化学式等の物性

乳酸の化学式・構造式・示性式・分子量は?式量が正しい?覚え方のコツも!(CH3CH(OH)COOH・C3H6O3・組成式・電子式・不斉炭素・光学異性体・ヒドロキシ酸・発酵)

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乳酸は、ヒドロキシ基とカルボキシル基の両方を持つヒドロキシ酸であり、示性式はCH₃CH(OH)COOHと表されます。

化学の学習において、化学式・構造式・示性式・分子量(式量)の正確な理解は、試験対策の基礎として欠かせません。

また、組成式・電子式・不斉炭素・光学異性体といった概念も、有機化学の重要テーマとして押さえておきたいポイントです。

さらに、乳酸は発酵との深い関わりを持ち、生体内での役割や食品・医薬品への応用も試験で問われることがあるテーマのひとつ。

この記事では、乳酸に関する基礎知識を、わかりやすく丁寧に解説していきます。

乳酸の化学式はCH₃CH(OH)COOH!示性式・組成式・分子量の基本まとめ

それではまず、乳酸の化学式・示性式・組成式・分子量について解説していきます。

乳酸の示性式はCH₃CH(OH)COOHです。

これは、メチル基(CH₃−)・ヒドロキシ基を持つメチン基(−CH(OH)−)・カルボキシル基(−COOH)が順に結合した構造を示しています。

分子式(化学式)はC₃H₆O₃と表され、炭素3個・水素6個・酸素3個から構成されています。

組成式は、各元素の原子数の比を最も簡単な整数比で表したものです。

C₃H₆O₃の各原子数の比はC:H:O=3:6:3=1:2:1となるため、組成式はCH₂Oとなります。

分子式と組成式が異なる点に注意が必要でしょう。

分子量(式量)の計算方法

乳酸の分子量を計算してみましょう。

各元素の原子量は、C=12、H=1、O=16を使用します。

C₃H₆O₃の分子量の計算
C:12×3=36
H:1×6=6
O:16×3=48
合計:36+6+48=90

したがって、乳酸の分子量は90となります。

O原子が3個と多いため、16×3=48という計算を正確に行うことが分子量算出のポイントです。

「C₃H₆O₃=分子量90」とセットで覚えておきましょう。

覚え方のコツ

乳酸の示性式CH₃CH(OH)COOHは、「プロピオン酸(CH₃CH₂COOH)のメチレン基(−CH₂−)の水素1個がOHに置き換わった構造」と理解すると整理しやすいです。

ヒドロキシ酸とは「ヒドロキシ基(−OH)とカルボキシル基(−COOH)の両方を持つカルボン酸」であり、乳酸はその代表例のひとつです。

「炭素数3・OH基1個・COOH基1個のヒドロキシ酸」と特徴をまとめて覚えておくと、関連化合物との区別がしやすくなるでしょう。

関連するヒドロキシ酸との比較

名称 示性式 炭素数 特徴
グリコール酸 HOCH₂COOH 2 最小のヒドロキシ酸
乳酸 CH₃CH(OH)COOH 3 不斉炭素あり、光学異性体
リンゴ酸 HOOCCH(OH)CH₂COOH 4 果実に含まれる
酒石酸 HOOCCH(OH)CH(OH)COOH 4 不斉炭素2個

乳酸の構造式・電子式・不斉炭素の特徴

続いては、乳酸の構造式・電子式・不斉炭素の特徴について確認していきます。

構造式の書き方

乳酸の構造式は、3つの炭素が鎖状につながり、中央の炭素にOH基が、末端の炭素にCOOH基が結合した形で表されます。

  OH
  |
CH₃−CH−COOH

中央の炭素(第2炭素)には、CH₃・OH・COOH・Hという4種類すべて異なる原子・原子団が結合しています。

このような炭素原子を不斉炭素(キラル中心)といい、光学異性体が存在する原因となります。

電子式のポイント

乳酸の電子式では、各原子間の共有電子対と非共有電子対をすべて点で表します。

カルボキシル基(−COOH)のC=Oには二重結合が存在し、O原子には非共有電子対が2組残ります。

ヒドロキシ基(−OH)のO原子にも非共有電子対が2組あるため、O原子の非共有電子対を正確に書くことがポイントでしょう。

不斉炭素と光学異性体

乳酸の第2炭素は不斉炭素であるため、乳酸にはD体とL体の2種類の光学異性体が存在します。

乳酸の光学異性体
・L-乳酸:生体内で主に存在する形、筋肉の代謝産物
・D-乳酸:一部の微生物が産生する形
・DL-乳酸(ラセミ体):L体とD体が1:1で混合した形
光学異性体は互いに鏡像の関係にあり、旋光性の向きが逆になります。化学的性質は同じですが、生体内での反応性が異なる点が重要です。

