化学式等の物性

ジエチルエーテルの構造式・化学式(示性式や分子式や電子式)は?書き方や分子量の計算方法も

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化学の勉強で、有機化合物の構造式や化学式を正しく書くことに苦労した経験はないでしょうか。ジエチルエーテルは、エーテル結合を持つ代表的な有機化合物であり、様々な化学式の書き方を学ぶ上で重要な例です。

ジエチルエーテルの化学式には、分子式、示性式、構造式、電子式など、複数の表記方法があります。それぞれの表記法には特定の目的があり、分子の情報を異なる角度から表現しているのです。

分子式は原子の種類と数を示し、示性式は官能基を明示し、構造式は原子の結合関係を視覚的に表します。電子式はさらに詳しく電子対の配置まで示すのです。

本記事では、ジエチルエーテルの各種化学式の書き方、分子量の計算方法、構造的な特徴、命名法、類似化合物との比較まで、徹底的に解説していきます。

ジエチルエーテルの基本情報

それではまず、ジエチルエーテルの基本的な情報について解説していきます。

ジエチルエーテルとは何か

ジエチルエーテル(diethyl ether)は、2つのエチル基が酸素原子を介して結合したエーテル化合物です。単に「エーテル」とも呼ばれ、有機化学において最も基本的で重要なエーテルの一つとなっています。

常温で無色透明の液体であり、特有の甘い芳香を持ちます。沸点は34.6℃と低く、非常に揮発性が高い性質を示すのです。

ジエチルエーテルの基本情報:

IUPAC名:エトキシエタン(ethoxyethane)

慣用名:ジエチルエーテル、エチルエーテル

別名:エーテル(単に「エーテル」と言えばこの化合物を指すことが多い)

歴史的には、19世紀から20世紀前半にかけて全身麻酔薬として医療で広く使用されていました。現在では主に有機溶媒として、化学実験や工業プロセスで利用されています。

引火性が非常に高く、引火点は-45℃という危険な性質を持つため、取り扱いには十分な注意が必要です。蒸気は空気より重く、床面に滞留して遠くの火源からも着火する危険性があります。

また、空気中の酸素と反応して過酸化物を生成する性質があり、この過酸化物は爆発性を持つため、長期保存には注意が必要となるでしょう。

ジエチルエーテルは、エタノールの分子間脱水反応によって合成されます。濃硫酸存在下で約130-140℃に加熱すると、2分子のエタノールから水が取れてジエチルエーテルが生成されるのです。

エーテル結合の特徴

ジエチルエーテルが持つエーテル結合(C-O-C)は、有機化学において重要な官能基の一つです。2つの炭素原子が酸素原子を介して結合した構造を持っています。

エーテル結合は比較的安定な結合であり、通常の条件下では反応性が低い性質を示します。アルコールのヒドロキシ基(-OH)と比較すると、水素結合を形成する能力が低いため、沸点も低くなるのです。

エーテル結合の特徴:

・C-O-C構造

・結合角:約111°

・比較的安定、反応性低い

・水素結合供与体にはならない(受容体にはなれる)

エーテル結合の酸素原子は、2対の非共有電子対を持っています。この電子対により、酸素原子は弱い塩基性を示し、プロトン(H+)や金属イオンと配位結合を形成できます。

例えば、グリニャール試薬(R-MgX)の調製では、ジエチルエーテルの酸素原子がマグネシウムと配位結合し、試薬を安定化させる重要な役割を果たすのです。

エーテル結合のC-O結合長は約1.43Åであり、C-C単結合(約1.54Å)よりも短くなっています。これは、酸素原子の電気陰性度が高く、結合に極性があるためでしょう。

ただし、エーテル結合全体としての極性は比較的小さく、ジエチルエーテルは弱極性溶媒に分類されます。アルコールのような強い極性は持たないものの、無極性溶媒よりは極性が高いという中間的な性質を示すのです。

命名法とIUPAC名

有機化合物の命名には、IUPAC命名法(国際純正応用化学連合の系統的命名法)と慣用名の両方が使用されます。ジエチルエーテルの場合、両方の名称が広く認知されているのです。

