数値計算やコンピュータグラフィックス、Excelでのデータ補完でよく使われる「線形補間」。
「補間って何をすること?」「計算式はどうなるの?」「Excelでどう実装するの?」と疑問を感じる方も多いでしょう。
本記事では、線形補間の意味・計算式・Excelでの実装・英語表記・二次補間との違いまで、わかりやすく解説していきます。
実際の使い方を具体例で説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。
線形補間とは?意味と基本的な仕組み
それではまず、線形補間の基本的な意味と仕組みについて解説していきます。
線形補間(Linear Interpolation)とは、2つの既知点の間の値を直線で近似して求める手法です。
英語では「Linear Interpolation」と書き、省略して「lerp(ラープ)」と呼ばれることもあります。
たとえば、x=0のときy=10、x=10のときy=30とわかっているデータがあるとします。
x=5のときのyの値を「直線で近似して求める」のが線形補間です。
【線形補間の基本式】
y = y₁ + (x – x₁) × (y₂ – y₁) / (x₂ – x₁)
(x₁, y₁)と(x₂, y₂)が既知点
x が補間したい点
上の例:y = 10 + (5-0) × (30-10)/(10-0) = 10 + 10 = 20
線形補間はシンプルな計算で実装でき、多くの分野で日常的に使われる基本的な数値計算手法です。
線形補間の英語表記と用語
線形補間の英語表記は「Linear Interpolation」で、「リニアインターポレーション」と読みます。
ゲーム開発・CG・アニメーション分野では「lerp」(linear interpolationの略)という関数名で頻繁に使われます。
Unity・Unreal EngineなどのゲームエンジンにはMathf.Lerp()関数が用意されており、滑らかなアニメーション・カメラ追従・色の遷移に活用されています。
「補外(extrapolation)」は既知点の外側の値を推定することで、「補間(interpolation)」は既知点の内側の値を推定することです。
線形補間の特徴とメリット
線形補間には次のような特徴・メリットがあります。
計算が非常に簡単でコンピュータでも高速に実行できます。
実装が直感的でデバッグしやすい点もメリットです。
一方、データが本来曲線的な場合は精度が低くなるというデメリットがあります。
また、補間点を多く取ると区分的に直線をつなげた「折れ線グラフ」のような形になります。
精度よりも計算速度が重要な場面や、データが大まかに線形な場合に線形補間は最適な選択肢です。
線形補間の応用分野
線形補間はさまざまな分野で活用されています。
| 応用分野 | 活用例 |
|---|---|
| コンピュータグラフィックス | テクスチャマッピング・カラーグラデーション・アニメーション |
| 数値計算 | 数表からの値の補完・数値積分 |
| 音声処理 | サンプリングレート変換・ピッチシフト |
| センサーデータ処理 | 測定間隔のデータ補完 |
| Excel・データ分析 | 欠損値の補完・グラフ補間 |
| 地図・GIS | 標高データの補間・地図の変換 |
ExcelでのFORECAST関数・TREND関数による線形補間
続いては、Excelを使った線形補間の実装方法を確認していきます。
Excelには線形補間・外挿に使える関数がいくつか用意されています。
FORECAST関数による線形補間
ExcelのFORECAST関数(またはFORECAST.LINEAR)は、既知のデータから線形回帰による予測値を求めます。
【FORECAST.LINEAR関数の書式】
=FORECAST.LINEAR(x, 既知のy, 既知のx)
例:=FORECAST.LINEAR(5, A2:A5, B2:B5)
(x=5のとき、A列がy・B列がxのデータから線形補間)
FORECAST関数は複数の既知点から最小二乗法で求めた直線を使って補間します。
INDEX・MATCH・手動計算による2点補間
厳密に「2点間の線形補間」をExcelで行う場合は、計算式を直接入力する方法が確実です。
【Excelでの2点線形補間の式】
=y₁ + (x – x₁) * (y₂ – y₁) / (x₂ – x₁)
例:x₁=A2, y₁=B2, x₂=A3, y₂=B3, x=D2 のとき
=B2 + (D2 – A2) * (B3 – B2) / (A3 – A2)
この式をセルに入力するだけで線形補間が実現できます。
Excelで手動の線形補間式を使う方法はシンプルで応用しやすいでしょう。
グラフでの線形補間(散布図の近似曲線)
Excelの散布図には「近似曲線」を追加する機能があり、線形・多項式・指数などの補間曲線をグラフ上に表示できます。
「線形(1次)」を選ぶと直線の近似曲線が描かれ、視覚的に線形補間の結果を確認できます。
グラフ上の近似曲線の式(y = ax + b)を表示させることで、補間式のパラメータも確認可能です。
二次補間・スプライン補間との違い
続いては、線形補間とより精度の高い補間手法との違いを確認していきます。
二次補間(ラグランジュ補間・ニュートン補間)
二次補間とは、3つの既知点を通る2次曲線(放物線)を使って補間する手法です。
線形補間が「直線」で近似するのに対し、二次補間は「曲線」で近似するため、データが非線形な場合により正確な結果が得られます。
【線形補間・二次補間・スプライン補間の比較】
線形補間:2点使用、直線近似、高速・シンプル
二次補間:3点使用、2次曲線、より滑らか
スプライン補間:多点使用、区分的多項式、滑らかで高精度
用途に応じて精度と計算コストのバランスで選択する
精度が必要な科学技術計算や物理シミュレーションではスプライン補間が使われることが多いでしょう。
バイリニア補間(2次元の線形補間)
2次元データの補間には「バイリニア補間(bilinear interpolation)」が使われます。
バイリニア補間は、2次元格子上の4点から求めたい点の値を補間する手法です。
画像のリサイズ・テクスチャのサンプリングなどでよく使われ、「バイリニアフィルタリング」という名で画像処理・GPUでも広く採用されています。
スプライン補間の特徴
スプライン補間は、複数の区間を滑らかにつなぐ高精度な補間手法です。
データ点を通過しながら、各区間の接続点での1次・2次微分が一致するように多項式を組み合わせます。
自動車のボディデザイン・航空機の翼形状設計・アニメーションのパス設計など、高品質な曲線が必要な場面でスプライン補間が活躍しています。
まとめ
本記事では、線形補間の意味・計算式・英語表記・Excelでの使い方・二次補間・スプライン補間との違いまで詳しく解説しました。
線形補間とは2つの既知点の間を直線で近似して中間の値を求める手法であり、シンプル・高速・実装が容易という特徴があります。
ExcelではFORECAST.LINEAR関数や手動の計算式で簡単に実装でき、グラフの近似曲線機能でも活用できます。
線形補間は数値計算・CG・データ分析・センサー処理など幅広い分野で活躍する基本的な手法です。
ぜひ本記事を参考に、線形補間を実際の問題解決に役立ててみてください。