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コンクリート引張強度の計算式は?設計基準強度の求め方も(割裂引張強度・曲げ強度・圧縮強度との関係・構造設計など)

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コンクリートは圧縮力に対して非常に強い反面、引張力に対しては著しく弱いという特徴を持つ材料です。

一般的にコンクリートの引張強度は圧縮強度の1/10〜1/13程度であり、この引張強度の低さがコンクリート構造物の設計において鉄筋を配置する根本的な理由となっています

コンクリートの引張強度は直接測定が難しいため、圧縮強度からの推定式や割裂引張試験・曲げ引張試験などの間接的な試験方法が活用されます。

本記事では、コンクリートの引張強度の定義・計算式・設計基準強度との関係・割裂引張強度と曲げ強度の特性・構造設計への応用まで、土木・建築の実務に直結する内容をわかりやすく詳しく解説します。

構造設計者・施工管理者・品質管理担当者にとって、実務で即活用できる内容となっているでしょう。

コンクリートの引張強度の基本:圧縮強度との関係と特性

それではまず、コンクリートの引張強度の基本特性と圧縮強度との関係から解説していきます。

コンクリートの引張強度を正しく評価するためには、まずコンクリートがなぜ引張に弱いのかという材料特性の根本を理解することが重要です。

コンクリートが引張に弱い理由

コンクリートはセメント・水・骨材(砂・砂利)を混合して製造される複合材料であり、硬化したコンクリートはセメントペーストが骨材を結合した不均質な構造を持ちます。

コンクリートが引張力を受けると、セメントペーストと骨材の界面(遷移帯)や空隙・微細ひび割れ部に応力が集中し、これらの部位が起点となって急速にひび割れが進展します。

圧縮力を受ける場合は材料全体が均等に圧縮されるため多くのひび割れが発生しても荷重を支えられますが、引張力に対しては一箇所のひび割れが全断面に伝播することで一気に破断が生じます。

この非対称な破壊挙動が、コンクリートの引張強度が圧縮強度の1/10程度と著しく低い根本的な原因です。

コンクリートの引張強度と圧縮強度の関係式

コンクリートの直接引張強度は圧縮強度から以下の推定式で求めることができます。

この推定式はJIS規格・道路橋示方書・コンクリート標準示方書など多くの設計基準で参照されています。

コンクリートの引張強度推定式(日本コンクリート標準示方書)

引張強度(ft)≒ 0.23 × fck^(2/3) (単位:N/mm²)

fck:設計基準強度(コンクリートの圧縮強度特性値)(N/mm²)

例1:fck=24 N/mm²(一般的な普通コンクリート)の場合

ft = 0.23 × 24^(2/3) = 0.23 × 8.32 ≒ 1.91 N/mm²

例2:fck=40 N/mm²(高強度コンクリート)の場合

ft = 0.23 × 40^(2/3) = 0.23 × 11.70 ≒ 2.69 N/mm²

この推定式からわかるとおり、圧縮強度が24N/mm²のコンクリートの引張強度は約1.9N/mm²であり、圧縮強度の約8%にすぎないという極めて低い値となります。

また引張強度は圧縮強度の2/3乗に比例するため、圧縮強度を2倍にしても引張強度は約1.59倍にしかならず、高強度化の効果が引張強度に及ぼす影響は圧縮強度ほど大きくありません。

設計実務では引張強度の推定値に対してさらに安全係数を考慮したうえで引張側の許容応力度が設定されます。

設計基準強度(fck)の定義と使い方

設計基準強度(fck)とは、コンクリートの圧縮強度の特性値であり、強度のばらつきを考慮して所定の信頼水準(通常95%または98%)以上の確率で満足される圧縮強度値として定義されます。

