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図面表記のルールは?製図での記号と寸法記入も!(JIS規格:CAD:技術図面:設計:製造図面)

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機械設計・建築設計・電気設計など、あらゆるエンジニアリング分野において「図面(製図)」は設計意図を正確に伝えるための基本的なコミュニケーション手段です。

図面には材料の形状・寸法・表面粗さ・公差・溶接記号など多くの情報が盛り込まれており、それらを読み取るためにはJIS規格に基づく表記ルールの理解が不可欠です。

CAD(コンピュータ支援設計)が普及した現代においても、図面表記の基本ルールを理解することは製造現場での品質確保と意思疎通の基盤となります。

本記事では、図面表記の基本ルールを投影法・寸法記入・表面性状・幾何公差・溶接記号など幅広い観点から解説していきます。

設計者・製造担当者・品質管理者・CADオペレーターの皆さまにとって実践的な内容です。

図面表記の基本:JIS規格と製図の標準ルール

それではまず、図面表記の基本となるJIS規格と製図の標準ルールについて解説していきます。

JIS規格における製図の基本規格

日本の製図規格は、JIS(日本産業規格)に基づいており、主要な製図規格はJIS B 0001(機械製図)に集約されています。

JIS B 0001は機械部品の製図における投影法・線の種類・文字・寸法記入・公差などの基本ルールを規定しています。

また、表面性状はJIS B 0601、幾何公差はJIS B 0021・JIS B 0022などの関連規格が参照されます。

国際規格では ISO 128(技術製図の基本原則)が対応しており、グローバルな製品設計ではISO規格との整合性も重要です。

図面の種類と用途

製造業で使用される図面にはさまざまな種類があります。

図面の種類 内容 主な用途
部品図 単一部品の形状・寸法・公差・材質を示す図面 製造・加工・検査
組立図 複数部品の組み合わせ状態を示す図面 組み立て・設計確認
工程図 加工工程順序を示す図面(素材→加工後の変化) 製造工程管理
配置図 設備・機器の配置を示す図面 工場レイアウト・配管設計
展開図 板金部品を展開した形状を示す図面 板金加工・型紙作成

製図用紙のサイズと図面の標準構成

製図用紙のサイズはJIS P 0138(紙の仕上がり寸法)に基づくA列(A0〜A4)が標準です。

製図用紙の標準サイズ:

A0:841 × 1,189 mm(面積 ≒ 1 m²)

A1:594 × 841 mm(A0の半分)

A2:420 × 594 mm

A3:297 × 420 mm

A4:210 × 297 mm

図面の標準構成:輪郭線・タイトルブロック(表題欄)・部品表・本体図・寸法・注記

タイトルブロック(表題欄)には図面番号・部品名・材料・縮尺・設計者・承認者・版番号・作成日などを記入し、図面の管理情報を明確にします。

投影法と図の配置方法

続いては、製図における投影法と図の配置方法を確認していきます。

第三角法と第一角法の違い

立体物を平面図面に表現する方法として「投影法」が使われます。

第三角法と第一角法の違い:

第三角法(JIS・ANSI採用):

→ 正面図の右に右側面図、上に平面図を配置

→ 「物体を見た方向に図を置く」考え方

→ 日本・アメリカ・カナダで採用

第一角法(ISO・ヨーロッパ採用):

→ 正面図の左に右側面図、下に平面図を配置

→ 「物体の向こう側に図を置く」考え方

→ ヨーロッパ・中国などで採用

図面には第三角法・第一角法のいずれを使用するかを示す「投影法記号」を必ず記入する必要があり、国際取引での誤読を防ぎます。

主投影図(正面図)の選び方

製図では最も情報が多く形状がわかりやすい面を「主投影図(正面図)」に選ぶことが基本です。

主投影図の選択基準として、部品の加工姿勢(旋盤加工では主軸方向を横向き)・最も特徴を表す形状・読み取りやすさなどが考慮されます。

必要最小限の図(正面図+1〜2の補助図)で形状を完全に表現することが理想であり、不必要に多くの図を使うと図面が読みにくくなるでしょう。

断面図・補助投影図の使い方

複雑な内部形状を表現するには「断面図」が有効です。

断面図の種類:

・全断面図:物体全体を切断面で示す

・半断面図:対称形状の半分を断面で示す

・部分断面図:一部だけを断面で示す(波線で境界を示す)

・回転断面図:リブやスポークを90°回転して断面を示す

断面を示す「切断線」はAA・BBなどアルファベットで識別する

ハッチング(断面を示す斜線)はJIS B 0001により45°の細い実線で描き、隣接部品は方向・間隔を変えて区別します。

寸法記入の基本ルール

続いては、製図における寸法記入の基本ルールを確認していきます。

寸法線・寸法補助線・引出線のルール

寸法の記入方法にはJIS規格で詳細なルールが定められています。

寸法記入の基本ルール:

