流体の「流れやすさ」や「粘り気」を表す粘度は、化学・食品・製薬・塗料・石油など、幅広い産業分野で欠かせない物性値です。
しかし、粘度の単位にはPa・s(パスカル秒)やmPa・s(ミリパスカル秒)、cP(センチポアズ)、P(ポアズ)など複数の種類が存在し、換算・変換の方法がわかりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
また、動粘度の単位であるSt(ストークス)やcSt(センチストークス)も登場することがあり、粘性係数との違いも整理しておきたいところです。
この記事では、粘度の単位の読み方・一覧・換算・変換方法をわかりやすく解説していきます。
粘度の単位はPa・sが基本!mPa・s・cP・ポアズとの関係を理解しよう
それではまず、粘度の単位の基本と、それぞれの単位の関係性について解説していきます。
粘度(粘性係数)の単位として現在の国際標準(SI単位系)で使われるのは、Pa・s(パスカル秒)です。
これは「粘性係数」あるいは「動粘性係数(動粘度)」と呼ばれる量を表す際に用いられます。
Pa・sのほかにも、現場や文献ではmPa・s(ミリパスカル秒)、cP(センチポアズ)、P(ポアズ)といった単位が頻繁に登場します。
これらは歴史的な経緯や使いやすさから今も広く使われており、単位の意味と換算関係を押さえておくことが重要です。
粘度の単位の基本まとめ
SI単位系での粘性係数の単位は「Pa・s(パスカル秒)」です。
CGS単位系では「P(ポアズ)」が用いられ、1 P = 0.1 Pa・sの関係があります。
実用的にはmPa・s(ミリパスカル秒)やcP(センチポアズ)が多用され、1 mPa・s = 1 cPという非常に便利な関係が成立しています。
Pa・s(パスカル秒)とは
Pa・sは「パスカル秒」と読み、SIの組立単位です。
1 Pa・sとは、隣り合う流体層が1 m/sの速度差を持つとき、1 m²あたりに1 Nの剪断力(せん断力)が働く粘性の大きさを意味します。
水の粘度は約0.001 Pa・s(20℃)であり、日常で扱う多くの液体はPa・sよりもmPa・sで表した方が数値として扱いやすいため、実務ではmPa・sが広く使われています。
P(ポアズ)とmPa・s・cPの関係
P(ポアズ)はCGS単位系の粘度単位で、「ポアズ」と読みます。
フランスの医師・物理学者ジャン・ルイ・マリー・ポワズイユ(Poiseuille)の名に由来した単位です。
1 Pの100分の1がcP(センチポアズ)であり、1 cP = 1 mPa・sという関係が成立するため、cPとmPa・sは実質的に同じ数値で使えます。
水(20℃)の粘度は約1 cP = 1 mPa・sと覚えておくと、感覚的な基準として非常に便利でしょう。
粘度単位の一覧表
以下に、粘性係数に関する主な単位の一覧と換算関係をまとめました。
| 単位記号 | 読み方 | 単位系 | 換算値(Pa・s基準) |
|---|---|---|---|
| Pa・s | パスカル秒 | SI | 1 Pa・s |
| mPa・s | ミリパスカル秒 | SI | 0.001 Pa・s |
| P | ポアズ | CGS | 0.1 Pa・s |
| cP | センチポアズ | CGS | 0.001 Pa・s(=1 mPa・s) |
| dP | デシポアズ | CGS | 0.01 Pa・s |
粘度の換算・変換方法をわかりやすく解説
続いては、粘度の換算・変換の具体的な方法を確認していきます。
単位が異なるだけで表す物性は同じですから、換算のルールさえ覚えれば迷うことはありません。
特にPa・s ↔ mPa・s ↔ cP ↔ Pの変換は実務で頻出なので、しっかり整理しておきましょう。
Pa・s ↔ mPa・sの換算
Pa・sとmPa・sの換算は、1000倍・1/1000倍の関係です。
1 Pa・s = 1000 mPa・s
1 mPa・s = 0.001 Pa・s
例:水の粘度(20℃)≒ 0.001 Pa・s = 1 mPa・s
日常的な液体の粘度はmPa・sで表すと1〜数千の範囲に収まることが多く、実用的な単位といえます。
Pa・s ↔ P(ポアズ)の換算
Pa・sとP(ポアズ)の換算は、10倍・1/10倍の関係です。
1 Pa・s = 10 P
1 P = 0.1 Pa・s
例:グリセリンの粘度(20℃)≒ 1.5 Pa・s = 15 P
ポアズはCGS単位系で広く使われてきた歴史的な単位であり、古い文献や海外のデータシートでは今でも見かけることがあります。
cP ↔ mPa・s・Pa・sの換算まとめ
cP(センチポアズ)は特に食品・医薬・化粧品分野でよく用いられる単位です。
1 cP = 1 mPa・s = 0.001 Pa・s
1 P = 100 cP
100 cP = 100 mPa・s = 0.1 Pa・s
例:蜂蜜の粘度(20℃)≒ 2000〜10000 cP(=2000〜10000 mPa・s)
cPとmPa・sの数値は全く同じであるため、どちらの単位が使われていても数値をそのまま読み替えられる点は非常に便利です。
動粘度の単位(St・cSt)と粘性係数との違い
続いては、動粘度の単位であるSt(ストークス)とcSt(センチストークス)について確認していきます。
