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クロロホルムの沸点と融点は?比重・密度・分子量・引火点も解説【公的機関のリンク付き】

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化学物質を扱う現場や研究室では、各種溶剤の物性値を正確に把握しておくことが非常に重要です。

今回取り上げるのは、クロロホルム(CHCl₃)と呼ばれる有機溶剤です。

クロロホルムは、医薬品の合成・有機合成反応・分析化学など幅広い分野で利用される代表的なハロゲン系溶剤のひとつとして知られています。

この記事では、クロロホルムの沸点と融点は?比重・密度・分子量・引火点も解説【公的機関のリンク付き】というテーマで、クロロホルムの主要な物性データをわかりやすくまとめています。

沸点・融点・比重・密度・分子量・引火点といった基礎データを正しく理解することで、安全な取り扱いや実験設計に役立てることができるでしょう。

公的機関のデータにも基づいた信頼性の高い情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。

クロロホルムの沸点・融点・比重・密度・分子量・引火点まとめ

それではまず、クロロホルムの主要物性値の結論からまとめて解説していきます。

クロロホルムは、沸点約61℃・融点約−63℃・比重(密度)約1.48 g/cm³・分子量119.38・引火点なし(不燃性)という特徴を持つハロゲン系有機溶剤です。

これらの数値は、化学物質を安全に取り扱う上で欠かせない基礎情報となっています。

クロロホルム(CHCl₃)の主要物性値まとめ

沸点: 約61℃

融点: 約−63℃

密度(比重): 約1.48 g/cm³(20℃)

分子量: 119.38

引火点: 引火点なし(不燃性)

クロロホルムは常温(約20℃)で液体として存在し、沸点が61℃と比較的低いため、揮発しやすい性質を持っています。

一方で引火点については、クロロホルム自体は不燃性であり、通常条件下では引火しません。

ただし、毒性が高く、蒸気の吸入には十分な注意が必要な物質でもあります。

以下の各見出しで、それぞれの物性値について詳しく説明していきましょう。

クロロホルムの分子量と基本的な化学的性質

続いては、クロロホルムの分子量と基本的な化学的性質を確認していきます。

クロロホルムの化学式はCHCl₃で、IUPAC名はトリクロロメタン(Trichloromethane)です。

メタン(CH₄)の水素原子3つを塩素原子で置き換えた構造を持つことから、ハロゲン化アルカンの一種に分類されます。

クロロホルムの分子量

クロロホルムの分子量は、各原子の原子量の合計から計算できます。

分子量の計算

C(炭素): 12.01

H(水素): 1.008

Cl(塩素)× 3: 35.45 × 3 = 106.35

合計: 12.01 + 1.008 + 106.35 = 119.37 ≒ 119.38

このように、クロロホルムの分子量は約119.38となります。

塩素原子を3つ持つため、同じ炭素数1のメタン(分子量16.04)に比べて非常に重い分子であることがわかるでしょう。

この分子量の大きさが、クロロホルムの高い密度にも関係しています。

クロロホルムの外観と物理的特徴

クロロホルムは、常温常圧下で無色透明の液体として存在します。

特有の甘い芳香(クロロホルム臭)を持ち、水よりも重い液体です。

水への溶解度は低く(約8 g/L、20℃)、主に有機溶媒と混合しやすい性質を持っています。

また、脂肪・油脂・ゴム・樹脂などをよく溶かすことから、工業的にも幅広く使用されてきた経緯があります。

クロロホルムの用途

クロロホルムの主な用途としては、以下のものが挙げられます。

有機合成の溶媒・医薬品・農薬の製造原料・NMR(核磁気共鳴)分析用溶媒・冷媒フロンの原料(クロロジフルオロメタンなど)といった用途が代表的です。

特に重クロロホルム(CDCl₃)は、NMR分析において最も広く使用される溶媒のひとつとして知られています。

クロロホルムの沸点と融点

続いては、クロロホルムの沸点と融点について詳しく確認していきます。

沸点と融点は、物質の状態変化に関わる最も基本的な物性値のひとつです。

実験や工業プロセスにおいて、これらの値を正確に把握しておくことは安全管理の面でも非常に重要でしょう。

クロロホルムの沸点

クロロホルムの沸点は、約61.2℃(1気圧・101.325 kPa条件下)です。

この値は、国立研究開発法人 製品評価技術基盤機構(NITE)の化学物質総合情報提供システム(J-CHECK)などの公的データベースでも確認できます。

沸点: 約61℃(1気圧)

参考リンク: NITE 製品評価技術基盤機構(nite.go.jp)

沸点が61℃と比較的低いことから、クロロホルムは常温でも蒸発しやすい特性を持っています。

夏場や高温環境では特に揮発が進みやすいため、密閉容器での保管と換気の徹底が求められます。

蒸気は空気より重く(蒸気密度約4.1)、低い場所に滞留しやすい点にも注意が必要です。

クロロホルムの融点

クロロホルムの融点は、約−63.5℃です。

非常に低い融点を持つため、通常の使用環境(常温)では固体になることはありません。

極低温の実験環境や寒冷地での保管においても、液体状態を保てる温度範囲の広さが特徴のひとつといえるでしょう。

沸点・融点のまとめ表

以下の表に、クロロホルムの沸点と融点をまとめています。

物性項目 条件
沸点 約61.2℃ 1気圧(101.325 kPa)
融点 約−63.5℃ 標準状態

沸点・融点ともに、公的機関のSDS(安全データシート)や化学物質データベースで確認できる信頼性の高いデータです。

クロロホルムの比重・密度と引火点

続いては、クロロホルムの比重・密度・引火点について確認していきます。

これらの物性値は、クロロホルムを安全に取り扱う上でとりわけ重要な情報となっています。

クロロホルムの密度(比重)

