承るの意味をわかりやすく!ビジネスでの使い方・例文・言い換えも(敬語・メール・目上の人への表現・使う場面など)
「承る」は、電話応対や取引先とのメール、来客対応などでよく見聞きする敬語です。
ただし、何を承るのかによって意味が少し変わるため、使い方に迷う人も少なくありません。
依頼を受ける場合、話を聞く場合、注文を受け付ける場合では、自然な文章の組み立て方も異なります。
この記事では、承るの基本的な意味から、目上の人に失礼なく使うコツ、ビジネスメールの例文、言い換え表現まで詳しく紹介します。
承るの言い換え一覧表とシーン別の使い分け

それではまず、承るの言い換えと場面ごとの使い分けについて解説していきます。
依頼や要望を受ける場面の言い換え
依頼や要望に対して使う「承る」は、「引き受ける」や「受け付ける」の謙譲語です。
自分側が相手から仕事を受ける立場で用いるため、顧客、上司、取引先などに丁寧な印象を与えられます。
| 表現 | 主な意味 | 向いている場面 | 印象 |
|---|---|---|---|
| 承る | 依頼や注文を謹んで受ける | 顧客対応、メール、電話 | 丁寧で格式がある表現 |
| かしこまりました | 依頼内容を理解して引き受ける | 接客、電話、社内外の会話 | 即答に適した柔らかな表現 |
| 承知いたしました | 内容を理解した | 指示への返答、メール | 汎用性が高い表現 |
| お引き受けいたします | 仕事を担当する | 業務依頼、提案への返答 | 担当する意思が明確 |
| 受け付けいたしました | 申込みや注文を受理した | 予約、申請、注文 | 手続きの完了を伝えやすい表現 |
| 拝受いたしました | 書類や品物を受け取った | 資料、請求書、郵送物 | 文書受領に適した表現 |
たとえば、取引先から「見積書を明日までにお願いします」と頼まれた場合は、「ご依頼を承りました」と返すと自然です。
一方で、内容を理解したことだけを伝えたいなら、「承知いたしました」のほうが意味に合います。
承るは、単に理解したことではなく、相手からの依頼や注文を受ける行為に重点がある言葉です。
話や相談を聞く場面の言い換え
「話を承る」は、「聞く」の謙譲語として使われます。
相手の意見、事情、相談内容を丁寧に聞く場面で役立つ表現です。
| 伝えたい内容 | 適した表現 | 例文 |
|---|---|---|
| 相談を聞く | お話を承る | 詳しいご事情をお電話で承ります。 |
| 意見を聞く | ご意見を承る | 皆様からのご意見を承っております。 |
| 希望を聞く | ご希望を承る | ご希望の納期を承ります。 |
| 質問を聞く | ご質問を承る | ご質問はお問い合わせ窓口にて承ります。 |
| 事情を聞く | お話を伺う | まずは状況を伺えますでしょうか。 |
「伺う」も聞くの謙譲語ですが、「承る」のほうがより改まった響きを持ちます。
初回の商談、苦情対応、正式な問い合わせへの返答では、「承る」を選ぶと落ち着いた印象につながるでしょう。
反対に、社内の気軽な打ち合わせで毎回「承る」を使うと、距離を感じさせる場合もあります。
注文や予約を受ける場面の言い換え
店舗、宿泊施設、飲食店、コールセンターでは、「注文を承る」「ご予約を承る」といった表現が定着しています。
注文内容を聞き、受け付ける一連の行為を丁寧に表せるためです。
電話での基本例
「ご注文を承ります。商品名と数量をお聞かせください。」
「ご予約を承りました。当日はお気をつけてお越しください。」
この場合、「ご注文をお伺いします」も誤りではありません。
ただし、注文を正式に受理する意味まで伝えるなら、承るのほうが受付完了の印象を明確にできます。
受付後に内容を確認する文章では、「ご注文内容を確認いたします」と続けると、聞き間違いや認識違いの防止にも役立ちます。
承るの意味と敬語における位置づけ
続いては、承るが持つ意味と敬語としての位置づけを確認していきます。
受けるの謙譲語としての意味
承るには、「受ける」「引き受ける」「受け付ける」という意味があります。
自分または自分の所属する会社が、相手から依頼、注文、申し出を受けるときに使う謙譲語です。
謙譲語は、自分側の動作をへりくだって述べることで、相手への敬意を示す言葉です。
そのため、「ご依頼を承ります」「ご注文を承りました」のように、相手に関わる行為へ使うのが基本となります。
