水の透明さや汚れ具合を数値で表す「濁度」は、水質管理や環境分析の現場で欠かせない指標です。
しかし、濁度にはNTU・FTU・JTU・ppmなど複数の単位が存在し、それぞれの読み方や違い、換算・変換の方法がわかりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では「濁度の単位は?換算・変換も(NTUやFTUやJTUやppm等)読み方や一覧は?」というテーマに沿って、濁度の基礎知識から各単位の意味・一覧・換算方法まで、わかりやすく解説していきます。
水処理・環境分野に携わる方はもちろん、日常的に水質に興味のある方にも役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
濁度の単位はNTU・FTU・JTUなど複数あり、用途や規格によって使い分けられる
それではまず、濁度の単位の全体像と結論について解説していきます。
濁度とは、水中に浮遊する微粒子や懸濁物質によって光が散乱・吸収される度合いを数値化したものです。
濁度の単位は世界共通ではなく、測定方法や使用される規格・地域によってNTU・FTU・JTU・ppmなど複数の単位が使い分けられています。
それぞれの単位は、光の散乱を検出する角度や光源の種類、標準液の種類などが異なるため、厳密には同一の値とはなりません。
ただし、実用上はほぼ同等として扱われるケースも多く見られます。
水質管理の現場では、どの単位が採用されているかを正確に把握しておくことが重要です。
濁度の代表的な単位一覧と読み方
| 単位 | 読み方 | 正式名称 | 主な使用場面 |
|---|---|---|---|
| NTU | エヌティーユー | Nephelometric Turbidity Unit | 国際的な水質分析・環境基準 |
| FTU | エフティーユー | Formazin Turbidity Unit | ヨーロッパ・ISO規格 |
| JTU | ジェイティーユー | Jackson Turbidity Unit | 旧来の目視比較法 |
| FNU | エフエヌユー | Formazin Nephelometric Unit | ISO 7027準拠の散乱光測定 |
| EBC | イービーシー | European Brewery Convention | ビール・飲料業界 |
| ppm | ピーピーエム | Parts Per Million | 濃度表現として一部で使用 |
上記の一覧からもわかるように、濁度の単位はそれぞれ異なる背景や用途を持っています。
次のセクションでは、各単位の詳細な意味と特徴を順番に確認していきましょう。
NTU・FTU・JTU・FNU・ppmそれぞれの意味と特徴
続いては、各濁度単位の意味と特徴を確認していきます。
NTU(エヌティーユー)とは
NTUはNephelometric Turbidity Unit(ネフェロメトリック タービディティ ユニット)の略で、「散乱光測定式濁度単位」を意味します。
現在、国際的に最も広く使用されている濁度の単位です。
測定原理は、水中に光を照射したとき、浮遊粒子によって90度方向に散乱される光の強度を検出するというものです。
この方式をネフェロメトリー法と呼び、低濁度の測定に特に優れています。
米国環境保護庁(EPA)の飲料水基準や日本の水道水質基準においても、NTUが採用されています。
日本の水道法における飲料水の濁度基準は2NTU以下とされており、非常に厳しい水準が設けられています。
FTU・FNU(エフティーユー・エフエヌユー)とは
FTUはFormazin Turbidity Unit(フォルマジン タービディティ ユニット)の略です。
フォルマジンという物質を標準液として使用した測定単位であり、ヨーロッパやISO規格において広く採用されています。
FNUはFormazin Nephelometric Unitの略で、ISO 7027という国際規格に基づいた近赤外光を使用した散乱光測定法の単位です。
NTUとFTU・FNUは測定方法が近いため、数値的にはほぼ同等として扱われることが多いのが特徴です。
ただし、光源の波長や検出角度が微妙に異なる場合もあるため、精密な測定では注意が必要となります。
JTU(ジェイティーユー)とは
JTUはJackson Turbidity Unit(ジャクソン タービディティ ユニット)の略で、旧来の目視比較法に基づいた単位です。
ジャクソンキャンドル濁度計と呼ばれる装置を使い、ろうそくの炎が見えなくなる水の深さを基準として濁度を測定する方法でした。
この方式は測定者の目視に頼るため精度に限界があり、現在ではほとんど使用されていません。
歴史的な文献や古い規格書の中でJTUという表記が見られる場合には、現代のNTUとの換算が必要となることがあります。
濁度の換算・変換方法(NTU・FTU・JTU・ppm)
続いては、濁度の換算・変換方法を確認していきます。
NTUとFTU・FNUの換算
NTUとFTU・FNUは、いずれもフォルマジン標準液を基準とした散乱光測定法を採用しているため、実用上はほぼ同等の値として扱われます。
NTU ≒ FTU ≒ FNU(実用上ほぼ同等)
例)5 NTU ≒ 5 FTU ≒ 5 FNU
ただし、使用する測定機器や光源の波長(可視光 vs 近赤外光)によって若干の差異が生じる場合があります。