日本では呼び強度(発注強度)・配合強度・設計基準強度という概念が使い分けられており、設計基準強度は構造計算に使用する強度値として規定されています。

設計基準強度fck(N/mm²) 推定引張強度ft(N/mm²) 引張/圧縮比 主な用途・コンクリート種類
18 約1.61 約8.9% 基礎・地盤改良・無筋コンクリート
24 約1.91 約8.0% 一般建築・土木構造物(標準)
30 約2.22 約7.4% 橋梁・高品質建築構造物
40 約2.69 約6.7% 高強度コンクリート・プレストレスト
60 約3.55 約5.9% 超高強度コンクリート・超高層建築

圧縮強度が高くなるほど引張/圧縮強度比が低下する傾向があり、高強度コンクリートほど引張強度の相対的な弱さが顕在化します。

割裂引張強度と曲げ引張強度:試験方法と設計への活用

続いては、コンクリートの引張強度を実測するための代表的な試験方法である割裂引張試験と曲げ引張試験について確認していきます。

直接引張試験は試験片の把持が難しく精度が出にくいため、間接的な試験方法が実務では広く採用されています。

割裂引張試験(ブラジリアン試験)の方法と計算式

割裂引張試験(割裂試験・ブラジリアン試験)は、円柱コンクリート供試体の側面方向から圧縮荷重を加えることで間接的に引張強度を測定する方法です。

圧縮荷重によって供試体の直径方向に引張応力が発生し、この引張応力で割裂破壊させることで引張強度を求めます。

割裂引張強度(fts)の計算式(JIS A 1113)

fts = 2F ÷ (π × d × l)

F:最大荷重(N)

d:供試体の直径(mm)

l:供試体の長さ(mm)

例:d=150mm、l=300mm、F=200,000Nの場合

fts = 2×200,000 ÷ (π × 150 × 300)

fts = 400,000 ÷ 141,372 ≒ 2.83 N/mm²

割裂引張強度は直接引張強度よりも約10〜20%高い値を示すことが多く、コンクリート標準示方書などでは直接引張強度との関係が規定されています。

割裂引張強度は圧縮強度の1/10〜1/8程度の値となることが多く、fck=24N/mm²のコンクリートでは割裂引張強度は約2.5〜3.0N/mm²程度が目安となります。

曲げ引張強度(破壊係数)の測定方法と計算式

曲げ引張強度(曲げ強度・破壊係数)は、梁状の供試体に曲げ荷重を加えることで引張破壊させる試験から求めます。

道路舗装・床スラブ・橋梁床版など曲げ荷重が支配的な構造物のコンクリート強度評価では、曲げ引張強度が重要な設計パラメータとなります。

曲げ引張強度(fb)の計算式(3点曲げ、JIS A 1106)

fb = Fl ÷ (b × d²)

F:最大荷重(N) l:スパン(mm) b:供試体幅(mm) d:供試体高さ(mm)

例:b=150mm、d=150mm、l=450mm、F=14,000Nの場合

fb = 14,000 × 450 ÷ (150 × 150²)

fb = 6,300,000 ÷ 3,375,000 = 1.87 N/mm²

(4点曲げの場合:fb = Fa ÷ (b × d²) a:支点から荷重点までの距離)

曲げ引張強度は直接引張強度の1.5〜2.0倍程度となるのが一般的であり、その差は曲げ試験では破壊断面の一部のみが引張応力を受けるためです。

引張強度・割裂強度・曲げ強度の相互関係

強度の種類 試験方法 圧縮強度との比 直接引張強度との比
直接引張強度(ft) 直接引張試験 約1/13〜1/8 1.0(基準)
割裂引張強度(fts) 割裂試験(JIS A 1113) 約1/10〜1/7 約1.1〜1.2倍
曲げ引張強度(fb) 曲げ試験(JIS A 1106) 約1/7〜1/5 約1.5〜2.0倍

設計基準によって参照する引張強度の種類が異なるため、適用する設計規準(コンクリート標準示方書・建築学会RC規準・道路橋示方書など)に従った引張強度値を使用することが重要です。