承るは相手を直接高める尊敬語ではなく、自分側を低く表す謙譲語です。
この違いを押さえると、敬語表現の選択がぐっと安定します。
聞くの謙譲語としての意味
承るには、話や意見を「聞く」という意味もあります。
「ご要望を承る」「詳しいお話を承る」のように、相手の発言を丁寧に受け止める場面で使われます。
聞くの謙譲語には「伺う」「拝聴する」もありますが、それぞれ使いやすい対象が異なります。
| 表現 | 主な対象 | 使い方の特徴 |
|---|---|---|
| 承る | 要望、相談、注文、意見 | 聞いて受け付ける意味を含みやすい |
| 伺う | 話、都合、考え、場所 | 聞く以外に訪問する意味もある |
| 拝聴する | 講演、音楽、発表 | 注意深く聞く場面に向く |
| お聞きする | 幅広い会話内容 | 比較的やわらかな印象 |
相談を聞いたうえで対応する場合は、「お話を承り、確認のうえご連絡いたします」と書くと流れが自然です。
単に講演を聞いた感想を述べる場面なら、「拝聴しました」が適しています。
承ると賜るの違い
承ると似た語に「賜る」がありますが、同じように扱うことはできません。
賜るは、目上の人から品物、恩恵、言葉などをいただく意味で使う謙譲語です。
承るは依頼や話などを受ける表現です。
賜るは相手から物や厚意をいただく表現です。
意味の中心が異なるため、「ご注文を賜る」などの表現は一般的な顧客対応では避けたほうが安心です。
「ご支援を賜り、心より御礼申し上げます」は自然です。
一方で、「ご要望を賜りました」は非常に改まった文章では見かけるものの、日常的なビジネスメールでは「ご要望を承りました」のほうがわかりやすいでしょう。
承るを使うビジネスメールの例文
続いては、ビジネスメールで使える承るの例文を確認していきます。
依頼への返信に使う例文
依頼メールへの返答では、受領した事実と、今後の対応を分けて書くことが大切です。
承るだけでは作業の完了を意味しないため、期限や対応予定も添えると親切です。
件名 ご依頼の資料作成について
このたびは資料作成をご依頼いただき、ありがとうございます。
ご依頼内容を承りました。
内容を確認のうえ、金曜日までに初稿をお送りいたします。
「承知いたしました」でも失礼ではありませんが、依頼を引き受ける意味をはっきりさせたいときは「承りました」が便利です。
受領の報告と対応予定をセットにすると、相手は安心して次の判断を進められます。
問い合わせへの返信に使う例文
問い合わせへの返信では、相手が伝えた内容を正確に受け止めたことを示す必要があります。
長い相談や複雑な要望では、承った内容を箇条書きにせず、短い文章で整理すると読みやすくなります。
お問い合わせを承りました。
ご希望の仕様と納期について、担当部署に確認しております。
確認が取れ次第、明日中に改めてご案内いたします。
「お問い合わせいただきありがとうございます」だけで終えると、受付済みなのか判断しにくい場合があります。
「承りました」を加えることで、問い合わせが届き、対応に進んでいることを明確に伝えられます。
注文や予約への返信に使う例文
注文や予約のメールでは、内容の誤りを防ぐために、品名、数量、日時、場所などを確認する文章が欠かせません。
「ご注文を承りました」の後に、注文内容と次の手続きを続ける構成が基本です。
ご注文を承りました。
商品は九月十日に発送予定です。
内容に変更がある場合は、発送予定日の前日までにご連絡ください。
予約の場合は、「ご予約を承りました。当日は受付でお名前をお申し出ください」と案内すると、当日の流れも伝えられます。
承るの直後には、相手が次に知りたい情報を添えることが重要です。
目上の人に使う際の注意点
続いては、目上の人に承るを使う際の注意点を確認していきます。
二重敬語を避ける表現
丁寧にしようとして敬語を重ねすぎると、不自然な二重敬語になることがあります。
「お承りいたします」は、接頭語の「お」と謙譲語の「承る」が重なっており、通常は使いません。
| 避けたい表現 | 自然な表現 | 理由 |
|---|---|---|
| お承りいたします | 承ります | 承る自体が謙譲語 |
| お承りさせていただきます | 承ります | 敬語が重なり回りくどい |
| ご注文を承らせていただきます | ご注文を承ります | 許可を得て行う意味が不要 |