寸法線:矢印(←→)で寸法の範囲を示す細い実線

寸法補助線:寸法を取る形状から引き出す細い実線(形状線から2 mm程度離す)

寸法数値:寸法線の上に記入(mm単位は「mm」を省略可)

引出線:寸法が小さく寸法線が引けない場合に使用する斜め線

基本ルール:

① 同じ寸法の繰り返し記入は避ける(参考寸法は()付き)

② 形状線(外形線)・中心線・補助線は寸法線として使わない

③ 寸法の積み上げは避け、できるだけ基準面(データム)から記入する

累積公差(寸法の積み上げ誤差)を最小化するため、すべての寸法を共通の基準面(データム)から記入する「直列寸法記入法」が推奨されます。

直径・半径・角度の記入方法

円や角度の寸法記入には特有の記号と書き方があります。

形状 記号 記入例
直径 φ(ファイ) φ50、φ20H7
半径 R R15、R5
球の直径 Sφ10
球の半径 SR SR8
正方形断面 □20
板厚 t t3.2
面取り(45°) C C2(45°の面取り幅2 mm)

公差と嵌め合いの表記方法

製造品質を確保するために、寸法には許容される誤差範囲(公差)が記入されます。

公差の表記方法:

上下対称公差:50 ± 0.05

上下非対称公差:50 +0.02/-0.01

上限だけ:50 +0.05(下限は名目値と同じ)

嵌め合い公差(JIS B 0401):

穴:φ50H7(H=基本偏差・7=IT等級)

軸:φ50g6(g=基本偏差・6=IT等級)

組み合わせ:φ50H7/g6(穴と軸の嵌め合い)

IT等級(国際公差等級)は01〜18の段階があり、数字が小さいほど公差が厳しく精密加工が必要です。一般的な機械部品ではIT6〜IT9程度が使われます。

表面性状・幾何公差・溶接記号の表記

続いては、表面性状・幾何公差・溶接記号などの高度な図面表記を確認していきます。

表面粗さ(表面性状)の表記方法

加工面の粗さを指定する「表面性状記号」はJIS B 0601・JIS B 0031に基づいて記入します。

表面粗さの主なパラメータ:

Ra(算術平均粗さ):最も一般的な粗さパラメータ

Rz(最大高さ粗さ):粗さプロファイルの最大ピーク〜谷の高さ

表面性状記号の読み方(例):√Ra 1.6

→ Ra = 1.6 μm 以下の表面粗さ指定

一般的な加工方法と粗さの目安:

研削仕上げ:Ra 0.1〜0.8 μm

精密旋削・フライス:Ra 0.8〜3.2 μm

一般旋削・フライス:Ra 3.2〜12.5 μm

鋳物・鍛造肌:Ra 12.5〜50 μm

幾何公差(GD&T)の基本記号と意味

幾何公差(Geometric Dimensioning and Tolerancing:GD&T)は、形状・姿勢・位置・振れの誤差を指定する表記方法です。

種類 特性 記号 適用例
形状 真直度 軸の曲がり
真円度 軸・穴の断面形状
姿勢 平行度 面と面の平行
直角度 面と面の直角
位置 位置度 穴の位置精度
同軸度 2つの穴の同心

幾何公差は単純な寸法公差では表現できない形状誤差を明確に指定できるため、高精度部品や機能的に重要な形状には積極的に活用することが推奨されます。

溶接記号の読み方と主要記号

溶接構造物の図面では、溶接の種類・位置・サイズを示す溶接記号(JIS Z 3021)が使われます。

主な溶接記号の基本構成:

引出線(基線)+矢印+溶接記号(基線の上 or 下)

基線の下:矢の側の溶接

基線の上:反対側の溶接

主な基本溶接記号:

V形溶接(V)・突合せ溶接(I)・隅肉溶接(△)・プラグ溶接(□)

溶接サイズ:記号の左にz(ズレ脚長)または記号の後にサイズを記入

全周溶接:旗印(○)を引出線の屈曲点に付ける

まとめ

本記事では、図面表記の基本となるJIS規格・投影法から、寸法記入・公差・表面性状・幾何公差・溶接記号まで、製図の幅広いルールについて解説してきました。

図面は設計者の意図を製造現場・品質管理・顧客に正確に伝える唯一の共通言語であり、表記ルールの正確な理解と遵守は製品品質に直結します。

CADが普及しても図面表記の基本知識は不変であり、JIS規格の理解は設計・製造・品質管理のすべての担当者にとって必須の素養です。

本記事の内容が図面の読み書きに携わる皆さまのお役に立てれば幸いです。