化学式等の物性

水酸化カルシウムの化学式・組成式・分子量は?式量が正しい?覚え方のコツも!(Ca(OH)2・消石灰・電子式・構造式・イオン式・電離式・溶解度・白色粉末・弱溶性・示性式

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水酸化カルシウムは、消石灰とも呼ばれる白色の粉末状固体であり、化学式はCa(OH)₂と表されます。

化学の学習において、化学式・組成式・分子量(式量)の正確な理解は、試験対策の基礎として欠かせません。

また、電子式・構造式・イオン式・電離式・示性式といった多様な表記方法も、しっかり押さえておきたいポイントです。

さらに、溶解度の低さ・弱溶性の塩基としての性質・石灰石・生石灰との変換関係なども、試験で頻出のテーマのひとつ。

この記事では、水酸化カルシウムに関する基礎知識を、わかりやすく丁寧に解説していきます。

水酸化カルシウムの化学式はCa(OH)₂!組成式・分子量の基本まとめ

それではまず、水酸化カルシウムの化学式・組成式・分子量について解説していきます。

水酸化カルシウムの化学式はCa(OH)₂です。

これは、カルシウムイオンCa²⁺が1個と、水酸化物イオンOH⁻が2個で構成されていることを示しています。

電荷のバランスを確認すると、Ca²⁺=+2、OH⁻×2=−2となり、過不足なく釣り合っているのがわかるでしょう。

組成式は化学式と同様にCa(OH)₂と書くのが一般的です。

イオン結晶では化学式と組成式が一致することが多く、水酸化カルシウムもその典型例に当てはまります。

示性式についても、特別な官能基を強調する必要がないため、通常はCa(OH)₂として表記されます。

分子量(式量)の計算方法

水酸化カルシウムの分子量(正確には式量)を計算してみましょう。

各元素の原子量は、Ca=40、O=16、H=1を使用します。

Ca(OH)₂の式量の計算
Ca:40×1=40
O:16×2=32
H:1×2=2
合計:40+32+2=74

したがって、水酸化カルシウムの式量は74となります。

OH⁻が2個あるため、O×2とH×2を正確に計算することがポイントです。

「Ca(OH)₂=式量74」とセットで覚えておきましょう。

覚え方のコツ

化学式Ca(OH)₂の覚え方としては、Ca²⁺とOH⁻のたすき掛けが便利です。

Ca²⁺の価数2とOH⁻の価数1をたすき掛けすると、CaにはOHが2個つき、Ca(OH)₂が導けます。

式量74は「Ca(40)+OH×2(34)=74」として覚えるか、「Ca(40)+O×2(32)+H×2(2)=74」として計算するのが確実でしょう。

消石灰・石灰水という別名

水酸化カルシウムは消石灰という工業名称でも広く知られています。

また、水に溶かした水溶液は石灰水と呼ばれ、CO₂の検出試薬として化学実験で定番の試薬です。

「消石灰=Ca(OH)₂=石灰水の主成分」という対応を確実に覚えておきましょう。

水酸化カルシウムの電子式・構造式・イオン式・電離式を解説

続いては、水酸化カルシウムの電子式・構造式・イオン式・電離式について確認していきましょう。

電子式の書き方

水酸化カルシウムはイオン結晶であるため、構成イオンであるCa²⁺とOH⁻のそれぞれの電子式を理解することが基本となります。

OH⁻(水酸化物イオン)の電子式では、OとHが1組の共有電子対で結合し、O原子に非共有電子対が3組存在する構造として記述します。

Ca²⁺については、カルシウム原子が電子を2個失ったイオンとして表記するのがポイントです。

構造式のポイント

水酸化カルシウムの構造式は、Ca²⁺を中心に2つのOH⁻がイオン結合でつながった形として表されます。

HO−Ca−OH(Ca²⁺と2つのOH⁻がイオン結合した構造)