IUPAC命名法では、エーテルは「アルコキシアルカン」として命名されます。ジエチルエーテルの場合、エトキシエタン(ethoxyethane)が正式名称となります。

IUPAC命名法の規則:

1. 長い炭素鎖を主鎖とする

2. 短い方をアルコキシ基として扱う

3. エトキシエタンの場合:

エトキシ(-O-C2H5)+ エタン(C2H5-)

一方、慣用名では「ジアルキルエーテル」として命名します。2つのアルキル基の名称を挙げた後に「エーテル」を付ける方法です。ジエチルエーテルは、2つのエチル基を持つエーテルという意味になります。

対称エーテル(同じアルキル基を持つエーテル)の場合は「ジ-」を付けますが、非対称エーテルの場合は2つのアルキル基を別々に列挙します。例えば、エチルメチルエーテル(CH3-O-C2H5)のようになるのです。

化合物 IUPAC名 慣用名
CH3-O-CH3 メトキシメタン ジメチルエーテル
C2H5-O-C2H5 エトキシエタン ジエチルエーテル
CH3-O-C2H5 メトキシエタン エチルメチルエーテル

実験室や産業界では、慣用名の「ジエチルエーテル」または単に「エーテル」という呼称が一般的です。論文や教科書では、文脈に応じてIUPAC名と慣用名が使い分けられるでしょう。

ジエチルエーテルの各種化学式

続いては、ジエチルエーテルの様々な化学式の書き方を確認していきます。

分子式の書き方

分子式は、分子を構成する原子の種類と数を示す最も基本的な化学式です。ジエチルエーテルの分子式は、炭素、水素、酸素の原子数を数えて表します。

ジエチルエーテルの分子式:

C4H10O

この分子式は、1分子のジエチルエーテルが炭素原子4個、水素原子10個、酸素原子1個から構成されていることを示しています。

分子式を書く際の一般的な規則として、原子は通常C、H、O、N、その他の順で記載されます。炭素と水素が有機化合物の骨格を形成する主要元素であるため、最初に記載されるのです。

分子式から直接的には構造はわかりませんが、組成式として重要な情報を提供します。例えば、C4H10Oという分子式を持つ化合物には、ジエチルエーテル以外にも複数の異性体が存在するのです。

化合物 分子式 構造の特徴
ジエチルエーテル C4H10O エーテル結合(C-O-C)
1-ブタノール C4H10O 第一級アルコール
2-ブタノール C4H10O 第二級アルコール
メチルプロピルエーテル C4H10O 非対称エーテル

これらは構造異性体と呼ばれ、同じ分子式を持ちながら異なる構造と性質を示します。そのため、分子式だけでは化合物を特定できず、より詳細な構造式が必要となるでしょう。

示性式の書き方

示性式は、分子式に官能基の情報を加えた化学式です。ジエチルエーテルの示性式は、エーテル結合を明示的に表現します。

ジエチルエーテルの示性式:

C2H5-O-C2H5

または

(C2H5)2O

示性式「C2H5-O-C2H5」は、2つのエチル基(C2H5-)が酸素原子(O)を介して結合していることを明確に示しています。この表記により、エーテル結合の存在が一目で理解できるのです。

もう一つの表記法「(C2H5)2O」は、同じエチル基が2つあることを簡潔に表現しています。括弧の外の数字「2」は、括弧内の基が2個あることを示します。

示性式の利点は、官能基を明示できることです。分子式C4H10Oだけでは区別できない異性体も、示性式を見れば構造の違いが明確になります。

例えば、1-ブタノールの示性式はCH3CH2CH2CH2OHまたはC4H9OHと書かれ、末端にヒドロキシ基があることがわかります。一方、ジエチルエーテルはC2H5-O-C2H5と書かれ、中央にエーテル結合があることが明確です。

示性式を書く際は、同じ基をまとめて表記することで簡潔にできます。ただし、構造の特徴を明確にするために、あえて展開して書く場合もあるでしょう。

構造式の書き方

構造式は、原子間の結合関係を線で表した化学式です。最も視覚的で詳細な情報を提供し、分子の構造を直感的に理解できます。

ジエチルエーテルの構造式には、展開構造式と簡略構造式の2種類があります。

展開構造式では、すべての原子と結合を明示的に描きます。

展開構造式(すべての原子と結合を表示):