粘度には大きく分けて「粘性係数(動力学的粘度)」と「動粘度(動粘性係数)」の2種類があり、使用する単位が異なります。
この違いを混同すると計算ミスにつながるため、きちんと区別しておくことが大切です。
動粘度とは何か
動粘度(動粘性係数)は、粘性係数(Pa・sやcP)を流体の密度で割った値です。
動粘度 = 粘性係数 ÷ 密度
単位:m²/s(SI)または St(CGS)
例:水(20℃)の動粘度 ≒ 1.004 × 10⁻⁶ m²/s ≒ 1.004 cSt
動粘度は流体の「流れやすさ」を密度の影響も含めて評価する量であり、特に潤滑油や燃料の規格でよく使われています。
St(ストークス)とcSt(センチストークス)
St(ストークス)はCGS単位系の動粘度の単位で、「ストークス」と読みます。
イギリスの物理学者ジョージ・ガブリエル・ストークスの名に由来しています。
| 単位記号 | 読み方 | 単位系 | 換算値(m²/s基準) |
|---|---|---|---|
| m²/s | 平方メートル毎秒 | SI | 1 m²/s |
| St | ストークス | CGS | 1 × 10⁻⁴ m²/s |
| cSt | センチストークス | CGS | 1 × 10⁻⁶ m²/s |
| mm²/s | 平方ミリメートル毎秒 | SI | 1 × 10⁻⁶ m²/s(=1 cSt) |
1 cSt = 1 mm²/sという関係も覚えておくと、SI単位系との変換がスムーズです。
粘性係数と動粘度の単位の使い分け
粘性係数と動粘度は異なる物理量であり、単位も異なります。
実験や計算の場面では、どちらの粘度を扱っているかを明確にすることが重要です。
粘性係数(せん断粘度)の単位 → Pa・s、mPa・s、cP、P
動粘度(動粘性係数)の単位 → m²/s、St、cSt、mm²/s
動粘度 = 粘性係数 ÷ 密度(ρ)
混同に注意!同じ「粘度」という言葉でも、単位を見れば区別できます。
例えばエンジンオイルの規格(ISO VG等)では動粘度(cSt)が使われる一方、食品や医薬品の処方設計では粘性係数(mPa・sやcP)が使われることが多いです。
粘度の単位の読み方と代表的な液体の粘度一覧
続いては、各単位の読み方の整理と、代表的な液体の粘度値を一覧で確認していきます。
粘度の感覚をつかむためには、身近な液体の粘度値と単位を対応させて覚えておくことが効果的です。
粘度単位の読み方一覧
各単位の読み方を以下にまとめました。
文献や資料によって表記が異なる場合もありますが、以下が標準的な読み方です。
| 単位記号 | 読み方 | 備考 |
|---|---|---|
| Pa・s | パスカル秒 | SI粘性係数の基本単位 |
| mPa・s | ミリパスカル秒 | 実用的に最も広く使われる |
| P | ポアズ | CGS単位、ポワズとも読む |
| cP | センチポアズ | 1 cP = 1 mPa・s |
| St | ストークス | CGS動粘度単位 |
| cSt | センチストークス | 1 cSt = 1 mm²/s |
代表的な液体の粘度値(参考値)
粘度の大きさを直感的に理解するために、身近な液体の粘度を参考値として示します。
| 液体 | 温度 | 粘度(mPa・s = cP) |
|---|---|---|
| 水 | 20℃ | 約1 |
| 牛乳 | 20℃ | 約2〜3 |
| エタノール | 20℃ | 約1.2 |
| グリセリン | 20℃ | 約1500 |
| 植物油(サラダ油) | 20℃ | 約60〜80 |
| 蜂蜜 | 20℃ | 約2000〜10000 |
| 潤滑油(SAE 10W-30) | 40℃ | 約60〜100(cSt単位が一般的) |
水の粘度が約1 mPa・s(1 cP)というのは、粘度の「基準」として非常に有名な値です。
水より粘度が高いか低いかを基準に、他の液体の粘り気をイメージするとわかりやすいでしょう。
温度と粘度の関係
粘度は温度によって大きく変化することも覚えておきたいポイントです。
一般的に液体では、温度が上がると分子間の相互作用が弱まり、粘度は低下します。
例えば水の粘度は0℃で約1.79 mPa・s、20℃で約1.00 mPa・s、60℃で約0.47 mPa・sとなり、温度が上がるにつれて粘度は顕著に下がることがわかります。
粘度データを参照する際は、必ず測定温度も確認することが重要です。
まとめ
この記事では、「粘度の単位は?換算・変換も(粘性係数・Pa・sやmPa・sやcPやポアズ等)読み方や一覧は?」というテーマで解説してきました。
粘度(粘性係数)のSI単位はPa・s(パスカル秒)であり、実用的にはmPa・s(ミリパスカル秒)やcP(センチポアズ)が広く使われています。
1 mPa・s = 1 cPという換算関係は特に重要で、両者は数値が一致するため扱いやすい単位といえます。
CGS単位系のP(ポアズ)は1 P = 0.1 Pa・sの関係があり、古い文献では今も登場する単位です。
動粘度の単位としてはSt(ストークス)やcSt(センチストークス)が用いられ、1 cSt = 1 mm²/sという関係があります。
粘性係数と動粘度は異なる物理量であるため、単位を確認して混同しないことが大切です。
粘度の単位と換算をマスターすれば、さまざまな分野のデータや文献を正確に読み解けるようになるでしょう。