| お話を承らせていただきました | お話を承りました | 簡潔な表現で十分 |
承るは、それだけで十分に丁寧な表現です。
必要以上に言葉を足すよりも、簡潔で正確な敬語を選ぶほうが、信頼感のある文章になります。
相手の行為に使わない判断
承るは自分側の行為に使うため、相手の動作には使えません。
たとえば、取引先が注文する行為に対して「ご注文を承られますか」と言うのは不自然です。
相手の動作には、尊敬語の「ご注文になります」「お申し込みになります」などを使います。
自分側が受ける場合は「承ります」です。
相手が行う場合は「お申し込みになります」や「ご依頼くださる」が適しています。
誰の動作なのかを先に考えると、敬語の選び間違いを防げます。
敬語では、話題になっている動作の主語を意識することが最も大切です。
メールを送る前に、「承るのは自社か、相手か」を確認してみてください。
使いすぎを防ぐ文章の整え方
正式なメールであっても、同じ段落に「承る」を何度も入れると、文章が硬く見えることがあります。
場面に応じて「承知いたしました」「確認いたしました」「受け付けいたしました」などへ言い換えると、読みやすさが保てます。
たとえば、「ご要望を承りました。詳細を承りましたので、承りました内容に沿って進めます」という文章は、意味が伝わるものの単調です。
「ご要望を承りました。詳細を確認のうえ、ご希望に沿って進めます」とすれば、すっきりした印象になります。
敬意は言葉の量ではなく、相手に伝わる正確さと配慮で示すものです。
承るを自然に使う会話と電話応対
続いては、会話や電話応対で承るコツを確認していきます。
電話の第一声に使う表現
電話では、相手の用件を聞き始める段階で「承る」を使うと、丁寧な応対につながります。
ただし、最初から硬すぎる印象にならないよう、相づちと組み合わせることがポイントです。
「お電話ありがとうございます。お問い合わせ内容を承ります。」
「恐れ入りますが、詳しい状況を承ってもよろしいでしょうか。」
「ご用件を承りました。担当者へおつなぎいたします。」
「承ってもよろしいでしょうか」は、相手に話してもらうための丁寧な促しになります。
声の調子が事務的すぎると冷たく受け取られることもあるため、ゆっくりと聞く姿勢を示すとよいでしょう。
クレームや相談に使う表現
苦情や困りごとを聞く場面では、相手の気持ちを受け止める言葉が必要です。
「承りました」だけを早く繰り返すと、話を終わらせようとしている印象を与えるおそれがあります。
まずは「ご不便をおかけし、申し訳ございません」と伝え、その後で事情を承る流れが自然です。
「差し支えなければ、発生した状況を詳しく承ってもよろしいでしょうか」と尋ねれば、丁寧に情報を集められます。
相談対応では、承るという言葉に共感や確認の言葉を添えることが大切です。
社内と社外での使い分け
社外の顧客や取引先には、承るを積極的に使えます。
一方で、社内の同僚や近い関係の上司に対しては、「承知しました」「確認します」でも十分なことが多いでしょう。
| 相手 | 使いやすい表現 | 例 |
|---|---|---|
| 顧客 | 承ります | ご要望を承ります。 |
| 取引先 | 承りました | ご依頼を承りました。 |
| 役員や上司 | 承知いたしました | ご指示の件、承知いたしました。 |
| 同僚 | 確認します | 内容を確認します。 |
| 部下 | 受け取りました | 申請書を受け取りました。 |
社内外の関係性や会社の文化によって、最適な丁寧さは変わります。
迷ったときは、相手が普段用いている言葉遣いも参考にするとよいでしょう。
承るの意味と使い方のまとめ
承るは、「受ける」「引き受ける」「聞く」の意味で使う謙譲語です。
依頼、注文、予約、相談、意見などを、自分側が丁寧に受ける場面に適しています。
依頼を受けるなら「ご依頼を承りました」、話を聞くなら「お話を承ります」というように、対象に合わせて使い分けることが基本です。
ビジネスメールでは、承った後の対応予定や確認事項も続けて書くと、相手に安心感を与えられます。
また、「お承りいたします」のような二重敬語や、相手の行為に承るを使う誤りには注意が必要です。
承るは十分に丁寧な言葉なので、過剰に飾らず、簡潔でわかりやすい文章に整えることが大切です。
正しい意味を理解して使えば、電話でもメールでも、相手への敬意を自然に伝えられるでしょう。