固体状態では層状構造(ブルーサイト型と同じ構造)を持ちますが、高校化学ではシンプルな表記で理解しておきましょう。

電離式

水酸化カルシウムの電離式は以下のように表されます。

Ca(OH)₂ → Ca²⁺ + 2OH⁻

水酸化カルシウムは水に溶けた分についてはほぼ完全に電離する強塩基として扱われるため、電離式には一方向の矢印(→)を使います。

OH⁻が2個生成することで、同じ物質量のNaOHに比べて2倍のOH⁻が供給される点が重要です。

係数の比(Ca²⁺:OH⁻=1:2)を正確に書けるよう確認しておきましょう。

水酸化カルシウムの溶解度・弱溶性の性質・石灰水の濃度

続いては、水酸化カルシウムの溶解度・弱溶性の特徴・石灰水の濃度について確認していきましょう。

溶解度の特徴

水酸化カルシウムは水への溶解度が低い弱溶性(難溶性)の塩基です。

25℃での溶解度は約0.17 g/100 mLであり、NaOH(約111 g/100 mL)と比べると非常に低い値です。

水に少量溶けた分は完全電離するため、強塩基として扱われますが、溶解量が少ないため水溶液(石灰水)のpHはNaOH水溶液より低くなります。

温度と溶解度の特異な関係

水酸化カルシウムの溶解度には特異な性質があります。

多くの固体は温度が上がると溶解度が増加しますが、Ca(OH)₂は温度が上がると溶解度が減少するという逆溶解性を示します。

温度 Ca(OH)₂の溶解度(g/100 mL)
0℃ 約0.19
25℃ 約0.17
60℃ 約0.12
100℃ 約0.08

「石灰水を加熱すると白濁する」という現象が観察されるのは、温度上昇によってCa(OH)₂の溶解度が下がり、溶けきれなくなったCa(OH)₂が析出するためです。

この逆溶解性は試験で問われることがある重要な特徴のひとつでしょう。

石灰水の濃度と利用

石灰水は水酸化カルシウムの飽和水溶液(またはそれを希釈した水溶液)であり、実験室でCO₂の検出に広く使われます。

CO₂を石灰水に通じると白色のCaCO₃沈殿が生じて白濁し、過剰にCO₂を通じると可溶性のCa(HCO₃)₂となって白濁が消えます。

白濁→透明という変化の流れは試験で頻出のため確実に押さえておきましょう。

石灰石・生石灰・消石灰の変換関係・工業利用

続いては、石灰石・生石灰・消石灰の変換関係と工業的な利用について確認していきましょう。

石灰石→生石灰→消石灰の変換

カルシウム化合物の変換は試験で頻出の重要な反応です。

CaCO₃(石灰石)→ CaO(生石灰)+ CO₂↑ (加熱・約900℃)
CaO(生石灰)+ H₂O → Ca(OH)₂(消石灰) (水との反応・発熱)
Ca(OH)₂(消石灰)+ CO₂ → CaCO₃↓ + H₂O (CO₂との反応)

生石灰(CaO)に水を加えると激しく発熱してCa(OH)₂が生成するこの反応は、スラッキング(消化)と呼ばれる重要な工業反応です。

3つの化合物の相互変換をサイクルとして覚えておくと、カルシウム化合物の問題全体に対応しやすくなるでしょう。

工業的な利用

水酸化カルシウムは幅広い工業分野で利用されています。

用途 内容
土壌改良 酸性土壌のpH調整(農業用石灰)
排水処理 酸性排水の中和・重金属の沈殿除去
建設・建材 モルタル・漆喰の原料
製糖工業 砂糖の精製における不純物除去
煙道ガス処理 SO₂・HClなどの酸性ガスの除去

農業分野での土壌改良剤としての利用は最も身近な用途であり、酸性土壌にCa(OH)₂を加えてpHを調整する農業石灰として広く普及しています。

漆喰(しっくい)への応用

漆喰は水酸化カルシウムを主成分とする伝統的な建築用塗材であり、壁や天井の仕上げ材として日本の伝統建築に広く使われてきました。

塗り付けた漆喰は空気中のCO₂を吸収してCaCO₃となって硬化するため、時間とともに強度が増します。

Ca(OH)₂+CO₂→CaCO₃+H₂Oという反応が漆喰硬化の化学的仕組みであり、建築化学の身近な応用例として覚えておくと印象に残りやすいでしょう。

まとめ

この記事では、水酸化カルシウムの化学式・組成式・分子量(式量)を中心に、電子式・構造式・イオン式・電離式・示性式、弱溶性の特徴・逆溶解性・石灰水としての利用、石灰石→生石灰→消石灰の変換関係・工業利用まで幅広く解説しました。

化学式Ca(OH)₂、式量74、電離式(Ca(OH)₂→Ca²⁺+2OH⁻)という基本データを確実に押さえておきましょう。

温度上昇で溶解度が減少する逆溶解性・CO₂通過による白濁→白濁消失の変化・石灰石・生石灰・消石灰の変換反応は試験頻出のテーマです。

農業石灰・漆喰・排水処理など多岐にわたる工業利用も含めて、水酸化カルシウムの化学を幅広く理解しておくことが得点アップへの近道でしょう。