開集合と閉集合の違いは?関係性や見分け方も!
開集合と閉集合は、数学の位相空間を学ぶ際に欠かせない基本概念です。
名前だけを見ると、開いている集合と閉じている集合が正反対のものに思えるかもしれません。
しかし実際には、同じ集合が開集合でも閉集合でもある場合や、どちらでもない場合もあります。
本記事では補集合、境界、閉包、内点といった関連語をつなげながら、開集合と閉集合の違い、関係性、見分け方を順番に整理します。
開集合と閉集合の違い

それではまず開集合と閉集合の違いについて解説していきます。
開集合の基本的な意味
開集合とは、集合に含まれる各点の周囲に、集合の外へ出ない小さな範囲を取れる集合のことです。
実数直線では、端の点を含まない区間が代表例になります。
たとえば区間(1,3)には1より大きく3より小さい実数が入りますが、1と3は含まれません。
区間の中にある2なら、少し左と右へ動いた範囲も(1,3)の中に収まります。
このように、各点が集合の内部に余裕を持って存在することが、開集合の感覚的な特徴です。
開集合では、集合に入っている点の近くに必ず小さな内部領域があります。
実数直線に通常の距離を考える場合、(1,3)は開集合です。
一方で[1,3]は端点を含むため、開集合ではありません。
なお、丸括弧や角括弧だけで開集合かどうかを判断するのは、実数直線に限った見方です。
より一般的な位相空間では、どの集合を開集合とするかを位相として定めます。
閉集合の基本的な意味
閉集合とは、補集合が開集合になる集合のことです。
補集合とは、全体集合のうち、その集合に入っていない部分を指します。
実数全体を全体集合としたとき、[1,3]の補集合は1未満の部分と3より大きい部分の組合せです。
その補集合は開集合になるため、[1,3]は閉集合と判断できます。
閉集合は端点を含む集合として説明されることもありますが、本質は端点の有無ではありません。
閉集合かどうかは、補集合が開集合であるかを確かめると正確です。
たとえば実数全体は閉集合です。
実数全体の補集合は空集合であり、空集合は開集合として扱われるからです。
正反対ではない関係
開集合と閉集合は対立する性質ではあるものの、必ずどちらか一方だけになるわけではありません。
空集合と全体集合は、開集合であると同時に閉集合でもあります。
このような集合は開閉集合と呼ばれます。
また、(1,3]のように片方の端だけを含む半開区間は、通常の実数直線では開集合でも閉集合でもありません。
開集合と閉集合は二択ではありません。
両方に当てはまる集合と、どちらにも当てはまらない集合がある点を押さえることが重要です。
| 集合の例 | 開集合 | 閉集合 | 理由 |
|---|---|---|---|
| (1,3) | 当てはまる | 当てはまらない | 端点が含まれず、各点の周囲に内部領域を取れるため |
| [1,3] | 当てはまらない | 当てはまる | 補集合が開集合になるため |
| (1,3] | 当てはまらない | 当てはまらない | 境界点の扱いが混在するため |
| 空集合 | 当てはまる | 当てはまる | 位相の公理で開集合とされ、補集合も開集合となるため |
| 実数全体 | 当てはまる | 当てはまる | 全体集合は開集合であり、補集合が空集合となるため |
補集合による判定の仕組み
続いては補集合を用いた判定の仕組みを確認していきます。
補集合と全体集合の関係
補集合を理解するには、最初に全体集合を明確にする必要があります。
同じ集合でも、どの範囲を全体集合に選ぶかによって補集合の姿が変わるためです。
たとえば集合Aを[0,1]とし、全体集合を実数全体とする場合、Aの補集合は0未満の実数と1より大きい実数です。
一方で全体集合を[0,1]に設定すれば、Aの補集合は空集合になります。
補集合を使う問題では、全体集合の設定を読み落とさないことが第一歩です。
位相空間では全体集合そのものが開集合と決められています。
そのため空集合も閉集合になり、全体集合も閉集合になります。
閉集合を補集合から確かめる手順
閉集合の判定では、対象となる集合の外側を取り出し、その外側が開集合かを調べます。
実数直線で有限個の閉区間を考える場合は、補集合が開区間の合併として表せるかを見る方法が便利です。
集合Aを[2,5]とします。
実数全体における補集合は(-無限大,2)と(5,無限大)の合併です。
この補集合は開集合なので、Aは閉集合です。
単一の点だけからなる集合も、実数直線では閉集合です。
たとえば{4}の補集合は(-無限大,4)と(4,無限大)の合併になり、開集合として扱えます。
点が一つだけの集合でも、補集合に注目すれば閉集合と分かります。
ド モルガンの法則とのつながり
複数の集合を扱う際には、補集合と和集合、共通部分の関係も重要です。
和集合の補集合は、それぞれの補集合の共通部分になります。
反対に、共通部分の補集合は、それぞれの補集合の和集合です。
この性質を使うと、閉集合の有限個の和集合が閉集合になることを説明できます。
また、開集合の有限個の共通部分が開集合となる理由にもつながります。
補集合は開集合と閉集合を結ぶ橋渡しです。
直接判定しにくいと感じたときほど、集合の外側に目を向けると整理しやすくなります。
境界と内点による見分け方
続いては境界と内点を使った見分け方を確認していきます。
内点の考え方
集合Aに属する点xが内点であるとは、xの周囲に小さな開区間を取っても、その全体がAに入ることを意味します。
(1,3)の中にある2は内点です。
一方で[1,3]に含まれる1は、どれほど小さな周囲を取っても1未満の数が混ざるため、内点ではありません。
集合のすべての点が内点なら、その集合は開集合です。
開集合の判定では、端に見える点を含めて全ての点が内点かを調べます。
この方法は図形的な集合を考えるときにも役立ちます。
