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塩化カルシウムの融点は?沸点との違いや分子量・溶解度・用途も解説【公的機関のリンク付き】

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化学の世界では、さまざまな物質の性質を正確に把握することが重要です。

その中でも塩化カルシウム(CaCl₂)は、融雪剤・乾燥剤・食品添加物など幅広い用途で使われており、私たちの身近に存在する化合物のひとつです。

しかし「融点は何度なのか」「沸点や分子量はどれくらいか」「水への溶解度はどの程度か」といった基本的な物性について、まとまった情報を探している方も多いのではないでしょうか。

本記事では、塩化カルシウムの融点を中心に、沸点との違いや分子量・溶解度・主な用途まで、公的機関のデータも交えながらわかりやすく解説していきます。

ぜひ最後までご覧ください。

塩化カルシウムの融点は約772℃|基本物性まとめ

それではまず、塩化カルシウムの融点と基本的な物性について解説していきます。

塩化カルシウム(CaCl₂)の融点は約772℃(1,045K)です。

これは一般的な有機化合物と比べてかなり高い値であり、イオン結晶特有の強い静電気的引力(クーロン力)が影響しています。

塩化カルシウムはカルシウムイオン(Ca²⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)が規則正しく並んだイオン結晶を形成しています。

このイオン結合は非常に強固であるため、固体を液体に変えるためには大きなエネルギーが必要となり、結果として融点が高くなるわけです。

参考として、国立研究開発法人・産業技術総合研究所が提供する物質データベース「SDBSWeb」や、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の化学物質総合情報提供システム(CHRIP)でも、塩化カルシウムの物性値を確認することができます。

以下に、塩化カルシウムの主な基本物性をまとめた表を示します。

項目 値・内容
化学式 CaCl₂
分子量(式量) 約110.98 g/mol
融点 約772℃(無水物)
沸点 約1,935℃(分解・蒸発)
密度 約2.15 g/cm³(無水物)
外観 白色の固体(粉末・粒状・フレーク状)
溶解度(水、20℃) 約74.5 g/100 mL

このように、塩化カルシウムは高融点・高沸点・高溶解度という特徴を持つ物質です。

それぞれの値の意味については、次の見出し以降でさらに詳しく確認していきましょう。

融点と沸点の違い|塩化カルシウムの場合はどう解釈する?

続いては、融点と沸点の違いについて、塩化カルシウムを例に確認していきます。

融点と沸点はどちらも「物質が相変化する温度」を示しますが、意味はまったく異なります。

融点(melting point):固体 → 液体 に変化する温度

沸点(boiling point):液体 → 気体 に変化する温度

塩化カルシウムの融点は約772℃であり、この温度を超えると固体の結晶構造が崩れ、溶融した液体状態になります。

一方、沸点は約1,935℃とされており、融点との差は実に1,000℃以上にもなります。

この大きな差は、イオン結晶が液体になったあとも、気体になるまでにさらに多くのエネルギーを必要とすることを意味しています。

なお、塩化カルシウムは水和物(CaCl₂・nH₂O)として存在することが多く、水和物の場合は無水物とは異なる融点を示します。

たとえば、よく流通している二水和物(CaCl₂・2H₂O)の融点は約176℃と、無水物よりも大幅に低くなります。

これは結晶水が存在することで、イオン間の結合が弱められるためです。

以下に水和物の種類と融点の比較をまとめます。

種類 化学式 融点(目安)
無水塩化カルシウム CaCl₂ 約772℃
一水和物 CaCl₂・H₂O 約260℃
二水和物 CaCl₂・2H₂O 約176℃
六水和物 CaCl₂・6H₂O 約29℃

特に六水和物(CaCl₂・6H₂O)の融点は約29℃と非常に低く、夏場の室温程度で溶け始めることもあります。

取り扱いの際には、どの水和状態の塩化カルシウムを使用しているかを確認することが重要でしょう。

塩化カルシウムの分子量と溶解度|計算方法と特性を理解しよう

続いては、塩化カルシウムの分子量と溶解度について確認していきます。

分子量(式量)の求め方

塩化カルシウムはイオン結晶であるため、厳密には「分子量」ではなく「式量(formula weight)」と呼ぶのが正確です。

しかし実務や試験では「分子量」として扱われることも多いため、本記事でも分子量として説明します。

CaCl₂の分子量(式量)の計算

Ca(カルシウム)の原子量:40.08

Cl(塩素)の原子量:35.45 × 2個 = 70.90

合計:40.08 + 70.90 = 約110.98 g/mol

この分子量は、溶液の濃度計算やモル計算をおこなう際に必須の値です。

たとえば1モルの塩化カルシウムは約110.98グラムに相当し、これをもとに必要量を計算していきます。

水への溶解度が非常に高い理由

塩化カルシウムは水への溶解度が非常に高い物質として知られています。

20℃における溶解度は約74.5 g/100 mL(水100mLに対して)とされており、これは食塩(塩化ナトリウム)の約35.9 g/100 mLと比較しても、倍以上の溶けやすさです。