厳密な科学分析においては、使用した測定方法・機器・標準液を明記することが推奨されます。
NTUとJTUの換算
JTUは目視法に基づくため、NTUとの換算は完全に一致するわけではありません。
一般的な目安として以下の関係が知られています。
1 JTU ≒ 1 NTU(低濁度域での目安)
高濁度域では乖離が大きくなるため注意が必要です。
例)40 JTU ≒ 40 NTU(あくまで概算)
JTUが使われていた時代の文献を参照する場合、低濁度であれば大まかな換算値として1JTU≒1NTUを使用するのが一般的な対応です。
NTUとppmの関係
ppmはParts Per Millionの略で、本来は濃度を表す単位です。
水質の世界では「1ppm=1mg/L」という意味で使われることが多く、濁度の単位とは厳密には異なる概念です。
しかし、一部のメーカーや現場では「ppm」を濁度の表現として慣用的に使用しているケースがあります。
この場合、使用される標準物質(カオリン・シリカなどの粒子)によって数値の意味が変わるため、換算には注意が必要です。
カオリン標準液を使用した場合の目安
1 ppm(カオリン)≒ 1 NTU(概算、粒子サイズ・形状により異なる)
正確な換算は使用機器・標準液の種類に依存します。
ppmと濁度単位を混同しないよう、使用している測定系と標準液の種類を事前に確認することが重要です。
濁度の測定方法と水質基準における活用
続いては、濁度の測定方法と実際の水質基準における活用について確認していきます。
濁度の主な測定方法
濁度の測定方法はいくつかの種類に分類されます。
現代の主流は光学的測定法であり、光源から水中に光を照射して散乱光・透過光を検出する方式です。
| 測定方式 | 原理 | 対応単位 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ネフェロメトリー法 | 90度散乱光を検出 | NTU・FTU | 低濁度に適する |
| ISO 7027法 | 近赤外光・90度散乱 | FNU・FTU | 色の影響を受けにくい |
| 透過光法 | 透過光量を検出 | NTU等 | 高濁度に適する |
| 目視比較法(旧来) | 標準液と目視比較 | JTU | 現在はほぼ使用されない |
ネフェロメトリー法は低濁度の精密測定に優れており、飲料水や環境水の監視に広く使われています。
ISO 7027法は近赤外光を用いるため、水の色(着色成分)による影響を受けにくく、より信頼性の高いデータが得られます。
日本・国際的な水質基準と濁度
濁度は水質管理において重要な指標のひとつです。
各国・機関によって設定されている主な水質基準を確認しておきましょう。
主な水質基準における濁度の規定値
| 規格・機関 | 対象 | 濁度基準値 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 日本水道法 | 飲料水(蛇口) | 2以下 | NTU(度) |
| WHO飲料水ガイドライン | 飲料水 | 1以下(目標) | NTU |
| 米国EPA | 飲料水 | 1以下(浄水処理後) | NTU |
| EU飲料水指令 | 飲料水 | 1以下 | NTU・FNU |
| 日本環境基準(河川) | AA類型(最上流) | -(定量的基準なし) | - |
日本の水道水質基準では、「濁度2度以下」という表現が使われており、この「度」はNTUに相当する単位です。
1度=1NTUと読み替えることができるため、日本の水道基準は2NTU以下ということになります。
WHOや先進各国の目標値は1NTU以下とさらに厳しく、浄水技術の向上とともに水質基準も高まっています。
濁度と共起する関連語・概念
濁度を理解する上で、関連する用語や概念も把握しておくと便利です。
SS(Suspended Solids:浮遊物質量)は水中に浮遊する固形物の質量濃度を示す指標で、単位はmg/Lです。
濁度とSSは相関関係にあることが多く、濁度が高い水はSS濃度も高い傾向があります。
ただし、粒子の色・形・大きさによって両者の関係は変化するため、一定の換算式が成立するとは限りません。
また、透明度も水の清澄度を表す指標として使われますが、こちらは主に湖沼や河川の現場調査で用いられるセッキー板を使った測定値(単位はmやcm)です。
濁度が「単位体積あたりの光散乱特性」を示すのに対し、透明度は「光が届く深さ」を示すという違いがあります。
まとめ
本記事では「濁度の単位は?換算・変換も(NTUやFTUやJTUやppm等)読み方や一覧は?」というテーマで、濁度に関する基礎知識から各単位の特徴・換算方法・水質基準への応用まで幅広く解説しました。
濁度の単位にはNTU・FTU・FNU・JTU・ppmなど複数の種類があり、それぞれ測定方法・光源・標準液・使用場面が異なります。
NTUとFTU・FNUは実用上ほぼ同等として扱われることが多く、JTUとは低濁度域で1対1の目安換算が可能です。
ppmはあくまで濃度の単位であり、濁度単位とは概念が異なる点に注意が必要です。
水道水質基準や国際規格においては、NTUが最も広く採用されており、飲料水では2NTU以下(日本)・1NTU以下(WHO・EU)が基準となっています。
測定現場や文献を参照する際には、使用されている単位・測定方法・標準液の種類を確認し、適切な換算・比較を行うことが重要です。
本記事が濁度の単位についての理解を深める一助となれば幸いです。