円板の内部だけを集めた集合では、どの点の周囲にも小さな円を置けるため開集合になります。
境界点の意味
境界点とは、その点のどんなに小さな周囲にも、集合に属する点と属さない点の両方が存在する点です。
[1,3]では1と3が境界点になります。
(1,3)でも境界点は1と3です。
両者は端点を含むかどうかが異なりますが、境界そのものは同じになる点が興味深いところでしょう。
開集合は境界点を含まず、閉集合はすべての境界点を含みます。
ただしこの説明は、通常の位相における一般的な判定法です。
境界が空集合となる開閉集合もあるため、空集合と全体集合も忘れずに扱う必要があります。
具体例による判定比較
実数直線上の集合を例にすると、境界と内点の違いがはっきり見えます。
| 対象の集合 | 内点 | 境界 | 判定 |
|---|---|---|---|
| (0,2) | 0より大きく2より小さい点 | 0と2 | 開集合 |
| [0,2] | 0より大きく2より小さい点 | 0と2 | 閉集合 |
| [0,2) | 0より大きく2より小さい点 | 0と2 | どちらでもない集合 |
| 整数全体 | 存在しない | すべての整数 | 閉集合 |
整数全体は、実数直線では閉集合です。
各整数の近くには整数以外の実数があるため内点はありません。
一方で、極限として近づく点をすべて含むため閉集合と考えられます。
閉包と集積点の役割
続いては閉包と集積点の役割を確認していきます。
閉包の基本概念
集合Aの閉包とは、Aに含まれる点と、Aに限りなく近づける点をすべて加えた集合です。
記号ではAの上に横線を引く形や、cl Aの形で表されます。
(1,3)の閉包は[1,3]です。
元の集合には含まれない1と3も、(1,3)の点列がいくらでも近づけるため追加されます。
閉包は、集合に必要な境界点を補って閉集合にしたものと考えられます。
閉包を求めると、開集合と閉集合の間にある関係を一つの操作で把握できます。
集積点と極限点
集積点とは、その点の近くに集合の別の点が無数に存在するような点です。
たとえば集合{1,1/2,1/3,1/4,……}では、0は集合に含まれていません。
それでも要素は0へ近づき続けるため、0は集積点です。
この集合は0を追加すると閉集合になります。
閉集合は、集合内の点列が近づいていく先を取りこぼさない集合です。
極限の行き先が外に漏れないという視点を持つと、閉集合の意味が深まります。
数列や関数の極限を学ぶ場面では、この性質が重要になります。
連続性やコンパクト性を考える基盤にもなるため、単なる区間の話として終わらせないことが大切です。
内部と閉包の対照
集合の内部は、含まれる内点をすべて集めた集合です。
閉包が境界まで広げる操作であるのに対し、内部は境界を除いて内側だけを取り出す操作といえます。
[1,3]の内部は(1,3)となります。
反対に(1,3)の閉包は[1,3]です。
内部は開集合になり、閉包は閉集合になるという対応を覚えると便利です。
ただし、元の集合が開集合なら内部は元の集合自身になります。
元の集合が閉集合なら閉包は元の集合自身です。
位相空間における定義
続いては位相空間における定義を確認していきます。
位相が定める開集合
位相空間とは、集合Xと、その上で開集合として認める集合族を組み合わせたものです。
この開集合の集まりを位相と呼びます。
位相には、空集合とXが含まれること、任意個の和集合で閉じていること、有限個の共通部分で閉じていることが求められます。
ここで重要なのは、開集合という言葉が距離や図形の見た目だけで決まるわけではない点です。
位相空間では、あらかじめ定めた位相によって開集合と閉集合が決まります。
実数直線の通常の位相は、私たちが区間でイメージする開集合を与える代表例です。
離散位相と密着位相
離散位相では、すべての部分集合が開集合です。
補集合もまた部分集合であり開集合となるため、すべての部分集合が閉集合にもなります。
この空間では、どの集合も開閉集合です。
一方で密着位相では、空集合と全体集合だけを開集合とします。
この場合、閉集合も空集合と全体集合だけです。
| 位相の種類 | 開集合 | 閉集合 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 通常の位相 | 開区間の合併など | 補集合が開集合となる集合 | 距離を使う直感に近い構造 |
| 離散位相 | すべての部分集合 | すべての部分集合 | 全ての点を細かく分けて扱える構造 |
| 密着位相 | 空集合と全体集合のみ | 空集合と全体集合のみ | 最小限の開集合だけを持つ構造 |
連続写像との関連
位相空間で連続写像を定義する際には、開集合の逆像が開集合になることを用います。
同じ内容は、閉集合の逆像が閉集合になるとも表せます。
関数が連続であることは、近い点の関係を大きく壊さない性質として理解されます。
開集合と閉集合は、その性質を厳密に記述するための言葉です。
開集合と閉集合の理解は、連続関数や位相幾何学へ進むための土台になります。
開集合と閉集合のまとめ
最後に開集合と閉集合の要点をまとめます。
開集合は、集合内の各点の周囲に小さな内部領域を取れる集合です。
閉集合は補集合が開集合となる集合であり、境界点や極限として近づく点を含む性質を持ちます。
(1,3)は開集合、[1,3]は閉集合、[1,3)は通常の実数直線ではどちらでもない集合です。
空集合と全体集合は、開集合かつ閉集合となる開閉集合です。
迷ったときは、内点、境界、補集合、閉包の四つの視点から確認すると判断しやすくなります。
さらに位相空間では、何を開集合とするかを位相として定めるため、丸括弧や角括弧だけに頼らない理解が必要です。
基本例を何度か確かめながら、補集合と境界の関係を自分の言葉で説明できるようにしていきましょう。