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エタノールと無水エタノールの違いや使い分けは?消毒用や100%や含水エタノールとも

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エタノールには、含水率によっていくつかの種類があり、それぞれ用途が異なります。「無水エタノール」「エタノール」「消毒用エタノール」など、様々な製品名を見かけますが、その違いを正しく理解することは重要です。

本記事では、エタノールと無水エタノールの違い、消毒用エタノールの特徴、それぞれの使い分け方法について詳しく解説していきます。

濃度の違いがなぜ用途に影響するのか、どの場面でどのエタノールを選ぶべきなのか。実用的な知識を深めていきましょう。

エタノールの種類と濃度による分類

それではまずエタノールの種類と濃度による分類について解説していきます。

無水エタノールとは

無水エタノールは、エタノール濃度が99.5%以上の高純度エタノールです。

「無水」という名称の通り、ほとんど水を含まない純粋なエタノールといえます。日本薬局方では、エタノール含量が99.5 vol%以上と規定されているのです。

名称 エタノール濃度 水分含量 規格
無水エタノール 99.5%以上 0.5%以下 日本薬局方
エタノール 95.1~96.9% 3.1~4.9% 日本薬局方
消毒用エタノール 76.9~81.4% 18.6~23.1% 日本薬局方

無水エタノールは吸湿性が非常に高いため、開封後は速やかに空気中の水分を吸収します。そのため、密栓保存が必須であり、長期保存には適していないでしょう。

純度が高いため、電子機器の洗浄や試薬としての使用に適していますが、後述するように消毒用としては適していません。

エタノール(含水エタノール)とは

単に「エタノール」と呼ばれる製品は、エタノール濃度が95.1~96.9%のものを指します。

これは無水エタノールよりも水分を含んでおり、一般的な試薬や溶媒として広く使用されるのです。約4~5%の水を含むため、「含水エタノール」とも呼ばれます。

このエタノールは、水とエタノールの共沸混合物に相当します。蒸留によってエタノール濃度を高めていくと、約95.6%で沸点が一定となり、これ以上蒸留では濃縮できないという性質があるのです。

共沸混合物とは、液体混合物が一定の組成で蒸発し、蒸気と液体の組成が等しくなる現象です。エタノール-水混合物の場合、95.6%のエタノール水溶液が78.15℃で共沸します。これより高濃度のエタノール(無水エタノール)を得るには、特殊な脱水剤や分子ふるいを使用する必要があるでしょう。

一般的な化学実験や、溶媒としての用途には、このエタノール(95%)で十分な場合が多いのです。

消毒用エタノールとは

消毒用エタノールは、エタノール濃度が76.9~81.4%に調整された製品です。

この濃度範囲が、微生物に対する殺菌効果が最も高いことが知られています。日本薬局方では、消毒用として最適な濃度として規定されているのです。

一般的には80%前後(vol%)に調整されていることが多く、「消毒用エタノール」として市販されています。医療機関や家庭で手指消毒や器具の消毒に使用されるでしょう。

消毒用エタノールには、添加物が含まれている場合があります。例えば、イソプロパノール(イソプロピルアルコール)を添加して消毒効果を高めた製品や、保湿剤を添加した製品なども存在するのです。

無水エタノールとエタノールの違い

続いては無水エタノールとエタノールの違いを確認していきます。

濃度の違いとその影響

無水エタノールとエタノールの最も大きな違いは、水分含量です。

無水エタノールは99.5%以上、エタノールは約95~96%という濃度差が、様々な性質の違いを生み出します。わずか4~5%の差に見えますが、用途によっては大きな影響があるのです。

項目 無水エタノール エタノール(95%)
エタノール濃度 99.5%以上 95.1~96.9%
水分含量 0.5%以下 3.1~4.9%
沸点 約78.3℃ 約78.15℃
価格 高い やや安い
吸湿性 非常に高い やや高い

