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PID制御のブロック線図とは?構成と信号の流れを解説(制御対象:フィードバックループ:比較器:制御器など)

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PID制御を理解する上で欠かせない視覚的なツールがブロック線図(Block Diagram)です。

「ブロック線図ってどう読むの?」「各ブロックは何を表しているの?」という疑問を持つ方のために、本記事ではPID制御のブロック線図の構成・各要素の意味・信号の流れを詳しく解説していきます。

PID制御のブロック線図は「入力・比較器・制御器・制御対象・フィードバックの閉ループ構造」を表す

それではまず、PID制御ブロック線図の全体構造と各要素の役割を解説していきます。

PID制御ブロック線図の主要要素:①目標値(設定値)r(t)、②比較器(偏差 e=r-y を計算)、③PID制御器 C(s)(制御演算)、④制御対象(プラント)P(s)、⑤制御対象の出力 y(t)(センサーで計測)、⑥フィードバックパス(y(t)を比較器に戻す)、⑦外乱入力 d(t)(任意)。

信号の流れは「目標値 → 比較器 → 偏差 → PID制御器 → 制御入力 → 制御対象 → 出力 → (フィードバック)→ 比較器」という閉ループを形成します。

比較器(偏差計算器)の役割

比較器は目標値 r(t) と制御対象の出力 y(t) を比較し、偏差 e(t) = r(t) – y(t) を計算するブロックです。

ブロック線図では通常○(丸)に+と-の記号で表されます。

この偏差がPID制御器への入力となり、フィードバック制御の根幹を成します。

PID制御器ブロックの伝達関数

PID制御器ブロックは伝達関数 C(s) = Kp + Ki/s + Kd・s で表され、入力(偏差)から制御入力(操作量)への変換を表します。

このブロックの内部では比例・積分・微分の3つの演算が並列に行われ、その総和が制御出力となります。

制御対象(プラント)と外乱

制御対象 P(s) はモータ・ヒーター・バルブなど実際に制御したい「物理システム」を表すブロックです。

外乱 d(t) は制御系の外から加わる意図しない入力(負荷変動・温度変化・摩擦など)であり、通常は制御対象の入力または出力に加算されるブロックとして図示されます。

フィードバック制御の重要な目的のひとつが、この外乱の影響を自動的に補正することです。

ブロック線図の代数と等価変換

続いては、ブロック線図の代数的な操作方法を確認していきましょう。

直列接続と並列接続

複数のブロックが直列に接続されている場合、等価な伝達関数はそれぞれの伝達関数の積になります。

直列接続:G₁(s)・G₂(s) = G₁(s)×G₂(s)

並列接続(同方向):G₁(s)+G₂(s)

フィードバックループ全体の閉ループ伝達関数:

T(s) = C(s)P(s) / (1 + C(s)P(s))

(単位フィードバックの場合)

この閉ループ伝達関数を使って、ステップ応答・周波数応答・安定性解析が行えます。

フィードフォワードの追加

フィードバックだけでなくフィードフォワード制御を組み合わせる場合、ブロック線図では目標値から直接制御対象への入力パスが追加されます。

既知の外乱に対してフィードフォワードで先手を打ち、フィードバックで残った誤差を修正するという組み合わせが実用的な制御システムでは一般的です。

センサーの動特性の考慮

実際のフィードバックパスには、センサーの動特性(遅れ・フィルタリング)が含まれることがあります。

センサーの伝達関数 H(s) をフィードバックパスに追加したブロック線図を使うことで、センサー遅れがシステム全体に与える影響を定量的に分析できます。

高精度な制御設計ではセンサー特性の考慮が不可欠です。

まとめ

本記事では、PID制御のブロック線図の構成・各要素の役割・信号の流れ・ブロック線図の代数について解説してきました。

ブロック線図はPID制御系の構造を視覚的に表現する共通言語であり、これを読み書きできることで制御系の設計・解析・改善が体系的に行えるようになります。

MATLAB/Simulinkや制御工学の教科書でブロック線図の実例に多数触れることで、より深い制御系設計の理解が身につくでしょう。