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カーボンナノチューブの構造は?化学式と結合様式を解説!(六角網目構造・sp2混成・円筒状構造・炭素原子配列)

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カーボンナノチューブの驚くべき特性は、その精緻なナノスケールの構造から生まれています。

「化学式はどう書くの?」「sp²混成ってどういう意味?」という方のために、本記事ではCNTの構造・化学式・結合様式・電子構造を詳しく解説していきます。

カーボンナノチューブの構造は「sp²混成炭素の六角網目を円筒状に巻いた1次元ナノ構造」である

それではまず、CNTの化学的・構造的な基礎を解説していきます。

CNTの構造的基礎:各炭素原子はsp²混成軌道で周囲の3つの炭素原子とσ結合を形成し、六角格子(ハニカム構造)を作る。残る1つのp軌道がπ結合系(非局在化した電子)を形成し、これが優れた電気的・光学的特性の起源となる。

sp²混成結合とグラフェン構造

炭素のsp²混成では、1つのs軌道と2つのp軌道が混成して3つの等価なsp²軌道を形成します。

これら3つのsp²軌道が120°間隔で同一平面内に広がり、隣接する炭素原子と強いσ結合を形成します。

残りの1つのp₂軌道(平面に垂直)が隣接原子のp₂軌道と重なってπ結合を形成し、電子が非局在化したπ電子系を作ります。

このπ電子系がCNTの金属的・半導体的な電気伝導を担っています。

化学式と炭素配列

CNTの化学式は炭素のみで構成されるため (C)ₙ と表記されますが、具体的な分子式はチューブの直径・長さ・カイラリティによって異なります。

最小の安定なSWCNTである(5,5)アームチェア型では直径約0.68nmで、単位セルあたり20個の炭素原子を持ちます。

六角格子の基本単位(単位セル)の炭素数:

・グラフェンの六角格子1ユニット:2個の炭素原子

・SWCNTの単位セル:チラルベクトルによって20〜数百個の炭素原子

・C-C結合長:約0.142 nm(ベンゼン環のC-C結合と同程度)

チラルベクトルと構造の種類

SWCNTの構造はチラルベクトル Ch = na₁ + ma₂(n, mは整数、a₁・a₂はグラフェンの格子ベクトル)で完全に記述されます。

アームチェア型(n=m)・ジグザグ型(m=0)・カイラル型(その他)の3種類の基本構造があります。

チラルベクトルによってCNTの直径・バンドギャップ・電気的性質(金属的・半導体的)が決まるため、構造の精密な制御が応用に不可欠です。

多層CNTの層間構造

MWCNTでは複数のCNT層が同心円状に配置され、層間距離は約0.34 nm(グラファイトの層間距離とほぼ同じ)です。

層間には弱いファンデルワールス力が働いており、層間での相対的なすべり(テレスコーピング)が起こる場合があります。

この構造の違いがSWCNTとMWCNTの電気的・機械的特性の差異を生み出しています。

まとめ

本記事では、カーボンナノチューブの構造・sp²混成結合・チラルベクトル・多層CNTの層間構造を解説してきました。

CNTの卓越した特性はsp²炭素の六角網目構造とπ電子系という根本的な化学的構造から生まれており、チラルベクトルによる精密な構造制御が実用化への鍵となっています。