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エタノールの融点は?沸点との違いや密度・蒸気圧も解説【公的機関のリンク付き】

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エタノールは、医薬品・化粧品・食品・燃料など幅広い分野で活用される重要な化学物質です。

その物性を正しく理解することは、安全な取り扱いや品質管理において非常に重要といえます。

今回のテーマは「エタノールの融点は?沸点との違いや密度・蒸気圧も解説【公的機関のリンク付き】」です。

融点・沸点・密度・蒸気圧といった基本的な物性データを、わかりやすく整理してお伝えしていきます。

公的機関のデータも交えながら解説しますので、ぜひ参考にしてください。

エタノールの融点は約-114℃|まずは結論から確認しよう

それではまず、エタノールの融点について結論からお伝えしていきます。

エタノール(別名:エチルアルコール、化学式 C₂H₅OH)の融点は約-114.1℃です。

これは、固体のエタノールが液体に変化し始める温度を指します。

 

厚生労働省さまのリンク↓

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/64-17-5.html

 

常温(約20℃)は融点をはるかに上回っているため、私たちが日常的に目にするエタノールは液体の状態です。

融点が非常に低いということは、エタノールは極めて低温の環境下でも液体として存在できることを意味します。

この特性から、寒冷地での防凍剤や低温実験用の溶媒としても活用されています。

エタノールの融点が低い理由は、その分子構造にあります。

エタノールは比較的小さな有機分子であり、分子間に働く力(ファンデルワールス力や水素結合)のバランスが、固体として安定しにくい状態を生み出しています。

水の融点(0℃)と比較しても、エタノールの融点がいかに低いかが実感できるでしょう。

融点の比較(参考)

水(H₂O)の融点 → 約 0℃

エタノール(C₂H₅OH)の融点 → 約 -114.1℃

メタノール(CH₃OH)の融点 → 約 -97.6℃

このように、アルコール類は水に比べて融点が低い傾向があります。

エタノールはメタノールよりもさらに低い融点を持つ点も、興味深い特徴といえます。

エタノールの沸点と融点の違い|それぞれが示す意味を理解しよう

続いては、エタノールの沸点と融点の違いを確認していきます。

融点と沸点はどちらも「物質の状態が変わる温度」を表しますが、その意味は異なります。

融点は固体から液体へ変化するときの温度沸点は液体から気体へ変化するときの温度です。

物性 値(1atm条件) 状態変化の内容
融点 約 -114.1℃ 固体 → 液体
沸点 約 78.4℃ 液体 → 気体
常温(参考) 約 20℃ 液体として安定

エタノールの沸点は約78.4℃(1気圧条件)で、水の沸点(100℃)よりも低い値を示します。

この沸点の低さが、エタノールが「揮発しやすい液体」として知られる理由です。

常温でも蒸発が進みやすく、独特のアルコール臭を感じるのはそのためといえます。

融点(-114.1℃)から沸点(78.4℃)の間が、エタノールが液体として安定して存在できる温度範囲です。

この幅は約192℃にも及び、非常に広い液体温度域を持つ物質といえます。

広い温度域で液体を維持できるため、実験用溶媒や消毒液として使いやすい物質として重宝されているのです。

エタノールの沸点が水より低い理由は、水分子どうしの水素結合がエタノールよりも強く、気体になるためにより多くのエネルギーを必要とするためです。

エタノールも水素結合を形成しますが、炭化水素部分(エチル基)が分子間の水素結合を弱める働きをするため、沸点が低くなります。

蒸留操作においてもこの沸点の差が重要で、エタノールと水の混合物から純度の高いエタノールを得る際に利用されています。

エタノールの密度と蒸気圧|数値データを整理して確認しよう

続いては、エタノールの密度と蒸気圧についての数値データを確認していきます。

エタノールの密度

エタノールの密度は、20℃において約0.789 g/cm³(789 kg/m³)です。

水の密度(約1.00 g/cm³)より小さいため、エタノールは水に浮く性質を持ちます。

密度は温度によって変化し、温度が上がるほど密度は低下します。

温度 密度(g/cm³)
0℃ 約 0.806
20℃ 約 0.789
40℃ 約 0.772
60℃ 約 0.754

このように、温度が上昇するにつれて密度は徐々に低下していきます。

液体の体積が熱膨張により増加するためで、質量は変わらず体積が増えることで密度が下がる仕組みです。

エタノール水溶液(アルコール水溶液)では、エタノールと水が混合されることで、密度は濃度によって変化します。

酒税法や医薬品品質管理においても、密度測定はエタノール濃度の確認に用いられる重要な指標です。

エタノールの蒸気圧

蒸気圧とは、液体と気体が平衡状態にあるときの気相の圧力のことです。

エタノールの蒸気圧は、20℃において約5.95 kPa(約44.6 mmHg)です。

水の蒸気圧(20℃で約2.34 kPa)よりも高く、エタノールが水よりも蒸発しやすいことを数値として表しています。

温度 蒸気圧(kPa)
0℃ 約 1.59
20℃ 約 5.95
40℃ 約 17.9
60℃ 約 46.8
78.4℃(沸点) 約 101.3(大気圧と等しい)

