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水酸化バリウムは、バリウムと水酸化物イオンからなる強塩基であり、化学式はBa(OH)₂と表されます。
化学の学習において、化学式・組成式・分子量(式量)の正確な理解は、試験対策の基礎として欠かせません。
また、電子式・構造式・イオン式・電離式・示性式といった多様な表記方法も、しっかり押さえておきたいポイントです。
さらに、強塩基としての性質・硫酸との反応による硫酸バリウム沈殿の生成なども、試験で頻出のテーマのひとつ。
この記事では、水酸化バリウムに関する基礎知識を、わかりやすく丁寧に解説していきます。
水酸化バリウムの化学式はBa(OH)₂!組成式・分子量の基本まとめ
それではまず、水酸化バリウムの化学式・組成式・分子量について解説していきます。
水酸化バリウムの化学式はBa(OH)₂です。
これは、バリウムイオンBa²⁺が1個と、水酸化物イオンOH⁻が2個で構成されていることを示しています。
電荷のバランスを確認すると、Ba²⁺=+2、OH⁻×2=−2となり、過不足なく釣り合っているのがわかるでしょう。
組成式は化学式と同様にBa(OH)₂と書くのが一般的です。
イオン結晶では化学式と組成式が一致することが多く、水酸化バリウムもその典型例に当てはまります。
示性式についても、特別な官能基を強調する必要がないため、通常はBa(OH)₂として表記されます。
分子量(式量)の計算方法
水酸化バリウムの分子量(正確には式量)を計算してみましょう。
各元素の原子量は、Ba=137、O=16、H=1を使用します。
Ba:137×1=137
O:16×2=32
H:1×2=2
合計:137+32+2=171
したがって、水酸化バリウムの式量は171となります。
Baの原子量137は比較的大きな値であるため、正確に覚えておくことが計算ミスを防ぐポイントです。
「Ba(OH)₂=式量171」とセットで覚えておきましょう。
八水和物(Ba(OH)₂・8H₂O)の式量
水酸化バリウムは実験室では八水和物(Ba(OH)₂・8H₂O)として存在することが多いです。
八水和物の式量は以下のように計算します。
Ba(OH)₂:171
8H₂O:18×8=144
合計:171+144=315
八水和物の式量は315となります。
水和物の計算では水分子の数をかけ忘れないよう注意が必要でしょう。
覚え方のコツ
化学式Ba(OH)₂の覚え方としては、Ba²⁺とOH⁻のたすき掛けが便利です。
Ba²⁺の価数2とOH⁻の価数1をたすき掛けすると、BaにはOHが2個つき、Ba(OH)₂が導けます。
Ca(OH)₂・Mg(OH)₂と同じ形式であることを意識してセットで覚えると整理しやすいでしょう。
水酸化バリウムの電子式・構造式・イオン式・電離式を解説
続いては、水酸化バリウムの電子式・構造式・イオン式・電離式について確認していきましょう。
電子式の書き方
水酸化バリウムはイオン結晶であるため、構成イオンであるBa²⁺とOH⁻のそれぞれの電子式を理解することが基本となります。
OH⁻(水酸化物イオン)の電子式では、OとHが共有結合し、O原子に非共有電子対が3組存在する構造として記述します。
Ba²⁺については、バリウム原子が電子を2個失ったイオンとして表記するのがポイントです。
構造式のポイント
水酸化バリウムの構造式は、Ba²⁺を中心に2つのOH⁻がイオン結合でつながった形として表されます。
固体状態では層状構造を持ちますが、高校化学レベルでは上記のシンプルな理解で整理しておきましょう。
電離式
水酸化バリウムの電離式は以下のように表されます。
水酸化バリウムは水に溶けてほぼ完全に電離する強塩基であるため、電離式には→(一方向の矢印)を使います。
OH⁻が2個生成することで、同じ物質量のNaOH(OH⁻を1個生成)に比べて2倍のOH⁻が供給される点が重要でしょう。
水酸化バリウムの強塩基としての性質・水溶液の液性
