化学反応

エタノールの分子間脱水反応の式や機構は?ジエチルエーテルが生成か

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エタノールを濃硫酸と共に加熱する際、温度によって全く異なる生成物が得られることをご存知でしょうか。約130-140℃という比較的低温で反応させると、2分子のエタノールから水が取れてジエチルエーテルが生成します。

これが「分子間脱水反応」であり、分子内脱水反応とは異なるメカニズムで進行する重要な有機化学反応です。2つのエタノール分子が反応してエーテル結合を形成し、医薬品や溶剤として利用されるジエチルエーテルが生成されるのです。

本記事では、エタノールの分子間脱水反応の化学反応式、詳しい反応機構、分子内脱水との違い、生成物であるジエチルエーテルの性質と用途まで、徹底的に解説していきます。

エタノールの分子間脱水反応の基本

それではまず、エタノールの分子間脱水反応の基本について解説していきます。

分子間脱水反応とは何か

分子間脱水反応とは、2つの分子から水分子(H2O)が脱離して新しい化合物が生成する化学反応のことです。エタノールの場合、2分子のエタノールからそれぞれヒドロキシ基(-OH)と水素原子(-H)が取れて水が生成されます。

残った2つのエチル基(C2H5-)が酸素原子を介して結合し、エーテル結合(C-O-C)を持つジエチルエーテルが生成されるのです。

分子間脱水:2分子間から H と OH が取れて H2O が生成分子内脱水:1分子内から H と OH が取れて H2O が生成

この反応は求核置換反応(SN反応)に近い機構で進行し、一方のエタノール分子が求核剤として、もう一方のプロトン化されたエタノール分子を攻撃します。

分子間脱水は比較的低温で進行するのが特徴であり、高温では分子内脱水が優先されるでしょう。この温度による反応選択性が、目的の生成物を得る上で重要なポイントとなります。

分子間脱水反応は、アルコールからエーテルを合成する古典的な方法の一つです。ウィリアムソンエーテル合成法などの他の方法と比較して、操作が簡便である一方、対称エーテルしか合成できないという制限があります。

反応式と生成物ジエチルエーテルの構造

エタノールの分子間脱水反応は、次の化学反応式で表されます。

2C2H5OH → C2H5-O-C2H5 + H2O(エタノール → ジエチルエーテル + 水)

構造式:2CH3CH2OH → CH3CH2-O-CH2CH3 + H2O

反応条件として、濃硫酸の存在下で約130-140℃に加熱することが一般的です。この温度範囲が分子間脱水を優先させる重要な条件となるでしょう。

生成されるジエチルエーテル(C4H10O)は、2つのエチル基が酸素原子を介して結合したエーテル化合物。化学式はC4H10O、構造式はCH3CH2-O-CH2CH3で表されます。

ジエチルエーテルは常温で無色透明の液体であり、特有の甘い芳香を持っています。揮発性が非常に高く、引火しやすいという性質があるため、取り扱いには十分な注意が必要です。

この反応では、2分子のエタノールから1分子の水が生成されるため、物質量の関係は2:1:1となります。理論的には、2モルのエタノールから1モルのジエチルエーテルと1モルの水が生成されるのです。

分子間脱水反応は可逆反応であり、平衡状態に達します。濃硫酸は生成した水を吸収する脱水剤として働き、平衡を生成物側に移動させる役割も果たすでしょう。

分子内脱水との反応条件の違い

エタノールの脱水反応には分子間脱水と分子内脱水の2種類があり、主に温度条件によって区別されます。この温度による選択性が、目的の生成物を得るための鍵となるのです。

反応の種類 反応温度 生成物 反応様式
分子間脱水 約130-140℃ ジエチルエーテル(液体) SN型反応
分子内脱水 約170℃ エチレン(気体) E1型反応

低温(130-140℃)では、分子間脱水が優先的に起こります。この温度範囲では、2つのエタノール分子が反応してジエチルエーテルを生成する置換反応が有利なのです。

一方、高温(約170℃)では、分子内脱水が優先されます。エントロピー増大を伴う脱離反応は高温ほど有利となるため、1分子から気体のエチレンが生成される反応が進行しやすくなるでしょう。