H H H H
| | | |
H – C – C – O – C – C – H
| | | |
H H H H

この表記では、炭素原子(C)、水素原子(H)、酸素原子(O)のすべてと、それらを結ぶ共有結合(線)が明示されています。

簡略構造式では、炭素骨格を中心に、水素原子を省略または簡潔に表記します。

簡略構造式(代表的な書き方):

CH3-CH2-O-CH2-CH3

または

CH3CH2-O-CH2CH3

さらに簡略化:

Et-O-Et (Etはエチル基の略号)

有機化学では、骨格構造式(skeletal structure)という最も簡略化された表記法もよく使われます。この方法では、炭素原子と水素原子を省略し、折れ線で炭素骨格を表現するのです。

ジエチルエーテルの骨格構造式では、「く」の字のような形で表され、各折れ曲がり点と末端に炭素原子があることを暗示します。酸素原子は明示的に「O」と書かれます。

構造式を書く際の注意点として、結合の角度も重要です。エーテル結合のC-O-C結合角は約111°であり、直線ではなく折れ曲がった構造を持っています。立体的には、酸素原子を頂点とする曲がった形状となるでしょう。

電子式の書き方

電子式は、原子間の共有電子対と非共有電子対を明示的に表した化学式です。ルイス構造式とも呼ばれ、電子の配置を最も詳細に表現します。

ジエチルエーテルの電子式(ルイス構造式):

H H H H
| | | |
H – C – C – O··- C – C – H
| | ·· | |
H H H H

酸素原子の非共有電子対を点(··)で表示

電子式では、共有結合を線(1本の線は2個の電子を表す)で、非共有電子対を点で表します。酸素原子は6個の価電子を持ち、そのうち4個が2本の共有結合に使われ、残り4個(2対)が非共有電子対となるのです。

より詳細な表記では、すべての電子対を点で表すこともあります。

すべての電子対を点で表記:

H H H H
| | | |
H : C : C : O··: C : C : H
| | ·· | |
H H H H

各共有結合を電子対(:)で表示

電子式の重要性は、化学反応のメカニズムを理解する際に電子の動きを追跡できることです。求核反応や求電子反応では、非共有電子対や結合電子対がどのように移動するかが重要となります。

ジエチルエーテルの場合、酸素原子の非共有電子対が弱い塩基性を示す原因となっています。この電子対がプロトンや金属イオンと配位結合を形成できるのです。

電子式を書く際は、オクテット則(最外殻電子が8個で安定)を満たすように電子を配置します。炭素は4本の結合、酸素は2本の結合と2対の非共有電子対を持つことで、オクテット則を満たしているでしょう。

ジエチルエーテルの分子量計算

続いては、ジエチルエーテルの分子量の計算方法を確認していきます。

原子量と分子量の基本

分子量を計算するには、まず原子量の概念を理解する必要があります。原子量は、炭素12(¹²C)の質量を12とした相対的な質量の値です。

主な元素の原子量は以下の通りです。

主な元素の原子量:

炭素(C):12.01

水素(H):1.008

酸素(O):16.00

窒素(N):14.01

実際の計算では、簡略化のため炭素を12、水素を1、酸素を16として扱うことが多くあります。より正確な値が必要な場合は、小数点以下を含めた値を使用するのです。

分子量は、分子を構成するすべての原子の原子量の合計です。単位は通常、「u」(unified atomic mass unit、統一原子質量単位)または無次元の数値として表されます。

化学反応の量的関係(化学量論)を計算する際や、物質のモル質量を求める際に、分子量は不可欠な情報となるでしょう。

ジエチルエーテルの分子量計算の手順

ジエチルエーテルの分子式C4H10Oを用いて、分子量を計算していきましょう。

ジエチルエーテル(C4H10O)の分子量計算:

炭素原子(C):12.01 × 4 = 48.04

水素原子(H):1.008 × 10 = 10.08

酸素原子(O):16.00 × 1 = 16.00

合計:48.04 + 10.08 + 16.00 = 74.12

したがって、ジエチルエーテルの分子量は約74.12です。簡略化した原子量を使用すると、次のようになります。

簡略計算(C=12、H=1、O=16):

