化学式等の物性

エタノールのsds(密度や比重や融点・凝固点や沸点など)情報!g/cm3の単位でわかりやすく整理!

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エタノールの安全データシート(SDS)には、物理化学的性質から危険有害性、取り扱い方法まで、重要な情報が網羅されています。実験室や工業現場でエタノールを安全に使用するためには、これらの情報を正しく理解することが不可欠です。

本記事では、エタノールのSDS情報を分かりやすく整理し、密度、比重、融点、沸点などの物理的性質、危険性、取り扱い方法について詳しく解説していきます。

化学物質を扱う上で、SDSは最も基本的かつ重要な情報源といえるでしょう。エタノールの性質を体系的に理解することで、安全で効果的な使用が可能になります。

エタノールの基本物性情報

それではまずエタノールの基本物性情報について解説していきます。

物理的状態と外観

エタノールは常温常圧下で無色透明の液体として存在します。

外観は水のように透明で、特徴的な芳香を持つのです。揮発性があり、開放容器に入れておくと徐々に蒸発していきます。

純粋なエタノール(無水エタノール)は吸湿性を持ち、空気中の水分を吸収する性質があるでしょう。市販のエタノールには、含水率によっていくつかの規格があります。

名称 エタノール濃度 用途
無水エタノール 99.5%以上 試薬、電子機器洗浄
エタノール 95.1~96.9% 一般試薬、消毒
消毒用エタノール 76.9~81.4% 医療・衛生用消毒

臭いは特有の芳香性で、わずかに刺激性があります。高濃度の蒸気を吸入すると、眠気やめまいを引き起こす可能性があるのです。

密度と比重

エタノールの密度は温度によって変化しますが、20℃での標準的な値は約0.789 g/cm³です。

これは水の密度(1.00 g/cm³)よりも小さいため、エタノールは水に浮く性質を持ちます。ただし、エタノールは水と完全に混和するため、実際には層分離せずに均一な溶液を形成するでしょう。

比重は、通常4℃の水を基準として測定されます。エタノールの比重(20℃/4℃)は約0.789であり、これは密度の数値と一致するのです。

温度(℃) 密度(g/cm³) 比重
0 0.806 0.806
20 0.789 0.789
40 0.772 0.772
60 0.755 0.755
温度が上昇すると密度が減少する傾向があります。これは分子の熱運動が活発になり、分子間距離が広がるためです。この性質は、エタノールの体積測定や濃度計算において重要な考慮事項となるでしょう。

融点と沸点

エタノールの融点(凝固点)は約-114℃です。

この非常に低い融点により、エタノールは通常の使用温度範囲で液体状態を保ちます。冬季の寒冷地でも凍結しにくいため、不凍液としての用途にも利用されるのです。

沸点は約78.3℃(1気圧下)であり、水の沸点(100℃)よりも低くなっています。

融点:-114.1℃
沸点:78.3℃(101.325 kPa)
液体範囲:約192℃

この低い沸点により、エタノールは常温でも揮発しやすい性質を持ちます。蒸留による精製が比較的容易であり、水とエタノールの混合物から蒸留によってエタノール濃度を高めることができるでしょう。

ただし、エタノールと水の混合物は共沸混合物を形成し、95.6%のエタノール水溶液は78.15℃で沸騰します。これより高濃度のエタノールを得るには、特殊な脱水法が必要となるのです。

エタノールの熱的・蒸気圧特性

続いてはエタノールの熱的・蒸気圧特性を確認していきます。

引火点と発火点

エタノールは可燃性液体であり、火災の危険性に関する重要な指標があります。

引火点(Flash Point)は約13℃です。これは、この温度以上で空気中にエタノールの蒸気が十分に存在し、火源があれば引火する可能性があることを意味します。

温度指標 温度 意味
引火点 13℃ 蒸気が点火源で着火する最低温度
発火点 363℃ 点火源なしで自然発火する温度
爆発範囲下限 3.3 vol% 空気中で爆発する最低濃度
爆発範囲上限 19 vol% 空気中で爆発する最高濃度

発火点(Auto-ignition Temperature)は約363℃であり、この温度に達すると点火源がなくても自然に発火します。

引火点が室温に近いため、エタノールは常温でも火災の危険性があります。取り扱い時には火気を厳禁とし、換気の良い場所で使用する必要があるのです。静電気による着火の危険性もあるため、適切な接地が重要でしょう。