この温度差はわずか30-40℃程度ですが、生成物が全く異なる化合物となります。そのため、実験や工業プロセスでは温度の精密な制御が極めて重要です。

実際の反応では、両方の反応が同時に起こる可能性もあります。130℃付近でも少量のエチレンが生成されることがあり、また170℃でも微量のジエチルエーテルが副生する場合があるのです。

温度以外の条件として、濃硫酸の濃度や反応時間も影響を与えます。濃硫酸の濃度が高いほど、また反応時間が長いほど、脱水反応は進行しやすくなるでしょう。

分子間脱水反応の詳しい機構

続いては、エタノールの分子間脱水反応の詳細な機構を確認していきます。

第一段階:エタノールのプロトン化

分子間脱水反応の最初の段階は、エタノール分子のプロトン化です。濃硫酸(H2SO4)が強いブレンステッド酸として、エタノールのヒドロキシ基にプロトン(H+)を供与します。

CH3CH2OH + H2SO4 → CH3CH2OH2+ + HSO4-(エタノールのプロトン化)

プロトン化されたエタノール(CH3CH2OH2+)では、酸素原子に正電荷が発生します。このプロトン化により、ヒドロキシ基が水分子(H2O)という良好な脱離基に変換されるのです。

もしプロトン化が起こらなければ、脱離基は水酸化物イオン(OH-)となり、これは非常に塩基性が強く脱離基としては不適切。プロトン化によって中性の水分子となることで脱離が容易になるわけです。

この段階は可逆反応であり、平衡状態にあります。溶液中には、プロトン化されたエタノールとプロトン化されていないエタノールの両方が存在しているでしょう。

濃硫酸の濃度が高いほど、プロトン化されるエタノールの割合が増加します。そのため、反応を効率よく進めるには十分な濃度の硫酸が必要なのです。

プロトン化されたエタノールは不安定な中間体であり、次の段階で求核攻撃を受けるか、または水分子を放出してカルボカチオンを生成します。分子間脱水では、求核攻撃の経路が優先されるでしょう。

第二段階:求核置換反応によるエーテル結合の形成

プロトン化されたエタノールが生成されると、別のプロトン化されていないエタノール分子が求核剤として作用します。エタノールのヒドロキシ基の酸素原子は孤立電子対を持ち、求核性を示すのです。

CH3CH2OH + CH3CH2OH2+ → CH3CH2-O+-CH2CH3 + H2O(求核攻撃と水の脱離)

求核剤であるエタノール分子の酸素原子が、プロトン化されたエタノールの炭素原子を攻撃します。この攻撃と同時に、またはほぼ同時に水分子が脱離するのです。

この反応はSN2型(二分子求核置換反応)またはSN1型(一分子求核置換反応)のどちらかで進行すると考えられています。エタノールの場合、第一級アルコールであるためSN2型に近い機構で進行するでしょう。

生成される中間体は、プロトン化されたジエチルエーテル(CH3CH2-O+-CH2CH3)です。この中間体では酸素原子に正電荷が存在し、不安定な状態となっています。

求核攻撃の段階が、この反応の律速段階となることが多く、反応速度は両方のエタノール分子の濃度に依存します。そのため、エタノールの濃度が高いほど反応は速く進行するのです。

温度が低いほど、この置換反応の経路が有利となります。高温ではカルボカチオンの生成と脱離反応(分子内脱水)が優先されるため、130-140℃という比較的低温が分子間脱水に適しているわけです。

第三段階:脱プロトン化とジエチルエーテルの生成

プロトン化されたジエチルエーテルが生成されると、最後の段階として脱プロトン化が起こります。硫酸水素イオン(HSO4-)や硫酸イオン(SO42-)などの塩基が、酸素原子からプロトンを引き抜くのです。

CH3CH2-O+-CH2CH3 + HSO4- → CH3CH2-O-CH2CH3 + H2SO4(脱プロトン化とジエチルエーテルの生成)

