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グラスウールの熱伝導率と密度は?W/m・Kの数値と種類別の違い・断熱性能も解説

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グラスウールの熱伝導率と密度は?W/m・Kの数値と種類別の違い・断熱性能も解説

断熱材を選ぶうえで、熱伝導率と密度の数値は非常に重要な判断基準となります。

グラスウールは住宅や建築物の断熱工事で広く採用されている素材ですが、「実際にどのくらいの断熱性能があるのか」「種類によって何が変わるのか」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、グラスウールの熱伝導率をW/m・Kの数値で詳しく解説するとともに、密度との関係や種類別の違い、さらには他の断熱材との比較まで幅広く取り上げています。

断熱材選びで後悔しないために、ぜひ最後までご覧ください。

グラスウールの熱伝導率は密度によって大きく変わる

それではまず、グラスウールの熱伝導率と密度の関係について解説していきます。

グラスウールの熱伝導率は、密度が高くなるほど低くなる(=断熱性能が上がる)傾向にあります。

熱伝導率とは、1メートルの厚さの素材を通して1秒間に伝わる熱量を表す指標であり、単位はW/m・Kで示されます。

この数値が低いほど熱を伝えにくく、断熱性能が高い素材ということになります。

グラスウールの熱伝導率の目安はおおよそ0.030〜0.050 W/m・Kの範囲に収まることが多く、密度や製品グレードによって異なります。

一般的な住宅用途では0.038〜0.050 W/m・K程度のものが広く流通しており、高性能グラスウールでは0.030〜0.034 W/m・K台のものも存在します。

熱伝導率(W/m・K)とは何か

熱伝導率は断熱材の性能を語るうえで欠かせない数値です。

W/m・Kという単位は「ワット毎メートル毎ケルビン」と読み、素材1メートルあたりに1ケルビンの温度差がある場合に流れる熱量(ワット)を示しています。

例として、熱伝導率0.038 W/m・Kのグラスウールを100mm厚で施工した場合、熱抵抗値R(㎡・K/W)は以下のように計算できます。

R = 厚さ(m) ÷ 熱伝導率(W/m・K)

R = 0.1 ÷ 0.038 ≒ 2.63 ㎡・K/W

この熱抵抗値が大きいほど、断熱効果が高いことを意味します。

つまり、同じ厚みでも熱伝導率が低い素材のほうが熱抵抗値は高くなり、断熱性能で有利になるということです。

密度とグラスウールの断熱性能の関係

グラスウールの密度はkg/㎥(キログラム毎立方メートル)で表されます。

密度が低いほど繊維と繊維の間に空気層が多く存在しますが、密度が一定以上になると空気の対流が抑えられ、熱の移動が起きにくくなります。

一般的に使われるグラスウールの密度は10〜48 kg/㎥前後が多く、住宅断熱では10〜24 kg/㎥あたりが標準的です。

密度が高いほど繊維が密に絡み合い、空気の対流や熱伝達が起きにくくなるため、熱伝導率が下がる傾向があります。

グラスウールの種類別・密度別の熱伝導率一覧

以下の表に、代表的なグラスウールの種類と密度、熱伝導率の目安をまとめました。

種類・グレード 密度(kg/㎥) 熱伝導率(W/m・K) 主な用途
標準グラスウール10K 約10 0.050 一般住宅・内壁
グラスウール16K 約16 0.045 住宅・床・壁
グラスウール24K 約24 0.038 高断熱住宅・壁
グラスウール32K 約32 0.036 高性能住宅・屋根
高性能グラスウール 約16〜32 0.030〜0.034 ZEH・高断熱建築

数値はメーカーや製品によって多少異なりますが、密度が上がるにつれて熱伝導率が低くなる傾向は共通しています。

グラスウールの種類別の特徴と断熱性能の違い

続いては、グラスウールの種類別の特徴と断熱性能の違いを確認していきます。

グラスウールにはさまざまな製品種別があり、形状や施工方法によっても断熱性能や適した用途が異なります。

大きく分けると「ブランケット(マット)タイプ」「ボードタイプ」「吹き込みタイプ」の3種類が代表的です。

ブランケット(マット)タイプ

ブランケットタイプは、ロール状または矩形に成形されたグラスウールで、住宅の壁・床・天井に広く使われています。

施工時は柱や梁の間に押し込む形で取り付けるため、現場での施工性が高く、コストパフォーマンスにも優れています。

製品によってはビニールシートで袋入りになっており、防湿・気密性能を兼ね備えたタイプも流通しています。

密度は10K〜32Kまで幅広く、用途に応じて選択できるのが強みです。

ボードタイプ

ボードタイプは板状に成形されたグラスウールで、寸法精度が高く、施工のばらつきを抑えやすい特徴があります。

外張り断熱や屋根断熱など、精度が求められる部位への使用に向いており、高密度製品では非常に優れた断熱性能を発揮します。

また、表面に面材が貼られた複合タイプもあり、仕上げ材と断熱材を同時に施工できる利便性も魅力といえます。

吹き込みタイプ(セルロース・ルーズフィル)