爆発範囲(燃焼範囲)は空気中で3.3~19 vol%です。この範囲内の濃度では、点火源があれば爆発的に燃焼する危険性があります。

蒸気圧と蒸発速度

エタノールの蒸気圧は温度によって大きく変化します。

20℃における蒸気圧は約5.8 kPa(44 mmHg)です。これは比較的高い蒸気圧であり、エタノールが揮発しやすいことを示しています。

温度(℃) 蒸気圧(kPa) 蒸気圧(mmHg)
0 1.6 12
20 5.8 44
40 18.7 140
60 47.0 352
78.3(沸点) 101.3 760

蒸発速度は、酢酸ブチルを1としたときの相対値で約1.4と表されます。これは水(0.3)よりもはるかに速く、アセトン(5.6)よりは遅い蒸発速度です。

高い蒸気圧により、密閉されていない容器からエタノールは急速に蒸発します。この性質は、溶媒として使用する際や、消毒用として使用する際に重要な特性となるでしょう。

粘度と表面張力

エタノールの粘度(20℃)は約1.2 mPa·sです。

これは水の粘度(約1.0 mPa·s)とほぼ同程度であり、比較的さらさらとした液体といえます。温度が上昇すると粘度は低下し、流動性が増すでしょう。

表面張力(20℃)は約22.1 mN/mであり、水(約72.8 mN/m)の約1/3程度です。この低い表面張力により、エタノールは物質の表面を濡らしやすく、洗浄剤や溶媒として優れた性質を示すのです。

粘度(20℃):1.2 mPa·s
表面張力(20℃):22.1 mN/m
屈折率(20℃):1.361

屈折率は1.361であり、この値は液体の純度を確認する指標として利用されます。

エタノールの溶解性と化学的性質

続いてはエタノールの溶解性と化学的性質を確認していきます。

水および有機溶媒への溶解性

エタノールの最も特徴的な性質の一つが、水と任意の割合で混和することです。

これはエタノールのヒドロキシ基(-OH)が水分子と強い水素結合を形成するためでしょう。完全に混和するため、どのような濃度でも均一な溶液を作ることができます。

同時に、エタノールは多くの有機溶媒にも溶解します。ジエチルエーテル、クロロホルム、ベンゼン、ヘキサンなど、様々な有機溶媒と混和するのです。

溶媒 溶解性 用途
完全混和 水溶液調製
ジエチルエーテル 完全混和 抽出溶媒
クロロホルム 完全混和 有機合成
アセトン 完全混和 洗浄溶媒
ヘキサン 混和 抽出・分離
この両親媒性(親水性と親油性の両方を持つ性質)により、エタノールは多目的溶媒として広く利用されています。水にも油にも溶ける物質を溶解できるため、化学実験や工業プロセスで非常に有用なのです。

pH値と酸塩基性

純粋なエタノールのpH値は約7.33であり、ほぼ中性です。

ただし、エタノールは非常に弱い酸として働くこともできます。pKa値は約15.9であり、水(pKa約15.7)よりもわずかに弱い酸性を示すでしょう。

活性金属(ナトリウム、カリウムなど)と反応すると、水素ガスを発生しながらアルコキシド(エトキシド)を生成します。

2 C₂H₅OH + 2 Na → 2 C₂H₅ONa + H₂↑
エタノール + ナトリウム → ナトリウムエトキシド + 水素

この反応は、エタノールが弱い酸性(プロトン供与性)を持つことを示しています。

また、強酸の存在下では、エタノールの酸素原子がプロトンを受け取り、弱い塩基として機能することもあるのです。

安定性と反応性

エタノールは通常の保存条件下では安定な化合物です。

ただし、いくつかの条件下では反応や分解が起こる可能性があります。光や熱、空気中の酸素により、徐々に酸化されてアセトアルデヒドや酢酸を生成することがあるでしょう。

条件 反応 生成物
酸化剤存在下 酸化 アセトアルデヒド、酢酸
濃硫酸、加熱 脱水 エチレン、ジエチルエーテル
カルボン酸、酸触媒 エステル化 エステル
活性金属 水素置換 アルコキシド、水素

強酸化剤との接触は避ける必要があります。過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウム、硝酸などと反応すると、激しい発熱や発火の危険性があるのです。