この脱プロトン化により、中性のジエチルエーテル分子が生成されます。同時に、プロトンを受け取った硫酸水素イオンは硫酸に戻り、触媒として再び反応に参加できるようになるのです。

生成されたジエチルエーテルは、沸点が約34.6℃と低いため、反応温度(130-140℃)では気体として存在します。そのため、反応混合物から蒸留によって分離・精製することが可能でしょう。

全体の反応を通して、濃硫酸は触媒として機能し、反応の前後で消費されません。プロトンを供与する段階と、最後に再びプロトンを受け取る段階により、硫酸は再生されるのです。

分子間脱水反応の機構のまとめ:第一段階:エタノールのプロトン化

第二段階:求核置換反応(SN型)

第三段階:脱プロトン化

触媒:濃硫酸(反応前後で再生)

反応全体の速度は、第二段階の求核攻撃によって決まることが多く、この段階が律速段階となります。温度、濃度、触媒の量などの条件が、この段階の速度に影響を与えるでしょう。

ジエチルエーテルの性質と用途

続いては、分子間脱水反応の生成物であるジエチルエーテルの性質と用途を確認していきます。

ジエチルエーテルの物理的・化学的性質

ジエチルエーテル(C2H5-O-C2H5)は、単に「エーテル」とも呼ばれる代表的なエーテル化合物です。分子式はC4H10O、分子量は74.12となります。

物理的性質として、ジエチルエーテルは常温で無色透明の液体。融点は-116.3℃、沸点は34.6℃と非常に低く、室温でも容易に揮発する性質を持っています。

ジエチルエーテルの物理定数:分子量:74.12

融点:-116.3℃

沸点:34.6℃

密度:0.713 g/cm³(20℃)

特有の甘い芳香を持ち、この香りは古典的な麻酔薬として使用されていた歴史と関連しています。また、揮発性が極めて高く、引火点は-45℃と非常に低いため、火災の危険性が高い物質です。

水への溶解度は比較的低く、20℃で約6.9%程度。しかし、エタノールやベンゼンなどの有機溶媒には任意の割合で混和します。この性質により、有機溶媒として広く利用されているのです。

ジエチルエーテルは水よりも密度が小さいため、水と混合すると上層に分離します。この性質を利用して、水溶液から有機化合物を抽出する操作(エーテル抽出)が行われるでしょう。

化学的性質として、エーテル結合(C-O-C)は比較的安定であり、通常の条件下では反応性が低い化合物です。しかし、強酸と反応してプロトン化され、また長期保存すると空気中の酸素と反応して過酸化物を生成する危険性があります。

C2H5-O-C2H5 + O2 → C2H5-O-O-CH(CH3)-O-C2H5(過酸化物の生成)

この過酸化物は爆発性を持つため、ジエチルエーテルの保存には遮光容器を使用し、定期的に過酸化物の有無を確認する必要があるのです。

麻酔薬としての歴史的利用

ジエチルエーテルは、医学史において革命的な役割を果たした物質です。1846年、アメリカの歯科医師ウィリアム・モートンが全身麻酔に初めて公開使用し、外科手術における麻酔法を確立しました。

それまでの外科手術は、患者が意識のある状態で行われ、耐え難い苦痛を伴うものでした。ジエチルエーテルによる全身麻酔の導入により、無痛手術が可能となり、医学の進歩に大きく貢献したのです。

ジエチルエーテルの麻酔作用は、中枢神経系への作用によるものです。吸入されたエーテルが血液中に溶解し、脳に達することで意識を失わせます。

麻酔の段階 症状 特徴
第一段階(鎮痛期) 意識はあるが痛覚が鈍る 会話可能
第二段階(興奮期) 興奮状態、せん妄 危険な段階
第三段階(外科的麻酔期) 意識消失、筋弛緩 手術可能な状態
第四段階(延髄麻痺期) 呼吸停止、循環不全 致死的