炭素:12 × 4 = 48

水素:1 × 10 = 10

酸素:16 × 1 = 16

合計:48 + 10 + 16 = 74

一般的な化学計算では、分子量74または74.12を使用します。精密な定量分析では、より正確な値74.12を用いるのです。

分子量の計算手順をまとめると以下のようになります。

1. 分子式から各元素の原子数を確認する
2. 各元素の原子量に原子数を掛ける
3. すべての値を合計する

この手順は、どんな化合物の分子量計算にも適用できる基本的な方法です。

モル質量との関係

分子量と密接に関連する概念が、モル質量(molar mass)です。モル質量は、物質1モルあたりの質量を表し、単位はg/molです。

数値的には、分子量(無次元または単位u)とモル質量(単位g/mol)は同じ値になります。ジエチルエーテルの場合、分子量74.12、モル質量74.12 g/molとなるのです。

分子量とモル質量の関係:

分子量:74.12(無次元)

モル質量:74.12 g/mol

1モルのジエチルエーテル = 74.12 g

この関係を利用して、物質量(モル数)と質量を相互変換できます。

例えば、100 gのジエチルエーテルが何モルかを計算する場合:

物質量(mol)= 質量(g)÷ モル質量(g/mol)

100 g ÷ 74.12 g/mol ≒ 1.35 mol

逆に、2モルのジエチルエーテルの質量を求める場合:

質量(g)= 物質量(mol)× モル質量(g/mol)

2 mol × 74.12 g/mol = 148.24 g

モル質量は、化学反応における量的関係を計算する際の基本となります。反応物と生成物の物質量の関係から、必要な質量や生成される質量を求めることができるでしょう。

また、気体の状態方程式(PV=nRT)を用いた計算でも、質量をモル数に変換する際にモル質量が必要です。ジエチルエーテルは沸点が低く気体として扱われることもあるため、この換算は実用的に重要なのです。

ジエチルエーテルの構造的特徴

続いては、ジエチルエーテルの分子構造における特徴を確認していきます。

分子の立体構造と結合角

ジエチルエーテルの立体構造は、単純な平面構造ではなく、三次元的な形状を持っています。中心の酸素原子を基準に、エーテル結合の形状を理解することが重要です。

酸素原子は2本の共有結合と2対の非共有電子対を持ち、これらは正四面体配置に近い配置をとります。ただし、非共有電子対は共有結合よりも大きな空間を占めるため、C-O-C結合角は約111°となり、正四面体角(109.5°)よりわずかに大きくなるのです。

ジエチルエーテルの主な結合角:

C-O-C結合角:約111°

C-C-O結合角:約109°

C-C-H結合角:約109.5°

この曲がった構造により、分子全体は「く」の字型または「V」字型の基本形状を持ちます。ただし、C-C単結合は自由回転できるため、エチル基の配向は様々な立体配座をとることができるでしょう。

エチル基の炭素-炭素結合も自由回転が可能なため、分子全体としては非常に柔軟な構造を持っています。この柔軟性が、様々な溶媒や試薬との相互作用を可能にする一因となっているのです。

立体構造を考慮すると、ジエチルエーテルは比較的コンパクトな分子形状を持ちます。2つのエチル基が酸素原子を挟んで配置され、適度な立体障害により特定の配座が安定化されるでしょう。

最も安定な配座は、2つのエチル基ができるだけ離れた位置にある配座です。これにより、立体反発が最小化され、エネルギー的に有利となるのです。

極性と双極子モーメント

ジエチルエーテルは、エーテル結合における酸素原子の電気陰性度の高さにより、弱い極性を持ちます。C-O結合は極性結合であり、酸素側が部分的に負電荷(δ-)、炭素側が部分的に正電荷(δ+)を帯びているのです。

C-O結合の極性:

C(δ+)-O(δ-)

酸素の電気陰性度:3.5

炭素の電気陰性度:2.5

差:1.0(極性結合)

2つのC-O結合が約111°の角度で配置されているため、それぞれの結合の双極子モーメントが完全には打ち消されません。その結果、分子全体として小さな双極子モーメントを持つのです。

