化学式等の物性

硝酸の化学式・構造式・分子量は?式量が正しい?覚え方のコツも!(HNO3・組成式・電子式・示性式・電離式・強酸・酸化作用・希硝酸・濃硝酸・不揮発性・モル質量)

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硝酸は、窒素と酸素・水素からなる代表的な強酸であり、化学式はHNO₃と表されます。

化学の学習において、化学式・構造式・分子量(式量)の正確な理解は、試験対策の基礎として欠かせません。

また、組成式・電子式・示性式・電離式といった多様な表記方法も、しっかり押さえておきたいポイントです。

さらに、強酸としての性質・酸化作用・希硝酸と濃硝酸の違い・モル質量なども、試験で頻出のテーマのひとつ。

この記事では、硝酸に関する基礎知識を、わかりやすく丁寧に解説していきます。

硝酸の化学式はHNO₃!組成式・分子量の基本まとめ

それではまず、硝酸の化学式・組成式・分子量について解説していきます。

硝酸の化学式はHNO₃です。

水素原子1個・窒素原子1個・酸素原子3個から構成されており、一価の強酸として知られています。

組成式は化学式と同様にHNO₃と書くのが一般的です。

示性式については、硝酸の酸性を担うOH基を強調してHO−NO₂と書くこともありますが、高校化学ではHNO₃として扱うのが基本でしょう。

分子内の結合を詳しく示すには、構造式や電子式を用いることが適切です。

分子量(式量)の計算方法

硝酸の分子量を計算してみましょう。

各元素の原子量は、H=1、N=14、O=16を使用します。

HNO₃の分子量の計算
H:1×1=1
N:14×1=14
O:16×3=48
合計:1+14+48=63

したがって、硝酸の分子量は63となります。

O原子が3個あるため、16×3=48という計算を正確に行うことがポイントです。

「HNO₃=分子量63=モル質量63 g/mol」とセットで覚えておきましょう。

モル質量と濃硝酸の計算への応用

硝酸のモル質量は63 g/molです。

濃硝酸(密度約1.38 g/mL、質量パーセント濃度約60〜68%)のモル濃度は以下のように計算できます。

濃硝酸(60%、密度1.38 g/mL)のモル濃度の計算
1Lの質量:1.38×1000=1380 g
HNO₃の質量:1380×0.60=828 g
HNO₃の物質量:828÷63≒13.1 mol
モル濃度:約13 mol/L

濃硝酸のモル濃度は約13〜16 mol/Lと非常に高い値であることを覚えておくと、希釈計算の問題に役立ちます。

覚え方のコツ

HNO₃の分子量63は「H(1)+N(14)+O×3(48)=63」として順番に計算すると確実に求められます。

硝酸(HNO₃、63)・塩酸(HCl、36.5)・硫酸(H₂SO₄、98)という3つの強酸の分子量はセットで覚えておくと計算問題に素早く対応できるでしょう。

硝酸の構造式・電子式・分子の特徴

続いては、硝酸の構造式・電子式・分子の特徴について確認していきましょう。

構造式の書き方

硝酸の構造式は、N原子を中心に3つのO原子が結合した形で表されます。

  O
  ‖
HO−N
  ‖
  O
(N原子に−OH・=O・→O(配位結合)が結合した構造)

硝酸のN原子は4つの結合を持ち、そのうちひとつはN→O配位結合(N原子の非共有電子対をO原子に提供)です。

N原子の酸化数は+5であり、これが硝酸の強い酸化作用の根源となっています。

電子式のポイント

硝酸の電子式では、N原子を中心に各O原子との結合を共有電子対で表し、非共有電子対も正確に書きます。

N=O二重結合・N−OH単結合・N→O配位結合の3種類の結合が存在し、O原子の非共有電子対を各O原子に正確に書くことが重要なポイントです。

実際には共鳴構造を持つため、3つのN−O結合が完全に等価ではない点も理解しておきましょう。

電離式

硝酸の電離式は以下のように表されます。

HNO₃ → H⁺ + NO₃⁻

硝酸は水溶液中でほぼ完全に電離する強酸であるため、電離式には一方向の矢印(→)を使います。

一価の強酸として1分子から1個のH⁺を放出し、硝酸イオン(NO₃⁻)が生成します。

硝酸イオンNO₃⁻は平面三角形構造を持つ多原子イオンであり、3つのN−O結合が共鳴によって等価となっている点も覚えておきましょう。

硝酸の強酸としての性質・酸化作用

続いては、硝酸の強酸としての性質と酸化作用について確認していきましょう。

強酸としての特徴

硝酸は塩酸・硫酸とともに代表的な強酸のひとつです。

水溶液中でほぼ完全に電離するため、同じ濃度での酢酸などの弱酸よりも強い酸性を示します。

強酸 化学式 分子量 特徴
塩酸 HCl 36.5 揮発性・刺激臭・還元性なし
硝酸 HNO₃ 63 揮発性・強い酸化作用・不安定
硫酸 H₂SO₄ 98 不揮発性・脱水作用・二価