光学異性体は旋光性(偏光面を回転させる性質)によって区別でき、L体は左旋性(−)、D体は右旋性(+)を示します。

不斉炭素の存在と光学異性体の概念は、有機化学の立体化学分野の基礎として重要なポイントです。

乳酸の酸性・エステル化・縮合重合との関係

続いては、乳酸の酸としての性質やエステル化反応、縮合重合との関係について確認していきましょう。

カルボン酸としての酸性

乳酸はカルボキシル基(−COOH)を持つ弱酸であり、水中でわずかに電離してH⁺を放出します。

CH₃CH(OH)COOH ⇌ CH₃CH(OH)COO⁻ + H⁺

乳酸のpKaは約3.86であり、酢酸(pKa約4.76)よりもやや強い酸です。

これはα位(カルボキシル基の隣)にOH基があることで電子吸引効果が増し、酸性が強まるためと理解できます。

エステル化反応

乳酸はカルボキシル基(−COOH)とヒドロキシ基(−OH)の両方を持つため、自己縮合(分子間エステル化)が起こります。

乳酸2分子が反応すると環状のエステル(ラクチド)が生成し、さらに重合するとポリ乳酸(PLA)が得られます。

n CH₃CH(OH)COOH → [CH₃CH(O)CO]n + nH₂O(ポリ乳酸)

ポリ乳酸(PLA)は生分解性プラスチックとして環境分野で注目されている素材です。

ポリ乳酸(PLA)の特徴

ポリ乳酸は乳酸の縮合重合によって得られる生分解性ポリマーであり、土壌や水中の微生物によって分解されます。

石油由来のプラスチックの代替素材として、食品容器・医療用縫合糸・フィルムなどへの応用が進んでいます。

トウモロコシ・サトウキビなど植物由来の原料から製造できるバイオプラスチックであることも特徴のひとつでしょう。

乳酸発酵・生体内での役割・食品への応用

続いては、乳酸発酵のメカニズムと生体内での乳酸の役割、食品への応用について確認していきましょう。

乳酸発酵とは

乳酸発酵とは、乳酸菌などの微生物がグルコースなどの糖を嫌気的に分解して乳酸を生産する発酵反応のことです。

C₆H₁₂O₆ → 2CH₃CH(OH)COOH(乳酸発酵)

グルコース1molから乳酸が2mol生成し、ATPがエネルギーとして得られます。

アルコール発酵(グルコース→エタノール+CO₂)とは異なり、CO₂が発生しない点が乳酸発酵の大きな特徴です。

筋肉における乳酸の役割

激しい運動時、筋肉では酸素が不足するため嫌気的解糖が進み、乳酸が生成されます。

かつては乳酸が筋肉疲労の原因物質とされていましたが、現在では乳酸そのものが疲労の原因ではなく、エネルギー源として再利用されることが明らかになっています。

肝臓ではコリ回路(乳酸→グルコースへの糖新生)によって乳酸がグルコースに再変換されます。

食品への応用

乳酸発酵は、ヨーグルト・チーズ・漬物・キムチ・味噌・醤油など、多くの発酵食品の製造に利用されています。

食品 乳酸菌の役割
ヨーグルト 牛乳を乳酸発酵させて酸味・粘度を付与
チーズ 乳酸発酵後に凝固・熟成
漬物・キムチ 野菜の乳酸発酵により保存性向上
サワードウ 小麦粉の乳酸発酵で独特の風味

乳酸は食品添加物としても酸味料・保存料に利用されており、身近な食品に広く含まれている化合物です。

化学的な性質と生活への応用をセットで理解しておくと、総合的な理解が深まるでしょう。

まとめ

この記事では、乳酸の化学式・示性式・構造式・分子量を中心に、組成式・電子式・不斉炭素・光学異性体・ヒドロキシ酸としての性質・乳酸発酵・ポリ乳酸まで幅広く解説しました。

示性式CH₃CH(OH)COOH、分子式C₃H₆O₃、分子量90という基本データを確実に押さえておきましょう。

不斉炭素の存在とD体・L体の光学異性体の概念は、立体化学分野の基礎として試験でも頻出のテーマです。

乳酸発酵・ポリ乳酸・生体内でのコリ回路など、化学と生物の融合テーマも含めてしっかり理解しておくことが得点アップへの近道でしょう。