ジエチルエーテルの双極子モーメントは約1.15デバイ(D)です。これは、水(1.85 D)やエタノール(1.69 D)と比較すると小さく、弱極性溶媒に分類されます。

化合物 双極子モーメント(D) 極性の分類
1.85 強極性
エタノール 1.69 極性
ジエチルエーテル 1.15 弱極性
ヘキサン 0 無極性

この弱極性により、ジエチルエーテルは極性溶媒と無極性溶媒の中間的な性質を示します。極性物質もある程度溶解でき、無極性物質もよく溶解する、万能に近い溶媒特性を持つのです。

ただし、ジエチルエーテルはヒドロキシ基(-OH)を持たないため、水素結合の供与体にはなれません。水素結合の受容体としては機能でき、酸素原子の非共有電子対が他の分子のヒドロキシ基などと水素結合を形成できるでしょう。

この性質により、ジエチルエーテルは水に若干溶解します(20℃で約6.9%)が、エタノールのように任意の割合では混和しません。水との親和性はエタノールより低いのです。

同族体・異性体との比較

ジエチルエーテルには、構造が類似した化合物や、同じ分子式を持つ異性体が存在します。これらとの比較により、構造と性質の関係を理解できるのです。

まず、エーテル類の同族体を見てみましょう。炭素数が異なるエーテルは、物理的性質が系統的に変化します。

エーテル類の同族体:

ジメチルエーテル(CH3-O-CH3):沸点 -24.8℃

エチルメチルエーテル(CH3-O-C2H5):沸点 10.8℃

ジエチルエーテル(C2H5-O-C2H5):沸点 34.6℃

ジプロピルエーテル(C3H7-O-C3H7):沸点 90.5℃

炭素数が増えるにつれて、分子量が増加し、分子間力(ファンデルワールス力)が強くなるため、沸点が上昇します。

次に、分子式C4H10Oを持つ異性体を比較してみましょう。

化合物 構造式 官能基 沸点(℃)
ジエチルエーテル C2H5-O-C2H5 エーテル 34.6
メチルプロピルエーテル CH3-O-C3H7 エーテル 39
1-ブタノール CH3CH2CH2CH2OH 第一級アルコール 117.7
2-ブタノール CH3CH(OH)CH2CH3 第二級アルコール 99.5

エーテル類とアルコール類では、沸点に大きな差があります。これは、アルコールが分子間水素結合を形成するためです。エーテルは水素結合を形成できないため、分子間力が弱く沸点が低くなるのです。

メチルプロピルエーテルとジエチルエーテルは位置異性体であり、エーテル結合の位置が異なります。ジエチルエーテルは対称構造、メチルプロピルエーテルは非対称構造を持ちますが、性質はかなり類似しているでしょう。

これらの比較から、官能基の種類が物性に大きな影響を与えることがわかります。同じ分子式でも、構造が異なれば性質も大きく変わるのです。

まとめ

ジエチルエーテルの化学式には複数の表記法があり、それぞれ異なる情報を提供します。分子式はC4H10O、示性式はC2H5-O-C2H5または(C2H5)2O、構造式はCH3-CH2-O-CH2-CH3と表記され、電子式では酸素原子の非共有電子対まで明示されるのです。

分子量の計算は、各原子の原子量(C=12.01、H=1.008、O=16.00)を用いて、炭素4個、水素10個、酸素1個の合計として74.12と求められます。この値はモル質量74.12 g/molと数値的に等しく、物質量と質量の換算に使用されるでしょう。

ジエチルエーテルの構造的特徴は、C-O-C結合角約111°の曲がった構造と、双極子モーメント約1.15 Dの弱極性にあります。エーテル結合は比較的安定で、水素結合の供与体にはなれませんが受容体としては機能し、これが溶媒としての性質を決定しているのです。

同じ分子式C4H10Oを持つブタノール類との比較では、エーテルは水素結合を形成できないため沸点が大幅に低くなります。化学式の表記法と構造の理解は、有機化合物の性質を予測し、適切に取り扱うための基礎となりますので、しっかりと理解してください。