クロロホルムの密度は、約1.48 g/cm³(20℃)です。

これは水(1.00 g/cm³)の約1.48倍に相当し、クロロホルムが水よりも有意に重い液体であることを示しています。

比重(水を基準とした相対密度)も同様に約1.48となります。

密度の比較(20℃)

水: 1.00 g/cm³

クロロホルム: 約1.48 g/cm³

クロロホルムは水より約48%重い液体です。

クロロホルムを水と混合した場合、クロロホルムは下層に沈むという特性があります。

分液ロートを使った液液抽出操作では、この高密度の性質を活用した分離が行われています。

クロロホルムの引火点

クロロホルムの引火点については、引火点なし(不燃性)とされています。

クロロホルムはハロゲン化炭化水素であり、塩素原子を多く含むため、通常の条件では燃焼しません。

このため、消防法における危険物(第4類引火性液体)には該当しません。

ただし、毒性・有害性の観点からは消防法とは別に、労働安全衛生法・化学物質管理に関する法令の規制対象となっています。

日本では、クロロホルムは特定化学物質(第2類物質)に指定されており、取り扱いには適切な保護具の使用や局所排気装置の設置が義務付けられています。

物性値の一覧表

以下の表に、クロロホルムの主要な物性値をまとめました。

物性項目
化学式 CHCl₃
分子量 119.38
沸点 約61.2℃(1気圧)
融点 約−63.5℃
密度(比重) 約1.48 g/cm³(20℃)
引火点 なし(不燃性)
水への溶解度 約8 g/L(20℃)
蒸気密度 約4.1(空気=1)

この一覧を活用することで、クロロホルムを扱う際の実験条件の設計や安全管理計画に役立てることができるでしょう。

クロロホルムの安全性・法規制と公的機関のデータ

続いては、クロロホルムの安全性・健康への影響・法規制について確認していきます。

クロロホルムは揮発性が高く、毒性も強い物質であるため、正しい知識に基づいた取り扱いが不可欠です。

クロロホルムの健康への影響

クロロホルムの蒸気を吸入した場合、中枢神経系の抑制・頭痛・めまい・意識障害などを引き起こす可能性があります。

高濃度では意識を失うことがあり、かつては麻酔薬として使用されていた歴史がある物質でもあります。

長期暴露では、肝臓・腎臓への障害リスクや発がん性が指摘されています。

国際がん研究機関(IARC)では、クロロホルムをグループ2A(人に対しておそらく発がん性がある)に分類しています。

クロロホルムの主なハザード情報

吸入毒性: 高い(蒸気吸入に注意)

発がん性: IARC グループ2A(おそらく発がん性あり)

標的臓器: 中枢神経系・肝臓・腎臓

皮膚吸収: あり(皮膚からも吸収される)

クロロホルムに関する法規制

日本国内におけるクロロホルムに関連する主な法規制は以下の通りです。

特定化学物質障害予防規則(特化則)において、クロロホルムは第2類物質に指定されています。

これにより、事業者は作業環境測定の実施・局所排気装置の設置・保護具の使用・特殊健康診断の実施などの義務を負います。

また、化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)においても第1種指定化学物質に該当し、排出量の把握と届け出が求められます。

公的機関のデータベースリンク

クロロホルムの物性・安全性データは、以下の公的機関のデータベースで確認できます。

機関名 データベース名 URL
製品評価技術基盤機構(NITE) J-CHECK / GHS分類結果 nite.go.jp
国立環境研究所 環境中の化学物質情報 nies.go.jp
厚生労働省 職場の安全サイト(特定化学物質) mhlw.go.jp
国際化学物質安全性計画(IPCS) ICSC(国際化学物質安全性カード) ilo.org

これらの公的機関のデータをもとに、クロロホルムの正確な物性値と安全情報を確認することを強くおすすめします。

まとめ

今回は、クロロホルムの沸点と融点は?比重・密度・分子量・引火点も解説【公的機関のリンク付き】というテーマで、クロロホルムの主要な物性データと安全情報を詳しく解説しました。

クロロホルム(CHCl₃)の主な物性値は、沸点約61℃・融点約−63℃・密度(比重)約1.48 g/cm³・分子量119.38・引火点なし(不燃性)という特徴を持ちます。

揮発性が高く、蒸気は空気より重いため、密閉空間での使用には十分な換気対策が欠かせません。

また、引火点がなく不燃性である一方、毒性・発がん性・肝臓・腎臓への影響が指摘されており、特定化学物質(第2類)として厳格な管理が求められます。

実験や工業現場でクロロホルムを取り扱う際は、NITE・厚生労働省・国立環境研究所などの公的機関のデータベースを活用し、常に最新の安全情報を確認するようにしましょう。

この記事が、クロロホルムの物性理解と安全管理の一助となれば幸いです。