温度が上昇するにつれて蒸気圧は急激に上昇し、沸点(約78.4℃)に達すると蒸気圧が大気圧(約101.3 kPa)と等しくなります。

これが「沸騰」として観察される現象です。

蒸気圧と安全取り扱いの関係

蒸気圧が高いということは、常温でも気化しやすく、引火の危険性が高いことを意味します。

エタノールの引火点は約13℃とされており、常温環境でも十分に危険といえます。

消防法ではエタノールは「第4類引火性液体(アルコール類)」に分類されており、保管・使用時には適切な換気と火気厳禁の管理が必要です。

エタノールを取り扱う際は、以下の点に注意しましょう。

・直射日光・高温を避けた冷暗所での保管

・十分な換気のある場所での使用

・火気・静電気・スパークの発生源から遠ざけること

エタノールの物性データを公的機関の情報で確認しよう

続いては、エタノールの物性データを公的機関の情報と照らし合わせながら確認していきます。

国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)の情報

日本における化学物質の物性データは、国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)が提供するデータベースが信頼性の高い情報源として知られています。

エタノールの物性については、化学物質データベース「J-CHECK」や「SDBSウェブ」なども参照可能です。

参考リンク(公的機関)

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 SDBS(有機化合物スペクトルデータベース)

https://sdbs.db.aist.go.jp/

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)化学物質総合情報提供システム(CHRIP)

https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/

国立環境研究所 環境展望台・化学物質データベース

https://tenbou.nies.go.jp/

これらの公的機関データベースでは、エタノール(CAS番号 64-17-5)として登録されており、融点・沸点・密度・蒸気圧などの詳細な物性データを確認できます。

NITE(製品評価技術基盤機構)のSDSによる確認

NITE(ナイト)が公開するSDS(安全データシート)は、化学物質の物性・危険性・取り扱い方法を網羅した公式文書です。

エタノールのSDSには、以下のような物性データが記載されています。

物性項目
分子式 C₂H₅OH(C₂H₆O)
分子量 46.07 g/mol
融点 約 -114.1℃
沸点 約 78.4℃(1 atm)
密度(20℃) 約 0.789 g/cm³
蒸気圧(20℃) 約 5.95 kPa
引火点 約 13℃
発火点 約 365℃
水への溶解性 任意の割合で混和

SDSは取り扱う化学物質の安全管理において基本となる文書であり、職場での化学物質管理(労働安全衛生法)においても活用が求められています。

国際的なデータベースとの整合性

エタノールの物性は、国際的なデータベースでも一致した数値が確認できます。

米国国立標準技術研究所(NIST)のWebBookや、欧州化学物質庁(ECHA)のデータベースでも、同様の物性値が登録されています。

参考リンク(国際機関)

NIST WebBook(米国国立標準技術研究所)

https://webbook.nist.gov/

ECHA(欧州化学物質庁) C&L Inventory

https://echa.europa.eu/

国際的に同一のデータが確認されることで、エタノールの物性値の信頼性がより高いといえるでしょう。

研究や製造の現場でデータを引用する際には、こうした公的機関の情報を参照することが推奨されます。

まとめ

今回は「エタノールの融点は?沸点との違いや密度・蒸気圧も解説【公的機関のリンク付き】」をテーマに、エタノールの主要な物性データを解説しました。

エタノールの融点は約-114.1℃と非常に低く、常温では安定した液体として存在します。

沸点は約78.4℃で、融点と沸点の間の約192℃が液体として安定して存在できる温度域です。

密度は20℃で約0.789 g/cm³、蒸気圧は20℃で約5.95 kPaと、水よりも揮発しやすい特性を持っています。

これらの物性はNITE・NIST・ECHAなどの公的機関データベースで確認できるため、正確な情報が必要な際にはそちらも活用してください。

エタノールは身近な物質だからこそ、正しい物性知識と安全な取り扱いが重要です。

本記事がエタノールの物性理解の一助となれば幸いです。