無水エタノールは水分をほとんど含まないため、電子機器の洗浄や水を嫌う化学反応に適しています。水分があると故障や反応阻害の原因となる場面で重宝するでしょう。

一方、エタノール(95%)は、水分を完全に除く必要がない一般的な用途に適しています。試薬としての使用や、抽出溶媒としての使用などが該当するのです。

消毒効果の違い

興味深いことに、無水エタノールは消毒効果が低いという特徴があります。

これは直感に反するかもしれませんが、濃度が高すぎると消毒効果が低下するのです。細菌やウイルスのタンパク質を変性させて殺菌するには、適度な水分が必要となります。

無水エタノール(99.5%以上)の場合、微生物の表面を瞬時に凝固させてしまい、内部まで浸透する前に蒸発してしまうのです。そのため、完全な殺菌効果が得られません。

最も高い消毒効果を発揮するのは、70~80%程度のエタノール水溶液です。この濃度では、適度な速度でタンパク質を変性させながら、微生物内部まで浸透できます。消毒用エタノール(76.9~81.4%)は、この最適濃度範囲に調整されているのです。

そのため、手指消毒や器具の消毒には、無水エタノールではなく消毒用エタノールを使用する必要があるでしょう。

価格と入手性の違い

無水エタノールは、エタノール(95%)よりも製造コストが高く、価格も高い傾向があります。

共沸混合物(95.6%)からさらに水分を除去するには、特殊な脱水工程が必要となるためです。分子ふるいや脱水剤を使用する必要があり、そのコストが価格に反映されます。

一般的な価格比較(500mLあたりの目安)では、以下のような傾向が見られるでしょう。

製品 価格目安(500mL) 入手性
無水エタノール 1,500~2,500円 薬局、試薬店
エタノール(95%) 1,000~1,800円 薬局、試薬店
消毒用エタノール 800~1,500円 薬局、ドラッグストア

消毒用エタノールは、医療・衛生用途で需要が高いため、ドラッグストアなどでも広く販売されています。一方、無水エタノールは専門的な用途が多いため、薬局や化学薬品店での取り扱いが中心となるのです。

消毒用エタノールの特徴と効果

続いては消毒用エタノールの特徴と効果を確認していきます。

最適な消毒濃度の理由

消毒用エタノールの濃度(76.9~81.4%)が最適とされる理由は、殺菌メカニズムにあります。

エタノールによる殺菌は、主に微生物のタンパク質変性と脂質膜の破壊によって起こります。この過程には、適度な水分が必要なのです。

濃度が高すぎる場合(90%以上)では、微生物の表面が急速に凝固してバリアとなり、内部への浸透が妨げられます。また、蒸発が速すぎて十分な作用時間が確保できないでしょう。

殺菌効果の濃度依存性30~50%:効果が弱い
60~70%:良好な効果
70~80%:最も高い効果(最適範囲)
90%以上:効果が低下
99%以上(無水):効果が著しく低い

濃度が低すぎる場合(60%以下)では、タンパク質変性の速度が遅くなり、一部の微生物が生き残る可能性が高まります。

70~80%という濃度範囲では、浸透速度と変性速度のバランスが最適となり、幅広い微生物に対して高い殺菌効果を発揮するのです。

対象微生物と殺菌効果

消毒用エタノールは、幅広い微生物に対して効果を示します。

一般細菌(大腸菌、黄色ブドウ球菌など)に対しては、数秒~数十秒で殺菌できます。手指消毒では、15~30秒程度の接触時間で十分な効果が得られるでしょう。

微生物の種類 消毒効果 必要な接触時間
一般細菌 非常に高い 15~30秒
結核菌 高い 30~60秒
真菌(カビ) 高い 30~60秒
エンベロープウイルス 非常に高い 15~30秒
ノンエンベロープウイルス やや低い 60秒以上
芽胞 低い(無効) 効果なし

ウイルスに対しては、エンベロープ(脂質膜)の有無によって効果が異なります。インフルエンザウイルスやコロナウイルスなどのエンベロープウイルスには非常に効果的ですが、ノロウイルスなどのノンエンベロープウイルスには効果が限定的なのです。

