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はんだの比重や密度は?鉛フリーとの違いや融点・種類別の数値一覧も解説

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電子部品の接合に欠かせないはんだですが、その比重や密度について正確に把握している方は意外と少ないかもしれません。

はんだには鉛入りタイプと鉛フリータイプがあり、それぞれ組成が異なるため、比重・密度・融点なども大きく変わってきます。

製品設計や品質管理の現場では、こうした数値を正確に理解しておくことが非常に重要です。

本記事では「はんだの比重や密度は?鉛フリーとの違いや融点・種類別の数値一覧も解説」と題して、はんだの基本的な物性値から種類別の詳細データまでわかりやすく解説していきます。

RoHS指令への対応や材料選定の参考にも役立てていただければ幸いです。

はんだの比重・密度は種類によって大きく異なる

それではまず、はんだの比重・密度についての結論からご説明していきます。

はんだの比重や密度は、その配合成分・組成比率によって大きく異なります。

一般的に使われてきた鉛入りはんだ(Sn-Pb系)は、鉛を多く含むため比重が高く、およそ8.4〜9.3 g/cm³程度の範囲に収まるものが多いです。

一方、近年主流となっている鉛フリーはんだ(Sn-Ag-Cu系など)は、鉛を含まない分だけ比重が低くなる傾向があり、7.3〜7.5 g/cm³前後のものが一般的です。

はんだの比重は組成によって変わるため、材料選定の際は必ず使用するはんだの種類に対応した数値を確認することが重要です。

特に精密機器や航空宇宙分野など、重量管理が厳しい用途では比重の違いが設計に直接影響します。

比重(比重量)と密度は混同されやすいですが、密度は単位体積あたりの質量(g/cm³またはkg/m³)を指し、比重は水の密度との比率を表す無次元数です。

水の密度は約1 g/cm³であるため、はんだの場合は数値上ほぼ同じとして扱えます。

製造現場では「密度」として記載されることが多いため、スペックシートを確認する際は単位にも注目してみましょう。

鉛入りはんだと鉛フリーはんだの違いを比較

続いては、鉛入りはんだと鉛フリーはんだの主な違いを確認していきます。

はんだには大きく分けて「鉛入りはんだ(有鉛はんだ)」と「鉛フリーはんだ」の2種類があります。

それぞれの特性を理解することで、用途に適した材料選定が可能になります。

鉛入りはんだ(Sn-Pb系)の特徴

鉛入りはんだの代表格は共晶はんだ(Sn63/Pb37)で、融点が183℃と低く、作業性に優れるため長年にわたり電子工業で広く使用されてきました。

鉛を多く含むことで比重が大きくなり、ぬれ性(濡れ性)も高いという特性があります。

ただし、鉛は人体や環境に有害であるため、EU圏ではRoHS指令(有害物質使用制限指令)により、多くの用途での使用が規制されています。

現在でも医療機器や軍事・航空宇宙分野など、一部の特定用途では例外として使用が認められています。

鉛フリーはんだ(Sn-Ag-Cu系など)の特徴

鉛フリーはんだの主流はSAC305(Sn96.5/Ag3.0/Cu0.5)と呼ばれる組成で、融点は約217〜220℃と鉛入りはんだよりやや高めです。

比重は7.4 g/cm³前後と、鉛入り共晶はんだの8.4 g/cm³と比較すると約1 g/cm³低くなります。

融点が高い分、リフローはんだ付け時の温度プロファイル管理が重要になり、部品へのダメージリスクも考慮する必要があります。

しかし、環境負荷の低減という観点からは非常に優れた選択肢といえるでしょう。

どちらを選ぶべきか

用途・法規制・コスト・作業環境などを総合的に判断する必要があります。

一般的な民生品・産業機器では鉛フリーはんだが主流であり、RoHS対応が必須です。

一方で、信頼性を最優先する特定分野では有鉛はんだが使われるケースも依然としてあります。

それぞれのメリット・デメリットを把握した上で、適切な選択を行いましょう。

はんだの種類別・比重・密度・融点の数値一覧

続いては、代表的なはんだの種類ごとに比重・密度・融点の数値を一覧で確認していきます。

実際の設計・製造現場では、これらの数値を把握しておくことが材料管理や品質管理に直結します。

代表的なはんだの物性値一覧表

以下の表に、よく使用されるはんだの種類別データをまとめました。

種類(組成) 分類 密度(g/cm³) 融点(℃) 主な用途
Sn63/Pb37(共晶はんだ) 有鉛 約8.4 183 電子部品全般(旧来品)
Sn60/Pb40 有鉛 約8.5 183〜190 一般電子機器
Sn50/Pb50 有鉛 約8.9 183〜215 配管・電気配線
Sn40/Pb60 有鉛 約9.3 183〜238 高温用途・配管接合
SAC305(Sn96.5/Ag3/Cu0.5) 鉛フリー 約7.4 217〜220 民生・産業機器(主流)
SAC405(Sn95.5/Ag4/Cu0.5) 鉛フリー 約7.4 217〜219 車載・高信頼性機器
Sn-Cu(Sn99.3/Cu0.7) 鉛フリー 約7.3 227 コスト重視の波はんだ
Sn-Bi系(Sn42/Bi58) 鉛フリー(低融点) 約8.7 138 耐熱性の低い部品向け
In系(インジウム系) 特殊系 約7.3〜7.9 120〜157 低温接合・光学機器