吹き込みタイプは、細かく砕かれたグラスウールを専用機械で吹き込む工法で使用されます。

天井裏や既存住宅のリフォーム断熱に適しており、入り組んだ形状の空間にも均一に充填できるというメリットがあります。

ただし、施工後の密度管理が重要であり、施工業者の技術力が仕上がりの品質に大きく影響する点には注意が必要です。

グラスウールと他の断熱材の熱伝導率を比較する

続いては、グラスウールと他の断熱材の熱伝導率を比較して確認していきます。

断熱材はグラスウール以外にもさまざまな種類があり、それぞれに性能や特徴の違いがあります。

適切な素材を選ぶためには、熱伝導率の数値を横並びで比較することが大切です。

主要断熱材の熱伝導率比較表

以下の表に、主要な断熱材とグラスウールの熱伝導率を比較してまとめました。

断熱材の種類 熱伝導率(W/m・K)の目安 主な特徴
グラスウール(標準) 0.038〜0.050 コストが低く施工しやすい
高性能グラスウール 0.030〜0.034 繊維が細く高断熱
ロックウール 0.036〜0.047 耐火性・吸音性に優れる
セルロースファイバー 0.040〜0.042 吸湿性・防音性が高い
硬質ウレタンフォーム 0.020〜0.024 薄くても高断熱・気密性高
フェノールフォーム 0.018〜0.022 最高水準の断熱性能
押出法ポリスチレンフォーム 0.028〜0.040 耐水性が高く床断熱向き

数値を見ると、フェノールフォームや硬質ウレタンフォームはグラスウールよりも熱伝導率が低く、薄い厚みで高い断熱性能を実現できます。

一方で、コストや施工のしやすさ、防火性能などを総合的に考えると、グラスウールが依然として住宅断熱材のスタンダードとして選ばれているのも納得できます。

グラスウールとロックウールの違い

グラスウールと混同されやすい断熱材として、ロックウールがあります。

ロックウールは玄武岩などの岩石を原料とするのに対し、グラスウールはガラスを繊維化した素材です。

熱伝導率はほぼ同等の範囲に収まりますが、ロックウールは耐熱温度が高く、防火・耐火性能に優れています。

一方、グラスウールはコストが低く、住宅断熱での採用実績が豊富な点が強みといえます。

断熱材選びで熱伝導率以外に見るべき指標

断熱材を選ぶ際には、熱伝導率だけでなく以下の点も合わせて確認することが大切です。

まず熱抵抗値(R値)は、施工する厚みも含めた断熱性能の実態を示す指標として重要です。

次に、防湿性・気密性・防火性・吸音性なども実際の居住性能に大きく影響します。

また、施工精度によって性能が左右されやすい素材もあるため、施工業者の経験や実績も選定の判断基準に加えると安心です。

グラスウールの断熱性能を活かすための施工ポイント

続いては、グラスウールの断熱性能を最大限に引き出すための施工ポイントを確認していきます。

グラスウールは適切に施工されてこそ、カタログに記載されたスペックに近い断熱性能を発揮できます。

施工の精度が低いと、隙間や圧縮による性能低下が生じ、思ったような断熱効果が得られないケースもあります。

グラスウールの断熱性能低下を防ぐために特に注意すべき点は以下の3つです。

隙間なく充填すること、正しい厚みを維持すること、そして防湿シートを適切に施工することです。

この3点を守ることが、高い断熱性能を長期間維持するための基本となります。

圧縮・たわみによる性能低下を防ぐ

グラスウールは圧縮されると内部の空気層が潰れ、断熱性能が低下します。

施工時に無理に押し込んだり、隙間を詰めようとしてぎゅうぎゅうに圧縮してしまうのは避けたいところです。

規定の厚みを保ちながら、空気層が適切に確保された状態で施工することが重要です。

特に袋入りグラスウールはビニール袋ごとスタプラ留めする方式が多いため、たわみが生じないよう全面にしっかりと固定する必要があります。

防湿シートの役割と施工の重要性

グラスウールは吸湿性があるため、湿気が内部に浸入すると重くなり断熱性能が落ちるほか、カビや腐食の原因になることもあります。

こうしたリスクを防ぐために、防湿シート(ビニールシート)を室内側に正しく施工することが不可欠です。

防湿シートは継ぎ目を重ねてテープで貼り合わせ、気密性を確保することが求められます。

施工不良があると壁内結露が発生し、断熱材の性能はもちろん、構造材の耐久性にも影響が出てしまいます。

高断熱・高気密住宅におけるグラスウールの活用

近年、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や省エネ基準の強化に伴い、住宅の断熱性能への要求が高まっています。

こうした高断熱住宅においても、高性能グラスウール(熱伝導率0.030〜0.034 W/m・K台)を適切な厚みで施工することで、十分な断熱性能を確保できます。

壁には105mm以上、天井には200〜300mm以上の充填が一般的な目安とされており、気候区分や求める性能水準によって適切な仕様が変わります。

専門家と相談しながら、地域の気候条件に合った断熱設計を行うことが、快適な住まいへの近道といえます。

まとめ

本記事では、グラスウールの熱伝導率と密度の関係をはじめ、W/m・Kの数値の読み方、種類別の断熱性能の違い、他の断熱材との比較、そして施工上のポイントまで幅広く解説しました。

グラスウールの熱伝導率は0.030〜0.050 W/m・Kの範囲が目安であり、密度が高いほど性能が向上します。

標準品から高性能品まで幅広い選択肢があり、用途や予算、断熱基準に応じた適切な製品選びが大切です。

また、どれほど高性能なグラスウールを選んでも、施工の精度が伴わなければ本来の性能を発揮できません。

断熱性能を最大限に引き出すためには、製品選定と施工品質の両方にこだわることが重要です。

グラスウールの選び方や断熱設計についてお悩みの際は、ぜひ専門家にご相談のうえ、最適な断熱計画を立てていただければと思います。