コンクリートの引張強度と構造設計への応用

続いては、コンクリートの引張強度が構造設計においてどのように活用されるかを確認していきます。

引張強度の低さを補うための設計上の対処法と、引張強度を積極的に活用する場面を理解することが実務的な設計知識につながります。

鉄筋コンクリート構造における引張強度の扱い方

鉄筋コンクリート(RC)構造では、コンクリートの引張強度の低さを補うために引張側に鉄筋を配置します。

断面設計においてはコンクリートの引張強度を無視し、引張力はすべて鉄筋が負担するという仮定(引張強度の無視)が広く採用されています。

この仮定は保守的(安全側)な設計につながりますが、コンクリートが引張ひび割れを生じた後は引張力を実際にほぼ負担できなくなることからも合理的な考え方です。

ただし、ひび割れ発生前の初期状態の剛性評価やひび割れ幅・たわみの計算では、コンクリートの引張強度と「引張スティフニング効果」を考慮することがより精度の高い評価につながります。

無筋コンクリートと引張強度の活用場面

無筋コンクリート(鉄筋なし)の構造物では、コンクリートの引張強度が設計上重要な役割を果たします。

道路舗装コンクリート(コンクリート舗装)では、車両荷重による曲げ引張応力が舗装版に発生するため、曲げ引張強度(破壊係数)が舗装厚さ設計の基準値として使用されます。

ダム・重力式擁壁・無筋コンクリート基礎などでは、引張応力が発生しないように断面形状・偏心を管理することが設計の基本方針です。

コンクリート舗装の設計では曲げ引張強度が4.5〜5.0N/mm²程度を確保できる配合設計を行うことが一般的であり、所要の曲げ強度から必要なfckを逆算して配合設計を行います。

プレストレストコンクリートにおける引張強度の活用

プレストレストコンクリート(PC)構造では、あらかじめ高強度のPC鋼材によってコンクリートに圧縮力を導入することで、外部荷重による引張応力をこの圧縮力で相殺する設計が行われます。

PC構造では鉄筋コンクリートより高品質・高強度のコンクリート(fck=40〜60N/mm²以上)が使用されることが多く、コンクリートの引張強度も高くなります。

プレストレスの導入によって曲げ引張側のひび割れを制御または防止することで、構造部材の耐久性・剛性・使用性を大幅に向上させることができます。

コンクリートの引張強度は設計基準強度fckの2/3乗に比例する推定式(ft≒0.23×fck^(2/3))で求められ、fck=24N/mm²では約1.9N/mm²と圧縮強度の約8%にすぎません。

構造設計ではこの低い引張強度を鉄筋・PC鋼材・繊維補強などで補い、引張強度が活躍する場面(舗装設計・ひび割れ評価・PC設計)では曲げ引張強度・割裂引張強度を適切に使い分けることが重要です。

まとめ

コンクリートの引張強度の計算式・設計基準強度との関係・割裂引張強度・曲げ引張強度・構造設計への応用まで幅広く解説してきました。

コンクリートの直接引張強度は圧縮強度の約1/10〜1/13程度であり、推定式ft≒0.23×fck^(2/3)でfckから計算できます。

fck=24N/mm²(一般的な普通コンクリート)の推定引張強度は約1.9N/mm²であり、割裂引張強度は約2.5〜3.0N/mm²、曲げ引張強度は約3.5〜5.0N/mm²程度が目安となります。

鉄筋コンクリート設計では引張側のコンクリート引張強度を通常無視し、引張力を鉄筋に担わせる設計手法が標準的ですが、ひび割れ幅やたわみの計算では引張スティフニング効果の考慮も重要です。

コンクリート舗装では曲げ引張強度が舗装厚さ設計の基準値となり、PC構造ではプレストレス導入によってコンクリートの引張応力を制御する設計が行われます。

コンクリートの引張特性を正しく理解し、設計基準に従った適切な強度値を用いた安全で耐久性の高い構造物設計に役立てていただければ幸いです。