硝酸が他の強酸と大きく異なる点は、酸としての性質に加えて強力な酸化作用を持つことです。

この酸化作用により、通常の酸では溶けない銅・銀などのイオン化傾向の小さい金属も溶かすことができます。

酸化作用の仕組み

硝酸の酸化作用は、HNO₃中のNの酸化数(+5)が高いことに由来します。

硝酸が酸化剤として働く際、濃度によって生成する窒素酸化物が異なります。

濃硝酸の半反応式:HNO₃ + H⁺ + e⁻ → NO₂ + H₂O(N:+5→+4)
希硝酸の半反応式:HNO₃ + 3H⁺ + 3e⁻ → NO + 2H₂O(N:+5→+2)

濃硝酸では二酸化窒素(NO₂・赤褐色)が、希硝酸では一酸化窒素(NO・無色)が生成する点が重要な違いです。

濃硝酸→NO₂(赤褐色)、希硝酸→NO(無色)という対応を確実に覚えておきましょう。

銅・銀との反応

硝酸は銅・銀などイオン化傾向の小さい金属とも反応します。

濃硝酸と銅:Cu + 4HNO₃(濃)→ Cu(NO₃)₂ + 2NO₂↑ + 2H₂O
希硝酸と銅:3Cu + 8HNO₃(希)→ 3Cu(NO₃)₂ + 2NO↑ + 4H₂O

これらの反応は酸化還元反応の代表例として試験でも頻出のため、係数を含めた反応式を正確に書けるよう練習しておきましょう。

希硝酸と濃硝酸の違い・不動態・工業的製造

続いては、希硝酸と濃硝酸の違い・不動態の形成・工業的な製造方法について確認していきましょう。

希硝酸と濃硝酸の性質比較

硝酸は濃度によって性質が大きく異なります。

希硝酸と濃硝酸の主な違い
【希硝酸】
・強酸として完全電離・無色の液体
・酸化作用あり→NOが発生(無色)
・銅・銀と反応してNO発生・係数が複雑
【濃硝酸】
・揮発性・刺激臭・黄褐色になりやすい
・酸化作用強い→NO₂が発生(赤褐色)
・光・熱で分解してNO₂が溶け込み黄褐色化
・褐色びんに入れて冷暗所で保存が必要
・共通点:どちらも一価の強酸、揮発性あり

不動態の形成

鉄(Fe)・アルミニウム(Al)・ニッケル(Ni)・クロム(Cr)などの金属は、濃硝酸に浸けると表面に緻密な酸化被膜が形成されて反応が止まります。

この状態を不動態といい、内部の金属が保護されるのです。

不動態を形成する主な金属:Fe・Al・Ni・Cr・Co
不動態の特徴:
・濃硝酸では不動態を形成して溶けない
・希硝酸には不動態を形成せず溶解する(Feは希硝酸に溶けてFe²⁺が生成)
→ 濃硝酸の輸送・保存にアルミニウム容器が使われる理由

鉄が希硝酸には溶けるが濃硝酸には溶けないという逆説的な性質は、試験でも頻出のテーマとして確実に覚えておきましょう。

工業的な硝酸の製造(オストワルト法)

工業的には、アンモニアを酸化して硝酸を製造するオストワルト法が用いられます。

①4NH₃ + 5O₂ → 4NO + 6H₂O(白金触媒・約800℃)
②2NO + O₂ → 2NO₂
③3NO₂ + H₂O → 2HNO₃ + NO
生成したNOは①に戻して再利用される

ハーバー・ボッシュ法で合成されたアンモニアを原料とするため、窒素固定→アンモニア→硝酸という工業的な窒素利用の流れとして理解しておくことが重要です。

オストワルト法は肥料・爆薬・染料の原料となる硝酸の工業的製造法として、現代の化学工業を支える重要な製造プロセスのひとつでしょう。

まとめ

この記事では、硝酸の化学式・組成式・分子量(モル質量)を中心に、構造式・電子式・示性式・電離式、強酸としての性質、酸化作用(濃硝酸→NO₂・希硝酸→NO)、銅との反応、不動態の形成、オストワルト法による工業的製造まで幅広く解説しました。

化学式HNO₃、分子量63、電離式(HNO₃→H⁺+NO₃⁻)という基本データを確実に押さえておきましょう。

濃硝酸でNO₂・希硝酸でNOが発生する違い・不動態を形成する金属(Fe・Al・Ni・Crなど)・オストワルト法の3段階の反応式は試験頻出のテーマです。

塩酸・硫酸との性質の違いも含めて、硝酸の化学を幅広く理解しておくことが得点アップへの近道でしょう。