優れた物性を持つカーボンナノチューブ(CNT)ですが、実際にどのような製品や産業に応用されているのでしょうか。
「具体的にどんな製品に使われているの?」「半導体や電子材料への応用は?」という方のために、本記事ではCNTの主要な用途・産業応用・製品例を詳しく解説していきます。
カーボンナノチューブの用途は「複合材料・電子材料・エネルギー・医療」の4分野が中心
それではまず、CNTの用途の全体像を解説していきます。
CNTの主要応用分野:①複合材料(軽量高強度・導電性付与)②電子・半導体材料(トランジスタ・センサー・ディスプレイ)③エネルギー(リチウムイオン電池・キャパシタ・燃料電池)④医療・バイオ(ドラッグデリバリー・バイオセンサー)。現在は複合材料への添加材・導電性材料としての応用が実用化の主流。
複合材料への応用
CNTの最も実用化が進んでいる分野のひとつが複合材料(コンポジット)への添加です。
樹脂(エポキシ・ナイロン・PPなど)にCNTを数wt%添加するだけで、機械的強度・電気伝導性・熱伝導性が大幅に改善されます。
航空宇宙・自動車・スポーツ用品(テニスラケット・自転車フレーム)・電子機器筐体などへの応用が進んでいます。
導電性材料・帯電防止材料
CNT添加樹脂は絶縁性プラスチックを導電性・帯電防止材料に変換できます。
半導体製造の洗浄トレイ・ESD(静電気放電)対策部品・電磁シールド材などに実用化されています。
カーボンブラックより少量の添加量で同等の導電性が得られるため、材料の軽量化・透明性確保・機械的特性の維持に優れます。
リチウムイオン電池への応用
リチウムイオン電池の負極材・正極材の導電助剤としてCNTが採用されています。
負極のシリコン系材料の膨張収縮を緩和する役割・正極の電子伝導性向上によって、電池のエネルギー密度・寿命・急速充電性能の改善が実現されています。
EV(電気自動車)の普及に伴い、CNTの電池材料としての需要は急速に拡大しています。
CNTトランジスタと次世代半導体
半導体型SWCNTを使ったカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ(CNT-FET)は、シリコンを超える電子移動度・低電力動作・スケーリング限界の突破を目指す次世代半導体として研究されています。
IBMやMITでの研究成果も報告されており、ポストシリコン時代の有力候補として注目されています。
ただし均一な半導体型SWCNTの大量製造・分離技術が課題となっています。
まとめ
本記事では、カーボンナノチューブの複合材料・導電性材料・電池・半導体への応用について解説してきました。
現在は複合材料と電池材料への応用が実用化の主流ですが、次世代半導体・医療・エネルギーデバイスへの本格展開も期待されており、CNTは21世紀の材料科学を代表する重要素材として発展を続けています。