芽胞(細菌の休眠形態)に対しては効果がないため、芽胞形成菌の消毒には別の方法(加熱滅菌、次亜塩素酸ナトリウムなど)を使用する必要があるでしょう。

手指消毒と器具消毒の違い

消毒用エタノールの使用方法は、対象によって異なります。

手指消毒では、適量(3~5 mL程度)を手のひらに取り、手指全体に擦り込むように15~30秒間塗布します。乾燥するまで擦り込み続けることが重要です。

器具消毒では、清浄な器具の表面に噴霧またはガーゼで塗布し、自然乾燥させます。汚れが付着している場合は、先に洗浄してから消毒を行う必要があるでしょう。

手指消毒の注意点として、エタノールは有機物(血液、膿、タンパク質など)の存在下では効果が低下します。そのため、目に見える汚れがある場合は、まず水と石鹸で手を洗ってから消毒用エタノールを使用する必要があるのです。

また、エタノールは揮発性が高いため、密閉容器で保存し、使用時以外は蓋を閉めておく必要があります。濃度が低下すると消毒効果も低下するため、適切な保管が重要でしょう。

エタノールの使い分けと用途別選択

続いてはエタノールの使い分けと用途別選択を確認していきます。

無水エタノールの適した用途

無水エタノールが最適な用途は、水分を嫌う場面です。

電子機器の洗浄では、基板やコネクタ部分の汚れ除去に使用されます。水分が残ると故障の原因となるため、純度の高い無水エタノールが適しているのです。速やかに蒸発し、水分をほとんど残さないという特性が活かされます。

用途 推奨製品 理由
電子機器洗浄 無水エタノール 水分が残らない
化学反応の溶媒 無水エタノール 水が反応を阻害する場合
試薬調製 無水エタノール 正確な濃度管理が必要
香料・精油の抽出 エタノール(95%) コスト効率が良い

化学反応の溶媒としても、無水エタノールが必要な場面があります。特に、水と反応する試薬を使用する場合や、水分が反応を阻害する場合には、無水エタノールが不可欠でしょう。

アロマオイルの希釈や、化粧品の調製にも使用されますが、この用途では必ずしも無水である必要はなく、エタノール(95%)でも十分な場合が多いのです。

エタノール(95%)の適した用途

エタノール(95%)は、一般的な溶媒や試薬として幅広く使用されます。

チンキ剤(薬用植物の成分をアルコールで抽出した液剤)の調製では、このエタノールが標準的に使用されるでしょう。ハーブや生薬の有効成分を抽出する際に、適度な水分があることで抽出効率が向上する場合もあるのです。

実験室での一般的な洗浄や、器具の乾燥促進にも使用されます。ガラス器具を水洗後にエタノールですすぐことで、速やかに乾燥させることができるでしょう。

消毒用として使用したい場合は、エタノール(95%)を精製水で希釈して80%程度に調整することもできます。例えば、エタノール(95%)を840 mL取り、精製水を160 mL加えると、約80%のエタノール水溶液1リットルが調製できるのです。

インクや塗料の溶解、レジンアートの希釈剤としても使用されます。趣味や工作の分野でも、エタノール(95%)は多目的溶媒として活躍するでしょう。

消毒用エタノールの適した用途

消毒用エタノールは、衛生・消毒目的に特化した製品です。

手指消毒が最も一般的な用途であり、医療機関、介護施設、食品関連施設などで広く使用されています。速乾性があり、水が使えない状況でも使用できるという利点があるのです。

消毒対象 使用方法 注意点
手指 適量を手に取り擦り込む 目に見える汚れは先に洗浄
医療器具(非侵襲) 噴霧または拭き取り 材質の適合性確認
ドアノブ・手すり 拭き取り消毒 材質の変色・劣化に注意
テーブル・調理台 拭き取り消毒 食品に直接触れる部分は水拭き仕上げ

環境消毒(ドアノブ、テーブル、手すりなど)にも使用されますが、材質によっては変色や劣化を起こす可能性があるため注意が必要です。特に、ニスやワックス加工された表面、アクリル樹脂などには使用を避けるべきでしょう。

傷口の消毒にも使用できますが、刺激が強いため、広範囲の創傷や粘膜への使用は避けるべきです。現在の医療現場では、傷口の消毒には他の消毒剤(イソジンなど)が推奨される場合も多いのです。

エタノール使用時の注意点

続いてはエタノール使用時の注意点を確認していきます。

火気に関する注意

すべてのエタノール製品に共通する最も重要な注意点は、引火性の高さです。

エタノールの引火点は約13℃であり、室温でも容易に引火します。火気の近くでの使用は絶対に避け、換気の良い場所で取り扱う必要があるのです。

特に注意が必要なのは、アルコールランプや加熱調理器具の近くでの使用です。消毒用エタノールをキッチンで使用する際は、ガスコンロの火を消してから使用し、十分に蒸発してから点火するようにしましょう。