上記の数値はあくまでも代表的な目安であり、メーカーや製品ロットによって若干異なる場合があります。

正確な数値は各メーカーのテクニカルデータシート(TDS)を参照することをお勧めします。

Sn-Bi系はんだの特殊性

Sn-Bi系はんだは鉛フリーでありながら、融点が138℃と非常に低いという特徴があります。

一方で密度は約8.7 g/cm³と高く、鉛フリーはんだの中では重い部類に入ります。

ビスマス(Bi)の密度が約9.8 g/cm³と高いためで、配合比率が高まるほど全体の密度も上がります。

耐熱性の低い部品や、低温プロセスが求められる工程で活躍する素材といえるでしょう。

密度と融点の関係性

密度と融点は必ずしも比例関係にあるわけではなく、配合する金属元素の種類と比率によってそれぞれ独立して変化します。

例えば、銀(Ag)を多く配合すると強度は上がりますが、融点への影響はCuやBiほど大きくありません。

一方、ビスマス(Bi)は融点を大幅に下げる効果があり、低温はんだの設計に活用されます。

密度の計算例(混合則による概算)

SAC305(Sn96.5 / Ag3.0 / Cu0.5)の概算密度:

Snの密度:7.29 g/cm³、Agの密度:10.49 g/cm³、Cuの密度:8.96 g/cm³

概算密度 =(0.965 × 7.29)+(0.030 × 10.49)+(0.005 × 8.96)

= 7.035 + 0.315 + 0.045 ≒ 7.39 g/cm³

この計算はあくまでも混合則による近似値であり、実際の合金密度とは若干異なる場合があります。

はんだの融点・物性が作業性や品質に与える影響

続いては、はんだの融点や物性が実際の作業性・品質にどのような影響を与えるかを確認していきます。

融点や密度は単なる数値ではなく、はんだ付け工程全体の品質に直接関わる重要な指標です。

融点と作業温度の関係

はんだ付け作業では、使用するはんだの融点に対して適切な作業温度(はんだごての温度設定)を選ぶことが基本です。

一般的に、はんだごての設定温度は融点よりも50〜100℃高い範囲が目安とされています。

例えば、鉛フリーSAC305(融点約217℃)であれば、270〜320℃程度に設定するケースが多いです。

作業温度が低すぎると「冷えはんだ(コールドジョイント)」が発生しやすくなり、接合不良の原因となります。

逆に高すぎると部品や基板へのダメージが懸念されるため、温度管理は非常に重要といえるでしょう。

密度・比重が製品設計に与える影響

はんだの密度は、製品の重量計算にも影響します。

特に、プリント基板(PCB)上に多数のはんだボールや接合部が存在する場合、はんだ総量の重量差が積み重なって全体の重量に影響することがあります。

航空宇宙・ウェアラブルデバイスなど重量制限が厳しい分野では、密度の低い鉛フリーはんだを選定することが軽量化に貢献します。

また、はんだボールを使用するBGAパッケージなどでは、密度の違いがボール形成のプロセス条件にも関係することがあります。

ぬれ性・信頼性との関係

はんだのぬれ性(濡れ性)は、接合の信頼性に直結する重要な特性です。

鉛入りはんだは一般的にぬれ性が高く、作業性に優れる反面、鉛フリーはんだはぬれ性がやや劣る傾向があります。

これを補うために、フラックスの選定や基板の表面処理(OSP・ENIG・HALなど)が重要になります。

鉛フリー化によって融点が上昇したことで、部品や基板の耐熱性確認が従来以上に求められるようになりました。

材料選定の際は、比重・密度・融点だけでなく、ぬれ性・熱疲労特性・機械的強度なども総合的に評価することが欠かせません。

まとめ

本記事では「はんだの比重や密度は?鉛フリーとの違いや融点・種類別の数値一覧も解説」として、はんだの物性値に関する重要な情報をお伝えしてきました。

はんだの比重・密度は組成によって大きく異なり、鉛入りはんだは約8.4〜9.3 g/cm³、鉛フリーはんだは約7.3〜7.5 g/cm³が目安となります。

鉛フリー化の流れはRoHS指令をはじめとする環境規制の強化とともに加速しており、現在では民生品・産業機器の多くでSAC305などの鉛フリーはんだが標準仕様となっています。

一方で、用途によっては低融点のSn-Bi系や特殊なインジウム系はんだが活用されており、それぞれの特性を正確に把握することが材料選定の基本です。

融点・密度・ぬれ性などの物性値は、はんだ付けの品質・信頼性・作業効率に直結するため、設計・製造・品質管理の各段階で常に意識しておくことが大切です。

ぜひ本記事を参考に、用途に合った最適なはんだ選びにお役立てください。