しかし、ジエチルエーテルには多くの欠点もありました。引火性が高く手術室での火災の危険があること、特有の刺激臭があること、術後の悪心・嘔吐が強いことなどです。

そのため、20世紀後半以降は、より安全で副作用の少ないハロタン、イソフルランなどのハロゲン化麻酔薬に置き換えられました。現在では、ジエチルエーテルは麻酔薬としてほとんど使用されていませんが、医療資源の限られた地域では今も使用されることがあるでしょう。

ジエチルエーテルの麻酔薬としての歴史は、化学物質が医療に革命をもたらした重要な例として、今も医学史や化学史の中で語り継がれているのです。

有機溶媒としての用途と取り扱い

現在、ジエチルエーテルの最も重要な用途は有機溶媒としての利用です。化学実験や工業プロセスにおいて、様々な有機化合物を溶解・抽出するために広く使用されています。

ジエチルエーテルの溶媒としての優れた特性は、多くの有機化合物を溶解する能力と、低沸点による容易な除去性にあります。反応後の精製工程で溶媒を蒸発させやすいため、生成物の単離が簡便なのです。

実験室では、液-液抽出(エーテル抽出)に頻繁に用いられます。水溶液中の有機化合物をエーテル層に抽出し、分離する操作は有機化学の基本技術でしょう。

ジエチルエーテルの主な用途:・有機合成反応の溶媒

・液-液抽出(エーテル抽出)

・グリニャール試薬の調製

・医薬品や香料の製造

・油脂や樹脂の溶解

特に、グリニャール試薬(R-MgX)の調製には、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン(THF)などのエーテル系溶媒が必須です。エーテルの酸素原子がマグネシウムと配位結合し、試薬を安定化させるためです。

工業的には、油脂の抽出、天然物からの有効成分の抽出、医薬品中間体の精製などに使用されます。また、ガソリンに添加してオクタン価を向上させる用途もあるでしょう。

しかし、ジエチルエーテルの取り扱いには十分な注意が必要です。引火点が-45℃と極めて低く、蒸気は空気より重いため床面に滞留し、遠くの火源からも引火する危険性があります。

実験室での使用時は、以下の安全対策が必須です。まず、火気を完全に除去し、電気機器も防爆型のものを使用します。換気を十分に行い、エーテル蒸気の滞留を防ぐことも重要でしょう。

保管時は、遮光性の容器を使用し、冷暗所に保管します。開封後は酸素と反応して過酸化物を生成する可能性があるため、定期的に過酸化物試験紙で確認し、長期保存は避けるべきです。

廃棄時も適切な方法が求められます。少量であれば、大量の水で希釈しながら廃棄するか、専門の産業廃棄物処理業者に委託する必要があるのです。

他のアルコールの分子間脱水反応

続いては、エタノール以外のアルコールの分子間脱水反応を確認していきます。

メタノールとプロパノールの分子間脱水

エタノール以外のアルコールも、濃硫酸と加熱することで分子間脱水反応を起こし、対称エーテルを生成します。メタノール(CH3OH)の場合、ジメチルエーテルが生成されるのです。

2CH3OH → CH3-O-CH3 + H2O(メタノール → ジメチルエーテル + 水)

ジメチルエーテル(CH3-O-CH3)は、常温で気体の化合物。沸点は-24.8℃と非常に低く、LPGガスの代替燃料やエアゾールの噴射剤として利用されています。

メタノールの分子間脱水は、エタノールよりも低い温度で進行します。これは、メタノールの方が立体的に小さく、求核攻撃が起こりやすいためでしょう。

プロパノール(C3H7OH)の場合は、ジプロピルエーテルが生成されます。

2C3H7OH → C3H7-O-C3H7 + H2O(プロパノール → ジプロピルエーテル + 水)

プロパノールには、1-プロパノール(第一級アルコール)と2-プロパノール(第二級アルコール)の2つの異性体があります。それぞれ異なるエーテルを生成し、反応性も若干異なるのです。

一般的に、第一級アルコールの方が分子間脱水反応を起こしやすい傾向があります。これは、立体障害が小さく、求核攻撃が起こりやすいためでしょう。

高級アルコールと反応性の違い

炭素数がさらに多い高級アルコールでは、分子間脱水反応の効率が低下する傾向があります。これは、分子が大きくなることで立体障害が増加し、求核攻撃が困難になるためです。