静電気による着火の危険性もあります。乾燥した環境では、衣服の脱着や容器の開閉時に静電気が発生し、エタノール蒸気に着火する可能性があるのです。

保管時には、直射日光を避け、冷暗所に密栓して保存します。高温になる場所(車内、暖房器具の近くなど)での保管は、蒸気圧上昇による容器破裂の危険性があるため避けるべきでしょう。

皮膚への影響と対策

エタノールは脱脂作用があり、頻繁な使用により皮膚が乾燥します。

特に無水エタノールは脱脂作用が強く、皮膚の保湿成分を奪うため、長時間の接触は避けるべきです。手荒れしやすい人は、保湿剤を併用することが推奨されるでしょう。

消毒用エタノールの頻繁な使用も、手荒れの原因となります。医療従事者など頻繁に手指消毒を行う必要がある場合は、保湿成分配合の製品を選ぶか、定期的にハンドクリームを使用することが重要です。

症状 原因 対策
皮膚の乾燥 脱脂作用 保湿剤の使用
手荒れ 頻繁な使用 保湿成分配合製品の選択
刺激・ピリピリ感 傷や荒れた皮膚への接触 傷がある場合は使用を控える
アレルギー反応 エタノールや添加物への過敏 使用中止、医師に相談

傷や湿疹がある部分への使用は、強い刺激や痛みを引き起こします。開放創がある場合は、他の消毒方法を選択するか、医療機関で適切な処置を受けるべきでしょう。

まれにエタノールに対するアレルギー反応を示す人もいます。発赤、かゆみ、発疹などの症状が現れた場合は、直ちに使用を中止し、医師に相談する必要があるのです。

保管と廃棄の注意点

エタノールの適切な保管は、安全性と品質維持の両面で重要です。

容器は密栓し、子供の手の届かない場所に保管します。揮発性が高いため、開封後は速やかに蓋を閉め、蒸発による濃度低下を防ぐ必要があるでしょう。

無水エタノールは特に吸湿性が高いため、開封後は短期間で使い切ることが推奨されます。長期保存すると水分を吸収し、無水としての性能が失われるのです。

消毒用エタノールは、使用期限内に使い切ることが重要です。開封後は徐々に濃度が低下し、消毒効果が減弱する可能性があります。

廃棄する際は、少量ずつ大量の水で希釈してから下水に流します。大量に廃棄する場合は、専門の産業廃棄物処理業者に依頼する必要があるでしょう。

容器の廃棄前には、残留エタノールを完全に除去するか、十分に蒸発させてから処分します。引火性があるため、火気のある場所での廃棄作業は厳禁です。

SDS情報へのアクセス

より詳細な安全情報については、厚生労働省が提供する安全データシート(SDS)を参照することをお勧めします。

厚生労働省 職場のあんぜんサイト – エタノールSDS

SDSには、本記事で紹介した情報に加えて、廃棄方法、輸送上の注意、法規制情報なども記載されています。実際に取り扱う際には、必ず最新のSDSを確認してください。

まとめ 無水エタノールの違いや使い分けは?消毒用や100%や含水エタノールとも

エタノールと無水エタノールの違い、消毒用エタノールの特徴、使い分け方法について詳しく解説してきました。

無水エタノール(99.5%以上)は電子機器洗浄や水を嫌う化学反応に、エタノール(95%)は一般的な溶媒や試薬として、消毒用エタノール(76.9~81.4%)は手指消毒や衛生管理に最適です。

興味深いことに、消毒効果は濃度が高いほど良いわけではなく、70~80%という適度な濃度で最大の効果を発揮するのです。用途に応じて適切な製品を選択することで、効果的かつ経済的に使用できるでしょう。

すべてのエタノール製品は引火性が高いため、火気厳禁での取り扱いが必須です。適切な保管と安全対策を講じることで、エタノールの優れた性質を安全に活用できます。本記事が皆様の適切なエタノール選択と使用に役立てば幸いです。