続いては、水酸化バリウムの強塩基としての性質と水溶液の液性について確認していきましょう。
強塩基としての特徴
水酸化バリウムは強塩基に分類される水酸化物です。
水に溶けた分はほぼ完全に電離してBa²⁺とOH⁻を生成するため、水溶液は強いアルカリ性を示します。
溶解度はCa(OH)₂よりも高く、25℃での溶解度は約3.7 g/100 mLとアルカリ土類金属の水酸化物の中では比較的高い値です。
| 塩基 | 化学式 | 溶解性 | 電離の程度 |
|---|---|---|---|
| 水酸化ナトリウム | NaOH | 非常によく溶ける | 完全電離(強塩基) |
| 水酸化バリウム | Ba(OH)₂ | よく溶ける | 完全電離(強塩基) |
| 水酸化カルシウム | Ca(OH)₂ | わずかに溶ける | 溶けた分は完全電離 |
| 水酸化マグネシウム | Mg(OH)₂ | ほとんど溶けない | 難溶性(弱塩基的) |
アルカリ土類金属の水酸化物は原子番号が大きいほど溶解度が高くなる傾向があり、Be(OH)₂<Mg(OH)₂<Ca(OH)₂<Ba(OH)₂の順に溶解度が増加します。
二価の塩基としての中和当量
水酸化バリウムは二価の塩基(OH⁻を2個放出)であるため、中和反応では一価の酸(HClなど)の2倍の物質量が必要です。
Ba(OH)₂ + H₂SO₄ → BaSO₄↓ + 2H₂O(硫酸との反応)
硫酸との反応では難溶性の硫酸バリウム(BaSO₄)が沈殿する点が、他の塩基との反応と大きく異なります。
水酸化バリウムと硫酸の反応・硫酸バリウム沈殿
続いては、水酸化バリウムと硫酸の反応・硫酸バリウム沈殿の生成について確認していきましょう。
硫酸との反応式
水酸化バリウムと硫酸の反応は、化学の試験で非常によく問われる重要な反応です。
この反応では中和反応と沈殿反応が同時に起こり、白色の硫酸バリウム(BaSO₄)沈殿が生成します。
BaSO₄は水にほとんど溶けない難溶性の塩であり、酸にも溶けない非常に安定な化合物です。
イオン反応式
イオン反応式で見ると、Ba²⁺とSO₄²⁻が結合してBaSO₄沈殿が生成するシンプルな反応です。
OH⁻とH⁺が中和してH₂Oとなる部分と、Ba²⁺とSO₄²⁻が結合してBaSO₄沈殿が生成する部分が同時に進行する点が特徴でしょう。
硫酸バリウムの特徴と利用
硫酸バリウム(BaSO₄)は以下の特徴を持つ重要な化合物です。
・白色の重い粉末(密度約4.5 g/cm³)
・水にほとんど溶けない(Ksp≒1.1×10⁻¹⁰)
・酸・塩基にも溶けない化学的安定性
・X線を透過しにくい性質→消化管のX線造影剤(バリウム検査)として利用
・白色顔料(リトポン)・充填剤・防音材としての工業利用
バリウム検査でバリウムを飲むのはBaSO₄の懸濁液であり、毒性のBa²⁺イオンとは異なるため安全です。
Ba²⁺の検出反応
Ba²⁺イオンの検出には、硫酸イオン(SO₄²⁻)を加えて白色沈殿のBaSO₄を生成させる反応が最も一般的です。
この沈殿は希塩酸・希硝酸にも溶けないため、他の白色沈殿と区別する際の重要な特徴となります。
「Ba²⁺にSO₄²⁻を加えると酸にも溶けない白色沈殿が生成」という点を確実に覚えておきましょう。
まとめ
この記事では、水酸化バリウムの化学式・組成式・分子量(式量)を中心に、電子式・構造式・イオン式・電離式・示性式、強塩基としての性質、硫酸との反応による硫酸バリウム沈殿の生成、Ba²⁺の検出反応まで幅広く解説しました。
化学式Ba(OH)₂、式量171、電離式(Ba(OH)₂→Ba²⁺+2OH⁻)という基本データを確実に押さえておきましょう。
硫酸との反応でBaSO₄の白色沈殿が生成すること・BaSO₄が酸にも溶けない安定な難溶性塩であること・バリウム検査との関連は試験頻出のテーマです。
アルカリ土類金属の水酸化物の溶解度の順序(Mg<Ca<Ba)も含めて、水酸化バリウムの化学を幅広く理解しておくことが得点アップへの近道でしょう。