積分の計算を学んでいると、対数関数の積分に出会うことがあります。
多項式の積分とは異なる手法が必要なため、どう計算すればよいか迷うこともあるでしょう。
本記事では、対数の積分公式の一覧・計算方法・導出方法を、部分積分を中心にわかりやすく解説します。
対数の主要な積分公式(結論)
それではまず、対数の主要な積分公式を一覧で確認していきます。
∫ ln(x) dx = x・ln(x) − x + C
∫ log_10(x) dx = x・log_10(x) − x÷ln(10) + C
∫ (1÷x) dx = ln|x| + C
∫ x・ln(x) dx = (x^2÷2)・ln(x) − x^2÷4 + C
最も基本的かつ重要な公式は ∫ ln(x) dx = x・ln(x) − x + C です。
この公式は部分積分法を使って導出することができます。
対数関数の積分では「部分積分」が基本手法です。∫ ln(x) dx の計算では ln(x) を微分する部分・xを積分する部分として部分積分を適用します。
1÷xの積分が自然対数になる理由
∫ (1÷x) dx = ln|x| + C という公式は、微分と積分が逆操作であることから導けます。
ln(x) を微分すると 1÷x になるため、逆に 1÷x の積分は ln|x| となります。
絶対値をつける理由は、x<0のときも積分が定義されるようにするためです。
これは積分計算において非常に頻繁に登場する基本公式です。
常用対数の積分
常用対数 log_10(x) の積分は、底の変換公式を使って自然対数に変換してから積分します。
log_10(x) = ln(x)÷ln(10) と変換することで ∫ log_10(x) dx = (1÷ln(10))・∫ ln(x) dx として計算できます。
部分積分による対数の積分の導出
続いては、部分積分を使った対数の積分の導出方法を確認していきます。
部分積分の公式
部分積分の公式は ∫ f(x)・g'(x) dx = f(x)・g(x) − ∫ f'(x)・g(x) dx で表されます。
ln(x) の積分では f(x) = ln(x)、g'(x) = 1 と設定します。
すると f'(x) = 1÷x、g(x) = x となります。
∫ ln(x) dx の導出過程
部分積分の公式に代入すると次のようになります。
∫ ln(x) dx = x・ln(x) − ∫ x・(1÷x) dx
= x・ln(x) − ∫ 1 dx
= x・ln(x) − x + C
このように ln(x) の積分は部分積分によってきれいに求めることができます。
∫ x・ln(x) dx の導出
∫ x・ln(x) dx では f(x) = ln(x)、g'(x) = x とおきます。
f'(x) = 1÷x、g(x) = x^2÷2 として部分積分を適用します。
∫ x・ln(x) dx = (x^2÷2)・ln(x) − ∫ (x^2÷2)・(1÷x) dx = (x^2÷2)・ln(x) − x^2÷4 + C となります。
対数の積分計算の応用
続いては、対数の積分計算の応用的な場面を確認していきます。
置換積分と対数
∫ f'(x)÷f(x) dx = ln|f(x)| + C という置換積分の形は非常によく使われます。
たとえば ∫ (2x)÷(x^2+1) dx は f(x) = x^2+1、f'(x) = 2x の形であるため ln(x^2+1) + C と求まります。
この形を見抜く練習をすることで積分の計算速度が格段に上がります。
定積分への応用
| 積分式 | 結果 |
|---|---|
| ∫[1,e] ln(x) dx | [x・ln(x)−x]から1→e = 1 |
| ∫[1,2] (1÷x) dx | [ln(x)]から1→2 = ln(2) |
定積分では上限・下限の代入を丁寧に行うことでミスを防げます。
対数の積分が出てくる物理・工学での場面
電気回路のRC回路の充放電式、熱力学でのエントロピー計算、流体力学での圧力計算など、対数の積分は工学・物理の多くの場面で登場します。
特に ∫ (1÷x) dx = ln|x| の形は非常に頻繁に現れるため、確実に覚えておくことが重要です。
まとめ
本記事では、対数の積分公式の一覧・計算方法・部分積分による導出・応用場面について解説しました。
∫ ln(x) dx = x・ln(x) − x + C と ∫ (1÷x) dx = ln|x| + C は特に重要な基本公式です。
部分積分の手順を理解することで、ln(x) を含む様々な積分問題に対応できるようになります。
対数の積分公式をしっかり身につけて、数学・物理・工学の計算に役立てていきましょう。