ブタノール(C4H9OH)、ペンタノール(C5H11OH)などの高級アルコールでは、分子間脱水よりも分子内脱水が優先される場合が多くなります。炭素鎖が長いほど、アルケンの生成が有利となるのです。

アルコール 炭素数 分子間脱水の起こりやすさ 主な生成エーテル
メタノール 1 非常に高い ジメチルエーテル
エタノール 2 高い ジエチルエーテル
プロパノール 3 中程度 ジプロピルエーテル
ブタノール以上 4以上 低い 分子内脱水が優先

また、第一級、第二級、第三級アルコールの違いも反応性に影響します。第三級アルコールでは、分子間脱水よりも分子内脱水が圧倒的に有利となり、エーテルの生成はほとんど起こりません。

これは、第三級炭素に結合したヒドロキシ基が立体的に混み合っており、求核攻撃を受けにくいためです。代わりに、カルボカチオンを経由する脱離反応(E1反応)が容易に進行するでしょう。

非対称エーテルの合成とウィリアムソン法

エタノールの分子間脱水反応では、対称エーテル(同じアルキル基を持つエーテル)しか合成できません。異なる2つのアルコールを混合して脱水反応を行っても、3種類のエーテルの混合物が生成してしまうのです。

例えば、エタノールとメタノールを混合して脱水すると、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、そしてエチルメチルエーテルの混合物が生成されます。

CH3OH + C2H5OH → CH3-O-CH3 + C2H5-O-C2H5 + CH3-O-C2H5 + H2O(3種類のエーテルの混合物)

このような混合物から目的のエーテルを分離することは困難です。そのため、非対称エーテルの合成には別の方法が必要となるでしょう。

最も一般的な方法が、ウィリアムソンエーテル合成法です。この方法では、アルコキシドイオン(RO-)とハロゲン化アルキル(R’X)を反応させて、エーテル(R-O-R’)を合成します。

RO- + R’-X → R-O-R’ + X-(ウィリアムソンエーテル合成)

この方法の利点は、2つの異なるアルキル基を確実に導入できることです。例えば、ナトリウムエトキシド(C2H5ONa)とヨウ化メチル(CH3I)を反応させれば、エチルメチルエーテル(C2H5-O-CH3)を選択的に合成できます。

ウィリアムソンエーテル合成は、SN2型の求核置換反応で進行するため、立体障害の少ない第一級ハロゲン化アルキルが最も適しています。第三級ハロゲン化アルキルでは、脱離反応(E2反応)が優先されてしまうでしょう。

現代の有機合成化学では、目的に応じて分子間脱水法とウィリアムソン法を使い分けます。対称エーテルの大量合成には分子間脱水が、非対称エーテルの精密合成にはウィリアムソン法が選択されるのです。

まとめ

エタノールの分子間脱水反応は、濃硫酸触媒の存在下で約130-140℃に加熱することにより、2分子のエタノールからジエチルエーテルと水を生成する重要な化学反応です。反応式は 2C2H5OH → C2H5-O-C2H5 + H2O で表され、エーテル結合を持つ化合物が生成されます。

反応機構は、まずエタノールのプロトン化により良好な脱離基が形成され、次に別のエタノール分子による求核攻撃(SN型反応)、最後に脱プロトン化によりジエチルエーテルが生成される過程で進行するのです。濃硫酸は触媒として機能し、反応の前後で再生されます。

温度条件が反応選択性の鍵となり、低温(130-140℃)では分子間脱水によりジエチルエーテルが、高温(約170℃)では分子内脱水によりエチレンが主生成物となるでしょう。この選択性は反応機構の違いとエントロピー変化に基づいています。

生成されるジエチルエーテルは、かつて麻酔薬として医学の発展に貢献し、現在では有機溶媒として広く利用されています。エタノールの分子間脱水反応は、エーテル合成の基本的な方法として、有機化学における重要な位置を占めていますので、その機構と条件をしっかりと理解してください。