この高い溶解度は、Ca²⁺が2価のイオンであり、水分子との水和が非常に強く起こることに由来しています。

また、塩化カルシウムが水に溶けるときには発熱(溶解熱)が生じます。

溶解熱は約82.8 kJ/molとされており、これが融雪剤として機能する一因にもなっています。

温度による溶解度の変化

溶解度は温度によっても変化します。

塩化カルシウムの場合、温度が上がるにつれて溶解度も増加する傾向にあります。

温度 溶解度(g/100 mL 水)
0℃ 約59.5
20℃ 約74.5
40℃ 約128
60℃ 約137

冷たい水でも十分に溶けるため、冬場の融雪用途にも非常に適した物質といえるでしょう。

塩化カルシウムの主な用途|身近な場面での活用例

続いては、塩化カルシウムが実際にどのような場面で使われているかを確認していきます。

融雪剤・凍結防止剤としての使用

塩化カルシウムの代表的な用途のひとつが融雪剤・凍結防止剤です。

道路や駐車場に散布することで、雪や氷の融解を促進し、路面の凍結を防ぎます。

水に溶ける際の発熱(溶解熱)と、凝固点降下の効果によって、非常に低い気温でも効果を発揮します。

塩化カルシウムの水溶液は、純水よりも凝固点が大幅に低下します。

濃度によっては-50℃近くまで凍らない溶液を作ることも可能で、厳寒地での凍結防止に広く活用されています。

ただし、金属への腐食性があるため、使用する環境や量には注意が必要です。

国土交通省や各自治体の道路管理においても、散布量や使用基準が定められています。

乾燥剤・除湿剤としての使用

塩化カルシウムは強力な吸湿性を持つことから、乾燥剤や除湿剤としても広く使われています。

特に塩化カルシウムは水分を吸収すると液体化する「潮解性(ちょうかいせい)」を持つため、容器ごと交換できるタイプの除湿剤製品に多く採用されています。

家庭用の押し入れ除湿剤などでは、底に水がたまる仕組みのものが多いですが、あれはまさに塩化カルシウムの潮解性を利用した製品です。

また、実験室レベルでは気体の乾燥に用いられることもあります。

ただし、アンモニア(NH₃)やエタノールなどの一部の物質は塩化カルシウムと反応してしまうため、乾燥剤として使用できない場合もある点に注意しましょう。

食品・医療・工業分野での利用

塩化カルシウムは食品分野でも活躍しています。

日本では食品添加物として認められており、豆腐の凝固剤(にがりの代替)や、野菜・果物の品質保持剤などに使用されます。

食品添加物としての使用は、厚生労働省の「食品添加物公定書」にも掲載されており、安全性が認められた物質です。

参考リンクとして、以下の公的機関のページも確認することをおすすめします。

機関名 内容
厚生労働省 食品添加物の指定・規格基準に関する情報(https://www.mhlw.go.jp/)
NITE(製品評価技術基盤機構) 化学物質総合情報提供システム CHRIP(https://www.nite.go.jp/chem/chrip/)
産業技術総合研究所 SDBSWeb(有機・無機化合物のスペクトル・物性データ)(https://sdbs.db.aist.go.jp/)

医療分野では、カルシウム補給を目的とした点滴・経口薬としても使用されており、骨粗しょう症の治療補助などに活用されています。

工業分野では、コンクリートの凝結促進剤や、塩化マグネシウムなど他の化学物質の製造原料としても用いられる、多用途かつ重要な化合物といえます。

まとめ

本記事では、「塩化カルシウムの融点は?沸点との違いや分子量・溶解度・用途も解説」と題して、塩化カルシウムの基本的な物性と活用例をご紹介してきました。

改めて要点を整理しておきましょう。

塩化カルシウム(CaCl₂)の主要な物性まとめ

融点:約772℃(無水物)

沸点:約1,935℃

分子量(式量):約110.98 g/mol

溶解度:約74.5 g/100 mL(20℃)

主な用途:融雪剤・乾燥剤・食品添加物・医薬品・工業原料など

塩化カルシウムはイオン結晶という性質上、融点・沸点がともに高く、また水への溶解度も極めて高い物質です。

水和物の種類によって融点が大きく異なる点も、取り扱いの際に覚えておくと役立つ知識でしょう。

公的機関のデータも参考にしながら、正確な情報を把握することが安全で適切な使用につながります。

塩化カルシウムについてさらに詳しく知りたい場合は、NITE(製品評価技術基盤機構)や産業技術総合研究所などの公式サイトもぜひ活用してみてください。