保管時には、直射日光を避け、冷暗所に密栓して保存することが推奨されます。吸湿性があるため、無水エタノールは特に厳重な密閉が必要でしょう。

エタノールの危険有害性と安全対策

続いてはエタノールの危険有害性と安全対策を確認していきます。

健康への影響

エタノールは、曝露経路によって様々な健康影響を及ぼす可能性があります。

吸入した場合、高濃度の蒸気は眠気、めまい、頭痛を引き起こす可能性があるのです。長時間の吸入は、中枢神経系の抑制作用により、意識喪失に至ることもあります。

皮膚接触では、脱脂作用により皮膚の乾燥や軽度の刺激を引き起こすことがあるでしょう。長期間の反復接触は、皮膚炎の原因となる可能性があります。

曝露経路 急性影響 慢性影響
吸入 めまい、頭痛、眠気、麻酔作用 呼吸器への刺激
皮膚接触 軽度の刺激、脱脂 皮膚炎、乾燥
眼接触 強い刺激、痛み、流涙 角膜損傷の可能性
経口摂取 酔い、吐き気、意識障害 肝臓・神経系への影響

眼に入った場合は、強い刺激を引き起こします。痛み、充血、流涙などの症状が現れ、速やかな洗浄が必要です。

応急措置と救急処置

エタノールに曝露した場合の応急措置は以下の通りです。

吸入した場合は、直ちに新鮮な空気のある場所に移動させます。呼吸が困難な場合は酸素吸入を行い、必要に応じて人工呼吸を実施するのです。

眼に入った場合は、直ちに大量の水で15分以上洗い流します。コンタクトレンズは取り外し、まぶたを開いて眼球全体を洗浄する必要があります。その後、速やかに医師の診察を受けるべきでしょう。

皮膚に付着した場合は、汚染された衣服を脱がせ、付着部位を石鹸と大量の水で洗浄します。刺激が続く場合は医師の診察を受けるのです。

誤飲した場合は、無理に吐かせず、口をすすぎ、直ちに医師の診察を受けます。意識がない場合は、口から何も与えてはいけません。

保護具と安全対策

エタノールを取り扱う際には、適切な保護具の着用が必要です。

呼吸器保護としては、換気の良い場所で使用することが基本です。高濃度蒸気が発生する可能性がある場合は、有機ガス用防毒マスクを着用するでしょう。

保護具 推奨仕様 使用場面
保護眼鏡 密閉式ゴーグル 飛沫の可能性がある作業
保護手袋 耐溶剤性手袋(ニトリルゴム等) 液体を扱う全ての作業
保護衣 耐溶剤性エプロン 大量取り扱い時
呼吸器保護 有機ガス用防毒マスク 換気不十分な場所

保護手袋は、ニトリルゴム製やネオプレンゴム製が推奨されます。ラテックス製は透過性があるため、長時間の使用には適していません。

火災予防のため、火気の近くでの使用は厳禁です。静電気の蓄積を防ぐため、容器や装置を適切に接地する必要があるでしょう。

SDS情報へのアクセス

より詳細な安全情報については、各メーカーが提供する安全データシート(SDS)を参照することをお勧めします。

主要な化学薬品メーカーのSDS情報は以下からアクセスできます。

厚生労働省さまのsds情報

SDSには、本記事で紹介した情報に加えて、廃棄方法、輸送上の注意、法規制情報なども記載されています。実際に取り扱う際には、必ず最新のSDSを確認してください。

まとめ エタノールの比重や融点や沸点は?わかりやすく整理!

エタノールのSDS情報について、物理化学的性質、危険有害性、安全対策まで詳しく解説してきました。

エタノールは沸点78.3℃、融点-114℃、密度0.789 g/cm³の無色透明液体です。引火点が13℃と低く、可燃性が高いため、火気厳禁での取り扱いが必要となります。

水と任意の割合で混和し、多くの有機溶媒にも溶ける両親媒性溶媒として、幅広い用途で利用されているのです。ただし、吸入や眼への接触による健康影響があるため、適切な保護具の着用と換気が重要でしょう。

エタノールを安全に使用するためには、SDSの内容を十分に理解し、適切な安全対策を講じることが不可欠です。本記事が皆様の安全な化学物質取り扱いに役立てば幸いです。