アルミニウム Al(OH)₃ OH⁻ 78.00

全ての化合物で、アルミニウムは+3の酸化数を持っています。

よくある間違いと注意点

塩化アルミニウムに関して、よくある間違いを確認しておきましょう。

間違い1:AlCl₂と書く

× AlCl₂
○ AlCl₃

アルミニウムは3価のイオンになるため、塩素は3個必要です。

間違い2:Al₃Clと書く

× Al₃Cl
○ AlCl₃

陽イオンと陰イオンの順序を間違えないようにしましょう。化学式では、陽イオンを先に書きます。

間違い3:式量と分子量の混同

固体の塩化アルミニウムについて「分子量」と言うのは厳密には正確ではありません。「式量」が正しい用語です。

まとめ

塩化アルミニウムの化学式(組成式)はAlCl₃です。これはアルミニウムイオン(Al³⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)が1:3の比率で結合していることを示しています。気体や有機溶媒中では二量体(Al₂Cl₆)を形成するという特殊な性質も持っているのです。

質量については、固体の塩化アルミニウムに対しては厳密には「式量」を用いるべきであり、その値は約133.33 g/molとなります。気体の二量体の分子量は、単量体の式量の2倍で約266.66 g/molです。

構造式では、単量体は平面三角形、二量体は塩素原子が架橋する特徴的な構造を持ちます。電子式では、イオン性化合物としての表記と共有結合としての表記があり、状態によって使い分けることができるでしょう。

覚え方のコツとしては、アルミニウムが3価の陽イオンになることを理解し、そこから塩素が3個必要だと導き出すことが効果的です。式量は原子量から計算できるようにしておくことで、いつでも導き出せます。電子配置や二量体形成の理由を理解することで、より深い化学の知識が身につくはずです。